「大人になるということは、つまらないものね。ようやく分かりかけてきたわ。子どものころ、ほしくてたまらなかったものでも、大人になって、いざ手に入れてみる、半分もときめきが薄れているの」
『赤毛のアン』第29章
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少しずつ大人に近づいてきたアンの台詞です。
子どものころに憧れていた宝物や夢は、大人になってから成熟した目で見ると、その輝きが色あせてみえることがあります。それだけ、世界を見つめるまなざしが成長したのです。子供時代を去っていく喜びと悲しみの入りまじった思春期のアンの感慨です。
でも、だからこそ、子どものころの夢は大切な思い出なのです。
松本侑子
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『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用/2001.7.15. |