定義:an→α (n→∞)「数列がαに収束 」"the sequence converges to α"   

定義:lim an = α   「数列の極限値はα」"the sequence has limit α"       


ビギナー向け定義 
厳密な定義〜ε-N論法による記述 
  ・考え方 / イメージトレーニング 
  ・ビギナー向け定義のどこを明確化?
  ・具体的に噛み砕くと… 
  ・論理の解説 
  ・論理記号読み下しサンプル集 
→ビジュアル化 
具体例 


cf.

 収束先の極限値を明示しない下記表現の定義
  →「数列が収束する」/「数列が収束列」
  →「数列の極限が存在する」/「数列は極限値をもつ」  

【関連事項】

・数列の収束条件:
  有界単調数列の収束定理
  ボルツァノ・ワイエルストラスの定理
  コーシーの判定法
収束数列の性質
・収束の反意語:発散(∞に発散/−∞に発散)

・数列以外に関する「収束」「極限」概念の定義:
 −点列について:
  R2上の点列の収束/Rn上の点列の収束/点列の収束一般    
 −関数について:
  ・1変数関数の極限/2変数関数の極限/多変数関数の極限
  ・距離空間上で定義された実数値関数の極限 
  ・1変数ベクトル値関数の極限/n変数ベクトル値関数の極限
  ・距離空間のあいだの写像の極限




[文献−解析]
 ・『岩波入門数学辞典』「ε-δ論法 ε-δ method」(p.33).
 ・小林『微分積分読本:1変数』 1章5数列と収束(pp.12-17)
 ・黒田『微分積分学』§2.5.2定義2.6(pp.42-5);談話室(p.83):非常に丁寧で感動的。 
 ・小平『解析入門I』§1.4-a(p.22)。
 ・笠原『微分積分学』1.2定義1.6(pp.8-9)
 ・志賀『解析入門30講』第2講(pp.8-9)。
 ・高木『解析概論』5-6.
 ・杉浦『解析入門I』I-§2-定義5(p.12);
 ・杉浦『解析演習』1.1(p.1);
 ・青本『微分と積分1』§1.2(b)(p.11)
 ・和達『微分積分』(pp.7-10)
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』1章§2(I)(pp.5-7)
 ・松坂『解析入門1』2.1数列-C-定義(p.59)
 ・矢野『距離空間と位相構造』A.2.4(p.242);
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブッ ク[1変数関数編]』3.1.3-3.1.4(p.91)
 ・Ross,Elementary Analysis:The Theory of Calculus,ChapterU§7:7.1Definition(p.25)
 ・瀬山『無限と連続の数学』2.6.2(pp.56-61)
[文献−論理]
 ・齋藤正彦『日本語から記号論理へ』3章§6(pp.157-160)
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』2章(pp.11-5);3章数列の極限(p.21)
 ・中内『ろんりの練習帳』2.8(1)(pp.112-7)
 ・新井紀子『数学は言葉』例題4.3.1.1(pp.136-137);例題4.4.4(p.147);
 ・清野和彦『2011年度数学I 演習補足ε-N 論法を使った証明について』「an→α (n→∞)」であると証明するにはどう論ずるか?  
[文献−数理経済]
 ・De La Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists,Definition2.1(p.46);2.3Sequences in R and Rm(pp.49-58)
 ・入谷久我『数理経済学入門定義2.8(p.34)


 ・神谷・浦井『経済学のための数学入門』(p.68)


an→α(n→∞):ビギナー向け定義

・「 数列 { an } 実数αに収束する
  " { an } converges to α "
 「『数列 { an } 極限値limit』は実数αである」
  " { an } has limit α"       
 「 an→α (n→∞)




lim
an=α  」
n→∞
   
 とは、

  数列 { anにおいて「の番号」nを限りなく大きくすると、
   anの値が実数αに限りなく近づく 

 ということ。

 






この定義は、
普段の言葉のみで理解できるので、
一見わかりやすく感じられるけれども、
本当は、実用に耐えられない代物。


 1.「限りなく大きくする」「限りなく近づく」とは
   いかなる事態を指すのか、
 2. 「nを限りなく大きくする」ことと
   「an実数αに限りなく近づく」こととは、
          いかなる関係にあるのか

という点が何ら明確化されていないために、
事態の的確な把握・伝達が求められる場面
での使用に耐えられない。
 [→具体例:細井(pp.11-12);中内(pp.113-4)]

 (実際、高校の教科書では、
  いくつかの公式の証明が省略されている。
  この定義は、証明に耐えられないから!)

  *高校数学で証明困難な公式の例
  ・1/n→0 (n→∞) [細井p.2]
  ・そのほか[齋藤pp.157-8]

そこで、
事態の的確な把握が求められる場合、 
上記二点を操作化した下記表現が用いられる。

厳密な極限定義考え方/具体的に噛み砕くと…
 











[文献−解析]
 ・吉田栗田戸田『平成元年3/31文部省検定済高等学校微分・積分』啓林館、1章-1(p.7)
 ・小林『微分積分読本:1変数』 1章5数列と収束(p.12)
 ・小平『解析入門I』§1.4-a定義1.4の前段(p.22)。
 ・和達『微分積分』1-3(p.7)
 ・高木『解析概論』1章4(p.5).
 ・杉浦『解析演習』1.1(p.1);
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』1章§2(I)(p.5)
 ・黒田『微分積分学』§2.5.2-定義2.6-補足説明-3(p.44)
 ・矢野『距離空間と位相構造』A.2.4(p.242);
 ・Ross,Elementary Analysis:The Theory of Calculus,ChapterU§7:7.1Definition(p.25)
 ・http://en.wikipedia.org/wiki/Limit_of_a_sequence
 ・瀬山『無限と連続の数学』定義2.6.3(p.57)
[文献−論理]
 ・齋藤正彦『日本語から記号論理へ』3章§6(pp.157-8)
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』2章「高校での数列の極限」(p.11):高校での、日常語を流用した数学語をつかった不十分な説明として。
 ・中内『ろんりの練習帳』2.8(1)例2.8.1(pp.112-7):高校で習った非数学的な文学的表現として。
[文献−数理経済]
 ・神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』定義2.2.4の直前(p.68)「高等学校的な収束の定義」
 ・岡田『経済学・経営学のための数学』定義1.1(p.5)
 ・De La Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists,Definition2.1(p.46);









数列の収束・極限値 
トピック一覧:数列とその類型・属性の定義 



an→α(n→∞):厳密な定義の考え方 


・アイデアのみを、ざっくり述べると、

 「 数列 { an } 実数αに収束する」  "{ an } converges to α"
 「『数列 { an } 極限値』は実数αである」  " { an } has limit α"    
 「 an→α (n→∞)




lim
an=α  」
n→∞

 とは、

  εに設定した距離を変更して、《αからの距離ε以内の目標接近ゾーン》の幅を変えるたびに、

  その時εに設定した距離に応じて、




[文献−解析]
 ・『岩 波入門数学辞典』「ε-δ論法 ε-δ method」(p.33). ・小林『微 分積分読本:1変数』 1章5数列と収束(p.16)
 ・和達『微 分積分』1章CoffeeBreak(p.13)      ・杉浦『解析入門I』I-§2-定義 5(2.5)(p.12);
 ・笠原『微 分積分学』1.2定義1.6(pp.8-9)       ・黒田『微分積分学』§2.5.2補足 説明1(p.43)
 ・青本『微 分と積分1』§1.2(b)(p.11)          ・瀬山『無限と連続の数学』定義2.6.3-定義2.6.4(pp.57-59).
 ・Ross,Elementary Analysis:The Theory of Calculus,ChapterU§7:7.1Definition(p.25)
[文献−論理]
 ・中内『ろ んりの練習帳』2.8(1)(p.115) ・清野『2011年度数学I 演習補足ε-N 論法を使った証明について』「an→α (n→∞)」であると証明するにはどう論ずるか?  
[文献−数理経済]
 ・神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』定義2.2.4の 直後(p.68)


 ・De La Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists, Definition2.1(p.46);2.3Sequences in R and Rm(pp.49-58)

    《しきい値》Nに代入すると「項番号nが《しきい値》Nを突破すると、anが《αからの距離ε以内の目標接近ゾーン》へ 突入する」を実現する項番号
  が、実在すると確認できるので、

  εに設定した距離を変更して、《αからの距離ε以内の目標接近ゾーン》の幅をどのように変えていっても、
  その設定変更のたびに、その時εに設定した距離に応じた項番号を《しきい値》Nにセットし直していくことで
       「nが《しきい値》Nを突破すると、anが《αからの距離ε以内の目標接近ゾーン》へ 突入する」を実現し続けることを保証できる

 ということ。

 どういうこと?→ イメージトレーニング / 具体的に展開   

・「anが《αからの距離ε以内の目標接近ゾーン》へ 突入する」を数式で表すと、「α−ε< an<α+ε」となるが、
   絶対値を用いて、「 | an −α|<ε」 
   開区間を用いた集合表現で、「an (α−ε, α+ε)
 とも表せる。

 なお、《αからの距離ε以内の目標接近ゾーン》とは、αのε近傍Uε(α)に他ならないので、これを使うと、
 「anが《αからの距離ε以内の目標接近ゾーン》へ 突入する」は「anUε(α)」と表せる。

・「項番号nが《しきい値》Nを突破する」を数式で表すと、「nN」。

論理記号を用いて、全体を表すと、「 ∀ε>0 ∃NN ∀nN ( nN α−ε< an<α+ε ) 」となる。

 詳細→厳密な極限定義

【他の表現 : an→α (n→∞)の考え方】


an→α (n→∞)」とは、

 ・「『数列{an}の各』と『実数α』との目標誤差εをどのような『正の実数値』に指定しようとも、その目標誤差εに応じて、数列{an}はじめの有限N個のを選んで、これを無視することにすれば、
   「『(N+1)番目のに後続する無限個の』と『実数α』との実際の誤差」を、目標誤差ε以内に収めることができるということ
 ・「『数列{an}の各』と『実数α』との目標誤差εをどのような『正の実数値』に指定しようとも、その目標誤差εに応じて、数列{an}はじめの有限N個のを選んで、これを除去してあげると、
   「『残った無限個の』と『実数α』との実際の誤差」を、目標誤差ε以内に収めることができるということ
 ・「『数列{an}の各』と『実数α』との目標誤差εをどのような『正の実数値』に指定しようとも、その目標誤差εに応じて、数列{an}」をうまく選んであげると、
   「『目標誤差εに応じて選んだより後ろのすべての項』と『実数α』との実際の誤差」を、目標誤差ε以内に収めることができるということ

 







このような厳密な「 an→α (n→∞) 」定義のアイデアは、ビギナー向け定義を明確化したもの。


【見取り図】


  ビギナー向け「 an→α(n→∞) 」定義
  「項番号n限りなく大きくなると、an実数αに限りなく近づく ということ」

【改良1】→↓ 

  「nが《項番号N》まで大きくなると、an実数αに《距離ε》まで近づく」(*)
  ──《距離ε》の限りないバリエーションの一つ一つに応じて、好都合な《項番号N》がそれぞれ実在して、(*)を実現するということ。

【改良2】→↓

  厳密な「 an→α(n→∞) 」定義
  「n大きくなって《しきい値N》を突破すると、an《αからの距離ε以内のゾーン》へ突入」(**)
  ──《距離ε》の限りないバリエーションの一つ一つに応じて、《閾値N》がそれぞれ実在して、(**)を実現するということ。


説明は?→ε-N論法による「数列の極限値」定義はビギナー向け定義のどこをどのように明確化しているのか? 









数列の収束・極限値 
トピック一覧:数列とその類型・属性の定義 



an→α(n→∞):厳密な定義の具体的な表現
・「 数列 { an } 実数αに収束する」  "{ an } converges to α"
 「『数列 { an } 極限値』は実数αである」 " { an } has limit α"
 「 an→α (n→∞)




lim
an=α  」
n→∞
   
 とは、

 ・ε1=1と決めてやると、
          「 nN1ならば、 | an −α|<ε1 つまり| an −α|<1」
     すなわち、「 nN1ならば、 α−ε1an<α+ε1つまりα−1< an<α+1」
     すなわち、「 nN1ならば、  an (α−ε1 , α+ε1)つまりan  (α−1, α+1) 」
  を成り立たせる自然数N1が存在する
 ・ε2 =0.01を決めてやると、
          「 nN2ならば、 | an −α|<ε2つまり| an −α|<0.01 」
     すなわち、「 nN2ならば、 α−ε2an<α+ε2つまりα−0.01<an <α+0.01」
     すなわち、「 nN2ならば、  an (α−ε2 , α+ε2 )つまりan  (α−0.01, α+0.01) 」
  を成り立たせる自然数nN2が存在する
 ・ε3=0.0001を決めてやると、
          「 nN3ならば、 | an −α|<ε3つまり| an−α|<0.0001 」
     すなわち、「 nN3ならば、 α−ε3an<α+ε3つまりα−0.0001< an<α+0.0001」
     すなわち、「 nN3ならばan (α−ε3 ,α+ε3 )つまりan (α−0.0001, α+0.0001)
  を成り立たせる自然数N3が存在する
  :
  :
  といった具合に、
  どんな正の実数εkを決めてやっても(εkを1でも、0.1でも、0.00…001まで狭めても)、
 このεkの大きさに応じて、ある自然数Nkが存在して、
     「 nNkならば、 | an −α|<εk 」
     すなわち、「 nNkならば、 α−εkan<α+εk 」
     すなわち、「 nNkならば、  an (α−εk , α+εk ) 」
     すなわち、「 nNkならば、  an  Uε(α) 」 
 を成り立たせる
 ということ。

  どういうこと? → 考え方 / イメージトレーニング /ビギナー向け定義のどこを明確化?
  端的には? →  厳密な定義 






[文献−解析]
 ・青本『微分と積分1』§1.2(b)(p.11)
 ・黒田『微分積分学』§2.5.2定義2.6(p.42);補足説明2(p.44):表現についての注意
 ・高木『解析概論』1章4(pp.5-6).
 ・小平『解析入門I』§1.4-a定義1.4(p.22)。
 ・杉浦『解析入門I』I-§2-定義5(p.12);
 ・杉浦『解析演習』1.1(p.1);
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』1章§2(I)(p.6)
 ・和達『微分積分』1-4(p.9)

[文献−論理]
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』2章「極限値条件1」(p.13;15);3章数列の極限(p.21)
 ・中内『ろんりの練習帳』2.8(1)(pp.112-7)
 ・清野和彦『2011年度数学I 演習補足ε-N 論法を使った証明について』「an→α (n→∞)」であると証明するにはどう論ずるか?  

[文献−数理経済]
 ・神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』定義2.2.4(p.68)


 ・De La Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists, Definition2.1(p.46);                          2.3Sequences in R and Rm(pp.49-58)

 





R2上の点列の収束/Rn上の点列の収束/点列の収束一般  


1変数関数の極限/2変数関数の極限/多変数関数の極限/距離空間上で定義された実数値関数の極限 
 1変数ベクトル値関数の極限/n変数ベクトル値関数の極限/距離空間のあいだの写像の極限










数列の収束・極限値 
トピック一覧:数列とその類型・属性の定義 



an→α(n→∞):厳密な定義の正確な表現

【ε-N論法による定義】


・「 数列 { an } 実数αに収束する
     "{ an } converges to α"

 「『数列 { an } 極限値』は実数αである」
          "{ an } has limit α"

 「 an→α (n→∞)




lim
an=α  」
n→∞
   
 とは、

 数列 { an } において、

 任意の(どんな小さな)正の実数εに対して(でも)、
     (つまり、εを1でも、0.1でも、0.00…001まで狭めても)

 ある(十分大きな)自然数Nが存在して、

      「 nNならば、 | an −α|<ε 」
      すなわち、
      「 nNならば、  d(an)<ε 」
      すなわち、
      「 nNならば、 α−ε< an<α+ε 」
      すなわち、
      「 nNならば、  an (α−ε, α+ε) 」
      すなわち、
      「 nNならば、  anUε(α)  」

 が成り立つ

 ということ、


 しつこく表現すると、

  どんな(小さな)「正の実数」を選んで、εに代入しても、




[文献−解析]
 ・『岩波入門数学辞典』「ε-δ論法 ε-δ method」(p.33).
 ・小林『微分積分読本:1変数』 1章5数列と収束(p.15)
 ・黒田『微分積分学』§2.5.2定義 2.6(p.42);補足説明1(p.43);補足説明2(p.44):表現についての注意。
 ・小平『解析入門I』§1.4-a定 義1.4(p.22);定理1.12(p.23)
 ・志賀『解析入門30講』第2講(pp.8-9):ε近傍なし。
 ・和達『微分積分』1-4(p.9):ε近傍も。 
 ・高木『解析概論』1章4(pp.5-6).
 ・杉浦『解析入門I』I-§2-定義5(p.12);
 ・杉浦『解析演習』1.1(p.1);
 ・笠原『微分積分学』1.2定義1.6(pp.8-9)
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』1章§2(I)(p.6)
 ・矢野『距 離空間と位相構造』A.2.4(p.242):「アルキメデスの原理より、"任意の実数ε>0"の代わりに、"任意の自然数kに ついて1/k"で議論すれば十分」
 ・Ross,Elementary Analysis:The Theory of Calculus,ChapterU§7:7.1Definition(p.25)
 ・瀬山『無限と連続の数学』定義 2.6.4(p.58)
[文献−論理]
 ・細井『はじめて 学ぶイプシロン・デルタ』2章「極限値条件1」(p.13;15);3章数列の極限(p.21)
 ・中内『ろ んりの練習帳』2.8(1)例2.8.1(p.112);論理記号化(p.116)
 ・新井紀子『数学は言 葉』例題4.3.1.1(pp.136-137);例題4.4.4(p.147); 
 ・清野和彦『2011年度数学I 演習補足ε-N 論法を使った証明について』「an→α (n→∞)」であると証明するにはどう論ずるか?  
[文献−数理経済]
 ・De La Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists,Definition2.1(p.46);2.3Sequences in R and Rm(pp.49-58)
 ・入谷久我『数理経済学入門』定義2.8(p.34)


 ・神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』定義2.2.4(p.68): 距離概念を用いる
 





R2上 の点列の収束/Rn上 の点列の収束/点 列の収束一般   


1変数関数の極限/2 変数関数の極限/多変数関数 の極限/距 離空間上で定義された実数値関数の極限 
 1 変数ベクトル値関数の極限/n変 数ベクトル値関数の極限/距離空間 のあいだの写像の極限






   その「正の実数」に相応しい(十分大きな)自然数が少なくとも一個は存在するので、
   その「正の実数」に応じて、この(十分大きな)自然数を探し出してNに代入することによって、

      「どの自然数nに代入しても、an, αは、

            『nNならば、 | an −α|<ε』
        すなわち 『nNならば、 d(an)<ε』
        すなわち『nNならば、 α−ε< an<α+ε』
        すなわち『nNならば、  an (α−ε, α+ε)

        すなわち『nNならば、  anUε(α)

       を満たす」

   を成り立たせることができる

 ということ。

  どういうこと? → 考え方 / イメージトレーニング 
  具体的には? → 具体的に噛み砕いた説明  
  ビギナー向け定義のどこを明確化? 

 以上を論理記号で表すと、

  ε>0 NN nN ( nN|  an−α|<ε)    
  すなわち、
  ε>0 NN  nN ( nN d(an)<ε )
  すなわち、
  ε>0 NN nN ( nN an (α−ε, α+ε) )
  すなわち、
  ε>0 NN nN ( nN an Uε(α) )   
  すなわち、
  Uε(α) NN nN ( nN an Uε(α) ) 

  どう読むの? → 読み下しサンプル 

 





・εは、anをαへ近づける際の、αへの目標接近距離   


・「α−ε< an<α+ε」「| an −α|<ε」「an (α−ε, α+ε)」「anUε(α)」は、  
 「anが《αからの距離ε以内の目標接近ゾーン》へ 突入する」を意味する。

詳細→厳密な「an→α(n→∞)」定義の考え方 






【近傍概念を前面に押し出した定義】


近傍概念を全面に押し出すと、
上記の定義を、次のように大胆にまとめることができる。

・「 数列 { an } 実数αに収束するconverge
 「『数列 { an } 極限値limit』は実数αである」
 「 an→α (n→∞)




lim
an=α  」
n→∞
   
 とは、
 実数αのどんなε近傍 Uε(α) を選んでも、
   選んだUε(α)に応じて、有限個の番号nを除くと、
     残ったすべてのanが、anUε(α) を満たす
 ということ。





[文献−解析]
 ・小平『解析入門I』定理1.12(p.23)
 ・杉浦『解析入門I』I-§2-定義5(p.12)
 ・笠原『微分積分学』1.2定義1.6(pp.8-9)


 





数列の収束・極限値 
トピック一覧:数列とその類型・属性の定義 



an→α(n→∞)の定義:論理にこだわって

【定義】


変項《数列》,αを組み込んだ2項述語・2変項命題関数 

 「 《数列》はαに収束する」 ないし 「『《数列》の極限値』はαである

    * 変項《数列》の議論領域 : あらゆる実数列をあつめた集合
    * 変項αの議論領域 : R 

 とは、

 変項 《数列》,α,ε, N ,n を組み込んだ5項述語・5変項命題関数
  「nN|《数列》の第n −α |<ε
  すなわち
  「nN 《数列》の第n (α−ε, α+ε)

     * 変項《数列》の議論領域 : あらゆる実数列にわたる範囲
     * 変項αの議論領域 : あらゆる実数をあつめた集合 R 
     * 変項εの議論領域 : あらゆる実数をあつめた集合 R  
     * 変項N議論領域 : あらゆる自然数をあつめた集合 N   
     * 変項n議論領域 : あらゆる自然数をあつめた集合 N   

 について、




[文献−論理]
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』2章「極限値条件1」(p.13;15);3章数列の極限(p.21)
 ・中内『ろんりの練習帳』2.8(1)例2.8.1(p.112);論理記号化(p.116)


 ・新井紀子『数学は言葉』例題4.3.1.1(pp.136-137);例題4.4.4(p.147)

 





R2上 の点列の収束/Rn上 の点列の収束/点 列の収束一般   


1変数関数の極限/2 変数関数の極限/多変数関数 の極限/距 離空間上で定義された実数値関数の極限 
 1変数ベクトル値関数の極限/n変 数ベクトル値関数の極限/距離空間 のあいだの写像の極限







 
   



 その3変項ε, N  , n を、 ∀ε>0 ∃NN ∀nN で束縛し、
 《数列》,αのみを変項として残した2項述語・2変項命題関数  

  「 ∀ε>0 ∃NN ∀nN ( nN|  《数列》の第n −α |<ε)
  すなわち
  「 ∀ε>0 ∃NN ∀nN ( nN 《数列》の第n (α−ε, α+ε) )

 のこと。

・「 ∀ε>0 ∃NN ∀nN  ( nN|  《数列》の第n −α |<ε) 」 は、

   「 ∀ε∈ { xR | x> 0 }  NN  ∀nN ( nN|  《数列》の第n −α |<ε)  」 つまり、「 ∀ε∈ (0,∞)  NN  ∀nN ( nN|  《数列》の第n −α |<ε)  」  

 の略記。

【定義の意味】


・上記定義が意味しているのは、

   { xR | x> 0 } つまり (0,∞) から、どの実数を選んで変項 ε に代入しても、(←意味:「∀ε>0」「∀ε∈ { xR | x> 0 }∀ε∈ (0,∞)」の部分)

  その実数に相応しい自然数が少なくとも一個は存在するので、

  その実数に応じて、相応しい自然数うまく選んで変項 N に代入することによって、(←意味 「NN」の部分)

  「どの自然数を変項 n に代入しても、変項 《数列》, α は、『nN|  《数列》の第n −α |<ε)』  を満たす」

  を成り立たせることができる

 ということ。







数列の収束・極限値 
トピック一覧:数列とその類型・属性の定義 




an→α(n→∞)の定義:論理記号・読み下し例一覧

以下は、

各テキストでなされている

 「 数列 { an } 実数αに収束する
 「 an→α (n→∞)
 「『数列 { an } 極限値』は実数αである」




lim
an=α  」
n→∞

論理記号による定義と、その読み下し例のコレクション。


type1-1】∀ε>0 ∃NN ∀nN ( nN|  an−α|<ε)
     * 変項εの議論領域 : あらゆる実数をあつめた集合 R 
     * 変項N議論領域 : あらゆる自然数をあつめた集合 N 
     * 変項n議論領域 : あらゆる自然数をあつめた集合 N 
     * 変項αの議論領域 : あらゆる実数をあつめた集合 R 


・どんな正数ε>0に対しても、ある自然数Nが存在して、nNを満たすすべての自然数nに対して、| an−α|<εとなる[杉浦p.12]

・任意のε>0に対して、
   自然数Nが存在して、
    nNのときつねに、 | an−α|<εが成り立つとなる。[黒田p.42]

・任意の正数ε(どんなに小さいε>0)に対し、
   自然数Nが存在し(十分大きな自然数Nをとれば)、
    すべてのnNに対し、
        | an−α|<εとなる。[小林p.15]






[文献−論理]
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』2章「極限値条件1」(p.13;15);3章数列の極限(p.21)
 ・中内『ろんりの練習帳』2.8(1)例2.8.1(p.112);論理記号化(p.116)
 ・新井紀子『数学は言葉』例題4.3.1.1(pp.136-137);例題4.4.4(p.147); 
 ・松井『だれでも証明がかける−眞理子先生の数学ブートキャンプ』2.6(p.187);5.6(p.187):関数の極限のケース

[文献−解析]
 ・小林『微分積分読本:1変数』 1章5数列と収束(p.15)
 ・黒田『微分積分学』§2.5.2定義2.6(p.42);補足説明1(p.43);補足説明2(p.44):表現についての注意。
 ・和達『微分積分』1-4(p.9):ε近傍も。 
 ・高木『解析概論』1章4(pp.5-6).
 ・杉浦『解析入門I』I-§2-定義5(p.12);
 ・杉浦『解析演習』1.1(p.1);
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』1章§2(I)(p.6)
 ・Ross,Elementary Analysis:The Theory of Calculus,ChapterU§7:7.1Definition(p.25)

[文献−数理経済]
 ・入谷久我『数理経済学入門定義2.8(p.34)
 ・De La Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists,Definition2.1(p.46);2.3Sequences in R and Rm(pp.49-58)


 ・神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』定義2.2.4(p.68):距離概念を用いる



・すべての(任意の)正数εにたいして、ある自然数Nが存在し、それよりも大きな自然数nについて、| an−α|<εが成り立つ。[新井p.136]
・任意の正の数εにたいして、或る番号Nが存在して、nNであれば、| an−α|<εが成立する。[入谷久我p.34]
・すべての(任意の)正数εにたいして、ある自然数Nがあって、すべての(任意の)自然数nにたいして、nN| an−α|<εが成り立つ。[中内p.116]
・どんな正の数εに対しても、自然数Nをうまく定めると、nNであるどんなnにたいしても、| an−α|<ε となっている。[細井p.13;15;21]
・任意の正数εにたいして、ある自然数Nをとると、| an−α|<ε(nN)が成り立つ。[吹田新保(p.6]
・どんな(小さな)正の数εに対しても、(十分大きな)自然数Nを見つけることができて、N以上の自然数nにおいては必ず、| an−α|はε未満になる[松井p.187:改]
・敵がどんな正実数εを持って来ても、それに対応して自分が巧妙に自然数Nを選べば、その後に敵がどんな自然数nNを選ぼうとも、| an−α|<εにすることができる[松井p.41:改]

・任意の正の数εにたいして、nNならば、| an−α|<εとなるような自然数Nが存在する。[和達p.9]
・任意の正数εが与えられたとき、それに対応して一つの番号Nが、nNなるとき| an−α|<εなるように定められる[高木p.6]
・任意のε>0にたいして、nNならば、
    | an−α|<ε
 が成り立つように、自然数Nをとることができる。[杉浦p.1]


・For any(every) ε>0, there exists N such that | an−α|<ε for all  nN [小林p.15]
・for every real number ε > 0,there exists a natural number N such that for every n > N we have |  an−α| < ε.[http://en.wikipedia.org/wiki/Limit_of_a_sequence]

・for each ε > 0,there exists a number N such that n > N implies |  an−α| < ε.[Ross:7.1Definition(p.25)]

type1-2】∀ε>0 ∃NN ∀nN ( nN d(an)<ε )
    「任意のε>0という正の実数を一つ定めたとき、それにたいして、ある番号Nが存在して、N以降のすべての番号nにたいして、 d(an)<εが成立する。」[神谷浦井p.68]


type1-3】
  ε>0 NN nN ( nN an (α−ε, α+ε) ) 読み下し例「すべての(任意の)正数εにたいして、ある自然数Nが存在して、すべての(任意の)自然数nにたいして、nNならばan開区間 (α−ε, α+ε) に属す。」


type1-4】

  ε>0 NN nN ( nN an Uε(α) )     読み下し例「すべての(任意の)正数εにたいして、ある自然数Nが存在して、すべての(任意の)自然数nにたいして、 nNならばan《αのε近傍》に属す。」
                                                                        given an arbitrarily small number ε>0,
                                     we can always find some positive integer N(which will in general depend on the chosen ε)
                                      such that all terms of the sequence of order higher than N will lie within the ε-ball centered at α [deLaFuente,pp.46-47 ]

type2】∀ε>0 ∃NN ∀nN ( |  an−α|<ε)   [新井紀子『数学は言葉p.139:数列発散定義の記号表現のなかで]
     * 変項εの議論領域 : あらゆる実数をあつめた集合 R 
     * 変項N議論領域 : あらゆる自然数をあつめた集合 N 
     * 変項n議論領域 : あらゆる自然数をあつめた集合 N 
     * 変項αの議論領域 : あらゆる実数をあつめた集合 R 

   ・敵がどんな正実数εを持って来ても、それに対応して自分が巧妙に自然数Nを選べば、その後に敵がどんな自然数nNを選ぼうとも、| an−α|<εにすることができる[松井p.41:改]



  すなわち、
  Uε(α) NN nN ( nN an Uε(α) ) 





数列の収束・極限値 
トピック一覧:数列とその類型・属性の定義 




数列の収束・極限値のビジュアル化

・数学のテキストを見比べると、
 数列の収束・極限値の定義の図式化には、
  ・数直線上にプロットしたもの 
  ・グラフ上にプロットしたもの
 の2タイプがあることに気づく。

・数列の収束を数直線上に図式化したテキスト
     ・『岩波入門数学辞典』「ε-δ論法 ε-δ method」(p.33).
     ・黒田『微分積分学』§2.5.2-図2.5(p.44)
     ・志賀『解析入門30講』第2講図2(pp.8-9)。
     ・笠原『微分積分学』1.2図1.1(p.9)
     ・和達『微分積分』1-4図1-5(pp.9-10)
     ・中内『ろんりの練習帳』2.8(1)(p.115)
     ・神谷・浦井『経済学のための数学入門』(p.68)
     ・岡田『経済学・経営学のための数学』定義1.1(p.5)
     ・松坂『解析入門1』2.1数列-C-定義(p.60)

    εと、数直線の拡大率を、操作できるようにする。

・数列の収束をグラフ上に図式化したテキスト
     ・和達『微分積分』1-4図1-6(p.10)
     ・吹田・新保『理工系の微分積分学』1章§2(I)(p.5
 




[文献−解析]

 ・志賀『解析入門30講』第2講(pp.8-9)。
 ・和達『微分積分』1-4(pp.9-10)
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』1章§2(I)(p.5)
 ・笠原『微分積分学』1.2図1.1(p.9)
 ・黒田『微分積分学』§2.5.2-図2.5(p.44)
 ・松坂『解析入門1』2.1数列-C-定義(p.60)

[文献−論理]
 ・中内『ろんりの練習帳』2.8(1)(p.115)数直線


[文献−数理経済]
 ・神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』(p.68)
 ・岡田『経済学・経営学のための数学』定義1.1(p.5)
 









数列の収束・極限値 
トピック一覧:数列とその類型・属性の定義