距離空間 (R2,d): トピック一覧  


A. R2/平面//距離・距離空間(R2,d)/2次元ユークリッド距離/2次元ユークリッド空間 
B. 平面R2におけるε近傍/除外δ近傍 
C. 点集合/内点/外点/境界点/境界/開核/閉包/稠密/集積点/孤立 点/離散集合/開集合/閉集合/区間/開区間/閉区間・閉矩形/有界な集合/直径
  連結/弧状連 結/連結・弧状連結・折線の関係/凸集合/領域/閉領域 
※関連ページ:距離空間(R2,d) 上の開集合の性質/距離空間(R2,d) と位相空間/(R2,d) 上のコンパクト集合/ハイネ・ボレル・ルベーグの被覆定理 
※関連ページ:距離空間一般/距 離空間(R1,d)/距離空間(Rn,d)/位相空間 
参考文献総目次

定義:R2, n次元空間, 点 

R2

実数を2個並べた組 (x,y) をすべてあつめた集合
  すなわち、「実数全体の集合R」と「実数全体の集合R」の直積
          R×R={ (x,y) | xR かつ yR }  
のことを、R2で表す。
  ※R2は、実2次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
   したがって、R2ベクトルの加法スカラー乗法を定義して、
   実2次元数ベクトル空間とできる。

[文献]

 ・彌永『集合と位相II』p.136.
 ・小平『解析入門Ip.53,
 ・笠原『微分積分学』1.3(p.16).
 ・奥野鈴村『ミクロ経済学I』p.261
・平面 集合R2、すなわち、R×R={ (x,y) | xR かつ yR }のことを、平面と呼ぶ。  Cf.n次元空間Rn 
  ※平面R2ベクトルの加法スカラー乗法を定義したものが、実2次元数ベクトル空間
  ※R2ベクトルの加法スカラー乗法を定義せず、
   R2実2次元数ベクトル空間として扱っていないときでも、
   Rnを平面と呼ぶことがある。
・点 平面R2要素、すなわち、実数を2個並べた組(x,y)のことを、平面R2と呼ぶ。
  ※平面R2は、実2次元数ベクトルでもある。

→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義:R2における距離と距離空間

定義

P,Q,R R2として、以下の4要件を満たす(ならば、どんな)非負実数値関数d: R2×R2R+(であれ、それ)を、 
  R2上の距離関数metric,distanced(P,Q)を点P,Q間の距離と呼ぶ。 
    (要件1) 正値性:  任意のP,QR2に対して、d(P,Q)≧0  
  (要件2)      任意のP,QR2に対して、d(P,Q)=0P=Q  
           つまり、P=Qのときd(P,Q) = 0、
           また、d(P,Q)=0 になるのは、P=Qのときだけ。
  (要件3) 対称性:  任意のP,QR2に対して、d(P,Q)=d(Q,P)  
  (要件4) 三角不等式 triangle inequality: 
            任意のP,Q,RR2に対して、d(P,R)d(P,Q)d(Q,R) 
            つまり、
            Q経由でPからRまで測った値は直接PRを測った値以上。
・距離dが定義された集合R2を「距離空間」とよび、
   距離空間(R2,d)
 と書く。  
・このことを、「R2距離distanceまたは計量metricがあたえられた」という。

[文献]

 ・小平『解析入門I』§1.6-g(p.72);
 ・ 矢野『距離空間と位相構造』1.1.1例1.3 (pp.3-5);
 ・志賀『位相への30講』第2項(pp.9-10);第11講(pp.78-80;82);
 ・松坂『集合・位相入門』4章§1A(p.138);6章§1A例1;
 ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』第3章§4数空間Rn(pp.84-93);4.5.6(p.127);
 ・西村『経済数学早わかり』1.4距離空間(p.280);
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門pp.120-1;135;
 ・佐久間『集合・位相』3.3距離空間と完備性(pp.56-8)
 ・彌永『集合と位相pp.135-6;141;

[活用例]

 ・ε近傍の定義/有界な集合/直径
 ・点列の収束と極限の定義/2変数関数の極限の定義/連続性の定義 

[関連項目]

 ・距離空間のイントロダクション
 ・一般化:距離空間(Rn,d)/距離空間一般/位相空間
 ・具体化:距離空間(R,d) 

ベクトル表現

R2を、
 ベクトルの加法スカラー乗法が定義された実2次元数ベクトル空間
 として扱っている場合は、 
 次の手順で、R2距離dを定義して、距離空間(R2,d)を構成するのが普通。
  [手順1]実2次元数ベクトル空間R2内積〈 , 〉を定義して、
      計量実ベクトル空間とする。 
  [手順2]計量実ベクトル空間R2内積により定まるノルム‖‖を定義した
      ノルム空間R2, ‖‖ )
      を構成。
  [手順3]任意の実2次元数ベクトルx,yに対し、
      xと「y逆ベクトル」の内積により定まるノルム
           d(x,y)=xy  
      は、R2におけるx,y間の距離の定義を満たす。
      そこで、このノルムから定めた距離dR2に定義して、
      距離空間(R2,d)を構成する


→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

R2上の距離の例 


 平面R2の元P(x,y), Q(x',y')に たいして、以下の距離d(P,Q)をとると、
 d距離の公準を満たし、(R2,d)は距離空間となる。
 

[文献]

 ・志賀『位相への30講』第2項(pp.9-10):ユークリッド距離;第11講(pp.78-80);第11講いろいろな距離(p.81);
 ・松坂『集合・位相入門』4章§1A(p.138);6章§1A例1(p.235);
 ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』第3章§4数空間Rn(pp.84-93);4.5.6(p.127);
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』3.2.3例3.2.1-3ノルムの例(pp.120-1);式3.12-14距離の例(pp.122-3);4.3.1(p.135);

[関連項目]

 ・一般化:Rn上の距離の例

(type1)

「ユークリッド距離」: d(P, Q) =

(xx')2 +(yy')2  

 ※ユークリッド距離の性質 
 ※距離dを、ユークリッド距離とした距離空間 (R2,d)を2次元ユークリッド空間という。
 ※n次元ユークリッド空間が距離の公準を満たすこ との証明
  →志賀『位相への30講』第 11講(pp.79-80); 斉藤『数学の基 礎:集合・数・位相』3.4.2 (pp.85-6);

 ※R2ベクトルの加法スカラー乗法自然な内積(標準内積)ユークリッドノルム‖‖が定義されており、
  R2実2次元数ベクトル空間計量実ベクトル空間ノルム空間として扱える場合、
  任意の実2次元数ベクトルx,yR2のユークリッド距離d(x,y)は、
  xと「y逆ベクトル」のユークリッドノルム xy  
  と簡潔に表せる。   [→笠原『微分積分学』1.3(p.16)。]


(type2)
  「マンハッタン距離」「変分ノルムから導かれる距離」:d1(P,Q)=|xx'|+|yy'| 
           [→神谷浦井『経済学のための数学入門』式3.12-14(pp.122-3);4.3.1(p.135);]


(type3)
  「supノルムから導かれる距離」 d(P,Q)= max {|xx'|,|yy'| } 
  [|xx'|,|yy'|のうち、値の大きいほうを距離とする距離関数]
     [→ 松坂『集合・位相入門』6章§1A例1(p.235);]
     [→志賀『位相への30講』第11講いろいろな距離(p.81);]
     [→神谷浦井『経済学のための数学入門』式3.12-14(pp.122-3);4.3.1(p.135);]


(type4)

dr(P, Q)= 
r
(xx')r +(yy')r  
     [→志賀『位相への30講』第11講いろいろな距離(p.81);]



→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
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定義:2次元ユークリッド空間 2-dimensional Euclidean Space 

定義

2次元ユークリッド空間とは、
 距離をユークリッド距離で定義した距離空間 (R2,d)のこと。

[文献]

 ・奥野鈴村『ミクロ経済学I』p.261
 ・志賀『位相への30講』第11講(p.79);


[関連項目]

 ・一般化:n次元ユークリッド空間 

ベクトル

表現

R2
 ベクトルの加法スカラー乗法が定義された実2次元数ベクトル空間
 として扱っている場合、 
 2次元ユークリッド空間とは、
 実2次元数ベクトル空間R2に、
 次のように、内積ノルム距離を定めた距離空間 (R2,d)として定義される。
 手順1:実2次元数ベクトル空間R2自然な内積(標準内積)を定義して、
    計量実ベクトル空間とする。 
 手順2:計量実ベクトル空間R2ユークリッドノルム‖‖を定義した
    ノルム空間R2, ‖‖ )を設定。
 手順3:任意の実2次元数ベクトルx,yに対し、
      xと「y逆ベクトル」のユークリッドノルム
         d(x,y)=xy  
    は、R2におけるx,y間の距離の定義を満たす。
    そこで、このユークリッドノルムから定めた距離dR2に定義して、
    距離空間 (R2,d)を設定する。
    このユークリッドノルムから定めた距離dユークリッド距離と呼び、
    この距離空間 (R2,d)を2次元ユークリッド空間と呼ぶ。


→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
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R2におけるPのε近傍(ε-neighborhood) Uε(P)  

定義

平面R2における「Pε近傍Uε(P)」とは、
 Pからの距離がε以下となる「R2上の」をすべてあつめた集合。
 すなわち、
 Uε(P)={ QR2 | d(P,Q)<ε }(半径εは正ならばどんなに小さくてもよい)

[活用例]

 内点境界点開集合の定義/点列の収束と極限の定義/2変数関数の極限の定義/連続性の定義 

[文献]

 ・矢野『距離空間と位相構造』1.1.1例1.34(pp.38-9);
 ・小平『解析入門I』pp.54-65;
 ・杉浦『解析入門I』p.50.
 ・吹田新保『理工系の微分積分学』p.154;
 ・彌永『集合と位相』p.141;
 ・志賀『位相への30講』第2講(pp.12-6)
 ・笠原『微分積分学』1.3(p.17).
 ・布川谷野中山『線形代数と凸解析』定義6.3(p.118)。

上記定義より、
 「Pδ近傍Uδ(P)」といえば、
  Uδ(P)={ QR2 | d(P,Q)<δ } 
 を指すことになる。 

ε近傍は、距離をどう定義するかによって、かたちが変容する。

類型1

ユークリッド距離距離とした場合の(つまりユークリッド空間における)ε近傍 Uε(P):
   P 中心、半径正数εの円の内部の点全体からなる集合。
   つまり、P(x,y)とすると、 

Uε(P) ={ (x',y') |
(x'x)2 +(y'y)2  <ε }

R2に、ベクトルの加法スカラー乗法自然な内積(標準内積)ユークリッドノルム‖‖
 が定義されており、
 R2実2次元数ベクトル空間計量実ベクトル空間ノルム空間として扱える場合、
 ユークリッド空間におけるPのε近傍は、ユークリッドノルム‖‖を用いて、
    Uε(P)={ QR2 | QP<ε }
 とも表せる。
 ただし、P,Qは、R2上の―すなわち実2次元数ベクトル―を表すとする。
   R2上のε近傍〜ユークリッド距離

類型2

平面R2の元P(x,y), Q(x',y')にたいして、 

d(P,Q) =
(xx')2 +(yy')2

4

  と定義した距離をとった場合のε近傍Uε(P): 
     P中心の楕円の内部の点全体からなる集合。

類型3

P(x,y), Q(x',y')にたいして、d1(P,Q)=|xx'|+|yy'| を距離と定義した場合のε近傍Uε(P):
 P中心の正方形の内部の点全体からなる集合。
 つまり、P(x,y)とすると、Uε(P)={ (x',y') | |x'x|+|y'y|}  
   R2上のε近傍〜マンハッタン距離

類型4

P(x,y), Q(x',y')にたいして、
 d(P,Q)=max{|xx'|+|yy'| } [xx', yy'のうち値の大きいほう]を距離と定義した場合のε近傍Uε(P): 
 P中心の正方形の内部の点全体からなる集合。
 つまり、P(x,y)とすると、Uε(P)={ (x',y') | max{ |xx'|+|yy'| }<ε } 
   距離空間(R2,d)上のε近傍〜最大ノルム

ε近傍の利用例:内点境界点開集合の定義。点列の収束と極限の定義

cf.

距離空間一般におけるε近傍定義Rにおけるε近傍Rnにおけるε近傍  



[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
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 定義:R2における点Pの除外ε近傍 a deleted δ-neighborhood of P    U*δ(P) 

定義

P除外ε近傍U*ε(P)」とは、
 Pε近傍から、Pを除外したもの。
 つまり、
   U*ε(P)={ QR2 | 0<d(P,Q)<ε }  
      ※半径εは正ならばどんなに小さくてもよい。

[活用例]

 ・内点境界点開集合の定義/点列の収束と極限の定義/2変数関数の極限の定義/連続性の定義 

[文献]

 ・Fischer, Intermediate Real Analysis,207:R1の場合
 ・杉浦『解析入門I』§4(pp.113);

上記定義より、
P除外δ近傍U*δ(P)」といえば、
 U*δ(P)={ QR2 | 0<d(P,Q)<δ } 
を指すことになる。 


ユークリッド距離距離とした場合の(つまりユークリッド空間における)「Pの除外δ近傍U*δ(P)」は、 


U*δ(P) ={ (x',y') | 0< 
(x'x)2 +(y'y)2  <δ }

となる。
R2に、ベクトルの加法スカラー乗法自然な内積(標準内積)ユークリッドノルム‖‖が定義されており、
 R2実2次元数ベクトル空間計量実ベクトル空間ノルム空間として扱える場合、
 ユークリッド空間における「Pの除外δ近傍U*δ(P)」は、ユークリッドノルム‖‖を用いて、
    U*δ(P)={ QR2 | 0<QP<ε }
 とも表せる。
 ただし、P,Qは、R2上の―すなわち実2次元数ベクトル―を表すとする。


活用例

2変数関数の収束・極限の定義   

cf.

距離空間一般における除外ε近傍定義Rにおける除外ε近傍Rnにおける除外ε近傍 


→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義:点集合 

定義

平面R2点集合とは、
平面R2に属す」の集合、すなわち、「平面R2部分集合」のこと。
したがって、
Sが『平面R2点集合』である」とは、「SR2」のことである。

平面R2に属す」は、実2次元数ベクトルでもあるから、
平面R2の点集合」は、「実2次元数ベクトルの集合」でもある。

[文献]

 ・小平『解析入門I』§1.6-b(p.56);
 ・『岩波数学辞典(第三版)』項目58関数D族・列(p.158)

Cf.

数直線Rにおける点集合についての諸概念Rnにおける点集合についての諸概念距離空間一般における点集合についての諸概念


[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次

 定義:平面R2における点集合の内点 inner point 

【はじめに読む定義】

Pが『R2部分集合E内点である」とは、

 条件1: P自体が点集合Eに属していて、
 なおかつ 
 条件2: Pの周囲も、「点集合Eに属す」で埋め尽くされている(に取り囲まれている)
 
ということ。

*高木『解析概論』第1章12(p.29)では、
  「a点集合Sに属する一つの点Pに十分近い点がすべてSに属するとき、PS内点という」
 と定義。 

【厳密な定義】

 上記定義-条件2の「Pの周囲」という表現は、曖昧。
 「Pの周囲」を厳密に規定したのが、下記定義
  → 距離を用いた内点定義  [距離をつかって「Pの周囲」を厳密に規定した内点定義] 
  → 近傍を用いた内点定義  [近傍概念をつかって「Pの周囲」を厳密に規定した内点定義] 


定義

・εの値を加減して、様々な大きさの「PR2ε近傍Uε(P)」をつくる。
 そのなかに、点集合ER2にすっぽり含まれるようなUε(P)が「ひとつでも」つくれれば、
 P点集合Eの内点であるという。
 すなわち、
 PR2点集合ER2の内点「ある」Uε(P)が存在して、Uε(P)E 

[文献]

 ・小平『解析入門I』p.56.
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』pp.154-155.
 ・布川谷野中山『線形代数と凸解析』定義6.3(p.118)。
 ・笠原『微分積分学』1.3(p.19).

図解

R2上の点集合のない点の図例
R2上の内点でない点の図例
R2上の点集合の内点ではない点の図例

関連

距離空間一般における内点Rにおける内点Rnにおける内点  

活用例

内部の定義開集合の定義   

→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義:点集合の外点exterior point 

【はじめに読む定義】

 「Pが『R2部分集合E外点である」とは、

  【条件1】 P自体がEに属しておらず

  なおかつ

  【条件2】 Pの周囲も、「Eに属さない」で埋め尽くされている
      すなわち、Pの周囲に、「Eに属す」が見当たらない  
      ないしは、Pの周囲のは、どれもが、Eに属さない  

 ということ。

【厳密な定義】
 
・上記【条件2】の「Pの周囲」という表現は、曖昧。
 距離をつかって「Pの周囲」を厳密に規定したのが、距離を用いた外点定義。
 近傍概念をつかって「Pの周囲」を厳密に規定したのが、近傍を用いた外点定義。 

内点の概念を用いて、外点の定義を簡潔に表現することもできる。[→内点を用いた表現] 


定義

εの値を加減して、様々な大きさのPのε近傍Uε(P)をつくる。
そのなかに、点集合E共有点を持たないUε(P)が「ひとつでも」つくれれば、
P点集合E外点であるという。
すなわち、
P点集合E外点「ある」Uε(P)に対して、Uε(P)Eφ
          「ある」ε>0に対して、Uε(P)Eφ  
 

[文献]

 ・ 松坂『集合・位相入門』4章§1B(p.141);
 ・笠原『微分積分学』1.3(p.19).

関連

Rにおける外点/Rnにおける外点/距離空間一般における外点

活用例

外部の定義

→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義:点集合の境界点boundary point 

定義

点集合ER2内点でも外点でもない点を点集合E境界点という。
PR2点集合ER2境界点であるための必要十分条件は、
どんな風にεをとっても、Pの「すべての」ε近傍Uε(P)が、
点集合Eに属す点集合Eに属さないも含むこと。   
すなわち、
PR2点集合ER2境界点
Pの「任意」のUε(P)に対して、
         Uε(P)右の部分集合ではないE, Uε(P)E ≠φ 

Pの「任意」のUε(P)に対して、 
         Uε(P)E≠φかつUε(P)Ecφ  

[文献] 

 ・小平『解析入門Ip.56.
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学pp.154-155.
 ・布川谷野中山『線形代数と凸解析』定義6.3(p.118)。
 ・笠原『微分積分学』1.3(p.19).

図解



関連

距離空間一般における境界点Rにおける境界点Rnにおける境界点  

活用例

境界の定義閉包の定義閉集合の定義   


[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
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定義:点集合の開核open kernel・内部interior

定義

点集合DR2 があるとする。
 D内点全体の集合を、D開核open kernelという。   


[文献]

 ・小平『解析入門IIp.257

性質

D閉領域ならばD開核U領域であって、DU閉包である。

関連

Rにおける内部/Rnにおける内部/距離空間における内部


→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義:点集合の境界boundary

定義

点集合ER2 があるとする。
  「点集合Eの境界」とは、点集合E境界点「全体」からなる集合のこと。

[文献]

 ・小平『解析入門I』p. 56;
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』p.155.

記号

E

関連

距離空間一般における境界/Rにおける境界/Rnにおける境界


→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義:点集合の閉包closure 

定義

点集合ER2 があるとする。
  「点集合Eの閉包」とは、
 「点集合E」と「点集合E境界」との合併集合のこと。

[文献]

 ・小平『解析入門Ip.56;

関連

距離空間一般/R/R2/Rnにおける閉包

→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義:稠密dense

定義

 

[文献]

 ・小平『解析入門I』p. 58;
 ・高木『解析概論』p.14

 

 

関連

 

 

   

→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義:集積点accumulating point

定義

どんな風にεをとっても、点aR2の「すべての」ε近傍Uε(a)が、
 (点)集合Eの点を無限個含むとき、
 点aを(点)集合Eの集積点という。

[文献]

 ・小平『解析入門I』p. 58;
 ・ 高木『解析概論』第1章7.集積点(p.14);
 ・笠原『微分積分学』定義1.20(p.20).
 ・能代『極限論と集合論』7章2集積点(p.128):Rn上。

関連

距離空間一般/R/Rnにおける集積点

→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義:孤立点isolated point 

定義

 

[文献]

 ・小平『解析入門I』p. 58.
 ・ 能代『極限論と集合論』7章2集積点(p.128):Rn上。

関連

 

→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義:離散集合discrete set

定義

 

[文献]

 ・小平『解析入門I』p. 58.

関連

 



[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義: R2における開集合 open set 

はじめに

読むべき

定義

点集合Eの境界点はどれもEに属さず、
点集合Eに属す全ての点が点集合Eの内点であるとき、   

点集合Eは開集合であるという。

[文献]

 ・小平『解析入門Ip.58;
 ・ 笠原『微分積分学』1.3(p.19).
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学p.16; 155;
 ・松坂『集合・位相入門』第4章§1D(pp.144-5);
 ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』第3章§4項目3.4.8(p.87);第4章§5項目4.5.2(p.125);.
 ・佐久間『集合・位相』3.4開集合と閉集合(p.61);
 ・布川谷野中山『線形代数と凸解析』定義6.3(p.118)。;
 ・能代『極限論と集合論』7章3開集合と閉集合(pp.130-139):Rn上。非常に詳しい。

正確な

定義

(R2,d)を距離空間、EをR2部分集合とする。 
Eは距離空間(R2,d)の開集合
任意のPEについてPはEの内点 
任意のPEに対し、集合Eに含まれるε近傍Uε(P)が少なくとも一つは作れる。
   (∵内点の定義) 
論理記号で書くと、 (PE) (Uε(P) ) ( Uε(P)E )  
         ないし、(P) (PE(Uε(P) ) ( Uε(P)E ))   

開集合の例:
 ・R2上の開区間(a,b)×(c,d)
   ={ (x,y) |x(a,b), y(c,d) }={ (x,y) | a<x<b, c<y<d } 
 ・空集合φ ※なぜ?→理由
 ・R2全体  ※なぜ?→理由  
  ※空集合φ、R2全体は、開集合閉集合の両方に該当。     
開集合ではない例:
 ・R2上の閉区間[a,b]×[c,d]
   ={ (x,y) |x[a,b], y[c,d] }={ (x,y) | axb, cyd }


性質

R2における開集合の性質R2における開集合と位相空間 

関連

距離区間一般における開集合Rにおける開集合Rnにおける開集合
位相空間一般における開集合


[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次

定義: R2における閉集合 closed set 

はじめに

読むべき

定義

点集合Eの「すべて」の境界点がEに属すとき、Eは閉集合であるという。

[文献]

 ・ 小平『解析入門Ip.58;
 ・笠原『微分積分学』1.3(p.19).
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学p.16; 155;
 ・松坂『集合・位相入門』第4章§1D(p.144);
 ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』第3章§4項目3.4.8(p.88);第4章§5項目4.5.2(p.125);.
 ・矢野『距離空間と位相構造』例4.3(p.129);
 ・佐久間『集合・位相』3.4開集合と閉集合(p.62);
 ・布川谷野中山『線形代数と凸解析』定義6.3(p.118) 
 ・能代『極限論と集合論』7章3開集合と閉集合(pp.130-139):Rn上。非常に詳しい。
 ・ 新井『ルベーグ積分講義』2.2(pp.23-7);

正確な

定義

任意の開集合補集合閉集合という。

閉集合の例: 
 ・R2上の閉区間[a,b]×[c,d]
   ={ (x,y) |x[a,b], y[c,d] }={ (x,y) | axb, cyd }
 ・R2上の楕円(有界な閉集合)、放物線、双曲線
      [矢野『距離空間と位相構造』例4.3(p.129);] 
 ・R2上の連続曲線 { (x1(t), x2(t) ) | t[0,1] } 
           ただし、x1(t), x2(t) は[0,1]上の連続な実数値関数
                  [『ルベーグ積分講義』例2.6(p.26)]
 ・R2上の有限個のからなる集合  [『ルベーグ積分講義』例2.4(p.25)]
 ・空集合φ 
   [小平『解析入門I』p.59;松坂『集合・位相入門』第4章§1D(p.146)]
 ・R2全体 
   [小平『解析入門I』p.59;松坂『集合・位相入門』第4章§1D(p.146)]
  ※空集合φ、R2全体は、開集合閉集合の両方に該当。
閉集合ではない例:
 ・R2上の開区間(a,b)×(c,d)
         ={ (x,y) |x(a,b), y(c,d) }={ (x,y) | a<x<b, c<y<d }
 ・R2上の右半開区間[0,1)×[0,1)[新井『ルベーグ積分講義』例2.6(p.26)]
 R2上の (,),(1/2,),(1/3,),(1/4,),(1/5,),…からなる集合
    すなわち、{ (1/n ,) | n=1,2,3,… }  
    *R2上のの無限集合は、
     このように閉集合にならない場合もあれば、
     閉集合になる場合もある。[『ルベーグ積分講義』例2.5(p.25)] 

活用

連続関数の最大値最小値定理,連続関数の一様連続性 

関連

距離空間一般における閉集合Rにおける閉集合Rnにおける閉集合
位相空間一般における閉集合



[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

 定義:R2上の区間

定義

ふたつのR上の区間I,Jの直積I×J={ (x,y ) |xI, yJ }を、
R2=R×R上の区間という。

[文献]

 ・小平『解析入門II』p.317

下位概念

開区間閉区間

類概念

R上の区間Rnにおける区間

定義: R2上の開区間

定義

IをR上の開区間(a,b)とする、JもR上の開区間(c,d)とする。
IとJの直積I×J={ (x,y ) |xI, yJ }={ (x,y) | a<x<b, c<y<d }を、
R2=R×R上の開区間という。 
これは、周を含まない長方形に他ならない。

[文献]

・松坂『集合・位相入門』第4章§1D(p.144)

性質

R2上の開区間は、開集合である。

上位概念

R2上の区間

類概念

R上の開区間Rnにおける開区間  

[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次

 定義:R2上の閉区間・(閉)矩形  a (closed) rectangle




定義

・IをR上の閉区間[a,b]とする、JもR上の閉区間[c,d]とする。
 IとJの直積I×J={ (x,y) |xI, yJ }={ (x,y) | axb, cyd }を、
 R2=R×R上の閉区間・(閉)矩形a (closed) rectangleという。 
 これは、周を含めた長方形にほかならない。

[文献]

 ・小平『解析入門II』p.317
 ・松坂『集合・位相入門』第4章§1D(p.144);
 ・Lang,Undergraduate Analysis468

性質

R2上の閉区間は、閉集合である。

上位概念

R2上の区間

類概念

R上の閉区間/Rn上の閉区間    

[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

 定義:「有界bounded」な集合

定義

点集合SR2について考える。
 <点集合Sに属する任意の点>をP 、 原点をO=(0,0)とおく。
 <点集合Sに属する任意の点>と<原点>との距離d(P,O)が
  上に有界であるとき、
 点集合Sは有界boundedであるという。     
 点集合Sが有界 PSに対して、距離d(P,O) が上に有界  

[文献]

 ・小平『解析入門Ip.61.
 ・布川谷野中山『線形代数と凸解析』定義6.3(p.118)

関連

Rにおける有界な集合/Rnにおける有界な集合/距離空間一般における有界な集合

活用

連続関数の最大値最小値定理/連続関数の一様連続性 

→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義:直径 diameter 

定義

有界な点集合SR2について考える。
 S有界ならば、
 Sに属する2点PQ間の距離d(P,Q)も上に有界となり、上限が定まる。
 この上限 
 
sup
 d(P,Q)

P,QS

 を、Sの直径と呼ぶ。

[文献]

 ・小平『解析入門Ip.61.

性質

・閉領域は閉集合

関連

Rにおける区間の長さ/Rnにおける直径/距離空間一般における直径

→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義:R2に おける連結 connected

定義

・「R2における開集合U連 結connectedである」とは、
  R2における開集合U
  2つの「でない開集合」の直和として表せないことをいう。  
 つまり、
 「R2における開集合U連 結connectedである」とは、
  R2における開集合U
  「共通点をもたない二つのでない開集合合併集合
  とならないこと、
  すなわち、
  U=VWVW=φ (V,Wでない開集合) とならないこと、
 をいう。
・「R2における閉集合U連 結connectedである」とは、
  R2における閉集合U
  2つの「でない閉集合」の直和として表せないことをいう。  
 つまり、
 「R2における閉集合U連 結connectedである」とは、
  R2における閉集合U
  「共通点をもたない二つのでない閉集合合併集合
  とならないこと、
  すなわち、
  U=VWVW=φ (V,Wでない閉集合) とならないこと、
 をいう。

[文献]

 ・小平『解析入門I』§6.1(pp.255-6);
 ・杉浦『解析入門I』定義2(pp.75-76);
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学p.161.

R2上の連結でない集合の図例

性質

開集合についてならば、弧状連結と同値

活用

領域の定義2変 数関数の中間値定理 

下位類型

凸集合  

関連

Rnにおける連結  

[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次

 定義:R2における弧状連結 arcwise connected 

はじめに

読むべき

定義

・「点集合Sが弧状連結である」とは、
  点集合S属す任意の2P,Qに対し、
  P,Qを結ぶ様々な曲線の引き方のなかで、
  曲線がまるごと点集合S含まれる引き方が
  少なくとも一通りは存在することをいう。

[文献]

 ・杉浦『解析入門I』定義2(p.76);
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学p.161.
 ・笠原『微分積分学』5.1(p.153);

厳密な

定義

・厳密な定義は、杉浦『解析入門I』定義2(p.76)を参照。

性質

開集合についてならば、連結と同値

活用

 領域の定義2変数関数の中間値定理 

下位類型

 凸集合  

関連

 Rnにおける弧状連結  
     

→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定理:連結、弧状連結、折線 

定理

次の三つの命題は同値
 命題1:「開集合S連結である」
 命題2:「開集合S弧状連結である」
 命題3:「開集合S属す任意の2P,Qを、S内にある折線で結ぶことが出来る」
Sが開集合でない場合、
 命題2命題1は成り立つが、命題1命題2は成り立たない。
     [斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』5.3.19-20(pp.165-6)] 

[文献]

 ・杉浦『解析入門I』定理8.2(p.77);
 ・小平『解析入門II』§6.1(pp.256-7)
 ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』5.3.17-21(pp.165-6)

証明

・杉浦『解析入門I』定理8.2(p.77)参照。
・「命題1命題3」の証明:
     小平『解析入門II』§6.1(p.257);杉浦『解析入門I』定理8.2(p.77)
・「命題2命題1」の証明:杉浦『解析入門I』定理8.2(p.77)  
・「命題3命題2」の証明:杉浦『解析入門I』定理8.2(p.77)  
・「命題3命題1」の証明:小平『解析入門II』§6.1(p.256)

関連

Rnにおけるケース

 

[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義:R2における凸集合  convex set 

定義

・「点集合Sが凸集合である」とは、
 点集合S属す任意の2P,Qに対し,線分PQ点集合S含むことをいう。

[文献]

 ・布川谷野中山『線形代数と凸解析』定義6.9(p.125)
 ・杉浦『解析入門I』pp.75-76;
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学p.67;
 ・奥野鈴村『ミクロ経済学pp.265-266.

R2上の凸集合

性質

・凸集合は、弧状連結な集合の一例。したがって()、凸集合は、開集合ならば、連結な集合の一例。

活用

   

関連

Rnにおける凸集合

 

→[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義:R2における領域 domain,region

定義

・領域とは、連結な開集合のこと。

[文献]

 ・小平『解析入門IIpp.257;
 ・杉浦『解析入門I』I§8定義1(p.76);
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学p.161.
 ・笠原『微分積分学』5.1(p.153); 

「内部の点だけを含む領域を開領域という」
 としている本(和達『微分積分p. 113)もある。

関連

 Rnにおける領域

活用

連続関数による領域の像 

[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

定義:R2における閉領域

定義

閉領域とは、領域閉包のこと。
 つまり「境界を全て入れた領域(和達『微分積分p. 113)」のこと。

 
記号: 
D

[文献]

 ・小平『解析入門IIp.257;
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学p.161.
 ・和達『微分積分p. 113

性質

・閉領域は閉集合

関連

Rnにおける閉領域

活用

連続関数による閉領域の像   

[トピック一覧:距離空間(R2,d)]
総目次
 

reference

日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』項目92距離空間(pp.253-256)、項目409ユークリッド幾何学(pp.1225-1229)、項目410ユークリッド空間 (pp.1229-1230).
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.67-76;120-123; 131-148.
彌永昌吉・彌永健一『岩波講座基礎数学: 集合と位相 I・II』 岩波書店、1977年, pp.135-171。
矢野公一『距離空間と位相構造』共立出版、1997年、第一章。
斉藤正彦『数学の基礎:集合・数・位相』東大出版会、2002年。
高木貞二『解析概論改訂第三版』岩波書店、1983年、pp.14-17.
小平邦彦『解析入門I』 (軽装版)岩波書店、2003年、pp. 13; 21;36; 46;53-65; 73.
杉浦光夫『解析入門I』岩波書店、1980年、pp.37-48;55; 70;.75-79;
笠原皓司『微分積分学』サイエンス社、1974年、1.3(pp.16-22)。
吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年。pp.154-157.
和達三樹『理工系の数学入門コース1:微分積分』岩波書店、1988年、pp.112-113.
志賀浩二『位相への30講』朝倉書店、1988年、第2-3講(pp.8-25)。
布川昊,谷野哲三,中山弘隆『線形代数と凸解析』コロナ社、1991年、6.3 Rnの点集合の位相。
奥野正寛、鈴村興太郎『ミクロ経済学I』岩波書店、1985年、pp.261-265.
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、p.5。
佐藤坦『はじめての確率論 測度から確率へ』共立出版、1994、pp172-186.
Fischer,Emanuel.Intermediate Real Analysis(Undergraduate Texts in Mathematics),Springer-Verlag New York Heidelberg Berlin,1983,p.207.
Lang,Serge.Undergraduate Analysis(Undergraduate Texts in Mathematics),Springer-Verlag New York Berlin Heidelberg Tokyo,1983,Chapter 19. Multiple Integrals. (p.468.)。