Archives of Toxicology 2013年6月
Ag, CuO and ZnO ナノ粒子の選択された
環境的に関連のあるテスト生物及び
インビトロ哺乳類細胞への毒性のレビュー
アブストラクト

情報源:Archives of Toxicology June 2013
Toxicity of Ag, CuO and ZnO nanoparticles to selected environmentally
relevant test organisms and mammalian cells in vitro: a critical review
Olesja Bondarenko, Katre Juganson, Angela Ivask,
Kaja Kasemets, Monika Mortimer and Anne Kahru
http://link.springer.com/article/10.1007/s00204-013-1079-4/fulltext.html

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2013年6月7日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/2013_June_Toxicity_of_Ag_CuO_ZnO.html


 酸化銅(CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、及び、特にナノ銀は、バクテリア、菌類、 藻類の望ましくない成長を抑えるために意図的に使用される。しかし、これらのナノ粒子の消費者及び家庭用品から廃水系への、さらには環境中への放出は、天然の微生物や水生生物のような’非標的’生物に脅威を及ぼすかもしれない。

   本レビューは、銀(Ag)、酸化銅(CuO)及び酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子の(生態)毒性に関する最近の研究を要約するものである。それは、生態毒性学的ハザードの分析のために用いられた、主要なテスト生物種に焦点を当てている。比較のために、対象ナノ粒子のインビトロ哺乳類細胞への毒性影響に目が向けられた。

   藻類、甲殻類、魚類、バクテリア、イースト菌、線虫、原虫、及び哺乳類の細胞株について、全部で317の半数致死量値(L(E)C50)、又は最小発育阻止濃度値(MIC)が得られた。一般的に、甲殻類、藻類、及び魚類が対象ナノ粒子に対して最も感受性が高かった。銀ナノ粒子、酸化銅ナノ粒子、及び酸化亜鉛ナノ粒子の半数致死量値(L(E)C50)の中央値(mg/L)は、それぞれ、甲殻類について0.01、2.1、2.3; 藻類について0.36、2.8、0.08;魚類について1.36、100 、3.0 であった。

   驚くべきことに、ナノ粒子は水生生物よりもバクテリアに対して毒性が低かった。すなわち、バクテリアの最小発育阻止濃度値(MIC)は銀ナノ、酸化銅、及び酸化亜鉛の各ナノ粒子について、7.1、200、500 mg/L であった。それと比較すると哺乳類細胞の半数致死量値(L(E)C50)は、11.3、25、43 mg/Lであった。したがって、標的及び非標的生物への金属を含む3つのナノ粒子全ての毒性範囲は重複しており、消費者製品からの殺生物ナノ粒子の漏出に目を向けるべきであることを示している。

 


化学物質問題市民研究会
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