更年期障害と漢方薬

更年期障害とは

女性は、加齢とともに卵巣機能の低下、肝機能の低下が始まり、生理不順(月経不順)起こり、やがて閉経を迎えます。閉経の時期は、個人差がありますが、おおよそ50歳前後が平均です。この閉経前後5~6年ずつを更年期と言います。

 

 更年期になると、エストロゲン、プロゲステロンなどの女性ホルモンが次第に低下しだし、閉経で更に低下します。この時期のホルモン分泌のアンバランスが視床下部に影響し自律神経のアンバランスを作り出し、これによって起こる心身の様々な不都合な症状が更年期障害で、昔から「血の道症」の一形態と言われてきました。
 女性は、思春期、月経前期、月経時、妊娠・産褥期、更年期、老年期などほぼ一生に渡って自律神経失調症状や不定愁訴が発症すると言われています。
更年期は女性の人生の大きな節目の時期であり、老齢期への移行期であり第二の人生のスタート地点とも言えます。

 

 一般的に、女性は、20歳で発育のピークに達し、30歳で成熟し40歳ごろから下り坂になります。女性が一番輝くのが30歳~45歳くらいかもしれません。
つまり華のある時期で、魅力的な時期でもあります。
しかし、45歳以降からは中年太りが気になりはじめ、50歳ごろに体重のピークを迎えるケースがあります。精神状態は、40歳ごろから安定しますが、更年期に差し掛かると精神と肉体との不調和、つまり気血の不調和が起こしやすくなり様々な不定愁訴が発症します。

更年期障害 漢方薬  漢方芍薬堂 上郡町

 

 更年期は、心身が常に安定した状態を保とうとするホメオスタシスが乱れ、機能的、器質的障害を生じます。
これが更年期障害で、精神症状が大半を占める更年期の自律神経失調症とも言えます。

 

 漢方の古典である「黄帝内経素問」には、男女の生理的な変化を男性は8年、女性は7年の倍数で現わしており、その中で「七七にして、任脈虚し、太衝の脈衰少し、天癸尽き、地道通ぜず。故に形壊え子なきなり」とあり49歳で閉経すると説明しています。

 

 更年期障害が出始める時期、女性を取り巻く環境にも大きな転機がみられ、閉経を機に老いを意識するようになり、精神的にもマイナス思考になりがちです。また、夫は仕事と称して家庭を顧みず、単身赴任であったり、子供は成長し、自立してしまい張り合いがなく、ぽっかりと心に穴があき、一概に女性ホルモンの減少ととらえるのではなく、精神的、こころのありようを踏まえた全身的、全人的に更年期障害を捉え対応し、幸せな第二の人生を送りたいものですね。

 

 近年は、平均寿命も延び、女性の社会進出も目覚ましく、更年期と言えども若々しく生き生きと活動的な女性も多くなってきました。実年齢よりは若く見えたい、老けたくない、輝いていたいという思いは、女性なら誰しも思うものです。更に第二の人生を羽ばたくためにも「ゆらぎ世代」などとネガティブにならず、ポジティブに生きたいものですね。

 

更年期障害に対する西洋医学的治療
 西洋医学では、エストロゲン、プロゲストロンなどのホルモン剤を使った治療。また、精神症状を伴うことから精神安定剤や抗うつ剤などを用いることもあります。
ホルモン剤や、精神安定剤などの長期連用による副作用のリスクや、更年期障害が精神身体両面に複雑にかかわっていることから、これらの西洋医学的治療がなかなか奏功しないケースもありますので、心身両面にオーダーメイド的に優しく効果を発揮する漢方薬治療を希望される方も多いのではないかと思います。

更年期障害の症状

更年期障害の症状は、個人差があり、症状、程度も様々です。更年期障害の発症率は70%位で、その内、約25%が重度の更年期障害といわれています。
また、更年期になりますと、生活習慣病などとの関係も考慮しなければなりません。
特にエストロゲンの低下により高コレステロール、高血圧、骨粗しょう症、糖尿病などが発症しやすく、更に子宮体ガン、乳がんのリスクも高くなる年齢になります。

 

更年期障害の症状
血管運動神経系の症状

  • 顔がほてる(ホットフラッシュ・顔面紅潮)
  • 暑くないのに汗をかく(発汗異常・ホットフラッシュ)
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  • 寒気
  • 熱感
  • 冷え症(冷え性・腰や手足が冷える(冷えのぼせ)
  • 手足のほてり(灼熱感)
  • のぼせ(冷えのぼせ)
  • 動悸、息切れ、呼吸が浅い(心悸亢進)
  • 不整脈
  • 高血圧狭心症、心筋梗塞
  • 低血圧めまい、ふわふわ感、立ちくらみ、ふらつき

精神神経系の症状

  • 不眠(寝つきが悪い・入眠障害)、夜中に目が覚める(中途覚醒)、よく夢を見る
  • 怒りやすかったり、イライラしたりする
  • クヨクヨしたり、憂鬱になる
  • 頭痛、頭重、頭帽感
  • めまい、ふわふわ感(起立性調節障害)
  • 不安感・恐怖感
  • 人に会いたくない、人の話が気になる
  • 耳鳴り・耳閉感(耳のつまり感)・難聴
  • 焦燥感
  • 気分の落ち込み
  • のどの痞え感(梅核気・のどの不快感)

運動器官の症状

  • 肩こり(首の凝り)
  • 腰痛(背中の痛み)
  • 関節痛(神経痛)
  • 筋肉痛

知覚神経系の症状

  • しびれ感(手足のしびれ)
  • 舌痛(舌がピリピリ、ヒリヒリ痛い)
  • 知覚過敏
  • 知覚鈍麻(麻痺感)
  • 蟻走感
  • 味覚異常
  • かゆみ(掻痒感)

泌尿器・生殖器系の症状

消化器系の症状

  • 悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛、腹部膨満感、便秘下痢

全身症状

  • 疲れやすい(疲労感)
  • 倦怠感(体がだるい)
  • あくび(欠伸)
  • 性欲減退

 これらの症状は、2~3同時に発症したり、日替わりメニューのように次から次へと不快な症状が現れ、これらの症状に関連性はなく器質的な変化はありません。

 

 更年期障害の症状は、他の疾患と似たところがあり、特に子宮筋腫子宮内膜症高血圧貧血甲状腺異常、神経痛、低血圧、神経症などは、更年期障害とよく似た症状があり更年期障害との鑑別が必要となります。

 

 また、更年期になると肥満になりやすく、サプリを色々試し、ダイエットしてもなかなかうまく行きません。更年期障害は、肥満傾向にある人は、症状が重く出る傾向にあり、生活習慣病も視野に入れ、適正体重を保つようににしたいものです。

 

 もともと更年期障害は、女性ホルモン・エストロゲンの低下で起こることから、それに伴い心因的、精神的ストレスの面が多く、漢方療法の全身的、全人的にとらえるスタンスが更年期障害の改善には大変有効です。

更年期障害の主な症状

更年期障害の特徴的な症状で、何もないのに突然顔が熱くなって真っ赤になったり(顔面紅潮)、体が急に熱くなったり、背中が熱くなったりします。これを「ほてり」や「のぼせ」「ホットフラッシュ」と言った表現で言っています。
 これは自律神経の変調で血管の収縮、拡張のコントロールがうまく行かず体が熱くなります。
更年期や、自律神経失調症の要因だけではなく、普段の生活習慣も影響し、例えば疲労、睡眠不足、ストレスなどにも左右され、これが女性ホルモンのバランスに影響を与えるわけです。

 

発汗
 発汗は、のぼせ、ほてり、ホットフラッシュに伴い起こる場合が多いですが、のぼせやホットフラッシュがなく発汗する場合もあります。発汗は滝のように流れるもの、じわーッと発汗するものなど、主に上半身、頭部の発汗が特徴ですがその人の体質によっても違いがあります。
これも自律神経の乱れで起こりますので、ストレスを溜めない生活が肝腎になります。漢方薬の服用で更年期障害の諸症状とともに緩和されてきます。

 

冷え症(冷え性)
 更年期になると、手足の先やお尻やお腹など体の一部が冷えて辛いことがあります。お風呂に入ってもなかなか温もらず、夏のエアコンの冷房も辛いものがあります。
冷えは、のぼせとセットで起こることも多く、これを「冷えのぼせ」と言っています。

 

 若い時から冷え症で、更年期になると自律神経の失調やホルモンバランスの乱れで冷えの症状が強く出ることもあります。これらの症状は漢方薬が得意とする症状で、漢方薬を用いて改善されることをお勧めいたします。

 

不眠症
 不眠は、更年期障害の症状として多くの方が訴える症状の一つです。
若い頃は布団に入るとすぐ寝付いていたのに更年期になるとなかなか寝付けなかったり、眠りが浅く、夜中何度も目が覚めてしまったりします。
冷えが原因で寝付けない場合もありますが、神経が過敏になり寝付けない人が多く、処方された眠剤を安易に毎日飲んでいる方も多くいます。
本来が更年期における精神の不安定から起こる不眠なので、漢方薬の気剤を中心とした漢方処方で心身の調和をとりながら不眠を解消することが不安感も払拭でき、日中の生活も安定し、自然な生活リズムを得ることができます。

 

動悸、息切れ
 動悸、息切れといえば年寄りの症状と思いがちですが、意外とそうではありません。急に走ったり、興奮したり、驚いた時などの動悸は、生理的な動悸ですが、更年期になると、何もしていない時、急に動悸がしたり息苦しくなったりします。
貧血ぎみや不安感の強い人などに多いようですが、必ずしもそうではなく、更年期における心身の不調和から、動悸が生まれます。
 漢方では、このような動悸は、気逆、気の上衝、奔豚として、気の異常としてとらえます。更年期に起こる動悸は、気血両面からの漢方ケアがQOLを上げるために重要です。動悸に関しては、心臓部分で起こる動悸、みぞおち付近で起こる動悸、臍の周りで起こる動悸など様々な動悸があり、それぞれ原因となる要素に違いがあり、それぞれに個々対応できる漢方薬があります。

 

 特に頓服として有効なのは、精神安定の作用を持つ麝香・龍腦製剤です。日本漢方は長い歴史の中、江戸時代中期、庶民も麝香、龍腦を使えるようになり、更にその研究、実績が蓄積されてきました。400年前から現在に続く漢方メーカーもあります。

 

頭痛・めまい・耳鳴り
 頭痛は、慢性頭痛、偏頭痛など女性に多く見られますが、生理に関係して起こりやすく、閉経を境に頭痛が軽くなったり、逆に強くなったりもします。
また、頭痛薬の効かない頭痛は、漢方薬の出番です。漢方では「通ざれば則痛む」と言って気血の滞りがあると痛みを強く感じます。そういった時に気血の流れを良くする気剤でリセットすればQOLも上がります。

 

 更年期は、めまい耳鳴りがセットで起こりやすく、耳鼻科で検査しても異常がなく不安になる方も多いようです。漢方ではめまい、耳鳴りは腎の衰えととらえます。つまり更年期、加齢現象の一つですが、本人にとっては悩ましいものです。
漢方薬で腎の若返り(アンチエイジング)を促し、めまい、耳鳴りを改善します。更年期障害 漢方芍薬堂 上郡町

 

イライラ
 更年期になるとイライラ、そわそわ、クヨクヨなど精神が安定せず、夫や家族と衝突したりします。性格ではなく更年期に起こる精神の不安定で、元は女性ホルモンのアンバランスによるもので、年とともに女性ホルモンが低下するのは誰しも同じですが、女性ホルモンがバランスよく徐々に低下し、閉経を迎えるようにすると精神も安定しQOLも上がります。
閉経前後の更年期には是非漢方薬で心身共に安定した更年期を過ごしていただきたいものです。

 

漢方コラム
「頭に血が上る」
 人が怒った時などよく「頭にくる」とか「頭に血が上る」などの表現を使います。そういった時人は「頭を冷やせ!」と言うわけですが、漢方でもやはりそういったことが言えます。
 先ず上るということですが、漢方では上衝とか気逆とかいった表現を使います。先に動くのは「氣」で、気のバランスが乱れ上衝したり逆上し、それに伴い「血」とか「水」が一緒に上へと動かされるのです。
「頭に血が上る」はまさに気血の上衝・逆上です。これによって現れるのは「怒」です。「怒」は五行説では肝に属し熱を持ちうっ血します。季節では春に属し色は青で眼にも通じます。怒って青筋立てて目を充血させた状態ですね。
 漢方の古典「素問」には「血気逆上すれば人をしてよく怒らしめる」また「血の余りあれば怒る」などと記されています。「血の余り・・・」とは血の気の多いことですね。この怒りを鎮めるには心身のエネルギーを発散するのが効果的です。漢方薬としては「麝香」「牛黄」「龍腦」がファーストチョイスとなりますが、各々の症状により「気血」「気水」などを良く判断し、気の上衝を改善してくれる桂枝を中心に気血であれば桂枝と血剤、気水であれば桂枝と水剤の組合せからなる処方を選びます。特に更年期障害の場合は、駆瘀血剤に気剤をプラスするのがベストです。
また、上半身に熱がこもっている時などは黄連・黄芩・山梔子の配合された処方を使い清熱しイライラ、のぼせ、頭痛、めまいなどを改善します。

若年性更年期障害

最近では、若い人の中にも更年期障害のような訴えを言われる方が増えてきました。
なんだかの原因でホルモンバランスを崩し、更年期障害のようになったと思われます。
 また、そのような場合、多くの人は、生理不順生理痛(月経困難症)、不正出血などを伴います。この場合も、心身をトータルにとらえる漢方薬が改善の手助けになることでしょう。

更年期障害の漢方薬

更年期障害の西洋医学的な治療には、先にも言いましたようにホルモン剤、抗不安薬(精神安定剤)、抗うつ薬、抹消循環改善薬、ビタミン剤などが投与されますが、特にホルモン剤や抗不安薬、抗うつ薬などを用いますと副作用の観点からも漢方薬がお勧めです。

 

 漢方薬は、「心身一如」の考え方で、その人の病を全人的にとらえることで心身のゆがみや気血水を調整することから、全身的症状を好転させ、更年期障害の様々な症状の緩和に役立ちます。
古来の漢方の古典や江戸時代の漢方隆盛期に書かれた書物にも「婦人篇」「血の道症」の項を立て詳しくその病状、治療、漢方処方の解説が記されています。その治療法、漢方薬は、西洋薬ではカバーできない症状などにも的確に対応でき、現代的病名がついていてもその実態は昔も今も変わりなく漢方薬の真価が期待されています。

 

 漢方は「気血水」「陰陽虚実表裏寒熱」「五行論」などの漢方独自の物差しでその人の「証」を把握し、処方へと導きます。特に「気」と「血」は、更年期障害の改善には重要な要素で「血」の質を高めたり、温め血流れを良くする作用や「気」のうっ滞を解消する作用などは漢方薬の真骨頂とも言えます。

 

 特に「氣」は大切で「病は気から」というように、気の乱れ、こころの乱れは症状を悪化させます。「氣」では「気虚」「気滞」の改善を目標にします。
「気虚」とは、元気がない、疲れやすい、食欲不振、動きたくないなど
「気滞」とは、胸痛、ゆううつ、のぼせ、イライラなど

 

また、「血」では
「瘀血」は、停滞した血液のことで、広い意味では血液循環障害、生理的活性を失った血液のことをいいます。これらを漢方薬で改善し更年期障害の諸症状を取り除く訳です。

 

 漢方薬の古典「金匱要略」婦人雑病篇には、「婦人の病の原因は、虚と冷えが重なり積もったものと、気が結ばれて発散しないことである・・・・云々」と書かれています。
つまり、加齢、疲労、冷え、ストレスが原因となるわけです。別の古典「千金方」には、女性の特徴を「女性は、病気に対する感じ方が男性の倍ほど強く、慈悲、愛憎、嫉妬、憂慮の念が強く、感情を自分で押さえることが出来ない。病根が深くなり治療に骨が折れる」と述べられています。

 

 また、婦人にまつわる様々な症状を「血の道」と日本独特の名称で江戸時代から言われています。江戸時代、漢方薬の研究が盛んに行われ、日本人の体質、日本の気候風土に合った漢方薬、養生法が確立しました。その中でも婦人科、産科は高度な発展を遂げました。
その時代生まれた漢方薬は、今でも受け継がれ現在も有効に活用されています。
「血の道」とは、月経、妊娠、流産、分娩、産褥、更年期などに伴い発症する精神的・身体的症状で、自覚的、精神的なものです。

 

江戸時代に書かれた「養生弁」には、「血の道とは男子に無きものなり」

更年期障害 漢方薬 上郡町

「血の道とは日本のことばにして、漢土(中国)に無き病なり」とあり「冷え症(冷え性)」とともに日本人特有の症状と言えます。
 江戸時代の漢方医で、吉益東洞の類聚方に注釈を加えた尾台榕堂の「類聚方広義」には、「婦人故なくして増寒し、壮熱あり、頭痛眩暈、心下支結、嘔吐悪心、支体酸軟し或いはくん痺し鬱々として人に対するを悪み、或いは頻々欠伸する者は俗に之を血の道と謂う」
と血の道について記しています。

 

血の道=更年期障害とは言えませんが、血の道は血にまつわる原因論で、更年期障害は、閉経という時期に起因する原因論で、更年期障害は、更年期に現れる血の道症と言えます。」

 

漢方コラム
血の道症とは原南陽 漢方芍薬堂 上郡町
「叢桂亭医事小言」巻之五 婦人偏  
原南陽(1752~1820江戸中期~後期)には
「婦人産後血熱退きかね、或は漏血の後よりし、或は辱に在るときに心労驚動などよりし、上衝、頭痛、大いに欠し、耳鳴、眩暈、心気乏少、寒熱発作、心中驚悸、明を悪みて暗室に入り、或は人と対することを忌む等の症を一面に血の道と称す」
と血の道症について述べています。

 

更年期障害とは
「龍野一雄 漢方医学大系より」
 血の道症の症状は、月経障害と自律神経の失調その他と精神症状の三つが組み合わさっており、その一つでも欠けていては血の道症とは云えない。その一つを切り放して治そうとしても駄目だ~

 

 月経障害とは、月経不順、月経困難その他凡ての月経異常を指したもの。

 

 自律神経失調その他とは、独立した局所的な組織や器官の疾病ではなく、自律神経失調で代表されるような様々な症状を広く指している。例えば冷え性、のぼせ、動悸などの血管運動神経障害の症状、頭痛、めまい、耳鳴り、不眠、夢が多いなどの神経症状、腰痛、肩こり、背中のこり等の運動器の症状、汗をかき易い、口がはしゃぐ、唾が多い等の皮膚分泌の症状、むかむかする、吐く、食欲不振、直ぐ下痢する、便秘等の消化器症状、小便が近い、夜中に小便に起きるなどの泌尿器の症状などである。

 

 神経症状としてはよく不安、いらいら、怒りっぽい、恐怖感、不眠、忘れっぽい、興奮し易い、憂鬱、取越苦労などが起こる。

 

 こういう風に、必ず精神的な症状を伴うから、昔は一概にヒステリーと云われてしまっていたのだが、それは誤解で今日ではヒステリー性格とヒステリー発作とが揃っていなければヒステリーとは云わない。その殆ど全部が実は血の道症なのだ。」

 

 更年期障害は、漢方薬の第一選択になる症状と言っても過言ではありません。言い換えれば、漢方薬でしか改善できない症状と言えます。
更年期障害に見られる様々な症状は、西洋医学では、脈絡のない症状の集まりにしか見えませんが、漢方では、それぞれの症状に意味があり、一つの概念で把握でき、それが則治療方針となります。

 

 一般的には、不定愁訴という表現でその様々な症状を総称していますが、漢方薬の古典には、それに対応する漢方薬が「婦人病」という婦人科の項目をたて詳細に記されていおり、江戸時代には、それらに対する養生法の書物も数多く出版されました。更年期障害に対し漢方薬1処方で様々な症状に対応できるのも漢方薬の特徴です。

 

 漢方では、更年期障害も他の疾患と同じように陰陽虚実寒熱を捉え、気血水の変化を分析し心身一如で対処していきます。
 そこで特に重要なのは、不定愁訴の大半が精神的なものであり、心身症であり、心気症であり、仮面うつの様であったりして、この精神的な面からも更年期障害を捉える必要があります。幸いにも漢方は「心の医学」「気の医学」といわれ精神的な症状の対応もきめ細かにでき、心身両面からの対応が出来るのも漢方薬の真骨頂と言えます。

 

 漢方薬は病名診断だけで処方を決定するものではありません。心身両面から総合的(全人的)にその人の証を把握し、その人にとって必要な薬味の組み合わせの結果、処方が決まります。特に更年期障害の瘀血をさばく重要な漢方薬に「丸」が漢方薬名につくものがあります。これは「丸」でなければ本来の効き目が期待できないので丸い粒状の丸剤にしています。丸剤は、昔から古典通りに構成生薬を粉末にして蜂蜜で丸く固形にしたもで、揮発性成分が有効成分なので熱を加えない丸剤にしています。現在これらの漢方薬をエキス化したものが病院やドラッグストアーで出されていますが、熱を加えエキス化したものは揮発性有効成分が失われており本来の効果は期待できません。丸剤の本物の漢方薬をお出しできるのも漢方薬専門の真骨頂とも言えます。

 

 更年期障害の改善の過程でどうしても、気分が落ち込んだり、イライラしたり突然のホットフラッシュに悩まされたりする場面も多くあります。
そんな時、更年期障害の頓服として使える、麝香・龍脳製剤は、即効性があり、大変ありがたい漢方薬で、こういった頓服をうまく使い、リセットし更年期を乗り切りQOLを上げ多いものですね。
 更年期障害の改善には、是非あなたに合った漢方薬と養生法をお役立てください。

更年期障害の養生

更年期障害を良くするのも悪くするのも「気」「こころ」の在り方次第です。つまり、ストレスによって更年期障害の症状が変化してしまうので、ストレスをいかに解消するかにかかっています。女性は男性に比べデリケートです。女性の病の大半は「心の病」といってもよいくらいです。

 

 また、四季にかかわらず、身体を冷やさないことです。特に足首の三陰交のツボ三陰交 漢方芍薬堂 上郡町は大切で、ここを指圧するのもいいですし、絶えず冷やさないようにしておくことも大切です。足湯などで温まるのも大変お役に立ちます。

 

〇良い人間関係を
 家庭、夫、仕事関係、友人関係全てにおいて、それぞれの立場を理解し、自分らしいスタンスでいることです。自分らしくない自分を演じたり、我慢するのはやめましょう。
家庭では、今まで主婦であり妻であり母てあった時から環境は変化しています。現在の自分の立ち位置を把握し、主体的に生きましょう。笑みを忘れず目的をもって生活しましょう。

 

〇自分らしく生きる
 オシャレや、趣味など少し冒険するくらいの気持ちで何事もトライの精神で新しいことにも挑戦しましょう。オシャレや化粧をしなくなるとぐっと老けてきます。以前は派手だと思っていた服やアクセサリーも意外と似合うものです。
自分の病は自分で治すといったポジティブな心の持ちようが大切です。

 

おしゃれについてですが、
「紅を差す」は女性らしさ、女性の美しさの表現でもあります。紅とは口紅のことで、昔は、紅花から臙脂を作り、それを蛤の貝殻に入れ口紅として使っていました。漢方では、紅花(コウカ)は、血剤で血行をよくする生薬です。
現在、月経不順、月経痛、月経困難、神経痛、腰痛、肩こりや更年期障害に用いる漢方薬の中にも配合されています。昔は、漢方薬を用いるまでもなく、日ごろから紅を差すことで知らず知らずのうちに口の中に紅花の成分が入り、血行を良くしていたのかもしれません。

 

〇心のおしゃれ
 良い人間関係と自分らしく生きることに通じますが、常に健康を意識して生活すること。できるだけ自分より若い人、明るい人との交流を楽しみ、気持ちの面でもワクワクするような若さを保ち、生活の中にもその若さを反映させましょう。気持ちが若いと実際にも若く見えます。

 

〇食事に気を付ける
 心身の元は食べ物です。肉体づくりは理解しやすいですが、実はこころも食べ物で影響されます。
基本は、旬の食べ物、五味の調和、一物全体など。午前中はデトックスの時間なので、朝粥で脾胃(消化機能)のエネルギーを作りデトックスしましょう。
体を冷やす食べ物は、控えましょう。冬に夏野菜を食べるとか、夏でも夏野菜とからだを温める食材の組み合わせで上手に食養生が出来ます。
詳しくは後述の食養生で

 

〇香りのある生活
 生活の中に香りを取り入れましょう。食事の香味野菜、スパイスは勿論のこと、お香、アロマやハーブなど、季節やその時の気持ちを立て直してくれる香りをうまく取り入れリフレッシュしましょう。お茶ですとハーブティーなどがいいですね。
香りは気を晴らし、気のめぐりを良くしてくれます。気のめぐりが良くなれば血の巡りも良くなってきます。最高のアロマは麝香・龍腦です。

更年期障害の食養生

漢方では、腎は先天の気の宿るところであり生殖機能と関連があると言われています。この腎の気には、陽気と陰気があり、漢方をはじめ養生・食養生ではこのバランスがとれていることが大切であるとしています。
腎の陽気が不足すると、手足の冷え、腹の張り、下痢、足腰のだるさ、夜間頻尿、むくみなどが起こります。エネルギー不足による冷えです。

 

 また、腎の陰気が不足すれば、のぼせめまい耳鳴り、多汗、肌の乾燥、かゆみ、口の渇き、手足のほてりなど潤す力が低下し虚熱を生じます。
食養では、この陰陽のバランスをとるために腎を補う食材をバランスよく薬膳の理論で美味しく食べます。

 

 現代は、お肉の料理が食事には欠かせませんのでお肉の害を防ぎ消化を助けるスパイスや香味野菜を上手に取り入れましょう。具体的には、漢方カウンセリングの中でご指導いたします。

 

食養生は、更年期障害改善には大変重要です。私たちの心身は、食べ物から出来ています。間違った食べ方、食べてはいけないものを改善し、食養生・薬膳の理にかなった正しい食べ方、正しい食材を理解し食養生を実践しましょう。

 

 身近な食材を使った薬膳から、漢方食材を使った薬膳まで、漢方理論に基づいた薬膳を漢方の専門家ならではの薬膳をご自宅で手軽に実践できる方法でご提案いたします。薬膳は、漢方薬同様その人その人に合った薬膳を具体的にご提案いたします。 薬膳ブログ「日々塩梅」もご覧ください。

 

いつまでも生き生きと若くありたい女性のため、更年期障害改善の漢方薬・養生法(薬膳)のご相談は上郡町の漢方薬専門「漢方芍薬堂」へお気軽に

 

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