Dovepress Journal 2011年10月13日
酸化セリウム・ナノ粒子の気管内点滴が
オスのSDラットに肝臓毒性を誘発する

情報源: Dovepress Journal
Published Date October 2011 Volume 2011:6 Pages 2327 - 2335
Intratracheal instillation of cerium oxide nanoparticles induces hepatic toxicity
in male Sprague-Dawley rats
Authors: Nalabotu SK, Kolli MB, Triest WE, Ma JY, Manne NDPK,
Katta A, Addagarla HS, Rice KM, Blough ER
DOI: http://dx.doi.org/10.2147/IJN.S25119
http://www.dovepress.com/
intratracheal-instillation-of-cerium-oxide-nanoparticles-induces-hepat-peer-reviewed-article-IJN

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2011年11月23日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/111013_cerium_oxide_from_lungs_to_liver.html


背景:酸化セリウム(CeO2)ナノ粒子(訳注1)は、生物学的システムに有益及び有害の両方の影響を持つと仮定されていた。ここに我々は、酸化セリウム(CeO2)ナノ粒子の1回の気管内点滴が、オスの Sprague-Dawley ラットの全身毒性と関連するかどうかを検証する。

方法と結果:対照ラットと比べて、酸化セリウム(CeO2)ナノ粒子の曝露は肝臓の酸化セリウム レベルの増加、血清中のアラニントランスアミナーゼ レベルの上昇、アルブミン レベルの低下、ナトリウム-カリウム比の減少、血清中の中性脂肪の減少(P < 0.05)と関連している。
 これらのデータと矛盾せず、酸化セリウム(CeO2)ナノ粒子に曝露したラットはまた、肝臓重量の減少現象を示し (P < 0.05) 、用量依存の水しゅ性変質、肝細胞増大、洞様毛細血管拡張、顆粒状物質の蓄積を示した。
 病理組織学的な変化は、腎臓、脾臓、心臓には観察されなかった。酸化セリウム(CeO2)ナノ粒子に曝露したラットでは、血清バイオマーカーの分析が急性相反応物質及び肝細胞損傷マーカーの上昇を示唆した。

結論:総合すると、これらのデータは、酸化セりウム(CeO2)の気管内点滴は、肝臓損傷をもたらすことができることを示唆している。


訳注1


マーシャル大学 2011年11月17日発表
ディーゼル燃料の添加物として使用されているナノ粒子は
肺から肝臓に移動し、損傷を引き起こす


情報源:Marshall University Nov. 17, 2011
Marshall University study shows nanoparticles being used as additives in diesel fuels can travel from lungs to liver, causing damage
http://www.marshall.edu/murc/marshall-university-study-shows-nanoparticles-being-used-as-additives-in-diesel-fuels-can-travel-from-lungs-to-liver-causing-damage

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2011年11月23日


【HUNTINGTON, W.Va.】 米・マーシャル大学の研究者等による研究によれば、自動車エンジンの燃焼効率を上げるためにディーゼル燃料の添加物としてよく用いられる酸化セリウム・ナノ粒子は、オスのラットへの1回の気管内点滴で肺から肝臓に移動することができ、肝臓の損傷と関連することを示した。

 エリック R. ブロー博士とマーシャル大学の診断ナノシステム・センターの彼の同僚等による研究データが、人の髪の毛の巾の約1/40,000の大きさのナノ粒子に曝露された動物の肝臓中のセリウムが用量に依存して濃度が増大することを示している。これらの増大は、血中の肝臓酵素の上昇と肝臓ダメージと矛盾しない組織学的証拠に関連している。この研究は、ピアレビュー研究ジャーナル『International Journal of Nanomedicine』の10月13日号で発表された。

 酸化セリウムは、ガラス製鏡、テレビのブラウン管チューブ、眼科レンズなどの研磨剤として広く使用されている。酸化セリウム・ナノ粒子は自動車産業で燃料効率を高め粒子排出を減らすために使用されている。いくつかの研究は、酸化セリウム・ナノ粒子は酸化防止剤としても作用するかも知れないことを発見しており、研究者等はこれらの粒子はまた心臓血管系疾病、神経変性疾患、放射線誘発組織損傷の治療に有用かも知れないと示唆している。

 センター長であり、同大学の生物科学部助教授であるブロー博士は、”もし、このまま産業及び我々が購入する製品中でナノ物質の使用が増大するなら、これらの物質が有害であるかどうかを理解することがますます重要となる。我々が知るかぎり、これは吸入された酸化セリウムナノ粒子が肝臓で有害影響を示すかどうかを評価した最初の報告書である”と述べた。

 研究の主著者であり、ブロー博士の研究室のシバ K. ナラボツ博士は、”ナノ物質の環境及び細胞機能への潜在的な影響はまだよく理解できていない。ナノ毒性への関心は急速に増大している”と述べた。

 ”我々の研究は、酸化セリウム・ナノ粒子が、循環を通じて肺から肝臓に入り込むことができることを示している。それらは、間ゾ運に対する用量依存の毒性影響を示している。我々の次の段階は毒性のメカニズムを決定することである”。

 この研究は米・エネルギー省の基金による支援( grant DE-PS02-09ER09-01)を受けた。

For more information, contact Blough at blough@marshall.edu or (304) 696-2708.
Contact: Ginny Painter, Communications Director, Marshall University Research Corporation, 304.746.1964
Related: Marshall Study: Efficiency Additive Linked to Liver Damage (State Journal, Nov. 17, 2011



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