幸せになる『赤毛のアン』の言葉−164                    松本侑子ホームページ

 外へ出ると、辺りは静まりかえり、白い月光に照らし出されていた。アンは深呼吸をして、モミの梢のかなたに広がる澄んだ夜空を見上げた。
 ああ、清らかで、しんとした夜のとばりへ、また戻ることができた! すべてがなんと偉大で、静かで、すばらしいのだろう。夜の静寂をぬけて、潮騒が響いてくる。むこうに黒々とそびえたつ崖は、魔法をかけられた海岸を守る厳めしい巨人のようだ。


                        
『赤毛のアン』第33章 

 静かな夜の光景です。白い月光、澄んだ夜空、かすかな潮騒、海岸の黒々とした岩、そして深閑とした静けさ……。
 秋の夜長です。美しい月と夜の静けさを、心から味わってみて下さい。夜の神秘と安らぎと魔法を。

松本侑子 


『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用/2001.10.28.