グリーン・ゲイブルズにまた春がやってきた。美しく、気まぐれで、しぶるように少しずつ訪れるカナダの春。四月、五月と、甘くさわやかでひんやりする日々がしばらく続く春。桃色の夕焼けをもたらし、奇跡のようにすべてをよみがえらせ成長を始める春。「恋人たちの小径」のカエデの樹々は真っ赤な芽をふき、「木の妖精の泉」のまわりでは、くるくると小さなうずをまいたシダの若い芽が、土を押しあげていた。
『赤毛のアン』第20章
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プリンスエドワード島は、日本付近ではサハリン辺りの緯度に位置しています。その寒い島にも春がやってきました。そしてあなたの街にも……。
松本侑子
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『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用/2001.4.5. |