SAFENANO 2009年7月30日
TiO2 ナノ粒子 マウスの脳の発達に影響を与える 情報源:SAFENANO 30/07/2009 Nanoparticles Affect Brain Development In Mice http://www.safenano.org/SingleNews.aspx?NewsID=783 オリジナル Particle and Fibre Toxicology, 29 July 2009 Maternal exposure to nanoparticulate titanium dioxide during the prenatal period alters gene expression related to brain development in the mouse http://www.particleandfibretoxicology.com/content/6/1/20 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2009年8月5日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/safenano/090730_TiO2_Brain_Development_Mice.html オープン・アクセス・ジャーナル『Particle and Fibre Toxicology』に発表された論文で、東京理科大学(日本)の研究チームは母マウスの二酸化チタン(TiO2)ナノ粒子への暴露は、仔の中枢神経系の発達と機能に関連する遺伝子の発現に影響を与えるかもしれないと結論付けた。 この研究で、研究者らは妊娠マウスに TiO2 ナノ粒子を注射した。脳は懐胎16日目及び出生後のいくつかの時点でオスの胎仔及び出生仔から得た。研究者らはこれらの脳をコントロールの脳と比較して、遺伝子オントロジー(Gene Ontology (GO))(訳注1)及び Medical Subject Headings (MeSH) (訳注2)の用語情報と結合した cDNA マイクロアレイ分析(訳注3)を用いて、数百の遺伝子の発現の変動を実証することができた。 特に、GO terms を用いての遺伝子発現の分析は、アポトーシス(プログラムされた細胞死)(訳注4)に関連する遺伝子の発現レベルは新生仔の脳で変更され、脳発達に関連する遺伝子発現は早い時期に変更された。酸化ストレス反応に関連する遺伝子は2〜3週の年長マウスの脳で変更された。神経伝達と精神疾病に関連する遺伝子の発現は MeSH terms を用いて見出された。 これらのテストを実施した研究者チームを率いる Ken Takeda (訳注:武田健教授)は、”これらの遺伝子と関連する疾病は、”通常、小児期に発症すると考えられる自閉症、てんかん、学習障害や、主に壮年期又は高齢期に生じるアルツハイマー病、統合失調症、パーキンソン病などを含む”と述べた。 ”ナノテクノロジーと新規の人工ナノ粒子の製造は世界中で進展し増大している。ナノ粒子形状の二酸化チタンは強い光触媒作用(訳注5)を持ち、大気や水の浄化や表面の自己洗浄に利用することができる。しかし、我々の発見は、この特定のナノ物質がヒト健康に影響を与える能力を持つかもしれないという現行の懸念に追加されるものである”と武田教授は付け加えた。 ナノテクノロジーは分子のスケールで扱う技術である。ナノ粒子のサイズまで物質が微小化されると、我々が通常のサイズで用いるものとは異なる挙動−反応性、容積に対する表面積、その他多くの特性の変化−を示す。粒子サイズの大きな TiO2 は塗料や日焼け止めによく使用されるが、TiO2 のナノ粒子は、コーティングや表面自己洗浄などの新たな用途に特別に作られるが、それらの生体組織への影響はまだ理解され始めたばかりである。この遺伝子発現データは直接的な健康影響と解釈することはできないということに留意すべきである。さらに、ナノ粒子は意図的に高用量で注入されたので、現実の暴露との関連性は限定されるかもしれない。 Source: Adapted from materials provided by BioMed Central 訳注:関連情報 ICON Webpage / Maternal exposure to nanoparticulate titanium dioxide during the prenatal period alters gene expression related to brain development in the mouse 訳注1:遺伝子オントロジー 訳注2:MeSH 訳注3:マイクロアレイ 訳注4:アポトーシス 訳注5:光触媒 |