低血圧

低血圧の基準は、WHOの血圧判定に基づいて最高血圧が100mmHg以下、最低血圧が60mmHg以下とされています。血圧は、体の隅々まで血液を送り酸素や栄養素を届けるために必要で、血圧が下がることによって十分な血液が供給されず各臓器にダメージを与えます。特に重力の関係で脳へ必要な量の血液を送るには、十分な血圧が必要となり、脳への血液供給が減ると頭痛、めまい、立ちくらみだけではなく認知症の原因になる可能性もあります。

 

動脈の収縮によって血圧は上がり、拡張すると下がります。動脈内にある血液量よりも静脈内にある血液量の方が多く、静脈から心臓へ戻る血液量が少なくなると心臓は十分な血液を送れず血圧は下がります。日ごろから運動不足などで静脈からの戻りの血液量が少ない人にも低血圧は起こりやすくなります。
また。低血圧の人は、心臓のポンピングの力が弱く、長時間立っていると脳への血液量が減りめまい、立ちくらみを起こします。この様な人はもともとの体質に貧血や自律神経のアンバランスなどの要件が複雑に絡み合っています。

低血圧の種類

  • 本態性低血圧
  • 症候性低血圧
  • 起立性低血圧

このページでテーマとして取り上げるのは、原因がはっきりしない本態性低血圧です。低血圧のほとんどは、この本態性低血圧で、要因として遺伝的要素があり、両親が低血圧の人は、低血圧になる可能性が高くなります。体質的には

  • 虚弱(疲れやすい等)
  • 胃腸虚弱
  • やせ型
  • 若い女性

低血圧の症状

 

などです。

漢方から見た低血圧

低血圧は高血圧同様、血圧計がこの世に現れてからの存在になりますが、その症状は昔から把握しており漢方的な解釈をし、きちんと対応してきました。漢方的にみると低血圧の人のほとんどが虚証であり、それに伴って血虚が備わります。つまり、血液循環の弛緩状態で、冷え症や水毒などが存在します。
虚証ですから気虚・血虚となり、胃腸機能も低下しており、女性ですと生理に関するトラブルや症状を呈します。大きくタイプ別に分けますと

  • 気虚・血虚(血色が悪く元気がない)
  • 胃腸虚弱(胃下垂、食欲不振など)
  • 婦人科系疾患(冷え症生理痛生理不順など)
  • 水毒(水分代謝異常)
  • 腎虚(高齢者の場合など)

低血圧の漢方薬

気虚・血虚
貧血傾向にあり、冷え症で、血色は良くなく元気がない、疲れやすい、食欲不振、風邪をひきやすく、一旦ひいてしまうとなかなか治らないというような人で、このような人には、補気剤として人参、黄耆などが配合された漢方薬を用います。補血には当帰、地黄などの生薬が配合された漢方薬を用います。

 

胃腸虚弱
体質的には、胃下垂があり、ストレスなどで胃腸に反応が出やすく下痢しやすいタイプです。多くはやせ型で、顔色も青白かったり青黄だったりします。胃がチャプチャプ(胃内停水)することもあります。朝起きづらいのはこのタイプ。この様な人には、人参、乾姜などが配合された漢方薬を用います。
あまり冷え症がなく、虚弱でお腹が痛くなるような場合には、建中湯類を用います。

 

婦人科疾患
冷え性で生理不順生理痛不妊症、肩こり、めまい耳鳴り、頭重感、頭痛、吐き気などをとのなう場合。補血剤である当帰、川芎を中心とした漢方薬を用い、手足が冷え頭痛、嘔吐、悪心などがあれば呉茱萸が配合された漢方薬を用います。

 

水毒
水毒は、体内の水分代謝が悪い状況で、頭痛、めまい、立ちくらみなどが起こりやすくなります。その他、むくみや冷えを起こします。その様な人には、利水効果のある朮、茯苓などが配合された漢方薬を用います。体の深部が冷えている場合には、附子が配合された漢方薬を用います。

 

腎虚
高齢になり、手足の冷え、全身倦怠、痛み、シビレ、尿量が減少したり又は多くなったりし低血圧の場合には腎を補う八味地黄丸などの腎気丸類を用います。

低血圧の養生

低血圧の人の特徴的症状として朝起きるのがつらい、午前中エンジンがかからない、めまい、立ちくらみなどがありますが、こういったいわば体質的な状態を自覚して、少し意識を変えて生活することで症状改善を図ります。
朝起きるのが苦手な人で意外と夜更かしは大丈夫という人もおられますが、早寝早起きは健康の基本であり、規則正しい生活を目指し、朝の太陽光を浴びましょう。季節の変わり目、生理前は症状が強く出る傾向もありますので自律神経を安定させるためにもリラックスするなどしてストレスを解消しましょ。

 

静脈血が心臓に戻らないことも低血圧の原因となりますので、出来れば毎日のウォーキングなど足腰を使った有酸素運動をしましょう。足は第二の心臓とも言われ特に腓腹筋、ヒラメ筋などのふくらはぎの筋肉を伸び縮みさせる運動で静脈の動きを助けましょう。有酸素運動をすることは、心肺機能の向上だけでなく、自律神経の安定にも役立ちます。

低血圧の食養生

低血圧の食養生の基本は、体を温めることにあります。生野菜や冷たい飲み物は控えましょう。体を冷やす食材でも栄養価、五味の調和から価値のあるものもあり、加熱調理するとか、辛温の香辛料(スパイス)、香味野菜など体を温める作用のあるものをうまく使い食養生します。何が良い悪いではなく、いかにうまく取り入れるかにあります。
食材としては、ヨモギ、ニンジン、にんにく、ほうれん草、玄米、プルーン、枸杞子、竜眼肉、大豆、豆乳、ブリ、タイなど。

 

本朝食鑑

気味:甘酸、温
主治:気血を滋潤し、人を肥健にする

 


気味:甘、温
主治:五臓を補い、腹中を温め、気血を滋す。常食すると顔色よくし、人の寿を延し、肝腎を潤し、腸胃を調え、久洩虛痢*を治し、水気腫満**によし。
*久洩虛痢=全身倦怠感があり消化不良のもの
**水気腫満=水毒でむくみ腫れるもの

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