夜になってベッドに入ると、廊下のつき当たりの小部屋に、あの生き生きとしたアンの姿はなく、これからは柔らかな寝息がたてられることもないと思うと、マリラは胸がしめつけられるように悲しくなり、枕に顔をうずめ、アンを想ってむせび泣いた。
『赤毛のアン』第34章
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ついにアンは進学し、街の下宿に移りました。アンのいない家で、マリラは静かに泣きます。それまでは気むずかしく陰気で人嫌いだったマリラが、アンを育てることで、人と人に通いあう愛を初めて知ったのです。あなたの大切な人を、どうか大事にしてください。
松本侑子
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『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用/2001.11.11. |