SBU(ストーニーブルック大学) 2013年4月18日
日用品や医療で使われている金ナノ粒子は
脂肪の蓄積を妨げ、老化をすすめ、傷の治癒を遅らせる


情報源:Stony Brook University Press Release Apr 18, 2013
SBU-Led Study Reveals Nanoparticles Found in Everyday Items Can Inhibit Fat Storage
Increase in gold nanoparticles can accelerate aging and wrinkling,
slow wound healing, cause onset of diabetes

http://commcgi.cc.stonybrook.edu/am2/publish/General_University_News_2/SBU-Led_Study_Reveals_Nanoparticles_Found_in_Everyday_Items_Can_Inhibit_Fat_Storage.shtml

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2013年4月23日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/
130418_SBU_gold_nano_inhibit_fat_storage.html


 身体手入れ用品やドラッグデリバリー、MRI造影剤、太陽電池などに使用されている純金ナノ粒子は、脂肪組織(adipose)の蓄積を妨げ、老化と小じわを加速し、傷の治癒を遅らせ、糖尿病の発症をもたらす原因となり得る。ストーニーブルック大学の化学分子工学部の客員准教授、タチアナ・ミロナバは、彼等の研究について、ジャーナル”ナノトキシコロジー(Nanotoxicology)”で、『金ナノ粒子細胞毒性と回復:脂肪組織由来間質細胞(Gold nanoparticles cellular toxicity and recovery: Adipose Derived Stromal cells)』で詳細を発表した。

 ストーニーブルック大学の口腔生物病理学教授であり、火傷被害者と様々負傷者の治療のための皮膚組織を開発している世界有数の同大学生体スキン・バンクのディレクターである共著者マルシア・サイモン博士と一緒に、研究者等は、非常に低用量のナノ粒子に曝露したときに基本的機能がかく乱されるかどうかを調べるために、イン・ビトロ(生体外)で脂肪組織を含む多機能性細胞へのナノ粒子の影響をテストした。

 皮下の脂肪組織は、熱や冷気からの断熱材として働き、栄養素の蓄えとして機能し、また詰め物として内部器官の周囲、黄色骨髄の中、及び乳房組織の中に見出される。

 彼等は、脂肪組織由来間質細胞(human adipose-derived stromal cells)(成人の幹細胞の一種)が金ナノ粒子により、ほとんど瞬間的に侵入され、その粒子は、明らかな排出経路なしに細胞中に蓄積されることを発見した。それらの粒子の存在は、運動;複写(細胞分裂);傷の治癒に重要なコラーゲン収縮;のような多能性細胞機能をかく乱する。

 研究者等によれば、最も不安な発見は、この金ナノ粒子が遺伝子制御とRNA(リボ核酸)発現を妨げ、成熟した脂肪細胞(adipocytes or fat cells)に分化させる能力を抑制したということである。”金ナノ粒子により引き起こされた低下(Reductions)は、全身的変化を身体に引き起こすことができる”とミロナバ教授は述べた。”これらは不活性で本質的に無害であると考えられてきたので、純金ナノ粒子もまた安全であろうと想定されていた。それと反対の証拠が出現し始めている”。

 この研究はまた、我々のからだが絶え間なく器官再生成のために利用している成人の幹細胞に及ぼすナノ粒子の影響を初めて示したものである。それは、間質細胞(stromal cells)由来の脂肪組織(adipose)は、皮膚、神経、骨、毛髪を含む多様な器官の再生にかかわっているが、ナノ粒子に曝露すると、適切な手がかりを無視し、分化しないことが明らかにされた。金ナノ粒子の存在はまた、 代謝の制御を促進するグルコースのレベルと脂肪酸の分解を制御することにかかかわるタンパク質であるアディポネクチン(adiponectin)を低下させる。

 ”我々は、金ナノ粒子の医療での適用において、注意深い検討とサイズの、濃度、適用期間の選択が重要であることを学んだ”とミロナバ教授は述べた。”よい知らせは、ナノ粒子を除去すると、最終的には正常な機能に復帰したことである”。

 ”ナノ粒子は、科学研究の最先端に位置し続けており、エネルギーと材料科学に新たな扉を開いている”とストーニーブルック大学の物質科学工学の著名な教授であり先端エネルギーセンターの主席科学者である共著者のミリアム・ラファイロビッチ博士は述べた。”発展は、社会的責任と新たな技術が環境的に持続可能であることを確実にすることに関連する。これらの結果は、これらの目標を達成するために非常に深く関係している”。  国家科学基金材料研究科学エネルギーセンター(MRSEC)とポリマープログラムにより資金提供押されたこの研究は、ストーニーブルック大学とニューヨーク州幹細胞科学(NYSTEM)の共同研究である。論文はまた、ニューヨーク技術研究所(NYIT)生命科学部門教授/議長であり、ストーニーブルック大学生物医学工学部の前教授の Michael Hadjiargyrou も共著者である。



化学物質問題市民研究会
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