Nanoparticle Research 2013年5月
工業ナノ物質のライフサイクルにおける
世界規模の放出
アブストラクト

情報源:Journal of Nanoparticle Research May 2013
Global life cycle releases of engineered nanomaterials
Arturo A. Keller, Suzanne McFerran, Anastasiya Lazareva, Sangwon Suh
http://link.springer.com/article/10.1007/s11051-013-1692-4

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2013年5月23日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/2013_May_ENMs_global_life_cycle.html


 工業ナノ物質(ENMs)は現在、世界経済の中で重要な物質フローの一部をなすようにありつつある。我々はすでに、これらの先端技術により可能となる多くの既存及び新規の応用の中で、改善されたエネルギー効率、材料使用削減、及びより良い性能による利益を享受している。

   工業ナノ物質は世界経済に広く浸透しているので、それらの環境への影響を理解することが重要となる。その第一歩として我々は、工業ナノ物質の環境及び埋立地への放出等について、工業ナノ物質の市場情報と物質フローモデルを統合して、地球規模の評価を初めて行った。

   最も多量に製造されている上位10種の工業ナノ物質が12の主要な応用分野で分析された。廃水処理設備及び廃棄物焼却設備を通じての中間段階を含んで、製造、使用、及び処分段階での放出が見積もられた。

   2010年には、シリカ、チタン、及び鉄と亜鉛の酸化物が、重量フローで世界経済の工業ナノ物質市場において支配的であり、その多くは、被膜/塗料/顔料、電子工学及び光学、化粧品、エネルギー、環境分野、及び触媒として使用された。

   我々は、2010年に製造された260,000〜309,000トンを超える世界の工業ナノ物質の63〜91%が最終的に埋立地に放出され、残りは土壌(8〜28%)、水系(0.4〜7%)、及び大気(0.1〜1.5%)に放出された。

 見積もりには多くの不確実性があるが、放出を見積もる枠組みはより良いデータが入手可能となれば、容易に改善することができる。物質フローの見積もりは、様々な環境的区画の中での濃度を見積るための運命と輸送モデルの入力として、地域レベルでの放出を定量化するために用いることができるであろう。

 


化学物質問題市民研究会
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