幸せになる『赤毛のアン』の言葉−93                     松本侑子ホームページ

 グリーン・ゲイブルズにまた春がやってきた。美しく、気まぐれで、しぶるように少しずつ訪れるカナダの春。四月、五月と、甘くさわやかでひんやりする日々がしばらく続く春。桃色の夕焼けをもたらし、奇跡のようにすべてをよみがえらせ成長を始める春。「恋人たちの小径」のカエデの樹々は真っ赤な芽をふき、「木の妖精の泉」のまわりでは、くるくると小さなうずをまいたシダの若い芽が、土を押しあげていた。

                        
『赤毛のアン』第20章

 プリンスエドワード島は、日本付近ではサハリン辺りの緯度に位置しています。その寒い島にも春がやってきました。そしてあなたの街にも……。

松本侑子


『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用/2001.4.5.