幸せになる『赤毛のアン』の言葉−10                     松本侑子ホームページ

「絶望のどん底にいるんですもの。おばさんは絶望のどん底にいても、ご飯が食べられるの?」


                        
『赤毛のアン』第3章

 絶望のどん底……。アンは生まれて初めて自分の家ができると喜びいっぱいで着いた家で、お前は女だからいらないと断られる。絶望のどん底に落ち、ものが食べられなくなる。私も、食事がとれないほどの絶望を経験したことがもあった。身内の突然の事故死だった。アンは恵まれて幸せだから、のん気な楽天家になったのではなく、両親の病死、学校に行かせてもらえないくやしさ、孤独、飢え、養父の酒乱、過酷な労働といった絶望と失意の中にいても、必ず立ち上がっていく。その強さに、感動するのだ。
松本侑子


『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用。