幸せになる『赤毛のアン』の言葉−91                     松本侑子ホームページ

 窓のすぐ外には、大きな桜の木があり、家にふれるように枝がのびている。枝いっぱいに花が咲いていて、葉はほとんど見えなかった。家の両側は、広々とした果樹園だった。片側はリンゴ園、もう片方はサクランボウ園で、どちらも花が空から舞いおりてふりつもったように白く咲いて満開だ。果樹の下は草地で、黄色いタンポポが一面にまき散らされたように咲き乱れている。下の庭では、ライラックの木々に紫色の花が開き、むせかえるような甘い香りが、朝風にのって窓辺まで漂っていた。

                        
『赤毛のアン』第4章

 グリーン・ゲイブルズの二階、アンの部屋から見た春の光景です。

松本侑子


『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用/2001.4.1.