幸せになる『赤毛のアン』の言葉−12                     松本侑子ホームページ

「窓のすぐ下には、大きな桜の木があり、家にふれるように枝が伸びている。枝いっぱいに花が咲いていて、葉はほとんど見えなかった。家の両側は、広々とした果樹園だった。片側は林檎園(りんごえん)、もう片方はさくらんぼ園で、どちらも花が空から舞いおりてきてふりつもったように白く咲いて満開だ。果樹の下は草地で、黄色い蒲公英(たんぽぽ)が、一面にまき散らされたように咲き乱れている。下の庭では、ライラックの木々に紫色の花が開き、むせかえるような甘い香りが、朝風にのって窓辺まで漂っていた。」

                        
『赤毛のアン』第4章

 アンが初めて迎えたグリーン・ゲイブルズの朝の景色だ。長くなるので、この続きは省いたが、むこうには白樺の森、その先には春の海が光っている。美しい春の風景を、広々と心に思い浮かべて、楽しんで下さい。
 花の楽園のような春(6月)のプリンスエドワード島に行ってみたい。
松本侑子


『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用。