幸せになる『赤毛のアン』の言葉                       松本侑子ホームページ

メールマガジン「幸せになる『赤毛のアン』の言葉」バックナンバー


 こんにちは。作家の松本侑子です。私は、カナダの作家モンゴメリが書いた『赤毛のアン』の新しい完訳版をシリーズで訳しています。
 2000年には、第1巻の『赤毛のアン』が文庫になりました。

 訳していると、主人公アンの前むきな明るさ、積極的な心がけ、そして愛らしい言葉に、私自身、励まされたり、元気づけられたり、あるいはほっと優しい気持ちになることが何度もありました。そうした新鮮な感動と喜びを、ぜひともお伝えしたいと思い、これからしばらく、アンの言葉を書いていきます。
 私の訳した『赤毛のアン』(集英社文庫)から、すてきな言葉を抜き出し、短いコラムをそえます。アンの言葉が、あなたの日々の小さな喜びとなることを願って‥‥。
松本侑子

  1. あなたは良き星のもとに生まれ、精と火と露より創られた
  2. 危険だと言えば、この世で人がすることには何であろうと危険はつきものですからね。
  3. 小鳥たちは歌っていた。あたかも今日が、一年でただ一日の夏の日であるかのように。
  4. お目にかかれて本当に嬉しいです。
  5. 月明りに照らされた満開の桜の白い花のなかで眠るなんて、すてきでしょう? まるで大理石の広間にいるみたいでしょうね。
  6. ああ、これからはおじさんと一緒に暮らして、おじさんの家の人になるなんて、なんてすばらしいんでしょう。今までは家族がいなかったんですもの。
  7. どうせ空想するなら、思いきりすばらしい想像にした方がいいでしょう?
  8. いつか、まっ白いドレスを着てみたいわ。それがこの世で憧れる最高の幸福なの。
  9. 大好きなものには、人に言うのと同じように、お休みを言うの。言われた方も喜んでいると思うわ。
  10. 絶望のどん底にいるんですもの。おばさんは絶望のどん底にいても、ご飯が食べられるの?
  11. でもなあ、わしらが、あの子の役に立つかもしれないよ。
  12. 窓のすぐ下には、大きな桜の木があり、家にふれるように枝が伸びている。枝い っぱいに花が咲いていて、葉はほとんど見えなかった。……
  13. 庭も、果樹園も、小川も、森も、この広々とした世界のすべてが愛しいわ。おばさんは、こんな美しい朝には、世界中を愛している、っていう気にならない?
  14. 今朝の私は、絶望のどん底ではないの。朝は、そんな気分になれないの。朝が来るって、すばらしいわね。
  15. いいお天気の朝で、とても嬉しいの。でも雨の朝も、好きよ。どんな朝でも、わくわくするわ。……
  16. 一目見た時から、私たち、心の同類だと思ったわ。
  17. 私の経験から言うと、物事は楽しもうと思えば、どんな時でも愉しめるものよ。もちろん、楽しもうと固く決心することが大事よ。
  18. グリーン・ゲイブルズの十月は美しかった。……
  19. ああ、マリラ。この世に十月というものがあって、ほんとに嬉しいわ。もし九月から、いきなり十一月になったら、とんでもないことだわ。
  20. あたり一面、赤と金色に色づいて輝くような十月。夜が明けると、柔らかな陽ざしを浴びて、淡いもやが谷間に立ちこめる。……
  21. 少女たちの胸を弾ませるぴりっとする芳しさが秋の空気には漂っていて、二人は、かたつむりとは似ても似つかぬ軽快な足どりで、……
  22. あの花は、自分が薔薇で良かったと、きっと喜んでいるに違いないわ。
  23. もし薔薇が口をきいたら、すてきでしょうね。とても愛らしいことを話してくれ ると思うの。
  24. 『わが人生は希望を埋葬した墓場なり』 前に読んだ本の一節よ。がっかりするといつも、慰めにこうつぶやいてみるの。
  25. 人は名前よりも、行いが肝心ですよ。
  26. 薔薇はたとえどんな名前で呼ばれても甘く香るって本で読んだけれど、絶対にそんなことはないと思うわ。……
  27. お母さんは、珠(たま)のように可愛い赤ちゃんだと思ったんですって。
  28. できるだけ優しくしようと思ってくれたに違いないの。でも、他の人が親切にしようと思ってくれたら、必ずしもそうならなくても、あまり気にしないわ。
  29. もし人間の女の子になれないなら、カモメになりたいわ。
  30. いえ、私どもこそ不注意でした。自分で出向いてお伝えすべきなのに、大事な用件を人伝てに頼んだんですから。
  31. マリラは良心の呵責にさいなまれた。この無言の訴えを退けたら最後、死ぬ日までこの子の顔がちらついて、頭から離れないだろう。
  32. アン、ゆうべあんたは、服を床に脱ぎ散らかしたままだったけど、そんなだらしのないことは許しませんよ。……
  33. 私なら、心からお祈りしたくなったら、たった一人で、広い原っぱか、深い森に出かけて、空を仰ぎ見るわ。
  34. 世間というものは、誰もが、それぞれに割り当てられた苦労を持って回るようになっているんだね。……
  35. なぜだか分からないけど、涙が出るの。嬉しくて、嬉しくて。ああ、嬉しいなんていう言葉じゃ足りないわ。
  36. 日はほとんど暮れ落ち、物憂い十一月の夕闇が、グリーン・ゲイブルズを包んでいた。……
  37. 本音を打ち明けられるような、心底気の合う友だち、心の同類よ。そんな友だちに出逢いたいと、ずっと夢みてきたの。
  38. ソバカスだらけで赤毛だなんて、よくも言ったわね。あんたなんか、無礼で、礼儀知らずで、思いやりがないわ!
  39. 私が悪かったと言っても、それは嘘じゃないわ。だって今は、心から悪かったと思っているもの。
  40. どうせ謝るなら、徹底的にしようと思ったの。
  41. 人に謝って許されるって、ほっとして、気が楽になるわね。
  42. 今夜は星がきらきらしているわ。もし星に住めるなら、マリラはどれにする?
  43. クリスマスまで、あと二週間だ。おしゃれな新しい服は、格好のプレゼントになるだろう。
  44. 気の重いことは、早くすませてしまおう
  45. アンのやせた手を握って歩いていると、マリラの胸に、ふと、温かくて懐かしいものが湧きあがってきた
  46. いい子でいれば、いつも幸せなんですよ
  47. 太陽と月のあらん限り、腹心の友、ダイアナ・バリーに忠実であることを、おごそかに誓います
  48. 半分ほどダイアナにあげてもいい? そうすれば、残りの半分が二倍もおいしくなるわ。……
  49. クリスマスの朝は、見事な銀世界となった。……
  50. あれが自分の家だなって思いながら家に帰っていくって、本当にすてきね。
  51. マシューときたら、アンがしゃべればしゃべるほど、変ちくりんなことを言えば言うほど、嬉しそうな顔をするんだから。
  52. 夜、アンは自分の部屋に入り、幸せに満ちたりた気持ちで窓辺にひざまずいた。……
  53. 何かを期待して待ち焦がれることも、愉しみのうちの半分だわ。……
  54. ああマリラ、なんて優しいの、ああ、マリラは本当に良くして下さるのね。ああ、もう心から感謝するわ
  55. 悪いことだって分かったから、もう二度としないわ。私にも一つはいい所があって、二度と同じ過ちをしないのよ
  56. クリスマス休暇も終わると、アヴォンリーの学生たちは金曜日ごとの帰省はあきらめ、本腰を入れて勉強に打ちこむようになった
  57. さあ、勉強をすませてしまうわ。終わるまで、ジェーンから借りた新しい本は開けない。
  58. 夏の森もいいけど、冬の森も、すてきだわ。真っ白で、静かで、まるで、美しい夢を見ながら眠っているようだわ
  59. すでに鍬(すき)に手をかけたのだから、もう後ろはふりかえりませんよ
  60. 何も食べられないの。心が傷ついているもの。私を傷つけたことを、いつか後悔するでしょうよ。でも、許してあげるからね。……
  61. でも私が悪かった、認めるよ。あんたを信じるべきだったよ。あんたは嘘をついたことがなんいだからね。
  62. あんたが許してくれるなら、私もあんたを許してあげるよ。それでおあいことしようじゃないか。
  63. 「なんてすてきな日でしょう!」アンは深々と息を吸いこんだ。「今日のような美しい日に生きているなんて、それだけで嬉しいわね。」
  64. 美しいものに囲まれた寝室の方が、いい夢が見られるでしょう?
  65. 私、できるだけおしとやかに、お行儀よく振舞おうと、心がけたわ。……
  66. ダイアナは、木苺水(ラズベリー・コーデュアル)を自分からコップになみなみとつぎ、その鮮やかな赤い色合いを感心して眺め、……
  67. ねえダイアナ、もしかしたら本当に天然痘にかかったの? もしそうなら、看病に行くからね、頼りにしていいのよ、絶対に見捨てたりしないわ。
  68. 泣かずにはいられないわ。私の心はぼろぼろだわ。運命の星は、私に味方してくれないのよ
  69. 私を愛してくれる人なんかいないと思っていたの。……
  70. 一連の日課と勉強は愉しく、冬の日々は過ぎていった。……
  71. ルビー・ギリスは、大きくなったら取り巻きの愛人をたくさん作って、みんな自分に夢中にさせておくんですって。……
  72. でもね、こんなに面白い世の中に生きているのに、いつまでも悲しんでなんかいられないわ
  73. 冬のたそがれに紫色に染まった雪景色の中を、アンは、踊るように帰ってきた。……
  74. アンとマシューの二人は、グリーン・ゲイブルズの居心地のよい台所で過ごしていた。……
  75. アンは、全身全霊をかけて勉強に打ちこんだ。どの科目もギルバートに抜かれまいと決意したのだ。
  76. 晴れわたり、凍てつくような夜だった。銀色に光る雪の斜面に、黒檀のような影が黒々とのびていた。……
  77. ああ、マシュー、すばらしい朝ね。この光景は、神様がご自分の愉しみのために想像して造った世界のようだわ。……
  78. だめかもしれないけど、これが残された最後の望みだ
  79. たそがれが夜のとばりをおろし/そこに星をピンでとめる頃/思い出したまえ、君には友のあることを/たとえ遙か遠くをさまよう友であろうとも
  80. マリラ、完璧に幸せな人って、まさに私よ。そう、たとえ髪が赤くても、完璧に幸福なの。
  81. 正直なところ、アンは、微かに胸のいたみを覚えずにはいられなかった。……
  82. 私が大人になったら、小さな女の子にも、一人前の大人のように話しかけるわ。……
  83. 私があなたを愛するように あなたも私を愛するならば/我ら二人を引きさくものは 死よりほかには何もない
  84. 過去は忘却のマントで覆うことにいたします
  85. 悪に報いるに善をもってしたような気がしたわ
  86. マシューは私のことがちゃんと分かるのよ。分かってもらえるって、とても嬉しいわ
  87. 家に帰ると、もう十一時だった。……
  88. ギルバートったら、『もう一人あり、それは妹にあらず』というところで、まっすぐアンを見たわよ
  89. 何かがぱっとひらめいて、すばらしいことだってわくわくしたら、すぐ表に出さなくては。……
  90. そして、気づかないうちに、春になっていた。……
  91. 窓のすぐ外には、大きな桜の木があり、家にふれるように枝がのびている。……
  92. ミス・バリーは、やっぱり心の同類だったわ。……
  93. グリーン・ゲイブルズにまた春がやってきた。……
  94. メイフラワーの花が終わると、次はスミレだった。……
  95. 今日は記念日だから、特別にいい子でいようと思っていたのよ。……
  96. いろいろと大変なこともあったけど、でも、月日がたつうちに忘れてしまうものなのね
  97. ああ、この世には出逢いと別れしかないのね
  98. 新任の牧師夫妻は、まだ新婚ほやほやで笑顔のいい若夫婦だった。……
  99. あの人は善人だけど、そこから心の平安を得ていないのよ。……
  100. ケーキって、うまく焼けてほしいと思った時に限って、失敗するという厄介な性質があるのよ
  101. 妖精がいると想像するのはたやすいわ。……
  102. 私、永遠に面目を失ってしまったわ。……
  103. 明日はまだ何の失敗もしないない新しい一日だと思うと、ほっとするわ
  104. 出発は早朝となった。……
  105. 私にも、一つは励みになることがあって、同じ失敗は二度としないのよ
  106. 一人の人間がする過ちには限りがあるはずよ。最後までやってしまえば、それで私の失敗も終わりよ。そう思うと、気が楽になるわ
  107. ほら見て、マリラ。『グリーン・ゲイブルズのミス・アン・シャーリーへ』って書いてあるのよ。ミスなんて呼ばれたのは初めて。ああ、どきどきするわ!
  108. アンはたそがれの中を、晴れやかな心持ちで帰ってきた。空はどこまでも高く広々として、サフラン色や薔薇色の雲がたなびき、輝いていた。……
  109. ああ、マリラ、とても魅惑的なひとときだったわ。生きてきた甲斐があったって感じたの。……
  110. 生まれつき善良な人もいれば、そうでない人もいるのね。私はそうでない方なのよ。……
  111. 人にもいろいろいて、アラン夫人やマシューのように、すんなりとたちどころに愛せる人もいるけど、……
  112. 理事さんたちがアヴォンリー校の新しい先生を決めて、なんと女の先生なのよ。ミス・ミリョエル・ステイシーと言うの。ロマンチックな名前だわ。
  113. やめるわけにはいかないわ。私の名誉がかかっているもの
  114. マリラ、そんなに驚かないで。屋根の棟を歩いて、下に落ちたの。足首をひねったみたい……
  115. アンは新しい先生に出会い、また一人、真に頼りになる友を見つけた。……
  116. マシューがアンを甘やかしても、ちょっとした「ほめ言葉」が、時には世界中の良心的な教育を束にしたくらい、うまく働くことがあるのだ。
  117. 血と肉でできている人間は、算数みたいにはいかないのさ
  118. アンの妖精の対話劇が終わって走って退場したとき、バラが一輪、アンの髪から落ちたの。それをギルバートったら、ひろって胸のポケットにしまったのよ
  119. マリラは分別があるの。分別があるのは、立派なことだと思うわ。でも私は、分別のある人になりたいわけじゃないの。……
  120. 涼しい風が、もみのしげった西の丘のふもとから、収穫を終えた畑をわたってきて、ポプラをさらさらと鳴らした。明るい星が一つ、果樹園の上にまたたいている。……
  121. 「ルビー・ギリスったら、恋人のことしか頭にないのよ」アンは軽蔑するように言った。
  122. アラン夫人は、慈愛の心に欠けることを言ってはいけませんとおっしゃったわ。でも気がつくと口がすべっているの
  123. ……でもこんなプロポーズじゃ全然ロマンチックじゃないわ
  124. 私、赤毛より厭なものはないと思っていたけど、緑色の髪の方が、十倍も厭だったわ
  125. ひとたび人とをあざむくと、(つじつまを合わせるに)なんともつれた網目を織らねばならないことか
  126. 人を許してあげるなんて、徳深くなったような気がするわ。これからはいい人になるために全力をつくすわね。……
  127. ねぇ、僕たち、いい友だちになれないかな? あの時は、髪をからかったりして、本当に悪かったと思っているよ。……
  128. グリーン・ゲイブルズへ来てから、いろんな失敗をしたけど、そのたびに欠点がなおったの。……
  129. おまえのロマンスだがね、すっかりやめてしまってはいけないよ、アン。ロマンスも少しならいいものだよ。……
  130. 今宵はまるで紫色の夢のようね、生きているのが嬉しくなるわ。……
  131. 流行の服を着ていると、いい人になるのもずっとたやすいの
  132. ビロードの絨毯、それに絹のカーテン! 私、ずっとこんな部屋を夢見てきたの。……
  133. 牧師の奥さんに言えないようなことは、悪いことに決まっているわ。……
  134. 大人になるということは、つまらないものね。ようやく分かりかけてきたわ。……
  135. 夜の十一時に、電灯でまぶしいくらいに明るい街のレストランでアイスクリームを食べるのも、たまにはいいけど、……
  136. マリラ・カスバートが孤児院から女の子をひきとったと聞いた時には、いい年をして馬鹿な真似をしてと思ったんだが、……
  137. 街からの帰り道も、往きと同じくらい楽しかった。……
  138. 海岸通へ出たころ、日が沈んだ。アンとダイアナのゆく手には、サフラン色の夕焼け空の遠くにアヴォンリーの丘が黒々と横たわっていた。……
  139. ああ、生きているってなんてすてき、そして家に帰るってなんてすばらしいでしょう。
  140. あんたが帰ってきてくれて、嬉しいよ。本当だよ。あんたがいなくなって、寂しくてたまらなかったよ。アン、こんなに長い四日間は、初めてだったよ。
  141. 「今年度は、みなさん、よくがんばりましたね」終業式の夕方、ステイシー先生は語った。
  142. 愛情とは、言葉で伝えたり顔に出したりするべきものであるが、マリラはそれができなかった。……
  143. 十代にどんな習慣を身につけるか、どんな理想をいだくのか、十分に気をつけなさい。……
  144. アンをひきとったとき、マシューと決めたんだよ。できるだけのことをしてやって、いい教育も受けさせようって。……
  145. 「勉強にはり合いがでてきたわ」アンは大喜びで言った。……
  146. ジェーンは教育に生涯をささげて、絶対に結婚しないそうよ。……
  147. 私は、自分の間違いを認めないような人間じゃないからね。まったくありがたいことに、私はそんなたちじゃないんだよ
  148. アンもきれいな娘になったね。……
  149. すばらしい夏だった。アンはダイアナと一緒に、たいてい外に出かけてすごし、……
  150. アンにとっては、したい放題、遊びたい放題、騒ぎたい放題という生涯最良の夏だった。……
  151. 大人になっていく時は、じっくり考えたり決断しなければならないことが増えるのね。……
  152. 丘のむこうにまた丘は連なり、アルプスの彼方にまたアルプスはそびゆ
  153. ある日マリラは、隣にいるアンの方が背が高いことに気づいて、はっとした。……
  154. 大切でひそやかな想いは、宝物のように胸に秘めていたほうが、すてきなのよ。人に話して笑われたり、変に思われたくないの
  155. たとえ陽気になれなくても、できるだけ明るくふるまいなさい
  156. リンドのおばさんの口癖じゃないけど、私が幾何の入試テストで失敗しようとしまいと、おてんとさまは、ちゃんと昇って、また沈むのね
  157. アンは開け放った窓辺に腰かけていた。美しい夏の夕暮れに見とれている時だけは、難儀の試験のことも、この世の気苦労も忘れることができるのだ。……
  158. 確かにアンは合格していた。二百人の合格者のトップに、アンの名前があった! これぞまさに生き甲斐を感じた一瞬だった。
  159. 私、合格したのよ。一番よ、一番のうちの一人なのよ! 自慢しているんじゃなくて、お礼がいいたいの
  160. アンにはどこかすてきな雰囲気があるわ。頭の上げ方に気品があるのよ。だからカッコいいのね
  161. でも、私の夢はたくさんかなったんだから、不平を言ってはいけないわね
  162. この部屋は窓が東をむいて、日の出が見えて好きなの。……
  163. 今宵は楽しむための夜なのだ。街道には、ホテルへむかう馬車が続き、澄んだ笑い声がこだまして響き、またこだまを呼んでいる。……
  164. 外へ出ると、辺りは静まりかえり、白い月光に照らし出されていた。アンは深呼吸をして、モミの梢のかなたに広がる澄んだ夜空を見上げた。……
  165. 私は自分以外の誰にもなりたくないわ、たとえダイヤモンドには一生縁がなくても。……
  166. アンの小さかった頃を、つい思い出したのさ。できるものなら、小さな女の子のままでいてほしいのにと思ったんだよ。……
  167. 私は少しも変わっていない、本当は何も変わっていないの。ただ、余分な枝を刈りこんで、また別の枝を伸ばしただけよ。……
  168. 夜になってベッドに入ると、廊下のつき当たりの小部屋に、あの生き生きとしたアンの姿はなく……
  169. エイヴリー奨学金! アンの胸は高鳴った。そしてアンの野心の地平線が、まるで魔法にかかったように、はるか遠くまで広がった。
  170. 野心を持つって、わくわくするわ。私には、目指す野心がたくさんあって嬉しいわ。野心には終わりがないもの。……
  171. アンには友情をはぐくむ才能があり、女友だちはたくさんできた。しかし男友だちというものも、いいのではないかと、漠然とだが思っていた。……
  172. ギルバートは賢明な青年で、物事に対して自分なりの意見を持っていた。……
  173. アンという子は、まさに日進月歩、つねに向上しているんですよ。それに比べると他の女の子は退屈だね、シャクにさわるほどだよ。……
  174. 努力して勝つことが一番だけど、二番めにいいことは、努力した上で敗れることなんだわ
  175. アンは、若者だけが持ちうる楽天主義という金色の糸で、可能性にみちた将来の夢を織りあげていた。前途にあるものは、すべてアンのものだった。……
  176. この世では、何を手に入れるにも、代償を支払わなければならない。……
  177. ああ、ダイアナ、家に帰るって、すばらしいわね。あのピンク色の夕空に、モミの森のとがった天辺が映えているわ。……
  178. 「わしは一ダースの男の子よりも、アンの方がいいよ」マシューはアンの手をとり、掌でぽんぽんと優しくたたいた。「いいかい、一ダースの男の子よりもだよ」
  179. 私はあんたのことを、血と肉を分けた実の娘のように愛しているんだよ。……
  180. たとえ義務であっても、心を開いてあたれば、良き友になる。
  181. 真面目に働く喜び、立派な抱負、気のあった友との友情は、アンのものだった。
  182. 私はここで生きることに最善をつくすわ。そうすれば、いつかきっと最大の収穫が自分にかえってくると思うの
  183. 喧嘩したんだよ。ジョンが謝ってきたのに、私が許さなかったのさ。少したったら許すつもりだったよ。でも意地をはってふくれていたのさ。……
  184. いま、マシューはちょっと遠くにいるだけ。マシューの好きなものは何も変わらないわ
  185. 傷を癒そうとしてくれる自然の力から、心を閉ざしてはだめよ
  186. クィーン学院を出たときは、私の未来はまっすぐな一本道のように目の前にのびていたの。……
  187. 次の日の夕方、アンは小ぢんまりとしたアヴォンリーの墓地へ出かけていった。マシューのお墓に新しい花をそなえ、スコッチローズに水をやった。……
  188. 今までは仲良しじゃなかったわ。競争相手だったもの。でも、これからは仲良くした方が賢明じゃないか、ということになったのよ
  189. 神は天に在り、この世はすべてよし
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 訳文は、『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用しました。

※「幸せになる『赤毛のアン』の言葉」は、1999年よりメールマガジンでお届けして来ましたが、2002年の初めに、すべて終了しました。
ご愛読、本当にありがとうございました。

※このメルマガを改題し、編集して、1冊の本が誕生しました。
 『赤毛のアンの今日が幸せになる言葉』
(ディスカヴァー21発行、1200円)です。

 それぞれの言葉に、画家の東逸子先生が、
きれいなさし絵を描いて下さった美装本です。


(ディスバー21発行、2001年発行、1200円)

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