論理記号:トピック一覧    〜   数学についてのwebノート

【命題論理】 否定(ない)を表す論理記号¬〜 / 選言・論理和(または)を表す論理記号∨ / 「または」の否定¬(∨)
       連言・論理積(かつ)を表す論理記号∧ / 「かつ」の否定¬(∧)
       「ならば」を表す論理記号 / ¬(⇒) / 同値を表す論理記号⇔
【述語論理】 全称記号・量化子∀(任意の) / 存在記号・量化子∃(ある〜) / ¬∀と∃¬ / ¬∃と∀¬  / ∀(∧) / ∃(∨)    
       ∀∀の入替 / ∃∃の入替 / ∃と∀の入替 

 →論理関連ページ : 恒真命題・恒偽命題 / 論理法則−同値 / 論理法則−含意 / 同値変形 
 →集合論の記号 : /φ/Ω,U//=///+///c/(a,b)/{a,b}/A×B  
 →総目次 /



否定命題negationをあらわす論理記号 ¬A, 〜A 


【記号】

・命題Aを否定する命題「Aでない」は、
 論理記号「¬A」「A」で表される。

【真偽】

・命題Aを否定する命題
  「Aでない」(論理記号では「¬A」) 
 の真偽は、
 右の真理値表にしたがって、
 命題Aの真偽から、定められる。

A
¬A

 ※真/偽は、
   その命題が「成り立つ/たない」
   ぐらいにとる

【詳細】  →論理式¬Pの意味論      





【文献−数学】
 ・中内『ろんりの練習帳』1.2(p.13)
 ・井関『集合と論理』1.3(p.13);
 ・杉浦『解析入門I』399
【文献−数理経済】
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』16-7
 ・入谷久我『数理経済学入門』1.1.1(p.2);


 ・岡田『経済学・経営学のための数学』附録1(p.245) 


選言disjunction・論理和logical sumをあらわす論理記号 AB

【記号】

 ・選言ないし論理和の命題「命題Aまたは命題B」は、
  論理記号「AB」で表される。 

【真偽】

 ・選言ないし論理和の命題
    「命題Aまたは命題B
     ( 論理記号では「AB」 )   
  の真偽は、

  右の真理値表にしたがって、
  命題A,Bの真偽から、
  定められる。

A
B
AB

 ※真/偽は、
   その命題が「成り立つ/たない」
   ぐらいにとる

【詳細】  →論理式「PQ」の意味論 





【文献−数学】
 ・中内『ろんりの練習帳』1.4(p.19);
 ・井関『集合と論理』1.3(p.14);
 ・杉浦『解析入門I』399
【文献−数理経済】
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門p.17
 ・入谷久我『数理経済学入門』1.1.1(p.2);


 ・岡田『経済学・経営学のための数学』附録1(p.246) 


選言・論理和の否定命題の性質


「『命題Aまたは命題B』でない
    論理記号では、「 ¬ ( A B ) 」  
は、
「『命題Aないかつ『命題Bない』 」
    論理記号では、「 ( ¬ A ) ( ¬ B ) 」 
に書き換え可能。 

【文献】
 ・杉浦『解析入門I』399;
 ・本橋『新しい論理序説』6.4問題6(p.121;128)
 ・入谷久我『数理経済学入門』定理1.1(p.4)

選言・論理和の否定命題の性質


「『命題Aまたは命題B』でない
    論理記号では、「 ¬ ( A B ) 」  
は、
「『命題Aないかつ『命題Bない』 」
    論理記号では、「 ( ¬ A ) ( ¬ B ) 」 
に書き換え可能。 

【文献】
 ・杉浦『解析入門I』399;
 ・本橋『新しい論理序説』6.4問題6(p.121;128)
 ・入谷久我『数理経済学入門』定理1.1(p.4)

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連言conjunction・論理積logical productをあらわす論理記号 AB 

【記号】

 ・連言ないし論理積の命題「命題Aかつ命題B」は、
 論理記号「AB」で表される。

【真偽】

 ・連言ないし論理積の命題
   「命題Aかつ命題B
     ( 論理記号では「AB」 )   
  の真偽は、

  右の真理値表にしたがって、
  命題A,Bの真偽から、
  定められる。

A
B
AB

 ※真/偽は、
   その命題が「成り立つ/たない」
   ぐらいにとる

【詳細】  →論理式「PQ」の意味論 





【文献−数学】
 ・中内『ろんりの練習帳』1.3(p.16);
 ・杉浦『解析入門I』p.399;
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』p.17;
 ・入谷久我『数理経済学入門』1.1.1(p.2));
 ・岡田『経済学・経営学のための数学』附録1(p.246);
 ・井関『集合と論理』1.3(p.14);






連言・論理積の否定命題の性質   


・「『命題Aかつ命題B』でない
    論理記号では、「 ¬ ( A B ) 」  
 は、
 「『命題Aないまたは『命題Bない』 」
    論理記号では、「 ( ¬ A ) ( ¬ B ) 」 
 に書き換え可能。
 
※なぜ?
・命題A,Bの真偽の組合せに対する、  
  「『命題Aかつ命題B』でない
    論理記号では、「 ¬ ( A B ) 」
  という命題の真偽を、
  「かつ」「ない¬」の定義に従って書き下すと、
  次の真理値表になる。  
 | A | B | AB | ¬ ( A B ) | 
 ├───┼───┼─────┼────────┤ 
 | 真 | 真 |  真  |   偽    | 
 | 真 | 偽 |  偽  |   真    | 
 | 偽 | 真 |  偽  |   真    | 
 | 偽 | 偽 |  偽  |   真    | 
・命題A,Bの真偽の組合せに対する、  
「『命題Aないまたは『命題Bない』 」
    論理記号では、「 ( ¬ A ) ( ¬ B ) 」 
  という命題の真偽を、
  「¬ない」「または」の定義に従って書き下すと、
  次の真理値表になる。  
 | A | B |¬A |¬B |(¬A)¬B)|
 ├───┼───┼───┼───┼─────────┤ 
 | 真 | 真 | 偽 | 偽 |    偽    | 
 | 真 | 偽 | 偽 | 真 |    真    | 
 | 偽 | 真 | 真 | 偽 |    真    | 
 | 偽 | 偽 | 真 | 真 |    真    | 
・上記の真理値表を見比べると、
  「『命題Aかつ命題B』でない
    論理記号では、「 ¬ ( A B ) 」
  という命題の真偽と、
「『命題Aないまたは『命題Bない』 」
    論理記号では、「 ( ¬ A ) ( ¬ B ) 」 
  という命題の真偽は、
  一致することがわかる。
 したがって、両命題は常に同値となるので、互いに書き換えてよい。





【文献−数学】
 ・杉浦『解析入門I』399;
 ・本橋『新しい論理序説』6.4問題6(p.121;128)
 ・入谷久我『数理経済学入門』定理1.1(p.4)







同値equivalentをあらわす論理記号 AB   

論理記号 ・命題「命題Aと命題Bとは同値」
  「命題Aは命題Bの必要十分条件」
  「命題Bは命題Aの必要十分条件」
  " A if and only if (iff) B "
 は、
 論理記号「AB」で表される。
 ※岡田『経済学・経営学のための数学』は
    「AB」を使用。 




【文献−数学】
 ・中内『ろんりの練習帳』1.4(p.22)1.10(p.58);
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』19;
 ・入谷久我『数理経済学入門』1.1.2(p.3);
 ・岡田『経済学・経営学のための数学』附録1(p.248);





真偽 ・命題「命題Aと命題Bとは同値」(論理記号では「AB」)
 の真偽は、
 次の真理値表により、命題A,命題Bの真偽から、定められる。
※真理値表:真/偽は、その命題が「成り立つ/たない」ぐらいにとる。
       | A | B | A⇔B |
       ├───┼───┼─────┤
       | 真 | 真 |  真  |
       | 真 | 偽 |  偽  |
       | 偽 | 真 |  偽  |
       | 偽 | 偽 |  真  |
言換え ・上記の真理値表からわかるように、
   「命題Aと命題Bとは同値」(論理記号では「B」)は、
   「命題Aならば命題Bかつ「命題Bならば命題A」(論理記号では「(AB)(BA)」)
 と言いかえられる。
必要十分条件 ・「AB」という命題が成り立っている(真である)ならば、上記真理表の2〜3行目が除去されるので、
  Aが成り立つ(真である)ならば、つねに、Bも成り立ち、
  Bが成り立つ(真である) ならば、つねに、Aも成り立つ、ということになる。
 これで、「 ABの必要十分条件 」ということになる。

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含意の命題をあらわす論理記号 AB 

・論理記号「AB」は、含意の命題「命題Aならば命題B」を表す。  [→詳細] 

・「AB」の真偽は、次の真理値表により、命題A,命題Bの真偽から、定められる。 

 
A
B
AB
←1行目
←2行目
←3行目
←4行目

※ 真/偽は、その命題が「成り立つ/たない」ぐらいにとる。

  

   [→詳細] 





【文献】 ・中谷『論理』 2.1 条件文 (pp.29-32)
     ・杉浦『解析入門I』400
     ・中内『ろんりの練習帳』4.8(pp.43-47);「条件命題」
     ・本橋『新しい論理序説』44-56;
     ・神谷浦井『経済学のための数学入門』18-19;
     ・入谷久我『数理経済学入門』1.1.2(p.3)
     ・岡田『経済学・経営学のための数学』附録1(p.247);


     ・Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics 759.
     ・井関『集合と論理』1.3(p.15);;


AB」の歴史
AB」の言い換え表現 : 「 ¬B⇒¬A 」 「 ( ¬A ) ∨ B 」 「 ¬ ( A ∧ (¬B) )」 
AB」の具体例 : 「●●原発が安全であるならば、●●原発を再稼働する」  /  x>2⇒x>1」
AB」と十分条件・必要条件
AB」の証明
AB」の関連事項

AならばB」の否定命題の性質


「『命題Aならば命題B』でない
    論理記号では、「 ¬( A B ) 」  
は、
命題A かつ 「命題Bない
    論理記号では、「 A ¬ ( B ) 」    
に書き換え可能。 

【文献】
 ・杉浦『解析入門I』400;
 ・入谷久我『数理経済学入門』定理1.1(7)(p.4)





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全称量化記号・普遍量化記号 ∀ 

は、全称(量化)記号普遍(量化)記号などと呼ばれる論理記号。【→詳細
・「任意のについて for any 」「すべてのについて for all 」を意味する。【→詳細
全称記号は、下記いずれかの形式のなかで用いられる。詳細は、各形式ごとの解説ページを参照。

 【形式1】 変項1項述語

      「  x ( xが有す性質P ) 」
      「  x ( xが満たす条件P ) 」
      「  x ( P(x) ) 」
 
     というかたち。

     xの中身が何であっても、
     x性質・条件Pを満たすこと
     を意味する。
 
     詳細解説 
 
 【形式1'】 変項範囲  + 1項述語 

       「  xX ( xが有す性質P ) 」
       「  xX ( xが満たす条件P ) 」
       「  xX ( P(x) ) 」

      というかたち。

      範囲Xから何を取ってきてxに代入しても、
      x性質・条件Pを満たすこと
      を意味する。

      詳細解説/省略形   
 【形式2】  変項(変数)2項述語(2変数命題関数)

      「  x ( x,yの関係P ) 」
      「  x ( x,yが満たす条件P ) 」
      「  x ( P(x,y) ) 」

     というかたち。

     xの中身が何であっても、
     x,y関係・条件Pを満たすこと
     を意味する。

     詳細解説 

 【形式2'】 変項(変数)範囲 + 2項述語(2変数命題関数) 
 
       「  xX ( x,yの関係P ) 」
       「  xX ( x,yが満たす条件P ) 」
       「  xX ( P(x,y) ) 」

      というかたち。

      範囲Xから何を取ってきてxに代入しても
      yxとの関係Pを満たす
      を意味する。

     詳細解説/省略形
 
 【形式n 変項(変数)n項述語(n変数命題関数)

       iを、1からnまでのあいだの或る自然数だとしたときの  

        「  xi ( x1, x2, …, xnの関係P ) 」
        「  xi ( x1, x2, …, xnが満たす条件P ) 」

     というかたち。

     詳細解説 

 【形式n'】 変項(変数)範囲 + n項述語(n変数命題関数)

       iを、1からnまでのあいだの或る自然数としたときの  

        「  xiX ( x1, x2, …, xnの関係P ) 」
        「  xiX ( x1, x2, …, xnが満たす条件P ) 」  

       というかたち。

     詳細解説/省略形


全称記号」を用いた以上の諸形式、および存在記号「∃」を用いた同様の形式を、入れ子状に組み合わせた表現も頻繁につかわれる。
 これらについては、下記参照。


  →多重量化一覧

 活用例: 数列の極限/関数の極限/関数の連続性


→[論理記号:トピック一覧]
→[総目次] 

存在記号 ∃


は、存在記号と呼ばれる論理記号。【→詳細


・「(変項) (条件)」というかたちのなかで用いられ、

 「(条件)を満たす(変項)が存在する」   
 「ある(変項)にたいして、(条件)が満たされる」  

 などと読みくだされる。【→詳細


・詳細は、
 下記形式ごとの解説ページを参照。





【文献】
 ・中内『ろんりの練習帳』2.4(pp.94-102);
 ・本橋『新しい論理序説』40-43;
 ・杉浦『解析入門I』401;
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』21;
 ・岡田『経済学・経営学のための数学』253


 ・入谷久我『数理経済学入門』1.1.3(p.5)



 【形式1】 変項1項述語

      「  x ( xが有す性質P ) 」
      「  x ( xが満たす条件P ) 」
      「  x ( P(x) ) 」
 
     というかたち。

     xに代入されると、
     性質・条件Pを満たす対象が、
     少なくとも一個は存在すること
     を意味する。
 
     詳細解説 
 
 【形式1'】 変項範囲  + 1項述語 

      「  xX ( xが有す性質P ) 」
      「  xX ( xが満たす条件P ) 」
      「  xX ( P(x) ) 」

     というかたち。

     xに代入されると、、
     性質・条件Pを満たす対象が、
     範囲Xのなかに、少なくとも一個は存在すること
     を意味する。

      詳細解説/省略形   
 【形式2】  変項(変数)2項述語(2変数命題関数)

      「  x ( x,yの関係P ) 」
      「  x ( x,yが満たす条件P ) 」
      「  x ( P(x,y) ) 」

     というかたち。

     xに代入されると、
     yとの関係・条件Pを満たす対象が、
     少なくとも一個は存在すること
     を意味する。

     詳細解説 
 
 【形式2'】  変項(変数)範囲 + 2項述語(2変数命題関数) 

      「  xX ( x,yの関係P ) 」
      「  xX ( x,yが満たす条件P ) 」
      「  xX ( P(x,y) ) 」

     というかたち。

     xに代入されると、、
     yとの関係Pを満たす対象が、
     範囲Xのなかに、少なくとも一個は存在すること
     を意味する。

     詳細解説/省略形
 
 【形式n 変項(変数)n項述語(n変数命題関数)

     iを、1からnまでのあいだの或る自然数だとしたときの

      「  xi ( x1, x2, …, xnの関係P ) 」
      「  xi ( x1, x2, …, xnが満たす条件P ) 」

     というかたち。

     詳細解説 
 【形式n'】  変項(変数)範囲 + n項述語(n変数命題関数)

     iを、1からnまでのあいだの或る自然数としたときの

      「  xiX ( x1, x2, …, xnの関係P ) 」
      「  xiX ( x1, x2, …, xnが満たす条件P ) 」

     というかたち。

     詳細解説/省略形
 

存在記号」を用いた以上の諸形式、および全称記号∀を用いた同様の形式を、入れ子状に組み合わせた表現も頻繁につかわれる。
 これらについては、下記参照。

  →多重量化一覧


 活用例: 数列の極限/関数の極限/関数の連続性


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部分否定の同義2表現 

【1】

(表現1) 全称命題否定する命題
      「 すべての対象が性質・条件Pを満たすとは限らない 」 
   
(表現2) 否定命題存在命題
     「 性質・条件P満たさない対象』 が、少なくとも一個は存在する」  

は互いに言換可。

【2】

(表現1') 条件付全称命題否定する命題
     「 性質・条件Qを満たすすべての対象が、性質・条件Pを満たす』とは限らない」 

(表現2') 否定命題条件付存在命題 
     「 性質・条件P満たさない対象』 が、『性質・条件Qを満たす対象』のなかに、少なくとも一個は存在する 」

【3】

以上を論理記号で表すと、

・「 ¬ ( x  P(x) )」 ( 『任意のx に対しP(x)である』とは限らない
 「 x (¬P(x) ) 」 ( P(x)でないようなxが、(少なくとは一つは)存在する )
 は互いに言換え可。
  




【文献】
 ・中内『ろんりの練習 帳』106-110;
 ・ 杉浦『解析入門I』 401;
 ・入谷久我『数理経済学 入門』1.1.3(p.6);
 ・神谷浦井『経済学のため の数学入門』20;


 ・岡田『経済学・経営学のための数学』253-4;
・「 ¬ ( xを先頭にした条件式Q(x)  P(x) ) 」(『Q(x)  をみたす任意のxに対しP(x)である』とは限らない)
 「 xを先頭にした条件式Q(x)  (¬P(x) ) 」( 「Q(x)  という条件のもとで『P(x)でない』ようなxが少なくとは一つは存在する)
 は互いに言換え可。


全体否定の同義2表現

【1】

(表現1) 存在命題否定する命題  ¬ ( x P(x) )
     「P(x)であるようなx(少なくとは一つは)存在する」ことの否定
     すなわち、「P(x)であるようなxが一つたりとも存在しない

(表現2) 否定命題全称命題    (¬ P(x) )  
     「任意の x に対し(=すべてのx について・どのようなxをとっても)、
                           P(x)ない」  
は、同じこと。互いに言いかえてよい。

【2】

(表現1') 「 ¬ ( xを先頭にした条件式Q(x)  P(x) ) 」
       Q(x)  という条件のもとで『P(x)である』ようなxが、一つも存在しない 

(表現2')  「 xを先頭にした条件式Q(x)  (¬P(x) ) 」
       Q(x)  をみたす任意のxに対し、 P(x)でない 

は、同じこと。互いに言いかえてよい。
 




【文献】
 ・中内『ろんりの練習帳』106-110;
 ・杉浦『解析入門I』401;


 ・岡田『経済学・経営学のための数学』253-4;





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全称命題と論理積の分配則

【1】

(表現1)  x  ( P(x) Q(x) )      任意のxに対し(=すべてのx について・どのようなxをとっても)「P(x)かつQ(x)である」
(表現2) ( x P(x) ) ( x Q(x) )  「任意のxに対しP(x)かつ任意のx に対しQ(x)である」
は、同じこと。互いに言いかえてよい。

【2】

(表現1')  xを先頭にした条件式S(x)  (  P(x) Q(x) )                   S(x)  をみたす任意のxに対し、「P(x)かつQ(x)」    
(表現2') ( xを先頭にした条件式S(x)  P(x) ) ( xを先頭にした条件式S(x)  Q(x) )    「S(x)  をみたす任意のxに対し、P(x)かつS(x)  をみたす任意のxに対し、Q(x)」 

は、同じこと。互いに言いかえてよい。

【文献】

 ・中内『ろんりの練習帳』定理2.2.10(p.87):∀(∨)についての言及も。
 ・中谷『論理』 4.3-C-(4・5)(p.90):∀(∨)についての言及も。
 ・齋藤『日本語から記号論理へ』2章§7付録(pp.94-95)


存在命題と論理和の分配則


【1】

(表現1) x ( P(x) Q(x) )     「P(x)またはQ(x)である」であるようなxが(少なくとは一つは)存在する  
(表現2) ( x P(x) ) ( x Q(x) )  「P(x)であるようなxが(少なくとは一つは)存在する」またはQ(x)であるようなxが(少なくとは一つは)存在する」

は、同じこと。互いに言いかえてよい。

【2】

(表現1') xを先頭にした条件式S(x) ( P(x) Q(x) )  
(表現2') (xを先頭にした条件式S(x) P(x) ) (xを先頭にした条件式S(x) Q(x) )    
               
は、同じこと。互いに言いかえてよい。

【文献】

 ・中内『ろんりの練習帳』定理2.4.10(p.97):∃(∧)についての言及も。
 ・中谷『論理』 4.3-C-(4・6)(p.90) ∃(∧)についての言及も。
 ・齋藤『日本語から記号論理へ』2章§7付録(pp.94-95)∃(∧)についての言及のみ。

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2つの全称記号の可換


P(x,y)x,yに関するある関係・条件を表すとする。


1.

 x y P(x,y)  と
 
y x P(x,y)  は互いに言い換えられる。

2.

 ( A(x) x ) ( B(y)y ) P(x,y)  と
 
( B(y) y ) ( A(x)x ) P(x,y)  は互いに言い換えられる。



2つの存在記号の可換


P(x,y)x,yに関するある関係・条件を表すとする。


1.

 x y P(x,y)  と
 
y x P(x,y)  は互いに言い換えられる。

2.

 ( A(x) x ) ( B(y) y ) P(x,y)  と
 
( B(y) y ) ( A(x) x ) P(x,y)  は互いに言い換えられる。






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存在記号と全称記号の入れ替え

 P(x,y)x,yに関するある関係・条件を表すとする。


[文献]
 ・中内『ろんりの練習帳』103-105

1.

y x P(x,y)  x y P(x,y) は成り立つが、逆は成り立たない。

「『任意のx に対し(=すべてのx について・どのようなxをとっても) P(x,y)である』を満たすy(少なくとは一つは)存在する」
ならば、
任意のx に対し(=すべてのx について・どのようなxをとっても)P(x,y)を満たすy(少なくとは一つは)存在する』」
ともいえる。
しかし、逆に、
任意のx に対し(=すべてのx について・どのようなxをとっても)P(x,y)を満たすy(少なくとは一つは)存在する』」
からといって、
「『
任意のx に対し(=すべてのx について・どのようなxをとっても) P(x,y)である』を満たすy(少なくとは一つは)存在する」
とは限らない。
y x P(x,y) は x y P(x,y) よりも、条件としてきつい、主張として強い。

2.

( B(y) y ) ( A(x) x ) P(x,y)  ( A(x) x ) ( B(y) y ) P(x,y) 
は成り立つが、逆は成り立たない。




reference

吉田・栗田・戸田『昭和63年度用 高等学校数学I』啓林館、1987年、pp.108-116。
中内伸光『数学の基礎体力をつけるためのろんりの練習帳』共立出版株式会社、2002年。難解な部分にまでは立ち入らず、学部初年レベルの数学教科書を理解するために必要不可欠な知識をわかりやすく整理。応用例として、ε-δ論法による極限定義を載せている。これを中学・高校のころに読んでおけば、今ごろ…。
本橋信義『新しい論理序説』(森毅・斎藤正彦・野崎昭弘編集『すうがくぶっくす』16巻) 朝倉書店、1997年。 これも、学部初年レベルの数学教科書を理解するために最低限必要な論理をわかりやすく教えるテキスト。まえがきによると、著者が筑波大学で数学専攻の学部 一年生向けに論理を教えてみた経験をいかしてのテキストとのこと。これも、高校生くらいで読んでおけばよかった、と思う1冊。

井関清志『基礎数学叢書2:集合と論理』新曜社、1979年。
前原昭二『記号論理入門』日本評論社、1967年。

杉浦光夫『解析入門I』東京大学出版会、1987年、付録2論理記号pp.399-402。

岡田章『経済学・経営学のための数学』東洋経済新報社、2001年、pp.245-254。
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、第1章第2節(pp.13-25)。
入谷純・久我清『数理経済学入門』有斐閣、1999年、1.1論理(pp.1-12)。
西村和雄『経済数学早わかり』日本評論社、1982年、第1章(pp.2-24)。
Chiang, Alpha C., Fundamental Methods of Mathematical Economics :Third Edition, McGraw-Hill,1984, p. 759.
 

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