幸せになる『赤毛のアン』の言葉−73                     松本侑子ホームページ

「冬のたそがれに紫色に染まった雪景色の中を、アンは、踊るように帰ってきた。夕空は淡い金色と清らかなバラ色に光り、はるか南西の空には、宵の明星が真珠のように輝いて、白い雪原とえぞ松(トウヒ)の黒い谷間を照らしていた。雪の丘を走るそりの鈴(ベル)の音が、凍るような大気をついて、まるで妖精(エルフ)が奏でる鐘の音(チャイム)のように響いてきた。しかしアンの心に生まれ唇からこぼれる歌は、もっと美しいのだった」

                        
『赤毛のアン』第18章

 バラ色から紫色にそまっていく冬の夕景です。アンの心には、明るく楽しい歌が響いています。
松本侑子


『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用/2001.2.18.