めまいと漢方薬

めまいについて

めまい(目眩、眩暈)には、回転性のめまいや体がふらつく(ふわふわ感・浮遊感)目の前が真っ暗になる立ちくらみなどの症状があります。

 

メニエール(メニエル)のように内耳の障害で起こるめまいもあり、本来は漢方薬が大変有効ですが、ここでは、西洋医学的に原因がはっきりしないめまいを中心にお話いたします。

めまいのパターン(症状)

回転性めまい
  周囲や天井がくるくる回るめまい

 

立ちくらみ
  急に立ち上がったり、急に顔を持ち上げたりするとふらついたり、目の前が真っ暗になる。ふわふわ感

 

ふらつき
  歩いている時、急にフラッとしたり、座っていてもフラッとして地震でも来たのかと間違うような状態、ふわふわした感じや体が安定しないふらつきや浮遊感。

 

起立性調節障害ふわふわ感
  自律神経失調症の一つで立ちくらみ、立っていると気分が悪くなる、脳貧血、頭痛が起こります。10歳以降の子供や若い女性に起こりやすい。

めまいとその他の症状

めまいと共に耳鳴り、難聴がある
 (メニエル病)
 突然、激しいめまいが起こり、吐き気、耳鳴り難聴が起こる。

 

 (中耳炎)
 発熱、耳の痛み、難聴、耳鳴り、耳のふさがった感じなどを伴うめまい。

 

動悸や肩こりがある
 (高血圧・動脈硬化)
 頭が重い感じでめまい、動悸、肩こり、息切れ、手足のしびれなどが起こる

 

 (低血圧)
 疲れやすく、頭が重い、肩こり、だるさ、眠気などが伴うめまい

 

 (貧血)
 顔色が悪く、疲れやすく、少し動くだけでも息切れ動悸がする。めまい、耳鳴り、頭が重い

 

 (自律神経失調症)
 頭重、不眠、疲れやすい、体がだるい、動悸がする、胃が重いなどの症状を伴うめまい

 

 (更年期障害)
 動悸、頭痛腰痛、肩こり、のぼせ、不眠などの不定愁訴を伴うめまい

 

歩くとふらつく
 (起立性調節障害)
 立ちくらみを起こしやすく、立っていると気分が悪きなり、倒れそうにになる

 

頭痛、意識障害がある
 (脳の損傷)

 

 (脳腫瘍)

 

 (脳出血)

 

ここでは、原因がはっきりしないもの、更年期障害自律神経失調症などに伴うめまいについてお話します。

漢方から見ためまい(眩暈)

漢方では、動悸とめまいが同時にあるものを「眩悸」といい、めまいとともに頭に何かかぶっているかのような重い感じを「冒眩」と言います。

 

 漢方ではめまいは、主に水毒から起きる一症状と捉えています。
血毒(循環器障害、高血圧、瘀血、腎虚、加齢)などによるめまいもありますが、このめまいは血毒、腎虚による症状の一つで、主ではなく、別に主な症状がありそれに付随して起こるものです。また、気の異常(自律神経失調症)によるめまいもあります。

 

 当然、漢方のアプローチも変わってきます。更年期障害に伴うめまいもよくあります。

 

【水毒によるめまいと漢方薬】
 めまいを主訴に嘔吐、吐き気、頭痛、耳鳴り、動悸、難聴などを伴う場合がありますが、体の中の水分の偏在を治す水剤を中心に配合した処方を使いめまいを改善します。
改善の漢方処方は、その人の証に従い選定します。その他の症候では、心下部がチャプチャプする、小便が減少する、口が渇くなどがあります。
女性の場合は貧血傾向を伴うめまいも多く、上記の症状のほかに手足の冷え、不眠があります。これには、貧血を改善しながら同時にめまいも改善できる漢方薬があります。

 

【血毒によるめまいと漢方薬】
 血毒によるめまいは、動脈硬化、更年期障害のめまいで、黄連が配合された漢方薬を用い、瘀血による上衝には、駆瘀血剤が配合された漢方薬を中心に用います。

 

【気の異常によるめまいと漢方薬】
 気の異常によるめまいは、気滞、気うつ、気の上衝や気の不足によって起こりますので、それぞれ気剤を配合した漢方薬、気の不足には、補気剤が配合された漢方薬を用います。つまりストレスを背景とした目眩のとらえ方です。

 

気血水それぞれに因る「めまい」に有効な漢方薬は、めまいに伴う随伴症状にも同時に対応できますので、是非ご相談下さい。

 

漢方コラム
日本漢方の古典から見ためまい

 

「内科秘録」 本間棗軒(180~1872)幕末から明治時代
眩運(めまい)
眩運ハ古ヨリ脳海虛也ト説テ即チ脳病ナリ 脳ノ自ラ病テ發スル者アリ 或ハ外ヨリ脳ヲ犯シテ起ル者アリ 中風(軽い脳卒中)癇證(卒倒し痙攣する)發狂恐怖等ニテ眩運スルハ脳ノ自ラ病ナリ 婦人産後及崩漏(子宮出血)帯下、吐血、衂血(鼻血)腸風(潰瘍性腸炎)尿血ノ類ニテ血液虛竭(貧血)シ虛里(乳の下)及腎間(臍のあたり)ノ動(動悸)非常に悸動シ或ハ過食加浴諸熱病等ニテ眩運を發スルハ外ヨリ脳ヲ犯シタルナリ 其状頭目ノ旋廻運轉スルヲ覺ヘ漾漾(ヨウヨウと水が揺れる様)トシテ舟車ノ中ニ坐スルカ如ク杳杳(ヨウヨウと暗い様)トシテ雲烟(煙)ノ間ニ在ガ如ク亦蹣跚(千鳥足)トシテ數(しばしば)倒レント欲シ須臾(少しの間)モ安静ナルヿ(こと)ヲ得ス 甚シキ者ハ宮室(天皇の御殿)ハ傾覆スルカ如ク凡(おおよそ)席ハ浮沈スルカ如ク又一段甚シキ者ハ遂ニ昏冐(冒)シテ色(顔色)ヲ失シ人事ヲ省セス或ハ嘔シ或ハ欠(あくび)シ或ハ冷汗出テ脈モ絶スルヿ有リ然レ(ども)須臾ニシテ必ラス蘇活スルナリ

 

傷寒論苓桂朮甘湯ノ條に起則頭眩ト云タル通リ眩運は臥ス(とき)ハ必ラス止ミ鎮リタリト思ヒ更衣等ニ起ツハ復(また)必ラス眩スル者ナリ甚シキ者ニ至テハ床蓐(ねどこ)ニ臥シテモ眼ヲ合シテモ旋運スル者ナリ

 

( )内は愚生訳

 

漢方では、めまいについて様々な用言、用語で現わされてきました。
その一例として
眼眩、眩暈、眩転、眩冒、昏朦、頭眩、頭眩運、旋暈、旋運、頭風眩、
頭面風、頭旋、癲眩、掉眩、風頭眩、目眩、目瞑などです

 

起立性低血圧

起立性低血圧は急に立ち上がった時に一時的に頭部の血圧が下がり、めまいやふらつきを起こし、疲労感、動悸、目のかすみなどを伴います。
正常なら自律神経の調節で血圧がコントロールされますが、加齢や様々な疾患から起こる二次性起立性低血圧症や薬剤性起立性低血圧症もありますが、多くは、自律神経失調症から起こります。

 

 漢方では、起立性低血圧症を水毒だけではなく、瘀血や血虚といった「血」の異常と合わせて捉えていき、補血を中心にその人の証に従って「水」「血」の調整やそれを補う漢方薬を用います。自律神経失調症を背景にしていることからストレスケアを目的に気剤を使って更にその効果を更に高めます。

起立性調節障害

起立性調節障害は、もともとその人の素因にストレスが誘因となり、自律神経のバランスが崩れ朝起きられない、めまい、立ちくらみ、ふらつき、浮遊感などが起き、午前中はシャキッとしません。特に思春期に起こりやすい症状です。

 

 漢方では、胃腸機能の低下を補ったり、水毒を捌く漢方薬を使います。起立性低血圧症と同じように自律神経失調症が背景にありますので、気剤をうまく使うことで、集中力も増し、胃腸機能を調えることで気力も増し自分に自信が持てるようになっていきます。

めまいの養生

急なめまいやふらつきが起こった場合は、頭の位置をめまいが起こらない位置にし、しばらく安静にしましょう。
 日常は規則正しい無理をしない生活をして、特に睡眠は十分にとり寝る前はリラックスするようにしましょう。また、多くには、水毒が背景にありますので水分を取り過ぎていないかチェックしてみましょう。
水分補給のお茶としては、利水効果のある「はと麦茶」で余分な水滞をさばきながら水分補給知するのが養生です。

 

 また、意外と気づかないのが、ストレスで、ストレスで気のめぐりが悪くなると【気の異常によるめまいと漢方薬】でお話したようなめまいが起こり、気がコントロールしている「血」「水」の調整も乱れることからそれぞれのめまいが起こります。ストレス解消、ストレス発散は、心養生の基本ですので、ストレスを溜めない生活にしましょう。

めまいの食養生

食養生では、水分代謝を司る「腎」を補う食べ物を薬膳理論に基づき食養生するのも大切です。

 

 食養生は、めまい改善には大変重要です。水毒を改善する食養生に心がけましょう。私たちの心身は、食べ物から出来ています。間違った食べ方、食べてはいけないものを改善し、食養生・薬膳の理にかなった正しい食べ方、正しい食材を理解し季節に適応した食養生を実践しましょう。 
身近な食材を使った薬膳から、漢方食材を使った薬膳まで、漢方理論に基づいた薬膳を漢方の専門家ならではの薬膳をご自宅で実践できる方法でご提案いたします。薬膳は、漢方薬同様その人その人に合った薬膳を具体的にご提案いたします。

 

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