幸せになる『赤毛のアン』の言葉−5                     松本侑子ホームページ

「月明りに照らされた満開の桜の白い花のなかで眠るなんて、すてきでしょう?  まるで大理石の広間にいるみたいでしょうね。」


                        
『赤毛のアン』第2章

 待ち合わせ‥‥、来るはずのマシューが来ない。もし携帯電話でもあれば、すぐに電話しただろうが、この時のアンは、ただ待つしか手だてがない。そこでアンは心配しながらも、そばに咲く桜の花を見て、そこで眠る想像をめぐらせる。
 不安なときも、楽しいことや美しいことを思い浮かべてみる。待ち人が来ないとき、なかなかできないことだけれど、気が楽になるなら意味がある。いつだって自分を楽しませること。
 後半「まるで大理石の広間にいるみたいでしょうね」は、もとはオペラ『ボヘミアン・ガール』の歌詞。エンヤも歌で使っている。

松本侑子


『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用。