幸せになる『赤毛のアン』の言葉−166                    松本侑子ホームページ

「アンの小さかった頃を、つい思い出したのさ。できるものなら、小さな女の子のままでいてほしいのにと思ったんだよ。それが今じゃ、こんなに立派になって、遠くへ行ってしまうんだね。背丈も伸びて、あか抜けて、その上、ドレスなんか着てると、全然違って見えてね。アヴォンリーの者じゃないみたいだ。そんなことを考えていたら、何だか寂しくなったんだよ」

                        
『赤毛のアン』第34章 

 アンは、マシューとマリラのもとを巣立ち、師範学校へ進学して家を離れていきます。大きくなったアンの姿に、マリラは、幼かったアンが初めて家にきた夜のこと思い返し、涙をこぼします。
 子どもが育った喜び、そして悲しみ……。しみじみとした場面です。

松本侑子 


『赤毛のアン』(集英社文庫、松本侑子訳、800円、2000年)より引用/2001.11.4.