米国立環境健康科学研究所 EHP 2016年2月号
レーザープリンターが放出する工業ナノ物質の
細胞毒性、ケモカイン発現、活性酸素種、
DNA メチル化、及び DNA 損傷に及ぼす影響:
ヒト小気道上皮細胞、マクロファージ、及びリンパ芽球の包括的な生体外分析


情報源:Environmental Health Perspectives Volume 124 | Issue 2 | February 2016
Effects of Laser Printer-Emitted Engineered Nanoparticles on Cytotoxicity, Chemokine Expression, Reactive Oxygen Species, DNA Methylation, and DNA Damage: A Comprehensive in Vitro Analysis in Human Small Airway Epithelial Cells, Macrophages, and Lymphoblasts [Abstract]
Sandra V. Pirela,1 Isabelle R. Miousse,2 Xiaoyan Lu,1 Vincent Castranova,3 Treye Thomas,4 Yong Qian,5 Dhimiter Bello,1,6 Lester Kobzik,1 Igor Koturbash,2 and Philip Demokritou1
http://ehp.niehs.nih.gov/1409582/#tab1

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2016年2月12日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ehp
/ehp_16_February_Effects_of_Laser_Printer-Emitted_ENMs.html

[アブストラクト]

背景:
 印刷機のトナー調剤に添加されている工業ナノ物質(ENMs)は、消費者の使用中に空気中に浮遊する。トナー粉及びプリンターが放出する粒子((PEPs)の両方の複雑な物理化学的及び毒性学的特性に関する情報は増大し続けているが、ほとんどの毒性学的研究は実際の PEPs を使用しておらず、主に原料トナー粉を使用しており、それは印刷中に消費者レベルで経験される現行の暴露の典型ではない。

目的:
 ヒト細胞株パネルの PEPs への暴露の生物学的反応を評価した。

方法:
 三つの物理化学的に適切な細胞株−小気道上皮細胞(SAECs)、マクロファージ((THP-1 cells)、及びリンパ芽球((TK6 cells)を、8時間又はそれ以上の消費者レベルのヒト吸入暴露期間に対応する広い範囲の用量(0.5〜100 μg/mL)で PEPs に暴露させた。この処置ののち、明確なメカニズムを反映する毒性学的パラメーターを評価した。

結果:
  PEPs は、暴露時間 7.8 から 1,500 時間に相当する用量で、膜統合性の明確な損傷、活性酸素種(ROS)生成の増加、及び様々な細胞株における炎症性サイトカイン放出の増加を引き起こした。さらに、統計的には有意でないが、 暴露の後、全体的染色体機能変化(エピゲノム)への PEPs の潜在的な影響を示すメチル化パターンに相違があった。

結論:
 この研究で得られた生体外での発見は、レーザープリンターが放出する工業ナノ物質は肺細胞に有害かもしれず、肺障害関に移行するかもしれない遺伝子の機能変更の予備的証拠を提供するものである。



化学物質問題市民研究会
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