海岸通へ出たころ、日が沈んだ。アンとダイアナのゆく手には、サフラン色の夕焼け空の遠くにアヴォンリーの丘が黒々と横たわっていた。二人の後ろからは、今まさに海から月が昇ろうとしている。海は月光に照らされると、あたり一面が神々しくきらめいて一変した。曲線を描く道が海へカーブするたびに小さな入り江があらわれたが、どの入り江もさざなみがきらきら光っていた。道の下では、波が静かに打ちよせて岩にくだけ、ざわざわと柔らかな潮騒が響いている。鮮烈でさやわかな夜の空気に、磯の香りがした。
『赤毛のアン』第29章
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夜の美しい海辺の光景です。
私は泳ぎが好きなので、海が大好きです。今年はもう泳ぎにいかれましたか?
松本侑子
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『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用/2001.7.29. |