幸せになる『赤毛のアン』の言葉−165                    松本侑子ホームページ

「私は自分以外の誰にもなりたくないわ、たとえダイヤモンドには一生縁がなくても。私は、真珠の首飾りをしたグリーン・ゲイブルズのアンで心から満足しているの。だって、この首飾りは、マシューの愛情がこもっているんだもの。大富豪のマダムがしているダイヤモンドや宝石にこめられた愛情と、決して劣らないわ」

                        
『赤毛のアン』第33章 

 アンの友だちジェーンは、アメリカの大富豪夫人がダイヤモンドをたくさん身につけていて羨ましい、自分も大富豪夫人になりたいとこぼします。
 しかしアンは、マシューから贈られた真珠(イミテイション)にこめられた愛情は、大富豪のマダムの豪華な宝石にまつわる愛情に決して劣らない、と語ります。
 宝石に価値があるのではない。宝石にまつわる愛の記憶や家族の気持ちや思い出に価値がある、アンはそうした考えなのです。

松本侑子 


『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用/2001.10.31.