ScienceDirec 2010年5月
単純化された淡水食物連鎖における
二酸化チタン・ナノ粒子のミジンコから
ゼブラフィッシュへの栄養的移動

(アブストラクト)

情報源:ScienceDirect, Volume 79, Issue 9, May 2010,
doi:10.1016/j.chemosphere.2010.03.022
Trophic Transfer of TiO2 Nanoparticles from Daphnia to Zebrafish in a Simplified Freshwater Food Chain
Author: Xiaoshan Zhu, Jiangxin Wang, Xuezhi Zhang, Yung Chang, Yongsheng Chen
http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6V74-4YS6P6N-4&...

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2010年5月15日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/100500_SienceDirect_Trophic_Transfer_TiO2.html


アブストラクト
 急速なナノテクノロジーの開発とそれに対応した工業用ナノ粒子(MNMs)の商業製品中での使用の増大は、そのようなナノサイズ化された物質の健康リスクと環境影響についての懸念をもたらしている。
 最も重要でありながら現在よく理解されていないリスクのひとつは、食物網(food webs)におけるそれらの潜在的な移動と濃縮である
 この懸念に目を向けるために、低次段階生物(ミジンコ)及び高次段階生物(ゼブラフィッシュ)を含む淡水系食物連鎖の簡易化されたモデルを確立した。
 我々の結果は、ナノスケール二酸化チタン粒子(nTiO2)はミジンコからゼブラフィッシュに摂食曝露(dietary exposure)により移動できることを示す直接的な証拠を提供するものである。
 しかし、nTiO2の生物濃縮(biomagnifications)はこの単純化された食物連鎖系では認められなかった。それはこの研究における生物濃縮係数(biomagnification factor BMF)は全て1以下であったからである(0.024 and 0.009)。
 食餌摂食(dietary intake)に比べて、ゼブラフィッシュは水曝露(aqueous exposure)によってnTiO2 の0.1及び1.0 mg/Lの曝露グループに対してそれぞれ 25.38 及び 181.38 という高い生物蓄積係数(bioaccumulation factor BCF)で蓄積した。
 それにも関わらず、nTiO2の体内汚染が水曝露グループより摂食曝露グループの方が高いということは、食餌摂食が水生生物における高次栄養段階の潜在的なナノ物質曝露の主要な経路かもしれないことを示した。
 この研究は、水生生態系におけるnTiO2の潜在的な食物連鎖移動と生物濃縮の検証を初めて発表したものである。

Keywords: TiO2 nanoparticle; Daphnia magna; Danio rerio; Trophic transfer; Bioconcentration; Biomagnification


訳注:


化学物質問題市民研究会
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