n変数関数とその属性:トピック一覧  

 ・定義: n変数関数 
 ・定義:
n変数関数の定義域/像・値/値域/逆像・原像 
 ・定義:
有界なn変数関数/ n変数関数の最大値・最大点・最小値・最小点

  

 ※関数定義関連ページ:1変数関数/2変数関数/実数値関数一般/ベクトル値関数/写像一般 
 ※n変数関数に関する諸概念の定義:極限/連続性/偏微分/方向微分/全微分/  
 
総目次

定義:n変数関数 

定義

n変数関数ないし多変数関数とは、
n個の実数(x1,x2,,xn)に対して、実数yを対応づける規則」
n次元空間Rn点集合D(定義域)に属すPにたいして、実数yを対応づける規則」
n次元空間Rn部分集合Dから、実数体Rへの、写像
のこと。
 
y=f (x1,x2,,xn) 、z=f (P) 、f : DR 、f :RnDR  
などと表す。 

[文献]
西村『経済数学早分かり3章§1.1関数とは(p.104)
小平
解析入門U』§6.4(p309);
笠原『微分積分学1.4(pp.22-3)
杉浦『
解析入門II§6(p.50);
黒田『微分積分学8.2.1(p.276);
木『解析概論8.函数(p.19);
加古『自然科学の基礎としての微積分6.1(p.88);

ベクトル
表現

n個の実数(x1,x2,,xn)とは、n次元数ベクトルのことにほかならないから、
n変数関数多変数関数とは、
n次元数ベクトルx=(x1,x2,,xn)にたいして、実数yを対応づける規則」。
n次元数ベクトル空間Rn部分集合(「定義域」)Dの各に対して、実数体Rを対応づける規則」
n次元数ベクトル空間Rn部分集合Dから、実数体Rへの、写像
などといっても同じ。
z=f (x) 、f: DR 、f :RnDR  などと表す。

類概念

1変数関数/ 2変数関数/実数値関数一般/ベクトル値関数/写像一般 

 
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定義:n変数関数の定義域domain 


定義


n
変数関数f :RnDR」の定義域とは、
点集合Dのこと。


[文献]
黒田『
微分積分学3.1.1(p.84);3.1.2(p.86);8.2.1(p.276);
笠原『微分積分学1.4(p.22)
[類概念]
1変数関数の定義域/ 2変数関数の定義域/実数関数一般の定義域/
ベクトル値関数の定義域

   


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定義:n変数関数の像・値 

点の像

n変数関数f によるP=(x1,x2,,xn)
P=(x1,x2,,xn)におけるf
  
f (x1,x2,,xn)f (P)
とは、
n変数関数f によって
P= (x1,x2,,xn)に対応付けられた
実数のこと。


[類概念]
1変数関数の像・値/ 2変数関数の像・値/実数値関数一般の像・値/ベクトル値関数の像・値/写像の「像」
[文献]
黒田『
微分積分学3.1.2(p.8687);8.2.1(p.276);

集合の像

n変数関数f による『定義域部分集合A』のf (A)とは、
定義域部分集合Aに属すfによる像を、全部集めて出来る集合のこと。
 つまり、
f :RnDR 、ADRnにたいして、 f (A)={ f (a)R | aA } と定義される。

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定義:n変数関数の値域range 

 


n
変数関数f :RnDR」の値域とは、
f による定義域
  
f (D)={ f (a)R | aD }
のこと。


[類概念]
1変数関数の値域/ 2変数関数の値域/実数値関数一般の値域/ベクトル値関数の値域 
[文献]
黒田『
微分積分学3.1.1(p.84);3.1.2(p.86);8.2.1(p.276);
笠原『微分積分学1.4(p.22);

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定義:n変数関数の逆像・原像inverse image 

点の逆像

P= (x1,x2,,xn)が、
  
n変数関数f :RnDR による実数b逆像である」
  
P=f 1 (b)
とは、
P= (x1,x2,,xn)f による像実数bであるということ
    
f (P)=b
をいう。
実数bf による逆像は、複数存在しうる。

[類概念]
 1変数関数の逆像
 
2変数関数の逆像
 
実数値関数一般の逆像
 
ベクトル値関数の逆像 
 写像の「逆像」

[文献]
黒田『
微分積分学3.1.2(p.86;87)

集合の
逆像

n変数関数f :RnDR』による『R上の点集合B』の逆像
  
f 1 (B) 
とは、
定義域Dに属すのうち、そのBに属すもの全体の集合のこと。
つまり、
f :RnDR 、BRにたいして、  
      
f -1 (B){ aDRn | f (a)BR} 
と定義される。

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定義:n変数関数が有界 

有界

n変数関数f :RnDR』が有界である」とは、
 
f の値域R上の点集合として有界であるということ、
 つまり、
 
定義域Dに属すあらゆるP= (x1,x2,,xn)に対して、| f (P)|M」を満たす実数M>0が存在する
     
論理記号では、(M>0)(PDRn)(| f (P)|M
 ということをいう。


[文献]
Rudin
現代解析学4.13(p.87)距離空間一般上。
杉浦『
解析入門II§6定義4(p.55);

点集合

有界

n変数関数f :RnDR』が点集合Aで有界である」とは、
 「
f による定義域D部分集合Aの像f (A)R上の点集合として有界であるということ。
 つまり、
f :RnDR 、ADRnという設定のもと、
 「
点集合Aに属すあらゆるP= (x1,x2,,xn)に対して、| f (P)|M」を満たす実数M>0が存在するということ
   
論理記号では、(M>0)(PADRn)(| f (P)|M)  

定義:n変数関数の最大値・最大点・最小値・最小点 

最大値

n変数関数f点集合Aにおける最大値」とは、
  「
f による定義域部分集合Aの像」の(実数の集合としての)最大元のこと。
つまり、   
f :RnDR 、ADRnという設定のもとで、「n変数関数f点集合Aにおける最大値」といえば、max f (A)を指す。
n変数関数f点集合Aにおける最大値」は存在する場合もあれば、存在しない場合もある。
  →
最大値・最小値定理  

[文献]
杉浦『解析入門II§7(p.68);

最大点

P= (x1,x2,,xn)が、n変数関数f点集合Aにおける最大点である」とは、
P= (x1,x2,,xn)fによるf (P)が「f点集合Aにおける最大値である」ということ。
つまり、
f :RnDR, PADRnとの設定下で「Pn変数関数f点集合Aにおける最大点である」といえば、
     
f (P)=max f (A) となることを指す。 

最小値

n変数関数f点集合Aにおける最小値」とは、
  「
f による定義域部分集合Aの像」の(実数の集合としての)最小元のこと。
つまり、
f :RnDR 、ADRnという設定のもとで、「n変数関数f点集合Aにおける最小値」といえば、
     
min f (A)を指す。
n変数関数f点集合Aにおける最小値」は存在する場合もあれば、存在しない場合もある。
  →
最大値・最小値定理  

最小点

P= (x1,x2,,xn)が、n変数関数f 点集合Aにおける最小点である」とは、
Pf によるf (P)が、「f 点集合Aにおける最小値である」ということ。
つまり、
f :RnDR, PADRnとの設定下で「Pn変数関数f点集合Aにおける最小点である」といえば
     
f (P)=min f (A)となることを指す。 

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reference

和達三樹『理工系の数学入門コース1・微分積分』岩波書店、1988年、pp.112-114.
吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年。pp.158-159.
矢野・田代『社会科学者のための基礎数学 改訂版』裳華房、1993, p. 91.
岩波数学辞典(第三版)』項目58関数D族・列(p.158)、項目166収束(pp.436).
高木貞治『解析概論改訂第三版』岩波書店、1983年、p. 20.
小平邦彦『解析入門II(軽装版)岩波書店、2003年、pp.259-260.
杉浦光夫『解析入門』岩波書店、1980年、pp.50-54, p.60.  極限の定義が特殊なので注意。
高橋一『
経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、pp.141-143.
ルディン『現代解析学』共立出版、1971年、4.1-4.4(pp.81-3)。一般の距離空間の上で論じている。
高木斉・押切源一『
解析I・微分』共立出版株式会社、1995年。

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