幸せになる『赤毛のアン』の言葉−20                     松本侑子ホームページ

「あたり一面、赤と金色に色づいて輝くような十月。夜が明けると、柔らかな陽ざしを浴びて、淡いもやが谷間に立ちこめる。朝もやは、紫水晶の色、真珠の色、銀色、薔薇色、そして青灰色(スモーク・ブルー)と、まるで、秋の妖精が、太陽にのみほさせようと谷間に注ぎこんだ美酒のようだった。朝露が一面におりた野原は、銀で織った布のようにきらきらする。落葉樹にかこまれた窪地は、かさこさする枯葉にうずもれ、かけ抜けるとぱりぱりと音がする。」

                        
『赤毛のアン』第24章

 カナダの秋‥‥。カエデが赤と金色のみごとに色づいて、錦織のような鮮やかさ。朝露のおりたひんやりとした朝の空気、枯れ葉の音‥‥。
 プリンスエドワード島の秋を、心に思い浮かべてみて下さい。
松本侑子


『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用。