数列と、その類型・属性の定義 : トピック一覧


・定義:数列/数列のつくる集合/部分列 
・定義:単調数列/有界数列/有理数列   
・定義:数列の上限sup下限inf/数列の最大値max最小値min/  
・性質:数列の最大値最小値 

・定義:数列の収束・極限値/上極限・下極限/振動する/発散する∞に/−∞に) 



→関連ページ:
 ・数列の性質:数列の上限sup下限infの性質/数列の極限の性質
 ・数列の応用:級数 
 ・数列の一般化:R2上の点列/Rn上の点列/点列一般/sequence/family 

総目次



定義:数列 (特に、実数列の無限数列) sequence of numbersreal sequence 


はじめに読むべき定義
数列 (厳密には、無限数列の実数列) とは、
  自然数1に対して実数 x1  
  自然数2に対して実数 x2
  自然数3に対して実数 x3
     :      :
 という具合に、
 自然数nに対して実数xnを定めた「自然数から実数への対応づけ」のこと。
 ※0,1,2,3,…の各々に対して実数x0, x1, x2, x3,…を対応づける数列も、
  ときに用いられる。
かたい定義
実数列とは、
 各項が実数である 
   つまり、「 INXRとした、写像 ( 関数 )『φ:IX』 」
 のこと。
記法
自然数1,2,3,…の各々に対して、
 実数 x1, x2, x3,…を定めた数列は、
 自然数1,2,3,…を添数に用いて、つぎのように表される。
      x1, x2, x3,…
     { x1, x2, x3,… }


{ xi }
i=1
     { xn } nN
     { xn } n≧1
     { xn } n=1,2,3,…   〔笠原『微分積分学』1.2(p.8)〕
・これらの略記法として、
     { xn }  
※厳密に言えば、上記は無限数列の表し方。
 有限数列の表現は、『岩波入門数学辞典』「数列」(p.297)参照.
「数列のつくる集合」「数列の項の集合」との区別に注意。

termとは?
・数列x1, x2, x3,…のtermとは、数列をなす各々の数x1, x2, x3,…のこと。
・数列x1, x2, x3,…の初項とは、自然数1に対応付けられた先頭の実数x1のこと。
・数列x1, x2, x3,…のn n-th term とは、
   自然数nに対応付けられた「数列の第n番目の数」 xn のこと。




[文献─数学一般]
 ・『岩波数学辞典(第三版)』 項目58関数D族・列(p.158).
 ・『岩波入門数学辞典』「数 列sequencek,progression」(p.297).
 ・吉田栗田戸田『昭和63年3/31文部省検定済 高等学校基礎解析』3章1.数列とその項(pp.62-63)
[文献─解析]
 ・小平『解析入門I』§1.4 数列の極限a)極限の定義(p.22);
 ・笠原皓司『微分積分学』1.2(p.8)
 ・小林昭七『微分積分読本:1変数』 1章5数列と収束(p.11)
 ・松坂『解析 入門1』2.1数列-B数列(p.58)
 ・赤攝也『実数論講義』§5.1数 列-定義5.1.1-5.1.3(p.121) 
 ・黒田『微分積分学』2.5.1(p.41)
 ・加藤十吉『微分積分学原論』 定義2.4(p.15ー16)
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブッ ク[1変数関数編]』3.1.1(p.90)real sequence,
 ・和達『微分積分』1-3数列と極 限(p.6)
 ・青本『微分と積分1』§1.1(a)(pp.1-2):定義はない。記号等。
 ・杉浦『解析入門I』I-§2-定義4(p.11);
 ・矢野『距離空間と位相構造』A.2.4(p.242);
 ・Ross,Elementary Analysis:The Theory of Calculus,ChapterU§7(p.24)
[文献─数理経済]
 ・神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』(p.66)


 ・入谷久我『数理経済学入門2.3(p.33)

 





【関連概念】 
 


 数列を一般化した概念:R2上の点列/Rn上の点列/点列一般/sequence/family   
 ※数列の諸類型:単調数列/有界数列/有理数列
 ※数列の具体例:数列an=c,   








数列のビジュアル化

・数学のテキストを見比べると、
 数列の図式化には、
  ・数直線上にプロットしたもの 
  ・グラフ上にプロットしたもの
 の2タイプがあることに気づく。

・数列を数直線上に図式化したテキスト
     ・黒田『微分積分学』§2.5.2-図2.5(p.44)
     ・志賀『解析入門30講』第2講図2(pp.8-9)。
     ・笠原『微分積分学』1.2図1.1(p.9)
     ・和達『微分積分』1-4図1-5(pp.9-10)
     ・中内『ろんりの練習帳』2.8(1)(p.115)
     ・神谷・浦井『経済学のための数学入門』(p.68)

    εと、数直線の拡大率を、操作できるようにする。

・数列をグラフ上に図式化したテキスト
     ・和達『微分積分』1-4図1-6(p.10)
     ・吹田・新保『理工系の微分積分学』1章§2(I)(p.5)
     ・青本『微分と積分1』§1.3-図1.4(p.22)

 
→数列の様々な数値例とそのグラフ

 
「数列の収束・極限値」先頭 




[文献−解析]

 ・志賀『解析入門30講』第2講(pp.8-9)。
 ・和達『微分積分』1-4(pp.9-10)
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』1章§2(I)(p.5)
 ・笠原『微分積分学』1.2図1.1(p.9)
 ・黒田『微分積分学』§2.5.2-図2.5(p.44)
 ・青本『微分と積分1』§1.3-図1.4(p.22)

[文献−論理]
 ・中内『ろんりの練習帳』2.8(1)(p.115)数直線


[文献−数理経済]
 ・神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』(p.68)









→[トピック一覧:数列の収束・極限値・発散の定義]
総目次

定義:「数列のつくる集合」「数列の項の集合」「数列のとる値の集合」 


定義

・「数列x1, x2, x3,…のつくる集合
 「数列x1, x2, x3,…の項の集合
 「数列x1, x2, x3,…の項のつくる集合」[杉浦『解析入門I』I§2定義4(p.11)]
 「数列x1, x2, x3,…のとる値の集合
 とは、
 数列x1, x2, x3,…に出てくる数を全部あつめてきた集合
     {  xn | nN } 
 のこと。

 [ 赤『実数論講義』(p.115);黒田『微分積分学』(p.42);
             『解析演習ハンドブック』(p.90)]





[文献─解析]
 ・笠原皓司『微分積分学』1.2(p.8)
 ・赤攝也『実数論講義』§5.1数 列-定義5.1.1-5.1.3(p.121) 
 ・黒田『微分積分学』2.5.1(p.41)
 ・小平『解析入門I』§1.5実数の性質-a)上限下限(p.37)脚注;
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブッ ク[1変数関数編]』3.1.1(p.90)real sequence,





「数列」と「数列のつくる集合」との違い



・「数列x1, x2, x3,…」といった場合は、自然数n実数 xn との対応関係を問うているのに対して、
 「数列x1, x2, x3,…のつくる集合」といった場合は、
     x1, x2, x3,…のなかにどの実数が出現するかのみが問題とされ、自然数n実数 xn との対応関係は看過される。
 この「数列」「数列のつくる集合」間の違いを、あらわにする事例を二つ示す。

 【事例1】 ある数列{ xn } の「自然数実数との対応関係」のみを変更した数列{ x'n } を扱う事例


  ・ある数列{ xn } の「自然数実数との対応関係」のみを変更した数列{ x'n }を考える。
  ・数列としては、「自然数実数との対応関係」が問われるので、「自然数実数との対応関係」が異なる{ xn },{ x'n } は別物。
  ・しかし、「数列のつくる集合」においては「自然数実数との対応関係」が看過されるので、
   「数列xnのつくる集合{ xn | nN },「数列x'nのつくる集合{ x'n | nN }等しい

  [数値例]
  ・自然数1に対して実数 x1=1
    自然数2に対して実数 x2=2
    自然数3に対して実数 x3=3
       :      :
    自然数nに対して実数 xnn
       :      :
    と定めた数列{ xn } を考える。
  ・数列{ xn }の第1項と第2項との入れ替えによって、
   数列{ xn } に出現する実数1,2,3,…,n,…をいじらず、
   数列{ xn } における「自然数実数との対応関係」のみを変更した数列{ x'n } を作る。
   すなわち、数列{ x'n } では、
     自然数1に対して実数 x’1x2=2を対応付ける。
     自然数2に対して実数 x'2x1=1を対応付ける。
     自然数3に対して実数 x'3x3=3を対応付ける。
        :      :
     自然数nに対して実数 x'nxnnを対応付ける。
        :      :
  ・「自然数実数との対応関係」が問題にされる数列としては、
     〜つまり、項が先頭から何番目にあるのかということと、その項の値がいかなる実数であるのかということとの対応が問題にされる数列としては〜
   数列{ xn }=1,2,3,4,5,…と、数列{ x'n }=2,1,3,4,5,…とは、別物(第1項、第2項の値が違うから)。
  ・しかし、「数列{ xn } のつくる集合{1,2,3,4,5,…}「数列{ x'n } のつくる集合{2,1,3,4,5,…} とは等しい
   二つの集合が「等しい」ということの定義は、「二集合の元がまったく同じ」ということだけなので、
   「自然数実数との対応関係」〜つまり、項が先頭から何番目にあるのかということと、その項の値がいかなる実数であるのかということとの対応〜が同じかどうかなどは、
   無視される。
    [→笠原『微分積分学』1.2(p.8)]

 【事例2】 複数の項が同一実数値をとる数列{ xn } を扱う事例


  ・第l項,第m項が同一実数値aとなる数列{ xn }  を作る。
  ・「自然数実数との対応関係」が問題にされる数列としては
     〜つまり、項が先頭から何番目にあるのかということと、その項の値がいかなる実数であるのかということとの対応が問題にされる数列としては〜
   自然数lに対して実数aが対応づけられ、自然数mに対して実数aが対応づけられるということは、重要な事実。
  ・ところが、
   「自然数実数との対応関係」を問題とせず
        〜つまり、項が先頭から何番目にあるのかということと、その項の値がいかなる実数であるのかということとの対応を問題とせず〜
   ただ、どの実数が出現するかのみを問題とする「数列{ xn } のつくる集合」としては、
   「実数a元として属している」という点のみが重要な事実なのであって、
   実数a自然数lにも自然数mにも対応づけられるという事実は、捨象される。
  ・だから、数列{ xn }を表すときは、「実数a自然数lにも自然数mにも対応づけられる」という事実を示すために、
     数列{ xn } ={x1, x2, x3,…, xl-1 , a , xl+1, …, xm-1, a , xm+1 , …}
   と、aを重複して書き出すけれども、
   「数列{ xn } のつくる集合」を書き出すときには、
      「実数a自然数lにも自然数mにも対応づけられる」という事実には関心が向けられず、
      ただ「実数a元として属している」という事実にしか関心が向けられないので、
   「数列{ xn } のつくる集合」の外延的記法においては、aの重複が排除され、一個のaしか書き出されない。
  
   [数値例]
   ・自然数1に対して実数 x1=11=1
    自然数2に対して実数 x2=12=1
    自然数3に対して実数 x3=13=1
       :      :
    自然数nに対して実数 xn=1n=1
       :      :
    と定めた数列{ xn } を考える。
   ・数列{ xn } は無限数列{ 1, 1, 1, …, 1, … }
   ・しかし、「数列{ xn } のつくる集合」は、1元集合 { 1 }

   [数値例]
   ・自然数1に対して実数 x1=(−1)1=−1
    自然数2に対して実数 x2=(−1)2=1
    自然数3に対して実数 x3=(−1)3=−1
    自然数3に対して実数 x4=(−1)4=1
       :      :
    自然数nに対して実数 xn=(−1)n
       :      :
    と定めた数列{ xn } を考える。
   ・数列{ xn } は無限数列{ −1, 1, −1, 1, … }
   ・しかし、「数列{ xn } のつくる集合」は、 { −1, 1 }
        [黒田『微分積分学』注意2.8(p.42);笠原『微分積分学』1.2(p.8)]


記法上の工夫

・「数列」と「数列のつくる集合」との間には、このような違いがあるのに、
 どちらも記号 { } で表すのは紛らわしい。
 そこで、
 テキストによっては、
   数列を { } ではなく、( )で表し、
   { } は、「数列のつくる集合」のみを表す記号としてのみ使う
 という回避策をとっているものもある。
・このようなテキストでは、
 数列は、
     ( x1, x2, x3,… )


( xi )
i=1
     ( xn ) nN
     ( xn ) n≧1
     ( xn ) n=1,2,3,… 
     ( xn )  
 といった具合に、表され、
     { x1, x2, x3,… }
     { xn }  
 は、「数列のつくる集合」のみを表す。


       [黒田『微分積分学』注意2.8(p.42);永倉宮岡『解析演習ハンドブック[1変数関数編]』3.1.1(p.90)]

・しかし、日本で刊行されているテキストを見る限り、この記法が多数派であるとまでは言い難い。
 この記法で数列を表しているテキスト:杉浦『解析入門I』I-§2-定義4(p.11);松坂『解析 入門1』2.1数列-B数列(p.58);永倉宮岡『解析演習ハンドブック[1変数関数編]』3.1.1(p.90) ;


→[ト ピック一覧:数列の収束・極限値・発散の定義]
総目次

定義:単調数列 monotone sequence


狭義単調増加列

・「数列x1, x2, x3,…が狭義単調増加列である」とは、
  数列の各項x1, x2, x3,…が、「x1x2x3…」を満たすこと。

詳細:狭義単調増加列 

一般化:狭義単調増加関数  

狭義単調減少列

・「数列x1, x2, x3,…が狭義単調減少列である」とは、
  数列x1, x2, x3,…が、「x1x2x3…」を満たすこと。

詳細:狭義単調減少列 

一般化:狭義単調減少関数 

広義単調増加列、単調非減少列

・「数列x1, x2, x3,…が広義単調増加列である」[→和達『微分積分』]
 「数列x1, x2, x3,…が単調非減少列[→小平『解析入門I』『岩波入門数学辞典』]
 とは、
 数列x1, x2, x3,…が、「x1x2x3…」を満たすこと。

広義単調増加列x1, x2, x3,…を記号「xn」で表すことがある。 

詳細:広義単調増加列・単調非減少列

一般化:広義単調増加関数 





[文献─数学一般]
 ・『岩波数学辞典(第三版)』項目166収束(pp.436).
 ・『岩波入門数学辞典』「単調減少列monotone decreasing sequence」「単調増加列monotone increasing sequence」(p.392).


[文献─解析]
 ・松坂『解析入門1』2.2-B単調有界数列の収束定理(p.69)
 ・小平『解析入門I』§1.5実数の性質-b)単調数列(p.37);
 ・杉浦『解析入門I』I-§3-定義1 (p.17);
 ・杉浦『解析演習』1.4(p.2):「広義単調増加列」「狭義単調増加列」「広義単調減少列」「狭義単調減少列」
 ・吹田新保『理工系の微分積分学』1章§2数列(p.9);
 ・赤攝也『実数論講義』§5.4単調数列-定義5.4.1-5.4.2(p.126) 
 ・笠原皓司『微分積分学』定義している箇所見当たらず。
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブック[1変数関数編]』3.2.1(p.106)。
 ・和達『微分積分』7章2節有界な単調数列(p.173)「広義の単調増加/減少」
 ・加藤十吉『微分積分学原論』定義2.7(p.19)
 ・小林昭七『微分積分読本:1変数』使用しているが定義が見当たらない。
 ・黒田『微分積分学』2.6.1(p.54)

[文献─数理経済]
  ・神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』2.2実数列とその収束(p.71)





 





単調数列を一般化した概念:単調関数    


性質:有界な単調数列は収束する





 


広義単調減少列、単調非増加列

・「数列x1, x2, x3,…が広義単調減少列である」[→和達『微分積分p.173]とは、
  「数列x1, x2, x3,…が単調非増加列[→小平『解析入門I』『岩波入門数学辞典』]
 とは、
 数列x1, x2, x3,…が、「x1x2x3…」を満たすこと。

広義単調減少列x1, x2, x3,…を記号「xn」で表すことがある。 

詳細:広義単調減少列・単調非増加列

一般化:広義単調減少関数 

「単調増加列」は両義的

 「単調増加列」という用語は、
  狭義単調増加列を指す場合もあれば、
  広義単調増加列(単調非減少列)を指す場合もある
 ので注意。

詳細:単調増加列

「単調減少列」は両義的

 「単調減少列」という用語は、
  狭義単調減少列を指す場合もあれば、
  広義単調減少列(単調非増加列)を指す場合がある
 ので注意。

詳細:単調減少列



広義単調列
広義単調列とは、広義単調増加列広義単調減少列の総称。


狭義単調列 strictly monotone sequence
狭義単調列とは、狭義単調増加列狭義単調減少列の総称。

単調数列 monotone sequence
単調数列とは、単調増加列単調減少列の総称。
注意:「単調増加列」「単調減少列」が両義的であることから、
    「単調数列」という用語も両義的。



→[トピック一覧:数列の収束・極限値・発散の定義]
総目次

定義:有界数列bounded sequence



上に有界な数列、上界

 「上に有界数列」とは、

 「この実数以下に、全項を押さえられる」と言える数列

 この実数を、その数列上界と呼ぶ。

厳密には?→詳細 


下に有界な数列、下界

 「下に有界数列」とは、

 「この実数以上に、全項維持できる」と言える数列

 この実数を、その数列下界と呼ぶ。

厳密には?→詳細 


有界数列bounded sequence

 「有界数列」とは、

 「この実数以上、あの実数以下に、全項おさまる」と言える数列

 この実数を、その数列下界と呼び、
 あの実数を、その数列上界と呼ぶ。

厳密には?→詳細 




[文献─「数列の項のつくる集合」を用いて定義]
 ・小平『解析入門I』§1.5実数の性質-a)上限下限(p.37);
 ・赤攝也『実数論講義』§5.2数列の極限値定義5.2.3(p.121)
 ・杉浦『解析入門I』I-§2-命題2.4直前(p.13);
 ・笠原『微分積分学』1.2実数列の収束:定理1.10脚注(p.13)
[文献─「数列の項のつくる集合」の意味に遡って定義]
 ・松坂『解析入門1』2.1数列-B数列(pp.60-61)
 ・杉浦『解析演習』1.4(p.2)
 ・青本『微分と積分1』§1.3(a)(b)(pp.18-20)上界、下界、有界、上限、下限、最大、最小
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブック[1変数関数編]』3.1.2(p.90)bounded sequence
 ・和達『微分積分』7章2節有界な単調数列(p.173)
 ・黒田『微分積分学』2.5.2-定義2.7(p.46)
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』5章(pp.44-5)
 ・加藤『微分積分学原論』定義2.8(p.20):「上に有界」「下に有界」なしに「有界」「上限」「下限」
[文献─数理経済]
 ・入谷久我『数理経済学入門』2.3(p.33)


 ・神谷・浦井『経済学のための数学入門』2.2実数列とその収束(p.71)
 





数列の上界・下界の発展概念:上限sup下限inf
 


性質:有界な単調数列は収束する /数列の上限下限と上界下界/有界数列における上限下限の存在
     有界数列だからと言って最大最小があるとは限らない 
     収束数列は有界だが、有界数列が収束するかどうかは分からない。

有界数列の類概念:
 →「実数の集合」について:上界・上に有界/下界・下に有界/有界
 →実数値関数について:1変数関数が有界 /2変数関数が有界/n変数関数が有界/実数値関数が有界 
 →「点集合」ないし「実数ベクトル」の集合について:R2における有界な集合/Rnにおける有界な集合/距離空間一般における有界な集合 
 →点列について:R2における有界な点列/Rnにおける有界な点列/距離空間一般における有界な点列
 →ベクトル値関数について:1変数ベクトル値関数が有界/2変数2値ベクトル値関数の有界/n変数ベクトル値関数が有界









定義:数列の集積値・集積点 point of accumulation of the sequence

数列の集積値・集積点とは、「その数列のつくる集合」の集積点のこと。

【文献】
 ・黒田『微分積分』定義2.9(p.65)
 ・Lang,ラング現代微積分学』2章§1(p.41)点
 ・Lang, Undergraduate Analysis,Chapter2§1(p.35):point of accumulation
 ・能代『極限論と集合論7章2集積点(p.129):Rn上。極限点との関係。
 ・杉浦『解析入門I』V-§1上極限下極限-定義4直前(p.364);数列{an}の集積値とは、数列{an}の部分列の極限となる点のこと。
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブッ ク[1変数関数編]』3.3.1数列の集積値accumulation point, limit point of sequence, subseauential limit point(p.115)


→[トピック一覧:数列の収束・極限値・発散の定義]
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定義:数列の上限sup・下限inf


数列の上限 sup  

数列のつくる集合の概念を用いた定義】


 ・「数列x1, x2, x3,…上限supremum」   sup   xn
n

  とは、

  「数列x1, x2, x3,…のつくる集合」の上限 sup { xn | nN }のこと。

    [赤『実数論講義』定義5.2.3(p.121);小平『解析入門I』§1.5-a(p.37);
      杉浦『解析入門I』I-§2-命題2.4直前(p.13)]

数列のつくる集合の意味に遡った定義】


 ・「実数b*が『数列x1, x2, x3,…上限supremum』である」

    b* =  sup    xn 
n≧1

    b* =  sup    xn
n

    b* = sup  xn   

  とは、

  数列x1, x2, x3,…のどの上界と比べても、
  実数b*が、数列x1, x2, x3,…上界として、最小の上界であるということ、

  つまり、
  [条件1] 実数b*自身も『数列x1, x2, x3,…上界』の一つであること
       すなわち、実数b*は、すべてのnに対して xnb* を満たすこと 
  [条件2] 実数b*は、どの『数列x1, x2, x3,…上界』と比べても、
       同じか小さいかのいずれか。
        すなわち、実数b*は、
              数列x1, x2, x3,…任意の上界bに対して、
                       b*b  を満たすこと
  がともに成立するということ
  を意味する。 

        [青本『微分と積分1』定義1.26(p.20)]

 ・「sup  xn=∞」とは、「数列x1, x2, x3,…上に有界ではない」ということ。 
        [青本『微分と積分1』定義1.26(p.20)]

 ※数列x1, x2, x3,…上に有界ならば
   数列x1, x2, x3,…には、上限が存在する。詳細 
       [青本『微分と積分1』命題1.27(p.20)]

  →活用例:上極限[青本『微分と積分1』(p.21)]
  →活用例:実数指数の累乗の定義

論理記号を用いた定義】





[文献─「数列の項のつくる集合」を用いて定義]
 ・小平『解析入門I』§1.5実数の性質-a)上限下限(p.37);
 ・赤攝也『実数論講義』§5.2数列の極限値定義5.2.3(p.121)
 ・杉浦『解析入門I』I-§2-命題2.4直前(p.13);
 ・笠原『微分積分学』1.2実数列の収束:定理1.10脚注(p.13)
 ・加藤『微分積分学原論』定理2.10の直前(p.20):

[文献─「数列の項のつくる集合」の意味に遡って定義]
 ・青本『微分と積分1』§1.3(a)(b)(pp.18-20)上界、下界、有界、上限、下限、最大、最小


[文献─数理経済]
  ・神谷・浦井『経済学のための数学入門』2.2実数列とその収束(p.71)






 





数列の上限sup・下限infの類概念:「実数の集合」について:sup/inf 
 


性質: 数列の上限下限と上界下界/「数列の大小関係」と「数列の上限の大小関係」/数列の上限下限と最大最小
     有界な単調数列は収束する/有界数列における上限下限の存在
     「数列の上限下限」と「数列間の和」の順序交換/「数列の上限下限」と「数列の定数倍」の順序交換 








 ・ b*sup  xn  ( nN ) ( xnb* ) かつ (bR )( ( nN ) (  xn b ) ( b*b )


数列の下限 inf 

数列のつくる集合の概念を用いた定義】


 ・「数列x1, x2, x3,… の下限infimum」   inf   xn
n

  とは、

  「数列x1, x2, x3,…のつくる集合」の下限 inf { xn | nN } のこと。

    [赤『実数論講義』定義5.2.3(p.121);小平『解析入門I』§1.5-a(p.37);
      杉浦『解析入門I』I-§2-命題2.4直前(p.13)]

数列のつくる集合の意味に遡った定義】


 ・「実数b*が『数列x1, x2, x3,…下限infimum』である」

    b* =  inf   xn
n≧1

    b* =  inf    xn
n

    b* = inf  xn

  とは、

  数列x1, x2, x3,…のどの下界と比べても、
  実数b*が、数列x1, x2, x3,…下界として、最大の下界であるということ、

  つまり、
  [条件1] 実数b*自身も『数列x1, x2, x3,…下界』の一つであること
       すなわち、実数b*は、すべてのnに対してb* xnを満たすこと 
  [条件2] 実数b*は、どの『数列x1, x2, x3,…下界』と比べても、
       同じか大きいかのいずれか。
        すなわち、実数b*は、
              数列x1, x2, x3,…任意の下界bに対して、
                       bb*  を満たすこと
  がともに成立するということ
  を意味する。 

               [青本『微分と積分1』定義1.26(p.20)]

 ・「inf  xn=∞」とは、「数列x1, x2, x3,…下に有界ではない」ということ。 
               [青本『微分と積分1』定義1.26(p.20)]

 ※数列x1, x2, x3,…下に有界ならば
   数列x1, x2, x3,…には、下限が存在する。→詳細 

   [青本『微分と積分1』命題1.27(p.20)]

論理記号を用いた定義】



 ・ b*inf  xn     ( nN ) (b*xn ) かつ (bR )( ( nN ) (  bxn ) ( bb* )
 


→[トピック一覧:数列の収束・極限値・発散の定義]
総目次

定義:数列の最大値/最小値


論理記号を用いずに】


 ・「『数列x1, x2, x3,…最大値』は xmである」
    xm =  max    xn 
n≧1

  とは、
   xmが、すべてのnに対して xn xm を満たすことをいう。

 ・「『数列x1, x2, x3,…最小値』は xmである」
    xm =  min    xn 
n≧1

  とは、
   xmが、すべてのnに対してxmxn  を満たすことをいう。


論理記号を用いて】


    xm =  max    xn    ( nN ) (  xn xm
n≧1


    xm =  min    xn    ( nN ) ( xmxn )
n≧1


  *このように、『数列x1, x2, x3,…最大値・最小値』は
        「数列x1, x2, x3,…の項」から選ばれなければならない。
  *数列x1, x2, x3,…最大値・最小値は、存在するとは限らない。
    たとえ、数列x1, x2, x3,…有界であったとしても。→詳細 
  




[文献─解析]

 ・青本『微分と積分1』§1.3(b)(p.20)






 



→[トピック一覧:数列の収束・極限値・発散の定義]
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性質:数列の最大値・最小値


    

【数列の最大最小と上限下限】


数列x1, x2, x3,…最大値が存在するな らば
  「数列x1, x2, x3,…上限」は、「数列x1, x2, x3,…最大値」。
     sup xnmax xn
数列x1, x2, x3,…最小値が存在するな らば
  「数列x1, x2, x3,…下限」は、「数列x1, x2, x3,…最小値」。
     inf xnmin xn 

【有界数列と最大最小】


上に有界な数列x1, x2, x3,…であっても、
      最大値max xn が存在するとは限らない。
  ※存在しない例:青本『微分と積分1』§1.3(b)命題1.27直前(p.20)

下に有界な数列x1, x2, x3,…であっても、
      最小値min xnが存在するとは限らない。





[文献─解析]

 ・青本『微分と積分1』§1.3(b)命題1.27(p.20)





 




→[トピック一覧:数列の収束・極限値・発散の定義]
総目次

定義:有理数列 


有理数列とは、すべての項が有理数である数列のこと。
・任意の実数は、有理数列の極限[小平定理1.16]。




[文献─解析]

 ・小平『解析入門I』§1.4数列の極限-c)(p.27)







→[トピック一覧:数列の収束・極限値・発散の定義]
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定義:部分列 sub-sequence


はじめに読むべき定義
 「数列 {xn}の部分列」とは、
  数列 {xn}の無限個の項x0, x1, x2, x3, x4, x5,…から、
  その一部の項を無限個抜き出し、順序を保ったまま並べた数列
    たとえば、
      x1, x3, x5, x7,… 
      x10, x11, x12, x13, x14, x15,…  
      x0, x10, x18, x20, x45, x100,…
    など      
  のこと。 
少しかたい定義
 「数列 {xn}nN部分列」とは、
  INにたいする{xn}nI のこと。 
記法
数列{xn}の部分列は、
{ x
}
n(k)

{ x
}
nk
 などと表す。
 kは、部分列のなかで何番目の項にあたるかを、
 nk, n(k) は、もとの数列で何番目の項だったのかを表している。

・例えば、

     もとの数列: x0 , x1 , x2 , x3 , x4 , x5 ,
部分列 x1 , x3 , x5 , x7 , x9 ,  
   
 
x
, 
n1
x
, 
n2
x
, 
n3
x
, 
n4
x
, 
n5
 

 このとき、
  ・n1=1
  ・n2=3
  ・n3=5
  ・n4=7
  ・n5=9
  :
  :

・つまり、
 数列{xn}の部分列{ x
}の添数nkもまた、数列{nk}kNなのであり、
nk
                  
 この数列{nk}kNは、狭義単調増加n1n2n3<…である。






[文献─数学一般]
 ・『岩波数学辞典(第三版)』 項目58関数D族・列(p158)
 
[文献─解析]
 ・黒田『微分積分学』§2.5.9(pp.53-4):詳しい
 ・矢野『距離空間と位相構造』A.2.4(p.242);
 ・小平『解析入門I』§1.4-c定理1.4の前段(pp.25-6)。

 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブック[1変数関数編]』3.2.5(p.106)
 ・吹田新保『理工系の微分積分学p.11;

[文献−論理]
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』5章(p.43)

[文献─数理経済]
 ・神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』定義2.2.5(pp.71-72):詳しい


 ・入谷久我『数理経済学入門定義2.11(p.36)



 





「数列の部分列」を一般化した概念:R2上の点列の部分列/Rn上の点列の部分列/一般の集合上の点列の部分列
 


性質:1/2 

活用例:ボルツァノ・ワイエルストラスの定理/点列コンパクトの定義





    


→[トピック一覧:数列の収束・極限値・発散の定義]
総目次

定義:数列の収束 convergence 極限値 limit 

ビギナー向け定義

・「 数列 { an } 実数αに収束する」 " { an } converges to α "
 「『数列 { an } 極限値』は実数αである」" { an } has limit α"       




an→α (n→∞) 」  「 lim
an=α  」
n→∞
   
 とは、

 数列 { anにおいて「の番号」nを限りなく大きくするとき、
  anの値が実数αに限りなく近づくということ。

 詳細・問題点→ はじめに読むべき定義と、その問題点 

・「 数列 { an } 収束する」 
 「 数列 { an } 収束列である
 「数列 { an } 極限値をもつ
 「数列 { an } 極限存在する
 とは、

 「an→α (n→∞)」を満たす実数αが存在するということ。

 詳細・問題点→はじめに読むべき定義 


厳密な定義

・厳密には、
 「 数列 { an } 実数αに収束する」 " { an } converges to α "
 「『数列 { an } 極限値』は実数αである」" { an } has limit α"       




an→α (n→∞) 」  「 lim
an=α  」
n→∞
   
 は、

 論理記号で、

   ε>0 NN nN ( nN|  an−α|<ε)   
   ε>0 NN nN (  nNan (α−ε, α+ε) )   
   ε>0 NN nN (  nN anUε(α) )   

 と定義される。

    どう読むの? → 論理記号読み下しサンプル 
    言葉で説明すると? →  言葉で正確に 
    どういうこと? → 考え方 / イメージトレーニング
    具体的には? → 具体的に噛み砕いて  
    ビギナー向け定義のどこを明確化? 
    もっと論理的に! → 論理の解説

・「 数列 { an } 収束する」「 数列 { an } 収束列である
 「数列 { an } 極限値をもつ」「数列 { an } 極限存在する
 とは、

 論理記号で、




[文献−解析]
 ・『岩波入門数学辞典』「ε-δ論法 ε-δ method」(p.33).
 ・小林『微分積分読本:1変数』 1章5数列と収束(pp.12-17)
 ・黒田『微分積分学』§2.5.2定義2.6(pp.42-5);談話室(p.83):非常に丁寧で感動的。 
 ・小平『解析入門I』§1.4-a(p.22)。
 ・笠原『微分積分学』1.2定義1.6(pp.8-9)
 ・志賀『解析入門30講』第2講(pp.8-9)。
 ・高木『解析概論』5-6.
 ・杉浦『解析入門I』I-§2-定義5(p.12);
 ・杉浦『解析演習』1.1(p.1);
 ・青本『微分と積分1』§1.2(b)(p.11)
 ・和達『微分積分』(pp.7-10)
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』1章§2(I)(pp.5-7)
 ・松坂『解析入門1』2.1数列-C-定義(p.59)
 ・矢野『距離空間と位相構造』A.2.4(p.242);
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブッ ク[1変数関数編]』3.1.3-3.1.4(p.91)
[文献−論理]
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』2章(pp.11-5)
 ・中内『ろんりの練習帳』2.8(1)(pp.112-7)
 ・新井紀子『数学は言葉』例題4.3.1.1(pp.136-137);例題4.4.4(p.147);
[文献−数理経済]


 ・神谷・浦井『経済学のための数学入門』(p.68)

 





【関連事項】
 
 


・数列の収束条件:有界単調数列の収束定理/ボルツァノ・ワイエルストラスの定理/コーシーの判定法
収束数列の性質
・収束の反意語:発散(∞に発散/−∞に発散)
・数列以外に関する「収束」「極限」概念の定義:
 →点列について:R2上の点列の収束/Rn上の点列の収束/点列の収束一般    
 →関数について:1変数関数の極限/2変数関数の極限/多変数関数の極限/実数値関数の極限/1変数ベクトル値関数の極限/n変数ベクトル値関数の極限/距離空間のあいだの写像の極限





  αR  ε>0 NN nN ( nN|an−α|<ε)
  αR  ε>0 NN nN ( nN an (α−ε, α+ε) ) 
  αR  ε>0 NN nN ( nN an Uε(α) ) 

 と定義される。

  どういうこと? →考え方 
  言葉で説明すると? →言葉で正確に  
  もっと論理的に! →論理にこだわって 



1. 1/n→0  ( n→∞ ) →証明

2.  n
n 
→1  ( n→∞ ) →証明  
   
3. an→α( n→∞ )のとき、
  bn=(a1+a2+…+an)/n (nN)によって定義される{ bn }について、
  bn→α  ( n→∞ )
      →証明
4. 任意の定数aに対して、
     an/n! → 0 (n→∞)
   ※指数関数のマクローリン展開の証明に使われる。
   →証明
5.  α>1である限りで任意の実数α、任意の自然数kに対して、
    an/nk → +∞ (n→∞)  
   ※利用例:以下の事項の証明。
    ax/xk → +∞ (x→∞)  
      
   →証明



→[トピック一覧:数列の収束・極限値・発散の定義]
総目次

定義:上極限 limes superior, limit superior,superior limit ,下極限 limes inferior,limit inferior,inferior limit




数列{an}の上極限 







lim sup
 an ないし  lim  an   
n→∞
n→∞

 とは、 






lim
 sup { an | nk }    
k→∞



 のこと[→詳細]。

数列{an}の下極限 







lim inf
 an ないし  lim  an   
n→∞
n→∞

 とは、 






lim
 inf { an | nk }    
k→∞



 のこと[→詳細]。





[文献]
 ・松坂『解析入門1』2.2-E(pp.74-76)
 ・青本『微分と積分1』(p.21)
 ・高木『解析概論』12
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学p.16;
 ・杉浦『解析演習p.5;
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学p.46;
 ・小平『解析入門I』§1.5.c(pp.38-40)。












定義:「数列がαに収束しない 」 


・「 数列 { an } 実数αに収束しない
      ¬ ( an →α (n→∞) )
 とは、

  ε>0 NN  nN ( nN かつ  | an−α|≧ε )
    ある特定のε>0があって、
     どのように番号Nを選んでも、
      Nよりも大きな番号nが存在して、
      | an−α|≧εを成立させる[]

 ということ。

数列 { an } が、どんな実数にも収束しないとき、
 数列 { an } 発散すると言う。[→発散の定義]




[文献]
 ・小林『微分積分読本:1変数』 1章5数列と収束(p.17)
 ・中内『ろんりの練習帳』例2.8.2(p.117)
 ・齋藤正彦『日本語から記号論理へ』3章§6(p.160)


 ・入谷久我『数理経済学入門定義2.8(pp.34-5)

 





発散する数列の分類:
 


   +∞に発散/−∞に発散/振動する













→[トピック一覧:数列の収束・極限値・発散の定義]
総目次

定義:発散divergence 


「収束列」をつかった定義

・「 数列 { an } 発散するdiverge
 「 数列 { an } 発散であるdivergent
 とは、
 { an }収束列ではないということ。 

「収束数列」の意味を書き下した定義

・「 数列 { an } 発散するdiverge
 「 数列 { an } 発散であるdivergent
 とは、
  数列 { an } は、どんな実数αに対してであれ、「 an→α (n→∞) 」を満たさない
   (αR ) ¬ ( an →α (n→∞) )
 ということ。

  [→黒田『微分積分学』(p.43);細井『イプシロン・デルタ』6章(p.59)]

これは、前記の定義と同じこと。
 ・「{ an }収束列である」とは、定義より、
       (αR)( an→α (n→∞)  
  であったから、
  「{ an }収束列ではない」とは、
       ¬ (αR)( an→α (n→∞)  




[文献]
 ・黒田『微分積分学』§2.5.2定義2.6(p.43);
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』6章(pp.54-59)ε-N論法で厳密に。
 ・杉浦『解析入門I』I-§2-定義5(p.12);
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』1章§2(I)(p.7)
 ・笠原『微分積分学』1.2(p.10)
 ・小林『微分積分読本:1変数』 1章5数列と収束(p.17)
 ・Ross,Elementary Analysis:The Theory of Calculus,ChapterU§7:7.1Definition(p.25)
 ・齋藤正彦『日本語から記号論理へ』3章§6(pp.157-160)





 





発散する数列の分類:
 


   +∞に発散/−∞に発散/振動する








 ・「存在命題を否定する命題」は「否定命題を主張する全称命題」に言い換え可能だから、
    ¬ (αR)( an→α (n→∞)  は、  (αR ) ¬ ( an →α (n→∞) ) に言い換えられる。
 ・以上から、
  「 数列 { an } 発散するdiverge」の第1の定義「{ an }収束列ではない」が、  
  「 数列 { an } 発散するdiverge」の第2の定義「(αR ) ¬ ( an →α (n→∞) ) 」と同値になることが確認できる。


an →α (n→∞)」の意味を書き下した定義



・「 数列 { an } 発散するdiverge」「 数列 { an } 発散であるdivergent
 とは、
  どんな実数αに対してであれあるε近傍Uε(α)をとると、
    { an } のどの項 aNを選んでも、
       その項 aNに後続する項のなかに、Uε(α)に収まらない項が少なくとも一つはでてくる。
 ということ
 論理記号で表すと、
  (αR ) (ε>0) (NN) (nN) ( nN かつ  |  an−α|≧ε )
  ないし、
  (αR ) (ε>0) (NN) (nN) ( nN かつ  an の元ではない (α−ε, α+ε) ) 
  ないし、
  (αR ) (ε>0) (NN) (nN) ( nN かつ  an の元ではない Uε(α) ) 
  ないし、
  (αR ) ( Uε(α)) (NN) (nN) ( nN かつ  an の元ではない Uε(α) ) 

これは、前記の定義と同じこと。
 (αR ) ¬ ( an →α (n→∞) )
   (αR ) ¬ ( (ε>0) (NN) (nN) ( nN|  an−α|<ε) )   ∵ an →α (n→∞)」の定義
   (αR ) (ε>0) ¬ ( (NN) (nN) ( nN|  an−α|<ε) )   ∵ 「全称命題を否定する命題」は「否定命題を主張する存在命題」に言い換えてよい  
   (αR ) (ε>0) (NN) ¬ ( (nN) ( nN|  an−α|<ε) )   ∵ 「存在命題を否定する命題」は「否定命題を主張する全称命題」に言い換えてよい  
   (αR ) (ε>0) (NN) (nN) ¬  ( nN|  an−α|<ε)     ∵ 「全称命題を否定する命題」は「否定命題を主張する存在命題」に言い換えてよい  
   (αR ) (ε>0) (NN) (nN)  ( nN かつ ¬ (  |  an−α|<ε) )  ∵ A⇒Bの否定」は「Aかつ『Bの否定』」に言い換えてよい  
   (αR ) (ε>0) (NN) (nN)  ( nN かつ  |  an−α|≧ε )
     [齋藤正彦『日本語から記号論理へ』3章§6(p.160)]





→[トピック一覧:数列の収束・極限値・発散の定義]
総目次

定義:∞に発散する 


はじめに読むべき定義

・「 数列 { an } ∞に発散する
 「 an→∞ (n→∞)




lim
an=∞  」
n→∞
   
 とは、
 数列 { an } において自然数nを限りなく大きくすると、
 anの値が限りなく大きくなる
 ことをいう。

 厳密な定義
・「 数列 { an } ∞に発散する
 「 an→∞ (n→∞)




lim
an=∞  」
n→∞
   
 とは、
 任意実数KRに対して、ある(十分大きな)自然数Nが存在して、
   「 nN ならば、 an > K 」  
 を成りたたせる、
 ということ。
 すなわち、(KR) (NN) (nN) ( nN  an > K)






[文献─解析]
 ・小林『微分積分読本:1変数』 1章5数列と収束(p.17)
 ・黒田『微分積分学』§2.5.2(pp.46-7);
 ・杉浦『解析入門I』18;
 ・杉浦『解析演習』1.2(pp.1-2);
 ・笠原『微分積分学』1.2(p.11)
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』1章§2(I)(p.7)
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』定義7.3(p.69)
 ・青本『微分と積分1』§1.2(b)(p.12)
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブッ ク[1変数関数編]』3.1.6(p.91)
[文献─論理]
 ・新井紀子『数学は言葉』例題4.3.2(pp.138-9)





・「 数列 { an }∞に発散するならば数列 { an }発散する」のは明らかと細井は言うが、証明は載っていない[p.69]。 

 





発散する数列の分類:
 


   +∞に発散/−∞に発散/振動する






   






→[トピック一覧:数列の収束・極限値・発散の定義]
総目次

定義:−∞に発散する


はじめに読むべき定義
・「 数列 { an } −∞に発散する
 「 an→−∞ (n→∞)




lim
an=−∞  」
n→∞
   
 とは、
 数列 { an } において自然数nを限りなく大きくすると、
   anの値が限りなく小さくなる
 ことをいう。

 厳密な定義
・「 数列 { an } −∞に発散する
 「 an→−∞ (n→∞)




lim
an=−∞  」
n→∞
   
 とは、
 任意実数KRに対して、ある(十分大きな)自然数Nが存在して、
   「 nN ならば、 an < K 」  
を成りたたせる、
ということ。
すなわち、(KR) (NN) (nN) ( nN  an< K)




[文献─解析]
 ・黒田『微分積分学』§2.5.2(pp.46-7);
 ・杉浦『解析入門I』18;
 ・杉浦『解析演習』1.2(pp.1-2);
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』定義7.3脚注6(p.69)
 ・青本『微分と積分1』§1.2(b)(p.12)
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』1章§2(I)(p.7)
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブッ ク[1変数関数編]』3.1.6(p.91)





 
 





 発散する数列の分類:  


    +∞に発散/−∞に発散/振動する 












→[トピック一覧:数列の収束・極限値・発散の定義]
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定義:振動する


数列上極限>下極限となるとき、その数列振動するという。



[関連概念]

発散する数列の分類:
    +∞に発散/−∞に発散/振動する   




[文献]
 ・ 『岩波数学辞典』項目166収束CD.(p.436);

 ・青本『微分と積分1』§1.2(b)(p.12)。


 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』6章脚注3(pp.54-55)振動しながら収束するという例もあげられる。







 







→[トピック一覧:数列の収束・極限値・発散の定義]
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reference

日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年。項目58関数D族・列(p.158)、項目166収束(pp436).
高木貞治『解析概論改訂第3版』岩波書店、1983年、pp.5-6, 8-9,12.
小平邦彦『解析入門I』岩波書店、2003年、p.22;38-40。
杉浦光夫『解析入門I』岩波書店、1980年、p.12.
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黒田成俊『21世紀の数学1:微分積分学』共立出版株式会社、2002年、§2.5.2数列の収束、極限(pp.42-7)。
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