ScienceDaily 2013年5月8日
ナノ銀の抗菌作用への耐性を獲得するバクテリア

情報源:ScienceDaily May 8, 2013
Bacteria Adapt and Evade Nanosilver's Sting
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/05/130508093058.htm

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2013年6月1日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/130508_ScienceDaily_Nanosilver.html


 ニューサウスウェールズ大学(UNSW)の研究者らは、消費者製品中での使用や医学や環境への応用が増大しているナノ銀粒子の抗菌特性に、微生物がどのように耐性を獲得しているのかを理解するために、もっと多くの作業が必要であると警告した。

  ナノ銀は、ある種の病原微生物に対して効果的な抗菌特性を有するが、ナノ銀粒子への過度の暴露は他の潜在的に有害な微生物の急速な耐性獲得とその拡散を引き越すことがあるということをニューサウスウェールズ大学(UNSW)の研究が明らかにした。

   ジャーナルsmall誌に発表されたこの結果は、抗菌材としての生物医学及び環境への応用へのナノ銀の将来の使用に広い範囲の影響を及ぼす可能性があることを示した。

 ”我々は、広く存在する微生物がナノ銀の抗菌作用に対して急速に対英を持つという自然に持つ重要な能力を発見した。これは、耐性獲得の初めての明確な証拠である”と、共著者であるニューサウスウェールズ大学(UNSW)化学工学校のシンディ・グナワン博士は述べている。

を  実験用培養菌を使用してUNSWの研究者らは、ナノ銀が標的微生物(Escherichia coli(大腸菌))を効果的に抑制するが、その存在は予期せぬこと、すなわち耐性の獲得と他の微生物種(Bacillus(桿菌/かんきん))の異常に急速な増加をもたらすことを観察した。

   ナノ銀がある種の病気の病原体を効果的に抑制することはよく知られており、その結果、医学の分野で包帯や創傷包帯 などに広く使われるようになった。それはまた、水や空気の浄化システムなどの環境用途、化粧品や洗剤、そして玩具やタッパウエアのようなものの表面コーティンブでも使用されている。

 しかし、研究者らは、”耐性微生物の潜在的な発展の証拠が欠如していることもあり、ナノ銀の抗菌特性の開発に弾みがついている”と言う。

”ナノ銀の抗菌作用は普遍的ではなく、これらの製品の広範な使用は長期的な有害影響の可能性を考慮すべきである”とグナワン博士は述べている。

 研究者らは、空気中に浮遊する芽胞に由来する桿菌/かんきん(Bacillus)がどこにでも存在するという特性があり、また耐性特性は潜在的に他の微生物の遺伝子に移行するので、これらの有害影響はもっと明白になるであろうと述べている。

   ”ナノ銀の医療用途について、このこと医療現場での抗菌効果を低減と耐性個体群の発展の可能性を示唆している”と、 共著者でありニューサウスウェールズ大学(UNSW)バイオテクノロジー及びバイオ分子学部の上席講師であるクリストファー・マークィーズ博士は述べている。

 ”この研究は、ナノ銀の広範な使用についての警告と抗菌メカニズム、順応性の程度、抗菌作用に対する細胞防御の分子基盤又は遺伝子についてのもっと深い研究の必要性を示唆している”。



化学物質問題市民研究会
トップページに戻る