ナノテク研究プロジェクト
ナノ物質の有害性研究の紹介

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/

掲載日:2009年10月14日
更新日: 2019年 6月 1日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/project/Nano_EHS_Paper_List.html

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91〜116項追加 (19/06/01)

116二酸化チタン・ナノ粒子の食品添加物 E171 は腸内細菌叢(そう)に有害影響を及ぼす(2019年5月
 シドニー大学の研究によれば、二酸化チタンは小腸や結腸では腸内細菌叢(そう)の構成に及ぼす影響は最小であるが、 生体内(インビボ)での TiO2 処理は細菌の代謝物の放出を変更することができ、またバイオフィルム(菌膜)生成を促進することにより、生体外(インビトロ)で共生細菌(腸内細菌)の空間的分布に影響を及ぼすことができる。また、腸粘液層の重要な要素である結腸のムチン2番遺伝子の発現が減り、ベータ・デ ィフェ ンシ遺伝子の発現が増える、すなわち、 TiO2 が腸のホメオスタシス(恒常性)に著しく影響を及ぼす。
https://askhealthnews.com/3610/e171-gut-microbiota/
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/research/190514_Ask_Health_News_Food_Additive_E171_
Pose_Harmful_Effects_on_Gut_Microbiota.html


115環境中のナノ粒子は、我々が考えているよりもっと有害な影響を持つかもしれない(2018年8月
 南デンマーク大学(SDU) の研究者らは、ナノ粒子と汚染物質の組み合わせは我々の細胞に有害なカクテルを形成するかもしれないと警告している。Nanotoxicoloy に発表された研究によれば、ナノ銀とカドミウムイオンのカクテルに暴露すると細胞の 72%が死んだ。ナノ銀だけに暴露すると 25%が、カドミウムイオンだけに暴露すると 12%が死んだ。
https://www.sdu.dk/en/om_sdu/fakulteterne/naturvidenskab/nyheder2018/2018_08_16_nanocadmium
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/180817_SDU_Nanoparticles_in_our_environment_
may_have_more_harmful_effects_than_we_think.html


114ナノ実現熱可塑性プラスチックの焼却は多環芳香族炭化水素(PAH)の排出と毒性に関連する(2018年5月)
 ある研究が初めて、熱可塑性プラスチック中のナノフィラーの存在が、製品寿命の最後に熱分解されるときに生成される多環芳香族炭化水素類(PAHs)の濃度と毒性の両方を高め、その結果、PAHs の総濃度と毒性は、純粋な(非ナノ実現)熱可塑性プラスチックの場合に見出されるものに比べて最大8倍高いことを明らかにした。この発見は環境健康に重要な意味がある。
http://ec.europa.eu/environment/integration/research/newsalert/pdf/incinerating_
nano_enabled_thermoplastics_linked_to_increased_pah_emission_toxicity_508na3_en.pdf

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/sep/sep_180524_Incinerating_nano-enabled_
thermoplastics_linked_to_increased_PAH_emissions_and_toxicity.html


113ナノ実現熱可塑性プラスチックの焼却は多環芳香族炭化水素(PAH)の排出と毒性に関連する(2018年5月)
 ある研究が初めて、熱可塑性プラスチック中のナノフィラーの存在が、製品寿命の最後に熱分解されるときに生成される多環芳香族炭化水素類(PAHs)の濃度と毒性の両方を高め、その結果、PAHs の総濃度と毒性は、純粋な(非ナノ実現)熱可塑性プラスチックの場合に見出されるものに比べて最大8倍高いことを明らかにした。この発見は環境健康に重要な意味がある。
http://ec.europa.eu/environment/integration/research/newsalert/pdf/incinerating_
nano_enabled_thermoplastics_linked_to_increased_pah_emission_toxicity_508na3_en.pdf

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/sep/sep_180524_Incinerating_nano-enabled_
thermoplastics_linked_to_increased_PAH_emissions_and_toxicity.html


112潜在的に有害なナノ粒子がオーストラリアの乳児用粉ミルクから検出された(2017年7月
 FoE オーストラリアの委託により、アメリカの研究チームが7種類の乳児用粉ミルク在庫品をテストし、そのうち2種類、ネスレ社の NAN H.A. 1 Gold 及びネイチャーズウェイの Kids Smart 1 は針状ハイドロキシアパタイト(水酸燐灰石)ナノ粒子を含んでいたことを発見した。 FoE オーストラリアは、針状ナノ・ハイドロキシアパタイトは潜在的に有害であり、歯磨きや歯ブラシのような口腔ケア製品中で使用されるべきではないと結論付けた欧州連合の消費者安全科学委員会(SCCS)による最近の研究を引用している。
https://www.smh.com.au/business/consumer-affairs/study-finds-potentially-toxic-nanoparticles-
in-australian-baby-formula-20170622-gwwb2j.html

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/170702_Study_finds_potentially_toxic_nanoparticles_
in_Australian_baby_formula.html


111吸入されたナノ粒子は血管障害のある部位に蓄積する(2017年4月)
 健康なボランティアが急性吸入により金ナノ粒子に暴露させられ、その後、繰り返し血液と尿のサンプリングが行われた。ナノ粒子は暴露後15分から24時間以内に検出されたが、暴露3か月後にもまだ存在した。レベルは、粒子径 30 nm のものに比べて 5 nm の方が高かった。マウスの実験は、ナノ粒子のもっと広いサイズ範囲(粒子系 2〜200 nm)の肺への暴露の後、10 nm 以下の粒子がより大きく移動することを示しつつ、血液と肝臓中に蓄積することを実証した。さらに、吸入後、金ナノ粒子は心発作のリスクがある患者の頚動脈疾患の検体からも検出された。吸入されたナノ粒子の体循環への移動及び血管炎症部位への蓄積は、環境的ナノ粒子と循環器系疾患との関連を説明することができ、工業的ナノ物質の使用におけるリスク管理のための密接な直接的メカニズムを提供するものである。
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acsnano.6b08551
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/acs/170426_Inhaled_Nanoparticles_Accumulate_
at_Sites_of_Vascular_Disease.html


110殺菌用ナノ銀の濫用は耐性リスクをもたらす(2017年3月)
 オーストラリアの研究者らは、創傷被覆材、気管及び尿道カテーテル、並びに免疫力を増進でさせるための喉や鼻からのスプレーで摂取する補助食品を含む140以上の医療用品を調べた結果、これら医療用品でのナノ銀の使用は、人の体内で生理活性な銀への長期的な暴露をもたらし、そのような暴露は微生物の耐性が高まる状況を生み出すと結論付けた。この研究結果は世界の殺菌剤耐性の危機に対応することに重要な貢献をもたらすと研究者は述べた。
http://newsroom.uts.edu.au/content/rampant-use-antibacterial-nanosilver-resistance-risk
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/170331_UTS_Rampant_use_of_antibacterial_
nanosilver_is_a_resistance_risk.html


109二酸化チタンナノ粒子は小腸の細胞に影響を及ぼす(2017年2月)
 モデルを使った研究の結果は、腸の上皮細胞は一般的に食品から摂取されるナノ粒子により、機能レベルで影響を受けることを示している。細胞培養モデルを、TiO2 ナノ粒子の生理的に妥当な用量で、急性(4時間)又は慢性(5日)暴露させた。TiO2 ナノ粒子への慢性暴露により、腸のバリア機能は大幅に低下した。TiO2 ナノ粒子への暴露後、活性酸素(ROS)生成、炎症誘発シグナリング、及び腸のアルカリホスファターゼの活性はすべて、増大を示した。TiO2 ナノ粒子への暴露後、鉄、亜鉛、脂肪酸の搬送は、大幅に減少した。
https://ec.europa.eu/jrc/en/science-update/comparing-toxicity-dusts-and-without-carbon-nanotubes-0
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/JRC/JRC_170206_Comparing_toxicity_of_dusts_
with_and_without_carbon_nanotubes.html


108カーボンナノチューブを含んだ及び含まないダストの毒性比較(2017年2月)
 毒性テスト(訳注:オリジナル論文によればマウスの気管からの注入)の結果は、CNTs 含有/非含有のエポキシはともに肺組織に炎症及 DNA 損傷を誘発するが、CNTs 含有エポキシからのダストは、CNTs を含有しないエポキシからのダストと比べて、肺の炎症又は DNA 損傷をより増加させることはなかった。しかし、CNTs 含有エポキシからのダストは、純粋なエポキシ樹脂だけからの場合には生じなかった肝臓の炎症及び壊死を誘発し、それらはエポキシ基盤がない場合の同じ CNTs への暴露後の反応に類似していた。これらの結果は、日常的な使用条件下での消費者製品中のナノ物質の健康リスクを理解する上で重要な一歩を示した。
https://ec.europa.eu/jrc/en/science-update/comparing-toxicity-dusts-and-without-carbon-nanotubes-0
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/JRC/JRC_170206_Comparing_toxicity_of_dusts_
with_and_without_carbon_nanotubes.html


107食品添加物 E171 二酸化チタン・ナノ粒子への経口暴露が初めて発見される(2017年1月)
 フランス国立農学研究所(INRA)の研究者らは、 E171 が動物(ラット)の腸管バリアを貫通し、体の他の部分に達することを初めて示した。 E171 粒子のナノスケール断片の吸収に関連する免疫系疾患が観察された。また、この添加物への慢性経口暴露は暴露させた動物の40%に、結腸に前がん病変−非悪性発がん段階−を自然に発生させることを示した。さらに E171 は、実験目的で事前に発生させた病変の進行を加速させることが見いだされた。この発見は、この添加物が結腸・直腸がんの初期段階を引き起こし、その進行を助長する役割を果たすことを示したが、それらを人間、又はもっと進行した段階にそのまま当てはめることはできない。
http://presse.inra.fr/en/Press-releases/Food-additive-E171
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/research/170120_INRA_Food_additive_E171_
first_findings_of_oral_exposure_to_TiO2.html


106物理学者らが小さなナノ粒子の脂質膜通過を初めて観察し、定量化(2016年11月
 スペインの理論物理学者らが、ナノ粒子と細胞の脂質膜との間の相互作用を調べるために”完全な二重層”と呼ぶコンピュータ・モデルを作り出し、疎水性の小さなナノ粒子は脂質二重層の間に入り込むだけでなく、この細胞膜から自然に離れることができることをモデル上で示した。スペインの研究者の要請でドイツの研究者らが、人工細胞膜とみなすことができるリン脂質二重層システムを作り出し、ナノ粒子が脂質コーティングを人工細胞膜の中で分解することにより二層の中に潜り込むことを観察した。ナノ粒子が細胞を保護しているバリアを通り抜けて素早く移行するという発見、すなわち、脂質二重層は、人の健康にとってのナノ粒子の安全性に懸念を提起するかもしれない。
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/11/161102144304.htm
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/161102_ScienceDaily_nanoparticle_crossing_
lipid_membrane.html


105カーボンナノチューブへの職場での暴露についての調査研究(2016年5月)
 NIOSH の研究者がロシアのカザン市にあるカザン医科大学と提携して、多層カーボンナノチューブへの職場暴露が肺疾病へのリスクを引き起こすかどうかを調査研究し、二つの論文を発表した。二つの研究とも、カザンの同じ施設からの作業者が自主的に参加した。これらの研究の調査結果は多層カーボンナノチューブへの職場暴露が職業病をもたらすかどうかの疑問に答えていない。しかし、研究者らは更なる研究の必要性を支持し、予防的管理措置の重要性を強調している。
https://ehp.niehs.nih.gov/doi/10.1289/ehp.1409582#tab1
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/niosh/NIOSH_May_2016_Workplace_Exposure_
to_Carbon_Nanotubes.html


104レーザープリンターが放出する工業ナノ物質の細胞毒性、ケモカイン発現、活性酸素種、DNA メチル化、及び DNA 損傷に及ぼす影響:ヒト小気道上皮細胞、マクロファージ、及びリンパ芽球の包括的な生体外分析(2016年2月)
 印刷機のトナー調剤に添加されている工業ナノ物質(ENMs)は、消費者の使用中に空気中に浮遊する。トナー粉及びプリンターが放出する粒子((PEPs)へのヒト細胞株パネルの暴露の生物学的反応を評価した。PEPs は、暴露時間 7.8 から 1,500 時間に相当する用量で、膜統合性の明確な損傷、活性酸素種(ROS)生成の増加、及び様々な細胞株における炎症性サイトカイン放出の増加を引き起こした。さらに、統計的には有意でないが、 暴露の後、全体的染色体機能変化(エピゲノム)への PEPs の潜在的な影響を示すメチル化パターンに相違があった。この研究で得られた生体外での発見は、レーザープリンターが放出する工業ナノ物質は肺細胞に有害かもしれず、肺障害関に移行するかもしれない遺伝子の機能変更の予備的証拠を提供するものである。
https://ehp.niehs.nih.gov/doi/10.1289/ehp.1409582#tab1
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehp/ehp_16_February_Effects_of_Laser_Printer-Emitted_ENMs.html

103二酸化チタン・ナノ粒子の結晶構造の役割:アナターゼではなくルチルが Balb/3T3 マウスの繊維細胞に有害影響を引き起こす(2016年1月)
 生体外(in vitro) で 二つの異なる結晶構造(アナターゼとルチル)の二酸化チタンについて、ナノサイズとバルクサイズの影響を調査した。コロニー形成率分析を使用して、Balb/3T3 マウスの繊維芽細胞のクローン原生活動の用量依存低減がルチルの存在下で検出されたが、アナターゼ NPs の場合には検出されなかった。同様に、細胞形質転換分析及び小核試験は、ルチル TiO2 NPs は Balb/3T3 細胞に type-III 病巣形成を引き起こすことができ、若干遺伝毒性があるように見えるが、アナターゼ TiO2 NPs はどの様な顕著な腫瘍性又は遺伝毒性影響をも引き起こさないことを示した。
https://ec.europa.eu/jrc/en/publication/role-crystalline-form-titanium-dioxide-nanoparticles-
rutile-and-not-anatase-induces-toxic-effects
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/JRC/JRC_2016_Jan_Rutile_TiO2_NPs_toxic_effects_
in_vitro.html


102ビルディングのナノコーティングは潜在的に有害なナノ粒子を大気に放出する(2015年5月
 この研究は、ナノ粒子の水及び大気への放出のレベルを予測するのに役立てるために、光触媒コーティングへの風化及び摩損の影響を調査した。二酸化チタンのナノサイズ粒子を含む光触媒コーティングは、その抗菌特性及び自浄特性のために建物の外壁での使用が増大している。風化と摩損はそれらを崩壊することができ、そのことによるナノ粒子の環境中への放出について懸念がある。様々な研究が、ある種の二酸化チタンナノ粒子は人と動物を損なうことができることを報告している。たとえば、それらは DNA にダメージを与えることを実験が示している。
http://ec.europa.eu/environment/integration/research/newsalert/pdf/nanocoating_
on_buildings_releases_potentially_toxic_particles_to_the_air_415na2_en.pdf

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/2015_SfEP_Nanocoating_on_buildings.html

101消費者製品中のナノ粒子は正常な腸内の微生物相を有意に変更することができる(2015年5月)
 カリフォルニア大学リバーサイド校の研究者らによれば、食品、消費者製品、又は浄化飲料水中に存在し得るレベルでの金属酸化物ナノ粒子へのヒト結腸モデルの暴露は、ヒトの大腸に棲む正常な微生物群に様々な検出可能な差異をもたらした。ナノ粒子への暴露により微生物代謝と大腸微小環境に観察される変化は、全体的なヒト健康に影響を及ぼすことができる。
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-05/mali-nic050415.php
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/150504_NPs_can_alter_gut_microbiome.html

100銀ナノ粒子への暴露:新たな知見(2015年3月)
 フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は 2011年に、ナノ物質の毒性を評価している2010年以降に発表された多くの科学的文献を検討して、銀ナノ粒子への暴露に関連する健康と環境のリスク評価に関する知見を更新するよう公式の要請を受けた。
 今日発表されている専門家の評価は、抗菌作用及びこれらのナノ粒子に対する菌類の潜在的な耐性はもちろん、銀ナノ粒子の全ての暴露経路についての新たな知見を含んでいる。ANSES は、最近発表された毒性研究にはしばしば矛盾があり、今日においてさえ銀ナノ粒子の潜在的な有害特性を推定することを難しくしている。実際、今日、例えばその生殖毒性、遺伝毒性、又は神経毒性に関して結論付けることは不可能である。
 ANSES は、銀ナノ粒子の使用(製造、加工、利用)は、その利点が明確に実証され、人の健康への利益が環境へのリスクに勝る用途に限定されるよう勧告する。
https://www.anses.fr/en/content/exposure-silver-nanoparticles-update-knowledge
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ANSES/150310_ANSES_silver_nano_update.html

100ドラッグデリバリーの金ナノ粒子担体の隠れたコスト:内分泌かく乱物質(2015年2月)
 UWM(ウィスコンシン大学ミルウォーキー校)の研究者らは、高機能ドラッグデリバリーにとって魅力的な金ナノ粒子が、エストロゲン(女性ホルモンの一種)とテストステロン(男性ホルモンの一種)の生成に影響する性ステロイドホルモンである黄体ホルモンの生成に影響を与えることを突き止めた。今回の UWM の研究はナノ粒子を内分泌かく乱物質として調べた最初のもののひとつである。
https://www.nanopartikel.info/en/news/1838-iarc-evaluate-the-carcinogenicity-of-carbon-nanotubes
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/150217_UWM_Golden_vehicle_hidden_costs.html

99IARC カーボンナノチューブの発がん性を評価(2014年10月
 9月30日から10月7日まで、10か国からの21人の専門家が、フッ素エデン閃石及び炭化ケイ素(SiC)繊維/ウィスカーとともに、単層カーボン・ナノチューブ(SWCNTs)及び多層カーボン・ナノチューブ(MWCNTs)を含むカーボン・ナノチューブ(CNT)の発がん性を評価するために、国際がん研究機関(IARC:リヨン、フランス)の会合に出席した。証拠が利用可能であるとして、特に MWCNT-7 サンプルを”ヒトに対する発がん性が疑われる(possibly carcinogenic to humans) (Group 2B)”として分類することに同意した。SWCNT と MWCNT-7 を除く MWCNT は”ヒトに対する発がん性が分類できない(not classifiable as to its carcinogenicity to humans (Group 3)”として分類された。
https://www.nanopartikel.info/en/news/1838-iarc-evaluate-the-carcinogenicity-of-carbon-nanotubes

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/safenano/141104_IARC_carcinogenicity_of_CNTs.html

98ニッケルナノ粒子:職業暴露に関連する感作の事例(2014年5月)
 アメリカ産業医学ジャーナル にオンラインで発表された論文の中で、研究者らは、ニッケルナノ粒子の紛体を扱う作業を行って、ニッケルへの感作を発症した作業者の事例を報告している。”26歳の女性化学者はかつて、通常は銀インク粒子を使用してポリマーとコーティングを処方していた。後に彼女は、防護装置なしにニッケルナノ粒子紛体を計量し、ラボベンチで扱う作業を行うようになってから、ナノ粒子の作業と時間的に関連する喉の痛み、鼻づまり、後鼻漏、顔面潮紅、イヤリングやベルトのバックルへの新たな皮膚反応を発症した”。”その後、 T.R.U.E. パッチテストに陽性反応を示したこと、そして気管支拡張薬投与後に正常範囲の FEV1が16%増大したことがわかった”。
https://blogs.cdc.gov/niosh-science-blog/2014/05/28/nickel-nano/
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/niosh/niosh_blog_140528_Nickel_Nanoparticles.html

97銀ナノ粒子のラット静脈中への28日繰り返し投与による免疫毒性研究(2014年5月)
 キ ーホールリンペットヘモシアニン(KLH)への T 細胞依存性抗体産生(TDAR)が、28日静脈繰り返し投与による毒性研究で測定された。さらに、広範な免疫学的パラメータが測定された。ベンチマーク用量(BMD)アプローチを使用して得られたデータが、測定されたパラメータに対する適切な用量反応モデルにより分析された。28日繰り返し用量毒性研究における銀ナノ粒子の静脈投与は、免疫系機能の抑制を誘発した。この発見は、免疫毒性を評価するためにT 細胞依存性抗体産生(TDAR)を研究し、免疫細胞部分集合の測定だけに依存しないことの重要性を強調している。
https://particleandfibretoxicology.biomedcentral.com/articles/10.1186/1743-8977-11-21
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/pft/140507_immunotoxicity_of_silver_nanoparticles.html

96思春期前発達中の銀ナノ粒子への日常的暴露はおとなの精子と生殖パラメータを低下させる(2014年2月)
 思春期前のオスのウイスターラットに 15又は30μg/kg/dayのAgNPsが、出生後23日(PND23)から PND58まで経口投与され、PND102で解剖された。先体(acrosome)の健全性、細胞膜の健全性、ミトコンドリア活動及び精子の形態変化が分析された。性パートナー選好性、性行動、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、テストステロン及びエストラジオールの血清濃度もまた記録された。AgNPs は、両方の投与グループについて、先体と細胞膜の健全性を低減し、ミトコンドリア活動を低減し、精子の異常を増大させた。また、どちらの投与グループにも体の成長に変化は観察されなかったが、AgNPs 暴露は思春期の開始を遅らせた。動物たちは性行動又は血清ホルモン濃度に変化は示さなかった。この研究は、思春期前の AgNPs 暴露がおとなの精子パラメータに変化を引き起こすことを初めて示したものである。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24533579
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/PubMed/140217_silver_nano_decreases_sperm.html

95酸化銅のナノ粒子及びマイクロ粒子の細胞毒性と遺伝毒性:溶解性と細胞内の生物学的利用能の役割 (2014年2月)
 銅イオンは過負荷状態では細胞毒性があり、有害な健康影響のリスクを増大させるので、ドイツの研究者らは、酸化銅ナノ粒子(CuO NP)と酸化銅マイクロ粒子(CuO MP) の細胞外及び細胞内の生物学的利用能を詳しく調べた。得られた結果は、適用された条件の下では、CuO NP の高い細胞毒性と CuO MP の細胞毒性が見当たらないことを示した。これらの細胞毒性の相違について、表面積のような粒子の物理化学的特性の相違はもちろん、粒子の溶解に起因する細胞外の銅イオンのレベルに主に関連するかもしれない。直接的及び間接的遺伝子毒性に関して、特に CuO NP による細胞処理に由来する細胞核中の銅の高い含有量が決定的であるように見える。
https://particleandfibretoxicology.biomedcentral.com/articles/10.1186/1743-8977-11-10
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/pft/140213_cytotoxicity_and_genotoxicity_of_
CuO_NP_and_MP.html


94銀ナノ粒子のヒト肺細胞でのサイズ依存細胞毒性:細胞摂取、凝集体、及び銀放出の役割(2014年2月)
 スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究者らは、銀ナノ粒子の毒性のメカニズムを探究するためにヒト肺細胞へ暴露させた後に徹底的に特性化した銀ナノ粒子のサイズ及びコーティング依存の毒性を調査することを目的として、BEAS-2B 細胞(訳注:ヒト気道上皮由来)を、異なる粒子サイズ(10、40 及び 75 nm)のクエン酸塩コートの銀ナノ粒子、10 nm サイズのポリビニルピロリドン(PVP)コート銀ナノ粒子、及び 50 nm サイズのコートなし銀ナノ粒子に暴露させた。その結果、表面コーティングに関係なく、10 nm の銀ナノ粒子だけが細胞毒性を示した。観察された毒性は細胞内銀放出と関連している、すなわち、粒子形状が摂取を促進し、それにより金属の細胞における生物学的利用能を高める”トロイの木馬効果”を示した。
https://www.tsr.fi/documents/20181/40645/109137Hiilinanoputket_FINAL_nettiin_24092013.pdf/
362f665f-acfa-42ad-8155-50e571a65270

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/2013_Dec_FIOH_report_on_MWCNTs.html

93カーボンナノチューブの健康影響の評価(2013年12月
 フィンランド労働衛生研究所(FIOH)の研究者らは、カーボンナノチューブがどの様に肺炎症(pulmonary inflammation)と繊維症(fibrosis) を誘引するか、及びこれらの現象が悪性腫瘍(malignant tumors)の形成に重要かもしれない遺伝毒性の変異を伴うかどうかを評価することを目的に、マウスによる実験を」行った。長い針状 MWCNTs は有害であるという従来の意見に一致し、以前には報告されていなかった肺の中のぜんそく様炎症やDNA損傷のような影響を示した。径が50nm以上の硬い針状 MWCNTs は強い炎症を引き起こし、遺伝毒性があるが、径が小さい(8〜15nm)、もつれた MWCNTs は、そのような影響はもたらさなかった。長い針状 MWCNTs は特別の注意をもって扱われるべきである。
https://www.tsr.fi/documents/20181/40645/109137Hiilinanoputket_FINAL_nettiin_24092013.pdf/
362f665f-acfa-42ad-8155-50e571a65270

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/2013_Dec_FIOH_report_on_MWCNTs.html

92工業ナノ物質を扱う労働者のナノ物質バイオマーカーの 6か月追跡調査(2013年12月)
 台湾・国立健康研究所の研究者らは、台湾にある14の製造工場から158人のナノ物質取り扱い労働者と104人の非曝露労働者を募集した。そのうち124人のナノ物質取扱い労働者と77人の非曝露労働者が6か月後にモニターされた。肺及び心臓血管系疾患マーカー、炎症及び酸化ストレスマーカー、抗酸化酵素及び遺伝子毒性マーカーを調査した。これらの調査マーカーと肺機能テストは、ナノ物質取り扱い労働者の監視に有用な可能性あるマーカーである。
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.3109/17435390.2013.858793
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/journal/131203_six-month_follow-up_study_nano_markers.html

91有害なナノ粒子(ナノ銀)は、人の食物供給系に入り込むかもしれない(2013年8月)
 ミズーリ大学の研究者らは、食物及び食品中のナノ粒子を検出し、特定し、定量化する信頼性のある方法を開発した。人が銀ナノ粒子を摂取すると体内に広がる可能性があるので、ナノ粒子の浸透は消費者にとって危険である。摂取するとナノ粒子は血液とリンパ系に入り込み、体中を巡り、脾臓、脳、肝臓、そして心臓のような潜在的に感受性の高い部位に到達する。
https://munews.missouri.edu/news-releases/2013/0822-toxic-nanoparticles-might-be-entering
-human-food-supply-mu-study-finds/

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/130822_MU_nano_silver_food.html

90銀ナノ粒子の放出、変換、及び毒性のメカニズム:現状の知識の批評的評価と将来の研究と応用のための勧告(2013年6月)
 アイルランド、ドイツ、イギリスの研究者らは、銀ナノ粒子の環境的及び生物学的影響を評価する将来の研究の実験設計のための指標とガイドライン、及び銀ナノ粒子毒性の現在の理解の批評的評価を提供することを目指して、現状の知識の批評的評価と将来の研究と応用のための勧告を行った。 ナノ銀の過剰な使用とバクテリアが耐性を持つ可能性に関して明確な懸念が出現している。重要な結論のひとつは、全ての応用についてリスク便益分析を実施することであるが、明確な便益を示すことができなければ、最終的にはその使用を制限することである。
http://www.mdpi.com/1996-1944/6/6/2295/pdf
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/130605_Mechanisms_of_Silver_Nano.html

89Ag, CuO and ZnO ナノ粒子の選択された環境的に関連のあるテスト生物及びインビトロ哺乳類細胞への毒性のレビュー(2013年6月)
エストニア及びスイスの研究者らは、銀(Ag)、酸化銅(CuO)及び酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子に関し、藻類、甲殻類、魚類、バクテリア、イースト菌、線虫、原虫、及び哺乳類の細胞株について、全部で317の半数致死量値(L(E)C50)、又は最小発育阻止濃度値(MIC)を得た。その結果、一般的には甲殻類、藻類、及び魚類が対象ナノ粒子に対して最も感受性が高かった。驚くべきことに、ナノ粒子はバクテリアに対してよりも水生生物に毒性が高かった。このことは、これらのナノ粒子の消費者及び家庭用品から廃水系への、さらには環境中への放出は、天然の微生物や水生生物のような’非標的’生物に脅威を及ぼす可能性を示している。
http://link.springer.com/article/10.1007/s00204-013-1079-4/fulltext.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/2013_June_Toxicity_of_Ag_CuO_ZnO.html

88ナノ銀の抗菌作用への耐性を獲得するバクテリア(2013年5月)
オーストラリアのニューサウスウェールズ大学(UNSW)の研究者らは、消費者製品中での使用や医学や環境への応用が増大しているナノ銀粒子は、ある種の病原微生物に対して効果的な抗菌特性を有するが、ナノ銀粒子への過度の暴露は他の潜在的に有害な微生物の急速な耐性獲得とその拡散を引き越すことがあるということを明らかにした。
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/05/130508093058.htm
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/130508_ScienceDaily_Nanosilver.html

87工業ナノ物質のライフサイクルにおける世界規模の放出(2013年5月)
カリフォルニア大学の研究者らは、最も多量に製造されている上位10種の工業ナノ物質を12の主要な応用分野で分析し、廃水処理設備や廃棄物焼却設備を通じての中間段階を含んで、製造、使用、及び処分段階での放出を見積った。見積りによれば、2010年に製造された260,000〜309,000トンを超える世界の工業ナノ物質の63〜91%が最終的に埋立地に放出され、残りは土壌(8〜28%)、水系(0.4〜7%)、及び大気(0.1〜1.5%)に放出された。
http://link.springer.com/article/10.1007/s11051-013-1692-4
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/2013_May_ENMs_global_life_cycle.html

86土壌中のナノ物質:我々の将来の食物連鎖(2013年3月)
 米農業貿易政策研究所(IATP)の研究者は、文献レビューにより、ENMsを含んだ肥料や肥料として使用される下水処理施設からの”バイオソリッド(下水汚泥)”が、長期にわたり、植物自身はもちろん、土壌中の微生物や微小動物相(microfauna)に毒性をもたらし、土壌の健康と土壌の生物多様性に影響を与えるとして警告している。
http://www.iatp.org/documents/nanomaterials-in-soil-our-future-food-chain
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/IATP/IATP_2013_Nano_in_Soil.html

85金ナノ粒子は、脂肪の蓄積を妨げ、老化を進め、傷の治癒を遅らせる(2013年4月)
 米ストーニーブルック大学の研究者らは、成人の幹細胞の一種が、金ナノ粒子に曝露すると、ほとんど瞬間的に侵入され、明らかな排出経路なしに細胞中に蓄積され、運動;複写;傷の治癒に重要なコラーゲン収縮のような多能性細胞機能をかく乱すること、また金ナノ粒子が遺伝子制御とRNA発現を妨げ、成熟した脂肪細胞に分化させる能力を抑制することを示した。
http://commcgi.cc.stonybrook.edu/am2/publish/General_University_News_2/SBU-Led_Study_Reveals_Nanoparticles_Found_in_Everyday_Items_Can_Inhibit_Fat_Storage.shtml
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/130418_SBU_gold_nano_inhibit_fat_storage.html

84MWNCTは単独でマウスにがんを引き起こすのではなく、既知の発がん性物質を投与されたマウスの発がんを促進する(2013年3月)
 米国立労働安全衛生研究所(NIOSH )の研究者等は、既知の発がん性物質を投与したマウスにMWCNTを曝露曝露させると大きな発がん促進効果を示すが、MWCNT単独では有意な発がん性は見られなかったと報告した。
http://blogs.cdc.gov/niosh-science-blog/2013/03/mwcnt/
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/niosh/niosh_blog_130311_mwcnt_mice_tumor.html

83銀ナノ粒子は環境に有害影響を与えるかもしれない:研究者等が模擬環境(メソコムス)で示す(2013年2月)
 デューク大学の研究者等らは、低用量の銀ナノ粒子を単回、施した汚泥バイオ固形物が、模擬環境(メソスコム)中で、植物や微生物の生物量(バイオマス)を減少させるという有害影響を示した。
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0057189
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/130227_SN_silver_nano_ecosystem.html

82日焼け止めの意図しない結果:皮膚を損傷するオキシダント(酸化剤)(2012年10月
 アメリカの研究者等は、水泳プールの消毒用塩素は、紫外線から肌を守る日焼け止めに含まれる二酸化チタン・ナノ粒子のコーティングをはがすことができ、はがされたナノ粒子は太陽光中で水と反応して有害なフリーラジカルを生成し、皮膚の損傷とがんをもたらす可能性があることを示した。
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1385894712003075
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehn/ehn_121005_Sunscreen's_unintended_consequence.html

81二酸化チタン ナノ粒子 ミジンコの次世代の感受性を高める(2012年11月)
 ドイツの研究者等は二酸化チタンナノ粒子に曝露した成魚の次世代稚魚は、曝露していない成魚の次世代稚魚に比べて、二酸化チタンナノ粒子への感受性が著しく増大することを発見した。この観察は、親成魚が感受性や次世代の数など典型的に評価されるエンドポイントにおける相違を示さなかったので、ナノ粒子の環境リスクの評価に、現在の標準的テスト手順には含まれていない直接的に曝露しない次世代の評価を含めるための更なる開発が生態毒性学研究に必要であることを示唆している。
http://www.plosone.org/article/info:doi/10.1371/journal.pone.0048956#top
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/PLoS/121107_TiO2_nano_sensitivity_next_generation.html

80干草中のナノの針を探す:環境中のナノ粒子の挙動を放射能をマーカーとして追跡する(2012年8月)
ノルウェーの研究者らは、微量であっても環境中におけるナノ粒子の挙動を観察できるよう、放射能をマーカーとして追跡する手法を開発し、銀、コバルト、ウランの放射性ナノ粒子含む馬の糞をミミズに与えると、そのミミズを餌とした魚の様々な臓器中にナノ粒子が蓄積すること、ナノ銀は非常に低濃度でもエラ機能を不全にして魚を死に至らしめること等を確認した。
http://www.forskningsradet.no/en/Newsarticle/Finding_the_nanoneedle_in_the_haystack/1253979295951
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/institution/120815_nano-needle_in_the_haystack.html

79ラットの28日経口曝露による銀ナノ粒子及び銀イオンの体内分布、排泄及び毒性(2012年8月)
オランダの研究者らは、非/PVPコーティング銀ナノ粒子及び硝酸銀をラットに28日間経口曝露させたところ、全ての銀が腸を通過して検査した全ての臓器に分布しており、肝臓と脾臓が最も高いレベルであったこと、ほとんどの臓器からは8週間で消失したが脳と睾丸からは消失しなかったこと、硝酸銀に曝露したラットからも銀ナノ粒子が検出され、これは恐らく硝酸銀のイオンからナノ銀が形成されたと考えられること、また銀曝露による肝毒性又は免疫毒性は示されなかったこと−などを報告した。
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nn302649p
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/acs/120802_nanosilver_in_rats_after_28-day_oral_exposure.html

78カーボンナノチューブの淡水無脊椎動物への毒性(2012年8月)
アメリカの研究者らは、金属フリーのCNTsはもとより、ニッケルなどを不純物として含むCNTs から溶解した金属も淡水無脊椎生物への毒性に寄与することを示した。毒性は、CNTsのタイプや供給源、CNTsが酸洗浄されていたかどうか、及びテスト生物の種により影響を受けた。
http://www.safenano.org/KnowledgeBase/CurrentAwareness/ArticleView/tabid/168/ArticleId/248/
Toxicity-of-carbon-nanotubes-to-freshwater-aquatic-invertebrates.aspx

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/safenano/120824_toxicity_CNTs_aquatic.html

77酸化亜鉛と酸化セリウムのナノ粒子の大豆への影響(2012年8月)
アメリカの研究者らはナノ粒子存在下の温室内土壌栽培で、酸化亜鉛ナノ粒子は参照大豆よりわずかに成育はよいが食用部である葉と豆の部分に蓄積すること、酸化セリウム・ナノ粒子は大豆のバクテリアの窒素固定の能力を完全に損ない大豆の生育を著しく妨げることを確認した。
http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-19320267
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/120821_BBC_Nanoparticle_risk_to_food_crops.html

76銀ナノ粒子の表面欠陥は水生生物にとってさまざまな危険をはらんでいる(2012年6月)
アメリカの研究者らは、ナノ銀の毒性は、イオン放出のみによるのではなく、銀ナノ粒子の結晶構造も水生生物毒性の重要な決定因子になるということを明らかにした。
http://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=25655.php
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/120620_surface_defects_on_silver_nano.html

75第二酸化銅ナノ粒子は植物のDNAを損傷し、生育を妨げる(2012年4月)
アメリカの研究者らは実験室の環境で、第二酸化銅(CuO)ナノ粒子はダイコン及び牧草の根の細胞に入り込み、植物内に蓄積し、そのDNAを損傷すること、及び根と新芽の成長に著しい影響を及ぼして生育を阻害することを示した。
http://www.nist.gov/mml/biochemical/nanoparticles-041712.cfm
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/nist/nist_120417_plant_DNA_damage.html

74ナノ粒子 食物連鎖を通じて魚に影響を与える(2012年3月)
スウェーデンの研究者らは、藻類をナノ粒子を含む水槽の中で成長させ、ナノ粒子を吸収した藻類を動物プランクトンに与え、さらにそれを魚に与えた結果、動物プランクトンを与えられた魚は食物を食べたり求めることをしなくなった。科学者らは、魚の血流を通じて脂肪を運ぶために魚が必要とするある種のタンパク質にナノ粒子が取り付き、魚の体内での脂肪が減少するからであると考えている。
http://sciencenordic.com/nanoparticles-impact-fish-through-food-chain
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0032254
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/120322_Nano_impact_fish_food_chain.html

73食品やビタミン剤に含まれるナノ粒子がヒトの健康を害するおそれがある(2012年2月)
アメリカの研究者らが、食用として安全であると一般的に考えられている市販の50ナノメートルのカルボキシル基を有するポリスチレン粒子をニワトリに与えると、摂取後数分から数時間の急性曝露のあと、試験管内の細胞及びニワトリ双方の鉄吸収が減少するということを発見した。
http://www.news.cornell.edu/stories/Feb12/nanoparticlesHarmful.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/120216_Cornell_nanoparticles_in_food.html

72工業用銀ナノ結晶により誘引される細胞毒性は表面コーティングと細胞タイプに依存する(2012年1月)
アメリカの研究者らは、銀ナノ粒子の細胞毒性は、合成時における表面電荷及びコーティング材料、粒子凝集状態、及び細胞タイプのような因子に依存することを示した。ポリジアリルジメチルアンモニウムでコーティングされた銀は最も有毒であり、次に生体銀とオレイン酸銀が続き、表面加工されていない又はコロイド銀ナノ粒子はマクロファージと肺上皮細胞の両方に対して最も毒性が小さいことがわかった。
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/la2042058
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/acs/120104_cytotoxicity_silver_nano.html

71二酸化チタンの分量:キャンディ中のTiO2のレベルは高いので子どもは大人よりこの漂白剤を多く摂取する(2012年1月)
アメリカの研究者らが食品や身体手入れ用品中に漂白成分として使用されるTiO2の濃度を調べた。テストした89食品の中で、白いキャンディやドーナツのような白色の菓子類は最も高いレベルでチタンを含んでおり、一人前当りの最高は340mgであった。また食品中のチタンの36%は、100nm以下のナノ粒子形状であった。英・国民食事栄養調査の消費データに基づけば、子どもは大人より2〜4倍のチタンを摂取している。身体手入れ用品中の濃度は、重量ベースで1%から10%近くまでの範囲にあった。
http://cen.acs.org/articles/90/web/2012/01/Measure-Titanium-Dioxide.html
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/es204168d
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/C&EN/120127_C&EN_A_Measure_of_TiO2.html

70ナノ粒子は容易に細胞内に入り込み、細胞分裂時に娘細胞に引き渡される(2011年12月
アイルランドのUCDの研究者らは、研究室で培養したヒト肺癌細胞にナノスケールのポリスチレン粒子を導入し、ナノ粒子の空間的及び時間的な挙動をに蛍光マーカーを使用して追跡した。ナノ粒子は容易に細胞内に入り込み、細胞の成長段階では細胞外に排出されることはないが、個々の細胞が二つに分裂するときに娘細胞に渡されることを観察した。この観察は、ドラッグデリバリーシステム(DDS)への応用の可能性と共に、ナノ粒子が細胞内に入り込み、それが細胞分割によって体内に分配されることの安全性の問題も示唆している。
http://www.ucd.ie/research/newsevents/latestnews/mainbody,112539,en.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/europe/111214_UCD_.nanoparticles_and_dividing_cells.html

69トロイの木馬がナノ粒子アレルギーを引き起こす (2011年12月)
中国の科学者らによる研究は、アレルギー症状をもつ作業者が職場でナノ粒子に吸入曝露すると、エキソソーム(Exosomes)として知られるトロイの木馬によって、呼吸器系アレルギー反応を引き起こすことを示した。
http://www.materialsviews.com/details/news/1409907/Trojan_Horse_Causes_Nanoparticle_Allergy.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/111208_MV_Trojan_Horse.html

68酸化セリウム・ナノ粒子の気管内点滴がオスのSDラットに肝臓毒性を誘発する(2011年10月)
米・マーシャル大学の研究者らによる研究によれば、自動車エンジンの燃焼効率を上げるためにディーゼル燃料の添加物としてよく用いられる酸化セリウム・ナノ粒子は、オスのラットへの1回の気管内点滴で肺から肝臓に移動することができ、肝臓の損傷と関連することを示した。
http://www.dovepress.com/intratracheal-instillation-of-cerium-oxide-nanoparticles-
induces-hepat-peer-reviewed-article-IJN

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/111013_cerium_oxide_from_lungs_to_liver.html

67カーボンナノ粒子 腎臓上皮細胞の壁を破る(2011年9月)
インディアナ大学-パデュー大学インディアナポリス校(IUPUI)の研究者らは、初めて、人が曝露する可能のある濃度と同等以下の低濃度で、CNPs(フラーレン、単層及び多層CNT)が、尿を生成する腎臓内部の管状構造である腎臓ネフロンのライニング中で漏れを引き起こすことを発見した。尿中に保持されるべきものが血流中に漏れ出し、血液も尿中に漏れ出す可能性がある。低濃度CNPsが細胞を殺すわけではないので、致命的な影響ではないかもしれないが、その有害影響は非常に懸念される。
http://www.safenano.org/KnowledgeBase/CurrentAwareness/ArticleView/tabid/168/ArticleId/
100/Carbon-nanoparticles-break-barriers-and-that-may-not-be-good.aspx

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/safenano/110922_CNP_break_barriers.html

66二酸化チタン・ナノ粒子が魚の脳を損傷する(2011年9月)
プリマス大学の科学者らは、初めて脊椎動物(ニジマス)で、二酸化チタン・ナノ粒子が脳の一部に液胞(穴)を形成し、脳中の神経細胞を死に至らしめることを発見した。これらの影響は、例えば水銀中毒のような他の物質によるものと類似するところがあり、ナノ物質の生物蓄積性/残留性が懸念されるとしている。
http://www.nanowerk.com/news/newsid=22775.php
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/110919_brain_injury_in_fish.html

65ナノ銀:無策が公衆の健康をリスクにさらす/ FoE 報告書(2011年9月)
地球の友USAのイアン・イルミナトと地球の友オーストラリアのグレゴリー・クロセッチ博士は、公衆健康専門家及び7つの大学とインタビューを行い、報告書にまとめた。
プレスリリース:http://foe.org:80/new-super-bug-threat-nano-silver
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/FoE/FoE_110914_Nano-silver.html
報告書:http://www.foe.org/sites/default/files/NanoSilverUS.pdf

64ナノテクノロジーが健康リスクもたらす? ナノ粒子は細胞内輸送を妨げる(2011年8月)
ノルウェー・ラジウム病院の癌生物医学センターの科学者たちは、ナノ粒子が重要物質の細胞内や細胞外への輸送を妨害して、細胞の生理機能に有害な変化をもたらし、通常の細胞機能をかく乱することを発見した。
http://www.sciencedaily.com/releases/2011/08/110824091143.htm?utm_source=feedburner&utm_
medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+sciencedaily+%28ScienceDaily%3A+Latest+Science+News%29

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/110824_SD_Health_Risks_With_Nano.html

63ニッケル・ナノ粒子は肺がんを起こすかもしれない(2011年8月)
米ブラウン大学の研究者等が、金属ニッケルのナノ粒子をヒト肺細胞に曝露させると、ナノ粒子表面のイオンがヒトの上皮肺細胞の中で放出されて HIF-1 アルファーと呼ばれる経路を活性化するという証拠を見つけた。通常、この経路は、低酸素症と呼ばれる酸素供給が低い障害の場合に、細胞を支える遺伝子を活性化する働きがあるが、同時に、腫瘍細胞の成長を促すことも知られている。マクロサイズの金属ニッケルではこの有害性が小さく、ナノ物質の”サイズが問題である”ことを示している。
http://www.sciencedaily.com/releases/2011/08/110823115404.htm
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/110824_SD_Health_Risks_With_Nano.html

62セレン化カドミウム量子ドットは土壌中で分解し毒性を放出する(2011年7月)
ニューヨーク州立大学バッファロー校(UB)の研究がカドミウム及びセレンからなる量子ドットは土壌中で15日以内に分解し、有毒なカドミウム及びセレンのイオンを周囲に解き放つことを明らかにした。また、硫化亜鉛シェルで被覆された量子ドットはシロイヌナズナ植物(Arabidopsis)の根系に吸収はされなかったが、この植物がこの不純物(異物)に接触すると典型的な植物有毒反応(phytotoxic reaction )を示した。
http://www.buffalo.edu/news/12731
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/110718_UB_Cadmium_Selenide_Quantum_Dots.html

61シリカと二酸化チタンは胎盤関門を通過してマウスに妊娠合併症を引き起こす(2011年4月)
Nature Nanotechnology 2011年4月3日の論文アブストラクトによれば、日本の研究者らは、シリカと二酸化チタンのナノ粒子をそれぞれ、妊娠マウスに静脈注射すると妊娠合併症を引き起こすことができることを示した。シリカと二酸化チタンのナノ粒子は胎盤、胎児の肝臓、胎児の脳中に見出された。これらのナノ粒子で処理されたマウスは、処理されていないマウスに比べて、子宮と胎児が小さかった。
http://www.nature.com/nnano/journal/vaop/ncurrent/full/nnano.2011.41.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/nature_110403_Silica_TiO2_pregnant_mice.html

60先天性免疫系タンパクはカーボン・ナノチューブ上に結晶化するが活性化されない(2011年1月)
ACS Nano, Article ASAP 2011年1月7日の論文解説によれば、フランスの研究者らは、カーボン・ナノチューブをヒト免疫反応を媒介する血中タンパク質(補体)のC1につけると、表面がC1タンパクの結晶で覆われるが、付着したC1は活性化されなかったことを観察したとしている。このことはカーボン・ナノチューブがヒト血流中に入り込んだ時に、ヒト免疫系を阻害するかもしれないことを示唆している。
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nn102400w
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/acs/110107_Immune_System_CNT.html

59食物連鎖中でナノ粒子が蓄積:金ナノ粒子は植物から動物に移動し、より高濃度で濃縮される(2010年12月
C&EN 2010年12月14日の論文解説によれば、ケンタッキー大学の究者らはナノ粒子は陸生食物連鎖中で蓄積することができるという初めての証拠を示した。金のナノ粒子がタバコの葉に蓄積し、次にこのタバコの葉を食べる蛾の幼虫でさらに濃縮することを発見した。銀、酸化亜鉛、二酸化チタンのようなナノ粒子は衣料や化粧品にますます加えられている。それらが排水処理設備に達する時に、ナノ粒子の約90%が排水処理設備の最終処理生成物である固形部分に蓄積する。農民は毎年数百万トンのこれらの固形物を農地で利用するので、ナノ粒子がそこに蓄積することになる。
http://pubs.acs.org/cen/news/88/i51/8851news.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/C&EN/101214_C&EN_Nano_Food_Chain.html

58ナノ粒子 食物網に入り込む(2010年10月)
C&EN 2010年10月7日の論文解説によれば、食物連鎖の下位の生物であるミミズを金ナノ粒子で汚染させた人工土壌中に入れると、金ナノ粒子が取り込まれてミミズの体中に分布することが確認された。下水汚泥を肥料として施肥することで土壌中に存在するナノ粒子が陸生の食物網に入り込む可能性を示唆している。また限定的な証拠ではあるが曝露したミミズの繁殖力は最大90%落ちた。
http://pubs.acs.org/cen/news/88/i41/8841news11.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/C&EN/101007_C&EN__gold_nano_earthworms.html

57ニッケルナノ粒子への長期吸入曝露は敏感なマウス・モデルのアテローム性粥状動脈硬化を悪化させる(2010年9月)
EHP Reserch Article Online 2010年9月23日の論文アブストラクトによれば、アメリカの研究者らは、敏感なマウス・モデルを使用して、水酸化ニッケル・ナノ粒子(ナノ-NH)の吸入による長期の心臓血管系影響を検証した。その結果、吸入水酸化ニッケル・ナノ粒子への長期曝露が酸化ストレスと炎症を肺だけでなく心臓血管系にも誘引することができ、このストレスと炎症は最終的には ApoE?/?マウスのアテローム性動脈硬化を悪化させることに貢献することを明確に示した。
http://ehp03.niehs.nih.gov/article/info:doi/10.1289/ehp.1002508#abstract0
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehp/ehp_100923_Exposure_Nickel_Nanoparticles.html

56二酸化チタン・ナノ粒子は光合成及び窒素固定生物にストレスを与え、水生生態系の窒素と炭素の循環をかく乱する(2010年9月)
C&EN 2010年9月30日の論文解説によれば、藍藻とも呼ばれるシアノバクテリアが二酸化チタン・ナノ粒子に曝露すると環境的ストレスを受けてバクテリアの成長は90%低下し、また窒素を多く含むCGP微粒(たんぱく質)を合成して96時間以内に細胞の断面積の16%以上を占めた。細胞成長が遅くなると光合成はとまり、細胞の二酸化炭素取り込みは低下する。一方、CGP微粒が合成されると固定窒素の生成が抑制される。この二つのことは、二酸化チタン・ナノ粒子が水生生態系の炭素と窒素の循環をかく乱することを示唆している。
http://pubs.acs.org/cen/news/88/i40/8840news5.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/C&EN/100930_C&EN_TiO2_in_environment.html

55銀ナノ粒子は精子幹細胞の成長を止める(2010年9月)
EHN 2010年9月1日 論文解説によれば、マウスの精子幹細胞の株を用いて、異なるサイズ、異なる濃度、及び異なる銀ナノ粒子コーティングが細胞成長に及ぼす影響を調べた結果、サイズがより小さい粒子への曝露は幹細胞により多い細胞死をもたらした。糖でコーティングしたより小さい銀ナノ粒子は、誘導細胞死の信号のひとつである活性酸素(ROS)の生成を増大させた。成長因子であるグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)が銀ナノ粒子に曝露すると細胞に送られる信号が損傷を受け、精子幹細胞成長を止める。
Silver Nanoparticles Disrupt GDNF/Fyn kinase Signaling in Spermatogonial Stem Cells
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehn/ehn_100901_silver_nano_sperm_stem_cell.html

54単層カーボン・ナノチューブ(SWNTs)のあるものは太陽光の下で活性酸素種を生成する(2010年8月)
C&EN 2010年8月の記事によれば、米プルード大学の研究者らが、SWNTs が懸濁した水を満たしたガラス管に自然太陽光を浴びせて環境中での曝露を模擬した結果、3つの活性酸素種(ROS)、一重項酸素、スーパーオキシドアニオン、及びヒドロキシルラジカルが生成したことを確認した。活性酸素種は、生物のDNA、脂質、及びたんぱく質を酸化し、ダメージを与えると言われており、水生生物への影響が懸念される。
Chemical & Engineering News, August 12, 2010 Shining A Light On Nanotoxicity Nanomaterials:
One class of carbon nanotubes produces reactive oxygen species under sunlight by Laura Cassiday

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/C&EN/100812_C&EN_shining_light_SWNTs.html

53カーボン・ナノチューブ オスのマウスの睾丸に回復可能な損傷を与える(2010年5月)>
アメリカと中国の研究者らの報告によれば、カーボン・ナノチューブを静脈注射で投与すると睾丸内に蓄積し輸精管の壁を薄くしたが、60〜90日で回復し、生殖能力には影響を与えなかった。本研究についての Nanowerk 2010年8月9日の記事によれば、”ナノ粒子の生体内毒性評価において、移動と体内分布が重要な要素である。金や磁性ナノ粒子は少量が睾丸に入り込むことがすでに報告されている。今回の投与による睾丸中のナノチューブの相対的な量は少ないが、もっと高用量又は、もっと多くの回数で投与すれば、もっと多くのナノチューブが蓄積し、オスの生殖系に重大なダメージを及ぼす可能性を示している”。
Nature Nanotechnology Published online: 8 August 2010 Article abstract Repeated administrations of carbon nanotubes in male mice cause reversible testis damage without affecting fertility
http://www.nature.com/nnano/journal/vaop/ncurrent/abs/nnano.2010.153.html http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/nature_100808_CNT_male_mice_testis_damage.html

52二酸化チタン・ナノ粒子のミジンコからゼブラフィッシュへの栄養的移動(2010年5月)
ScienceDirec 2010年5月の記事によれば、最も重要でありながら現在よく理解されていないリスクのひとつは、食物網(food webs)におけるそれらの潜在的な移動と濃縮である。この懸念に目を向けるために、低次段階生物(ミジンコ)及び高次段階生物(ゼブラフィッシュ)を含む淡水系食物連鎖の簡易化されたモデルを確立し、ナノ二酸化チタン粒子はミジンコからゼブラフィッシュに食餌曝露(dietary exposure)により移動できることを示す直接的な証拠を得た。
ScienceDirect, Volume 79, Issue 9, May 2010, doi:10.1016/j.chemosphere.2010.03.022 Trophic Transfer of TiO2 Nanoparticles from Daphnia to Zebrafish in a Simplified Freshwater Food Chain
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/100500_SienceDirect_Trophic_Transfer_TiO2.html

51銀ナノ粒子は魚に対して細胞毒性と遺伝毒性がある(2010年4月)
Meridian 2010年4月16日の記事によれば、米日両国の共同研究チームは銀ナノ粒子が魚に対して細胞毒性と遺伝毒性を持つことを発見した。メダカの細胞株を30ナノメートル径の銀ナノ粒子に暴露させた結果、細胞死、染色体異常、腫瘍細胞は用量に依存し、用量 0.05, 0.3, 0.5, 3, 5 μg/cm2 で、それぞれ 80, 45.7, 24.3, 1, 0.1% の生存率であったことを「Aquatic Toxicology 2010年4月1日」に発表した。
Meridian on 4/16/2010 Silver Nanospheres Are Cytotoxic and Genotoxic to Fish Cells
http://www.merid.org/ndn/more.php?articleID=2561
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/journal/2010_Apri_Silver_nanospheres.html

50酸化亜鉛のナノ粒子は培養ヒト結腸細胞に有毒である(2010年4月)
SafeNano 2010年4月8日の記事によれば、フランスの研究者がナノサイズの酸化亜鉛は通常サイズの酸化亜鉛に比べて2倍、培養ヒト結腸細胞に対する毒性が高いことをアメリカ化学会の月間ジャーナル「Chemical Research in Toxicology 2010年2月15日」に発表した。子どもが日焼け止めを口に入れることの危険性が懸念されるとしている。
SAFENANO 08/04/2010 Evidence that nanoparticles in sunscreens could be toxic if accidentally eaten
http://www.safenano.org/SingleNews.aspx?NewsId=1016
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/safenano/100408_zinc_oxide_sunscreen.html

49トリ・フラーレンはヒトの皮膚細胞に有毒である(2010年4月)
ロスアラモス国立研究所のニュースリリースによれば、同研究所の研究者らが、”トリ”配置と呼ばれるフラーレンの変種を培養ヒト皮膚細胞に暴露させると細胞は早期老化を起こし、細胞は死なない、分裂しない、成長しないという停止状態になり、正常な器官発達を損ない生体内で疾病をもたらすことを「Toxicology and Applied Pharmacology 2010年4月15日」に発表した。
Los Alamos National Laboratory News release March 31, 2010 Carbon Nanostructures - Elixir or Poison? Los Alamos researchers find a case where size really does matter
http://www.lanl.gov/news/releases/carbon_nanostructures_elixir_or_poison_news_release.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/100331_LANL_fullerenes.html

48好中球ミエロペルオキシダーゼ(MPO)で分解されたカーボンナノチューブは肺炎症を誘発しにくい(2010年4月)
米・スウェーデン・アイルランドの研究者らが、インビトロの実験で好中球酵素ミエロペルオキシダーゼ(MPO)がカーボンナノチューブを分解し、その分解物質はマウスの肺に炎症を引き起こさないことを示した。著者らはカーボンナノチューブが生物分解をする程度が、暴露を受けた個体に引き起こす関連炎症反応の規模と厳しさの主要な決定要因かもしれないとしている。2010年4月4日オンライン「Nature Nanotechnology 」に発表した。
Carbon nanotubes degraded by neutrophil myeloperoxidase induce less pulmonary inflammation
http://www.nature.com/nnano/journal/vaop/ncurrent/abs/nnano.2010.44.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/nature_100404_CNTs_degraded.html

47フラーレンは哺乳類と植物の細胞に対して異なるダメージを引き起こす(2010年3月)
 Nanowerk 2010年3月10日によれば、米クレムソン大学の研究者らは、”植物細胞については、溶解性を高めたフラーレン派生の C60(OH)20 ナノ粒子は細胞壁を容易に貫通し細胞ダメージを誘発するが、溶解性の低いフラーレンC70-NOMは植物細胞の生存性にほとんど影響を与えない。哺乳類細胞については、C60(OH)20ナノ粒子は大部分は生物学的に良性であるが、C70-NOM は濃度が高まると細胞ダメージの増大を引き起こす”ことを2010年3月8日にオンライン「Small」に発表した。
Nanowerk News, March 10, 2010 Nanotoxicology - mammalian and plant cells respond differently to fullerenes. By Michael Berger
http://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=15231.php
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/100310_respond_differently_to_fullerenes.html

46多層カーボン・ナノチューブ 口咽頭吸引によりマウスの肺中で細胞毒性及び炎症性反応を引き起こす(2010年3月)
 米ケンタッキー大学の研究者らは、口咽頭吸引によりマウスの肺に導入された多層カーボン・ナノチューブ(MWCNT)がマウスの肺中で細胞毒性及び炎症性反応を引き起こすことを示す研究を「Inhalation Toxicology」2010年3月号に発表した。
Inhalation Toxicology March 2010 Acute pulmonary response of mice to multi-wall carbon nanotubes
http://informahealthcare.com/doi/abs/10.3109/08958370903359984
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/journal/2010_March_mice_MWCNTs.html

45海水中のナノ粒子 カキとムラサキガイにより摂取される(2010年2月)
 SAFENANO 26/02/2010によれば、コネティカット大学の研究者らは実験室での研究で、カキとムラサキガイは懸濁物が存在する海水から大量の工業ナノ物質を摂取し体内に保持することが出来ることを発見し、食物連鎖による高次捕食生物に影響を及ぼす可能性を示して、Marine Environmental Research (2009年9月)に発表した。
SAFENANO 26/02/2010 Study indicates uptake of nanoparticles in seawater by oysters and mussels
http://www.safenano.org/SingleNews.aspx?NewsId=984
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/safenano/100226_uptake_nano_oysters_mussels.html

44日焼け止め中の酸化亜鉛がヒトの皮膚を浸透することを実証(2010年2月)
 豪・マッコーリー大学の研究者らは、日焼け止めに亜鉛の安定同位体をトレーサーとして調合し、20人の被験者の背中に塗布する実験を海岸で5日間実施した。その結果、被験者全ての血液と尿中から亜鉛を検出し、日焼け止め中の酸化亜鉛粒子からの亜鉛は健康な皮膚から浸透することを確認したとICONN 2010 (2010年2月)で発表した。
ICONN 2010 February, 2010, Dermal absorption of ZnO particles from sunscreens applied to humans at the beachs
http://realizebeauty.files.wordpress.com/2010/02/iconn2010-abstract-gulson1.pdf
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/100222-26_Dermal_absorption_ZnO.html

44ナノ銀は魚の胚子を殺し、又は奇形を引き起こす(2010年1月)
 パデュー大学の研究者らは、溶液中に浮遊するナノ銀は有毒であり、試験魚ファットヘッドミノーの胚子を死に至らしめることがあり、ナノ銀が沈むと溶液は数倍毒性が弱まるが、それでもこの試験魚に奇形を引き起こすことを Ecotoxicologyに発表した。
The effects of silver nanoparticles on fathead minnow (Pimephales promelas) embryos
http://www.springerlink.com/content/n64u7507871r1822/
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/100301_nanosilver_toxicity_in_fish.html

42ナノ銀はヒト胎児の組織の実験で、細胞複写を抑制し細胞死を増大させ、神経回路形成を損ない、脳の神経伝達物質の表現型への発達を抑制し、脳の神経毒性として作用する可能性がある(2010年1月)
 デューク大学の研究者らは神経細胞様PC12細胞を使用して、銀イオンは細胞複写を抑制し細胞死を増大させ、神経回路形成を損ない、脳の重要な神経伝達物質であるアセチルコリンの表現型への発達を抑制することEnviron Health Perspect 118:73-79. doi:10.1289/ehp.0901149 に発表した。この影響はヒト胎児の組織で報告されている濃度より一桁低い濃度で観察されており、銀ナノ粒子が生体で神経毒性として作用する可能性を示唆するものであると結論つけた。
ENVIRONMENTAL HEALTH PERSPECTIVES 118(1) Jan 2010, Silver Impairs Neurodevelopment: Studies in PC12 Cells
http://ehp03.niehs.nih.gov/article/fetchArticle.action?articleURI=info%3Adoi%2F10.1289%2Fehp.0901149
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehn/ehn_100121_nanosilver_nerve_cell_toxicant.html

41実験室の大気浮遊ナノ物質が懸念を引き起こす(2010年1月)
 米軍技術研究開発センターの研究者らが実験室でナノ物質を取り扱う時にかなりの量が大気中に放出されること、凝集体を分解して水中で分散させるための超音波処理の最中にかなりの量のナノ物質がミストとして空気中に放出されることをナノ粒子を計数して発見し Environ Health Perspect 118:49-54. doi:10.1289/ehp.0901076 に発表した。
ENVIRONMENTAL HEALTH PERSPECTIVES 118(1) Jan 2010 No Small Worry: Airborne Nanomaterials in the Lab Raise Concerns by Cynthia Washam
http://ehp03.niehs.nih.gov/article/
fetchArticle.action?articleURI=info%3Adoi%2F10.1289%2Fehp.118-a34b

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehp/ehp_10_Jan_No_Small_Worry.html

40ポリスチレン・ナノ粒子は胎盤関門を通過する可能性がある(2009年11月
 SAFENANO 20/11/2009によれば、スイスの研究者らは径が240nm以下のポリスチレン・ナノ粒子がヒト胎盤灌流モデルを通過することを Environmental Health Perspectives, doi:10.1289/ehp.0901200に発表した。
SAFENANO 20/11/2009 Study indicates potential for certain nanoparticles to cross the placental barrier
http://www.safenano.org/SingleNews.aspx?NewsId=913
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/safenano/091120_cross_placental_barrier.html

39コバルト−クロム・ナノ粒子は細胞バリアを越えてDNAを損傷(2009年11月)
 英・ブリストル大学の研究チームが培養細胞による実験で、コバルト−クロム・ナノ粒子がヒト細胞バリアを物理的に通過するのではなく、バリア細胞内の信号伝達分子を生成し、それがバリアの向こう側にある細胞中のDNAを損傷したことをNature Nanotechnology 5 November 2009 | doi:10.1038/nnano.2009.313 に発表した。
University of Bristol Press release issued 5 November 2009 Nanoparticles may cause DNA damage across a cellular barrier
http://www.bris.ac.uk/news/2009/6639.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/091105_nanoparticles_DNA_damage.html

38単層カーボン・ナノチューブはどのようにしてバクテリアの細胞膜に物理的に穴をあけてバクテリアを殺すか(2009年11月)
 シンガポールの研究者らは、カーボン・ナノチューブは実際には、カーボン・ナノチューブ+金属+不定形の不純物であり、これらの不純物が電気的特性、環境的輸送、変換、及び生態毒性に大きな影響を与えることをACS Nano, Article ASAP DOI: 10.1021/nn901252rに発表した。
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nn901252r?journalCode=ancac3
http://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/nn901252r

37洗濯中のナノ技術応用ソックスに何が起きているのか?(2009年9月)
 スイスの研究者らが、ナノ銀による抗菌処理をした布地を洗濯すると、そのほとんどは最初の洗濯で放出され洗濯水を経て排水中に放出される多くの銀の粒子は450nm以上の大きな銀粒子であることをEnvironmental Science & Technology(DOI: 10.1021/es9018332)に発表した。これは洗濯中に放出される銀の量を少なくする設計が可能であることを示す。
http://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=13362.php
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/091104_nanotechnology_socks.html

36ゼブラフィッシュ胎仔における複数サイズの金と銀のナノ粒子の毒性評価(2009年8月)
 アメリカの研究者らは、ナノ銀がゼブラフィッシュの目、浮き袋、尾を奇形にし、充血性心臓疾患を引き起こす心臓周囲の液体を生じさせることを Small. 2009 Aug 17;5(16):1897-910.に発表した。
Environmental Health News, Nov. 17, 2009 Nanosilver in consumer products: No silver lining for fish By Gordon Shetler, Environmental Health News
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/news/nanosilver/
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehn/ehn_091117_nanosilver.html

35中国での死亡と肺損傷 ナノ粒子に関連 (2009年8月)
 中国の7人の若い女性が、ナノ粒子を使用した塗装工場で適切な防護なしに数ヶ月働いた後に、肋膜胸水流出、肺繊維症、肉芽腫などの肺損傷の被害を受け、そのうち2人が死亡したと、中国の研究者らがEuropean Respiratory Journal (ERJ)(欧州呼吸器ジャーナル)に発表した。
Exposure to nanoparticles is related to pleural effusion, pulmonary fibrosis and granuloma
http://erj.ersjournals.com/content/34/3/559.abstract http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/erj/090820_erj_nano_pleural_effusion.html

34カーボン・ナノチューブが吸入毒性研究により、げっ歯類への肺毒性を示す (2009年7月)
 OECDテストガイドラインに従って実施された90日間吸入毒性研究により、多層カーボン・ナノチューブが暴露ラットに肺毒性を引き起こす可能性をドイツの BASF SE 社の毒性学者ロバート・ランドシーデルらがToxicological Sciences [doi:10.1093/toxsci/kfp146]に発表した。
SAFENANO 20/08/2009 Inhalation study demonstrates carbon nanotube-induced lung toxicity in rodents
http://www.safenano.org/SingleNews.aspx?NewsID=806 http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/safenano/090820_Inhalation_study_CNT.html

33二酸化チタン・ナノ粒子はマウスの脳の発達に影響を与える (2009年7月)
 母マウスの二酸化チタン(TiO2)ナノ粒子への暴露は、仔の中枢神経系の発達と機能に関連する遺伝子の発現に影響を与えるかもしれないことを東京理科大学(日本)の研究チームがParticle and Fibre Toxicology [doi:10.1186/1743-8977-6-20] に発表した。
SAFENANO 30/07/2009 Nanoparticles Affect Brain Development In Mice
http://www.safenano.org/SingleNews.aspx?NewsID=783
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/safenano/090730_TiO2_Brain_Development_Mice.html

32人工ナノ粒子 海洋食物網を汚染する (2009年6月)
 ナノ粒子は、水系から沈殿物、バイオフィルム、草、微生物、フィルターフィーダー、雑食性動物を含む複雑な海洋食物網に移動することをアメリカの研究者らがNature Nanotechnology [doi:10.1038/nnano.2009.157] に発表した。
SAFENANO 22/06/2009 Study finds manmade nanoparticles could contaminate marine food web
http://www.safenano.org/SingleNews.aspx?NewsId=741
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/safenano/090622_nanoparticles_marine_food_web.html

31ポリアミドアミン・デンドリマーはヒト細胞死を引き起こし、マウスに投与すると著しく肺の炎症と死亡率が増大(2009年6月)
 医学の分野で広く開発されているナノ粒子の一族、ポリアミドアミン・デンドリマーがオートファジー細胞死と呼ばれるプログラム細胞死の一種を引き起こすことにより、肺の損傷を引き起こすことを中国の研究者らがJournal of Molecular Cell Biology [doi:10.1093/jmcb/mjp002] に発表した。
R&D Daily June 11, 2009 Nanoparticles shown to cause lung damage
http://www.rdmag.com/ShowPR.aspx?PUBCODE=014&ACCT=1400000101&ISSUE=
0906&RELTYPE=LST&PRODCODE=00000000&PRODLETT=GG&CommonCount=0

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/RD_Daily_090611_nano_lung_damage.html

30サイズが問題である 微生物への毒性をナノ粒子で比較 (2009年5月)
 酸化アルミニウム、二酸化シリコン、酸化亜鉛のナノ粒子は、それらのバルクサイズの物質に比べて微生物への毒性が高く、サイズが問題であることをアメリカの研究者らがEnvironmental Pollution [doi:10.1016/j.envpol.2008.12.025]で明らかにした。この実験条件下では二酸化チタンは微生物に毒性を示さなかった。
Nanowerk News, : April 16, 2009 Size matters. Comparing the toxicity of micro- to nanoparticles Michael Berger
http://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=10128.php
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/090416_size_matters.html

29ゼロ価鉄ナノ粒子及び二価鉄はヒト気管支上皮細胞に酸化ストレスを引き起こす (2009年5月)
 大規模な汚染サイトの修復に使用される鉄ナノ粒子は急速に酸素と反応し、ヒト肺細胞を殺すことができることをアメリカの科学者らがEnvironmental Science and Technology [DOI: 10.1021/es9006383] に発表した。
Environmental Health News, August 12, 2009 Iron nanoparticles can be toxic to human lung cells Synopsis by David Buchwalter, Ph.D
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/
newscience/iron-nanoparticles-toxic-to-human-lung-cells/

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehn/ehn_090812_iron_nano_human_lung_cells.html

28タングステンカーバイドのナノ粒子に機能強化目的で加えられた金属コバルトがナノ粒子に乗り細胞内に侵入し、正常な細胞機能をかく乱する (2009年4月)
 タングステンカーバイドのナノ粒子自体はヒトの肺、皮膚、腸細胞、又はラットの脳細胞に有毒ではないが、タングステンカーバイドのナノ粒子の材料機能を強化するために意図的に加えられた金属コバルはが生きた哺乳類の細胞内に入り込み、正常な細胞機能をかく乱することをドイツの研究者らがEnvironmental Health Perspectives Perspectives [doi:10.1289/ehp.0800121]に発表した。
Environmental Health News, January 7, 2009 Toxic materials hitchhike into cells on nanoparticles Synopsis by Stacey L. Harper
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/toxic-nanoparticles-get-into-cells/
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehn/ehn_090107_hitchhike_into_cells.html

27多層カーボン・ナノチューブは咽頭吸引法でマウスの肺に吸入された後に肋膜に移動する (2009年3月)
 大気中に浮遊する物質の吸入とよく似た方法として、物質を液体中に浮遊させ、その小滴を実験動物に吸引させる咽頭吸引法により、肺中の肺胞から肺を通じて肋膜に移動して耐久性のある繊維のように振舞うことを示す予備的研究の結果をSociety of Toxicologyの2009年総会で米国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の研究チームがToxicologist 108:A2193, 2009で発表した。
NIOSH Science Blog Mar 19, 2009 Persistent Pulmonary Fibrosis, Migration to the Pleura, and Other Preliminary New Findings after Subchronic Exposure to Multi-Walled Carbon Nanotubes
http://www.cdc.gov/niosh/blog/nsb031909_mwcnt.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/niosh/niosh_blog_090319_mwcnt_mice.html

26食品保存材料中で使用されるナノ銀はDNA転写を阻害する (2009年2月)
 銀ナノ粒子はDNA転写の忠実性の損傷を誘因することを示す銀−ゲノム相互作用に関する新たなデータをNanotechnology [doi: 10.1088/0957-4484/20/8/085102]に中国の研究者らが発表した。
Nanowerk News, February 19, 2009 Nanosilver used in food storage materials found to interfere with DNA replication By Michael Berger
http://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=9340.php
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/090219_nanosilver_DNA_replication.html

25鉄含有単層カーボン・ナノチューブはヒト皮膚細胞中にフリーラディカル形成と酸化ストレスを引き起こす(2008年12月
 鉄含有量の異なる2種類の単層カーボン・ナノチューブを用いた実験で、両方とも培養されたヒトの皮膚細胞胞中にフリーラディカルの形成と酸化ストレスを引き起こしたが、鉄含有量の多いナノチューブ(非精製)の方が毒性が高いことをアメリカの研究者らがToxicology [doi:10.1021/es9006383]に発表した。
Environmental Health News, February 11, 2009 Iron-containing nanomaterials can damage skin Synopsis by Abby D. Benninghoff, Ph.D.
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/iron-nanotubes-damage-skin/
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehn/ehn_090211_iron-containing_nanomaterials.html

24カーボン・ナノチューブとフラーレンを含む溶液をラットの胃に投与すると酸化ストレスによりDNAを損傷する (2008年11月)
 カーボン・ナノチューブとフラーレンを含む溶液をラットの胃に投与すると、酸化ストレスによるDNA損傷を起こすことをデンマークの研究者らがEnvironmental Health Perspectives [doi: 10.1289/ehp.11922] に発表した。引き起こされた損傷のタイプはがんをもたらすことができるものである。
Environmental Health News, December 12, 2008 Carbon nanomaterials damage rat DNA Synopsis by Stacey L. Harper
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/carbon-nanomaterials-damage-rat-DNA/
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehn/ehn_081212_fullerenes_rat_DNA.html

23銀ナノ粒子はラットの肺細胞に酸化ストレスを起こし、サイズが小さいほど毒性は大きい (2008年10月)
 銀ナノ粒子はラットの肺の細胞内の活性酸素のバランスを崩すこと(酸化ストレス)により粒子サイズが小さいほど大きなダメージをもたらすことを米空軍の研究者らがJournal of Physical Chemistry B [DOI: 10.1021/jp712087m] に発表した。
Environmental Health News, November 21, 2008 Smaller sized nanonmaterials inflict a bigger bite Synopsis by Stacey L. Harper
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/damaging-effects-of-commercially-available-nanomaterials http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehn/ehn_081121_silver_nanoparticles.html

22酸化アルミニウムとカーボンのナノ粒子はヒト脳内の血管細胞を殺し傷つける (2008年10月)
 この研究は、径がナノメートル・サイズだけの酸化アルミニウムの粒子であるナノ・アルミナの、ヒト血液-脳関門への影響を調べるために設計された。脳内血管内面を覆う細胞を、ナノ・アルミナ、通常サイズ・アルミナ粒子、カーボン・ナノ粒子、カーボン・非ナノ粒子に暴露させた。暴露後、研究者らは細胞構造と細胞死、及びミトコンドリアへの影響及び、血管の内面を覆う細胞を堅く結合する重要なたんぱく質であるタイト結合蛋白への影響を評価した。
Environmental Health News, October 21, 2008 Nanoparticles kill and maim blood vessel cells found in the human brain Synopsis by Stacey L. Harper
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/a-toxic-encounter-when-nanoparticles-meet-blood-vessels-cells-in-the-human-brain
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehn/ehn_081021_nano_aluminum_oxide.html

21ナノ銀は藻類に対し銀イオン単独よりも毒性が強い((2008年10月)
 銀ナノ粒子と銀イオン単独を個別に藻類であるコナミドリムシに暴露させる実験で、銀ナノ粒子はイオン単独よりも毒性が強いことを示した。銀ナノ粒子はイオン影響を促進してイオンとナノ粒子の両方がナノ銀の毒性源であることを示す研究をES&T Science News, October 1, 2008 Nanosilver toxicity: ions, nanoparticles - or both? が紹介した。
http://pubs.acs.org/cgi-bin/sample.cgi/esthag/asap/html/es8026314.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/est/081001_est_nanosilver.html

20二酸化チタンのナノ粒子はマウスの脳細胞を傷つける (2008年9月)
 二酸化チタンのナノ粒子がマウスの鼻から嗅球、大脳皮質、小脳、海馬などの脳の部位へ移動し、嗅球と海馬領域の細胞中に著しい変化脳細胞に損傷を引き起こすことができることを中国の研究者らがToxicology [doi:10.1016/j.tox.2008.09.014]に発表した。
:Environmental Health News, November 17, 2008 Nanoparticles damage brain cells Synopsis by Abby D. Benninghoff, Ph.D. and Wendy Hessler
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/nanoparticles-damage-brain-cells/
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehn/ehn_081117_TiO2.html

19酸化銅ナノ粒子はヒト肺上皮細胞に非常に有毒 金属酸化物ナノ粒子とCNTsの比較 (2008年8月)
 異なる金属酸化物粒子(CuO, TiO2, ZnO, CuZnFe2O4, Fe3O4, Fe2O3)の毒性をカーボンナノ粒子と多層カーボン・ナノチューブ(MWCNT)の毒性と比較した。酸化銅(CuO)ナノ粒子は細胞毒性とDNA損傷力に関し最も強力であった。酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子は細胞生存能力とDNA損傷への影響を示し、二酸化チタン(TiO2)粒子はDNA損傷だけを引き起こした。カーボン・ナノチューブはテストされた最も低用量で細胞毒影響を示し、DNAダメージを引き起こした。スウェーデンの研究者らがACS/Chemical Research in Toxicology [DOI: 10.1021/tx800064j]に発表した。
ACS/Chemical Research in Toxicology online August 19, 2008 Copper Oxide Nanoparticles Are Highly Toxic: A Comparison between Metal Oxide Nanoparticles and Carbon Nanotubes Hanna L. Karlsson, Pontus Cronholm, Johanna Gustafsson, and Lennart Moller
http://pubs.acs.org/cgi-bin/abstract.cgi/crtoec/2008/21/i09/abs/tx800064j.html http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/acs/crt_080819_CuO_nano.html

18アスベストに似たカーボン・ナノチューブはアスベストのように作用する (2008年5月)
 マウスの腹腔にナノチューブを投与することによってマウスの肺に多層カーボン・ナノチューブを暴露させた結果、その影響−中皮(肺組織を覆う細胞膜)の炎症及び病変の進展−はアスベストを長期間吸入することによって引き起こされる危険な健康障害として知られる中皮腫の症状と似ていることを英エジンバラ大学の研究者らがNature Nanotechnology に発表した。
Project on Emerging Nanotechnologies (PEN) News May 19, 2008 Carbon Nanotubes That Look Like Asbestos, Behave Like Asbestos New study shows inhaling long, thin carbon nanotubes may result in asbestos-like health effec
http://www.nanotechproject.org/news/archive/mwcnt/
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/PEN/080519_Nanotubes_Asbestos.html

17ナノ銀処理されたソックスは洗濯中にナノ銀のほとんどが洗濯水中に出て環境中に放出される(2008年4月)
 ナノ銀は処理された布地から洗い流されて排水路に流れ込んだ後、排水処理プロセスで生成されるバイオ固形物にたまるかも知れないことをアリゾナ州立大学の研究者がES&T (DOI: 10.1021/es7032718)に発表した。
Nanoparticle Silver Released into Water from Commercially Available Sock Fabrics Troy M. Benn* and Paul Westerhoff Civil and Environmental Engineering, Arizona State University
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/es7032718
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/est/080409_est_silver_socks.html

16p53+/-マウスにおける多層カーボンナノチューブ腹腔内投与による中皮腫の発生 (2008年2月
 アスベストに高い感受性を示すことが知られているp53 へテロ欠失マウスにMWCNT を腹腔内投与したとき、陽性対照物質のクロシドライト(青石綿)と同様に中皮腫が惹起されたことを日本の国立医薬品食品衛生研究所の研究者らが日本トキシコロジー学会『ジャーナル・オブ・トキシコロジカル・サイエンス』に発表した。
http://www.jniosh.go.jp/joho/nano/files/takagi2008/takagi2008jp.pdf

15銅ナノ粒子はゼブラフィッシュに害を与える (2007年10月
 ナノサイズの銅粒子は、溶解銅イオンとは異なる未知のメカニズムを通じて魚のエラに影響を与え、炭素や二酸化チタンのナノ粒子に比べてはるかに危険であることをアメリカの研究者らがES&T (DOI: 10.1021/es071235e) 示唆した。
Exposure to Copper Nanoparticles Causes Gill Injury and Acute Lethality in Zebrafish (Danio rerio) Robert J. Griffitt, Roxana Weil, Kelly A. Hyndman, Nancy D. Denslow, Kevin Powers§, David Taylor and David S. Barber
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/es071235e
http://www.nanowerk.com/news/newsid=3049.php
ES&T Science News - October 24, 2007 Copper nanoparticles harm zebrafish
http://pubs.acs.org/subscribe/journals/esthag-w/2007/oct/science/nl_coppernano.html http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/est/071024_est_nano_pierce_microbes.html

14ナノチューブの合成 有毒副産物を放出 (2007年8月)
 ナノチューブの微小スケール合成プロセスからの廃液フローを分析し、オゾン生成や呼吸器系障害をもたらすことが知られる化合物を含む、揮発性有機化合物及び少なくとも15種の多環芳香族炭化水素(PAHs)を検出したとアメリカの研究者らがアメリカ化学会(ACS)の国際会議で発表した。
Chemical & Engineering News, August 23, 2007 Nanotube Synthesis Emits Toxic By-Products Evaluating small-scale processes could shed light on potential large-scale environmental issuesby Rachel Petkewich
http://pubs.acs.org/cen/news/85/i35/8535news9.html http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/C&EN/070827_C&EN_nano_toxic_byproducts.html

13カーボン・ナノチューブ 微生物を突き通す (2007年7月)
 単層カーボンナノチューブ(SWNTs)がバクテリアの細胞壁を突き通し、単SWNTsが存在する溶液中で大腸菌の約80%が死に、それより若干多くの微生物が実験用のフィルターのコーティング層中で死んだとアメリカの研究者らがLangmuir [DOI: 10.1021/la701067r] で発表した。
Single-Walled Carbon Nanotubes Exhibit Strong Antimicrobial Activity Seoktae Kang, Mathieu Pinault, Lisa D. Pfefferle, and Menachem Elimelech
http://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/la701067r
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/est/070822_est_nano_pierce_microbes.html

12ナノはトロイの木馬 ナノ粒子は有害金属を細胞内に運ぶ (2007年4月)
 金属含有ナノ粒子が細胞に侵入すると金属イオンは粒子から浸出し細胞内部で酸化ストレスと細胞のダメージを引き起こすROSを生成することをスイスの研究者らがES&T's Research ASAP website [DOI: 10.1021/es062629t] で発表した。酸化コバルト及び酸化マンガンのナノ粒子によるヒト肺の上皮細胞におけるROSの生成は、同等濃度のコバルト及びマンガン塩に暴露されたコントロール細胞に比べると8倍多かった。
26 April 2007, Lizz Thral, Environment Science and Technology A nano Trojan horse
http://www.nanoforum.org/nf06~modul~showmore~folder~99999~scc~news~scid~3160~.html?action=longview&
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/est/070425_est_nano_Trojan_horse.html

11ナノチューブ製造時に使用される金属は水生生物に影響を与える (2007年4月)
 未処理のカーボン・ナノチューブ(CNTs)に付着する製造時に使用されたニッケルとコバルト触媒がゼブラフィッシュの孵化を著しく遅らせることを香港とフランスの研究チームがEnvironmental Toxicology and Chemistry [DOI: 10.1897/06-272R.1]に発表した。孵化の遅れは孵化の成功または暴露した胎芽の生存に影響を与えなかったが、生物種の生殖と生物学的発達のタイミングはしばしば環境的なタイミングと同期しているので、それらは海洋生態系に影響を与える可能性がある。
Environmental Toxicology and Chemistry Article: pp. 708?716 | Abstract | PDF (492K) EFFECT OF CARBON NANOTUBES ON DEVELOPING ZEBRAFISH (DANIO RERIO) EMBRYOS Jinping Cheng, Emmanuel Flahaut, and Shuk Han Cheng
http://www.setacjournals.org/perlserv/?request=get-document&doi=10.1897%2F06-272R.1
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/est/070411_est_nano_CNT.html

10単層カーボン・ナノチューブはマウスの血管系にダメージを与える (2007年3月)
 単層カーボン・ナノチューブ(SWCNTs)のマウス肺への沈着は部分的な有害影響を引き起こすことはすでに知られていたが、今回、そのような沈着はまた動脈硬化プラーク形成の促進などマウスの血管系にダメージを引き起こすことをアメリカの科学者らがEnvironmental Health Perspectivesに発表した。
Environmental Health Perspectives Volume 115, Number 3, March 2007 Science Selections Carbon Concerns Nanotubes Cause Cardiovascular Damage
http://www.ehponline.org/docs/2007/115-3/ss.html#carb
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehp/ehp_nano_07_March_Carbon_Concerns.html

9脂質コーティングのナノチューブはミジンコに容易に摂取される (2007年3月)
 カーボン・ナノチューブ(CNTs)は非水溶性であることが、界面活性剤やある種の天然ポリマーのような物質で処理すると水溶性になる。天然の脂質を塗ってで水溶性にしたCNTsはミジンコに急速に摂取され、構造的に変化すること及び高い濃度ではミジンコに毒性があることをアメリカの研究者らがES&T's Research ASAP website (DOI: 10.1021/es062572a)に発表した。
In vivo Biomodification of Lipid-Coated Carbon Nanotubes by Daphnia magna Aaron P. Roberts, Andrew S. Mount, Brandon Seda, Justin Souther, Rui Qiao,§ Sijie Lin, Pu Chun Ke, Apparao M. Rao, and Stephen J. Klaine
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/es062572a
http://www.nanowerk.com/news/newsid=1584.php
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/est/070307_est_nano_lpid_coating.html

8ヒトのマクロファージ細胞に取り込まれたC60の視覚化に初めて成功 (2007年2月)
 ヒトのマクロファージはフラーレンあるいはバッキーボールと呼ばれるC60を取り込み、その粒子を主に細胞内の細胞質やリソソーム(訳注:細胞質内にある顆粒で, 多くの加水分解酵素を含む)に隔離し、時にはC60は細胞核に蓄積することをイギリスの研究者らが電子分光電子顕微鏡(TEM)の画像で確認し、ES&T Research ASPAP(DOI: 10.1021/es062541f)に発表した。
ES&T Technology News - February 28, 2007 Seeing buckyballs inside human cells Scientists have produced the first visualizations of the uptake of C60 into human macrophage cells.(Naomi Lubick)
http://www.nanowerk.com/news/newsid=1540.php
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/est/070228_est_nano_seeing_buckyballs.html

7ナノ粒子はマウスの肺への細菌性エンドトキシンの影響を悪化させる(2006年9月
 ナノ粒子は、細菌性のエンドトキシン(訳注:細菌の作る毒素、生体内に侵入するとさまざまな炎症反応を起こす)に関連する肺炎を増悪することができることを日本の研究者らがEnvironmental Health Perspectivesに発表した。
Environmental Health Perspectives Volume 114, Number 9, September 2006 Science Selections Tiny Intensifiers: Nanoparticles Worsen Lung Effects of Bacterial Endotoxin
http://www.ehponline.org/docs/2006/114-9/ss.html#tiny
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehp/ehp_0609_nano_lung_effects_endotoxin.html

6超微粒子 脳への直接経路で神経系を直撃 (2006年9月)
 ラットに吸入させた酸化マンガンの超微粒子が肺や多くの脳の部位に顕著で急速に蓄積し、粒子は拡散するために溶解する必要はなく、呼吸器系の経路は循環系の経路よりも効率がよいことをアメリカの研究者らがEnvironmental Health Perspectivesに発表した。
Environmental Health Perspectives Volume 114, Number 8, August 2006 Science Selections Ultrafines' Quick Neurological Hit Particles Take a Direct Route to the Brain
http://www.ehponline.org/docs/2006/114-8/ss.html#ultr
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehp/ehp_06_Aug_Ultrafines.html

5TiO2 ナノ粒子 脳細胞にダメージを与える可能性 (2006年7月)
 ナノ粒子が有害な外部刺激から脳を保護する中枢神経系細胞ミクログリアの防御反応を急速に引き起こして活性酸素種(ROS)を生成することを米EPAの研究者らがES&Tの Research ASAP (DOI: 10.1021/es060589n)に発表したが、活性酸素種(ROS)を脳環境に放出するときに周囲の細胞を損傷することが知られている。
Titanium Dioxide (P25) Produces Reactive Oxygen Species in Immortalized Brain Microglia (BV2):Implications for Nanoparticle Neurotoxicity
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/es060589n
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/est/060607_est_nano_TiO2.html

4ナノ粒子のヒト赤血球への浸透可否はサイズが主要な決定要因 (2006年4月)
 多くのナノ粒子は溶液中で密集する傾向があるが、ナノ粒子の凝集ですら、径が100ナノメートル以下なら様々な成分と表面電荷を持つナノ粒子がヒトの赤血球に浸透することができることをスイスの研究者らがES&Tの Research ASAP website (DOI: 10.1021/es0522635)に発表した。
Environmental Science & Technolory, April 5, 2006
Are red blood cells defenseless against smaller nanoparticles? A new study finds that size is the main determinant of whether nanoparticles can penetrate human red blood cells.
http://tech.groups.yahoo.com/group/Northeast_India_Research/message/227?l=1
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/europe/EST_nano_redcell_060405.html

3量子ドットの毒性は物理化学的及び環境的要因に依存する (2006年2月)
 量子ドットの吸収、分布、代謝、排出、及び毒性は、固有の物理化学的特性と環境条件の両方に由来する複合要因に依存し、量子ドットのサイズ、電荷、密度、外面コーティングの対生物活性、及び酸化、光分解、及び機械的安定性のそれぞれが、量子ドットの毒性決定要因として関連するとする量子ドットの毒物学的レビューの結果をアメリカの研究者らがEnvironmental Health Perspectivesに発表した。

 量子ドット半金属複合物の中で最も広く使用されている2つの金属、カドミウムとセレンは脊椎動物に急性及び慢性毒性を及ぼすことが知られており、ヒトの健康と環境に対し少なからぬ懸念がある。(Fan et al. 2002; Hamilton 2004; Henson and Chedrese 2004; Kondoh et al. 2002; Poliandri et al. 2003; Satarug and Moore 2004; Spallholz and Hoffman 2002)
Environmental Health Perspectives Volume 114, Number 2, February 2006 / Review A Toxicologic Review of Quantum Dots:Toxicity Depends on Physicochemical and Environmental Factors
http://ehp.niehs.nih.gov/members/2005/8284/8284.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehp/ehp_nano_06_Feb_QDs.html

2細胞エネルギーの危機 微粒子に付着する物質がミトコンドリアを傷つける (2004年10月
 ディーゼル排気微粒子と超微粒子に付着していた多環芳香族炭化水素とキノン化合物のような有機"ヒッチハイカー"物質がミトコンドリア構造の分解、増大する細胞膜孔と破裂に起因するミトコンドリアの膨張、フリーラジカル生成の増大、及び細胞死の誘発などを引き起こすことをアメリカの科学者らがEnvironmental Health Perspectives [EHP 112: 1347-1358]に発表した。
Environmental Health Perspectives Volume 112, Number 14, October 2004 Cellular Energy Crisis / Particulate Hitchhikers Damage Mitochondria
http://ehp.niehs.nih.gov/docs/2004/112-14/ss.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehp/ehp_04_oct_Cellular_Energy_Crisis.html

1フラーレンが魚の脳に酸化ストレスを引き起こす (2004年7月)
 通常の水中環境に見出されるであろう濃度のフラーレンを加えた水に48時間、曝露したオオクチバスの幼魚の脳とエラに酸化ストレスが生じることをアメリカの生物学者エバ・オバドルスターが示した。Environmental Health Perspectives [EHP 112:1058-1062]。
Environmental Health Perspectives Volume 112, Number 10, July 2004 Fullerenes and Fish Brains / Nanomaterials Cause Oxidative Stress
http://ehp.niehs.nih.gov/docs/2004/112-10/ss.html#full
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehp/ehp_04_July_Fish_Brains.html



化学物質問題市民研究会
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