「ああ、これからはおじさんと一緒に暮らして、おじさんの家の人になるなんて、なんてすばらしいんでしょう。今までは家族がいなかったんですもの。」
『赤毛のアン』第2章
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もし、天涯孤独の身よりだったら……、本当に寂しいと思う。アンは、両親の顔も知らず、親せきも兄弟も姉妹もいない。本当に一人ぼっちだ。だからこそ家族がいるすばらしさをしみじみと感じるのだ。私自身は十六年以上一人でくらした。二十代の頃は、一人の時間も嫌いではなかった。家族はうっとおしいと思うこともあった。しかし三十代で結婚してから、今は家族のすばらしさを実感している。
アンとマシューは何の血のつながりもない。しかし愛で結ばれたすばらしい家族を作っていく。家族は血縁ではなく、お互いの愛情が結びつけるのだと思う。
松本侑子
『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用。 |