フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
プレスリリース 2015年3月10日 銀ナノ粒子への暴露:新たな知見 情報源:ANSES - French Agency for Food, Environmental and Occupational Health & Safety, Press Release, March 10, 2015 Exposure to silver nanoparticles: update of knowledge https://www.anses.fr/en/content/exposure- silver-nanoparticles-update-knowledge 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2015年3月28日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ ANSES/150310_ANSES_silver_nano_update.html
凝集塊、凝集体、又はコロイド状であっても銀ナノ粒子は、多くの産業用途、特に食品(添加物、食品容器、冷蔵庫の内面ライニング)、布製品(衣料品と寝具類)、及び化粧品と身体手入れ用品(歯ブラシ、縮毛矯正用品、消毒スプレー、等)のような分野で使用されている。 銀ナノ粒子は市場で入手できる製品に主に抗菌の目的で組み込まれていると主張されており、環境中へのそれらの拡散による影響の可能性はもちろん、それらの健康への影響について定期的に疑問が提起されている。 ANSES 及びドイツにおける同等機関であるドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)により、それぞれ2009年と2010年に発表されたこの件に関する二つの報告書に対する応答として、2011年にANSES は、これらのナノ物質の毒性を評価している2010年以降に発表された多くの科学的文献を検討して、銀ナノ粒子への暴露に関連する健康と環境のリスク評価に関する知見を更新するよう公式の要請を受けた。 今日発表されている専門家の評価は、抗菌作用及びこれらのナノ粒子に対する菌類の潜在的な耐性はもちろん、銀ナノ粒子の全ての暴露経路についての新たな知見を含んでいる。 ANSES は、最近発表された毒性研究にはしばしば矛盾があり、今日においてさえ銀ナノ粒子の潜在的な有害特性を推定することを難しくしている。実際、今日、例えばその生殖毒性、遺伝毒性、又は神経毒性に関して結論付けることは不可能である。 ますますその数が増大する生態毒性研究が、調査された全ての水生及び陸生生物への生物学的影響を示している(死、成長抑制、遺伝子毒性、生殖毒性、等)。 ANSES 勧告 ANSES により実施された銀ナノ粒子に関する評価は、ナノ物質に関連するリスク評価の間に既に直面した多くの困難を示している。これについて、ANSES は2014年4月15日の”意見”−問題と現在の知見の更新−の中で示された、製品の全ライフサイクルを考慮しつつ、それぞれの物質とその使用をよりよく特性化するために、工業ナノ物質のための規制の枠組みを強化することを求めた勧告を繰り返す。 特に銀ナノ粒子に関して、ANSES は下記を勧告する。
最後にANSES は、銀ナノ粒子の使用(製造、加工、利用)は、その利点が明確に実証され、人の健康への利益が環境へのリスクに勝る用途に限定されるよう勧告する。 更なる情報(フランス語)
訳注1 SAFENANO 2012年3月5日 フランス 2013年にナノ物質の義務的報告を導入 |