ACS Langmuir Article  2012年1月4日
工業用銀ナノ結晶により誘引される細胞毒性は
表面コーティングと細胞タイプに依存する

アブストラクト

情報源:CS Langmuir Article January 4, 2012
Cytotoxicity Induced by Engineered Silver Nanocrystallites Is
Dependent on Surface Coatings and Cell Types
Anil K. Suresh*†, Dale A. Pelletier†, Wei Wang‡, Jennifer L. Morrell-Falvey†,
Baohua Gu‡, and Mitchel J. Doktycz*†§
†Biosciences Division, ‡Environmental Sciences Division, and §Center for Nanophase Materials Sciences, Oak Ridge National Laboratory, Oak Ridge, Tennessee, 37831 United States
Langmuir, 2012, 28 (5), pp 2727?2735 DOI: 10.1021/la2042058
Publication Date (Web): January 4, 2012
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/la2042058

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年4月20日


 独特の抗菌特性のために、銀ナノ結晶は大きな注目を浴びており、創傷包帯、外科用器具、骨代用材などへの添加剤として生物医学応用分野で広く使用されている。それらはまた、環境中又は生物圏のような意図しない場所に放出されている。したがって、ナノ粒子の環境的生物系との潜在的な相互作用、運命、及び移動を理解することが極めて重要である。

 ナノ粒子の組成、サイズ、形状、表面電荷、キャッピング分子などを含む多くの要素が、細胞毒性に影響を与えることが知られている。我々の結果は、表面コーティングによって影響を受ける、表面電荷、異なる結合、及びアグリげーション(凝集)を含む、銀ナノ粒子の物理的/化学的特性が、細胞毒性を引き出し、潜在的な細胞相互作用に影響する主要な決定因子であることを実証した。

 本調査では、ほとんど均一のサイズと形状の分布を持つが、全体的に高い陰性を高い陽性に加えつつ(imparting overall high negativity to high positivity)、表面コーティングが異なる銀ナノ結晶を合成した。これらのナノ粒子は、それぞれゼータ電位が、+45 ± 5, -12 ± 2, -42 ± 5, and -45 ± 5 mV である、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド銀(poly(diallyldimethylammonium) chloride-Ag)、生体銀(biogenic-Ag)、コートされていないコロイド銀(colloidal-Ag)、及びオレイン酸銀(oleate-Ag)を含んでいたが、これらの粒子は誤った細胞毒性の解釈を避けるために、精製され徹底的に特性化された。これら4つの異なる銀ナノ粒子により引き起こされる細胞毒性影響、細胞反応、及び細胞膜の損傷に関する系統的な調査が、マウスのマクロファージ(RAW-264.7)と肺上皮(C-10)細胞系に関する多種毒性測定を用いて、実施された。

 我々の結果は、細胞毒性は、調査された異なる銀ナノ粒子の合成時における表面電荷及びコーティング材料、粒子凝集状態、及び細胞タイプのような様々な因子に依存することを明確に示した。ポリジアリルジメチルアンモニウム(poly(diallyldimethylammonium) )でコーティングされた銀は最も有毒であり、次に生体銀とオレイン酸銀が続き、表面加工されていない又はコロイド銀ナノ粒子はマクロファージと肺上皮細胞の両方に対して最も毒性が小さいことがわかった。また、我々の細胞毒性解釈に基づけば、表面加工に関係なく、肺上皮細胞はマクロファージ細胞より銀ナノ粒子に耐性があることがわかった。



化学物質問題市民研究会
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