関数の多項式近似3−テイラー展開・マクローリン展開  : トピック一覧

関数の級数展開(ベキ級数展開) 
  テイラー展開・テイラー級数 
  マクローリン展開・マクローリン級数 

マクローリン展開の具体例



※1変数関数の多項式近似関連ページ:
  ロールの定理平均値定理テイラーの定理

※2変数関数の多項式近似関連ページ:
  2変数関数の平均値の定理テイラーの定理

※1変数関数関連ページ:
 1変数関数定義とその属性/極限/無限小解析  
 連続/微分/リーマン積分 


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関数の級数展開(ベキ級数展開)

テイラー展開 Taylor expansion (テイラー級数Taylor series)

マクローリン展開 Maclaurin expansion (マクローリン級数 Maclaurin Series ) 

    区間I上で C無限回連続微分可能)である関数f(x)を考える。  
    テイラーの定理より、 
    x, aI とすると、さまざまな自然数nの値に対して、 
         
    を満たす点cxaの間に存在する。

    これがさまざまな自然数nの値に対して成り立つということは、
    n→∞を考えても成り立つということを意味する。
    もしも、このn→∞とした場合において、Rn→0となってくれたなら、
       
    という無限級数だけで
     関数f(x)を「うまい具合に」「きれいに」表現できてしまう。
    開区間(x, a)のどこかに存在するcなどという
    素性のわからぬ怪しげな数字を持ち出さなくても、
    関数f(x)無限級数だけで表現できることになる。

    このようにn→∞とした場合において、
    Rn→0となってくれることが証明できた場合、  
       
    という級数展開が正当化され、この右辺を
      f(x)x=aにおけるテイラー展開」
      「f(x)aの周りのテイラー展開」
      「f(x)x=aを中心とするテイラー展開・テイラー級数」
      "Taylor Series at x=a"    
      "Taylor Expansion around x=a"  
  
    などと呼ぶ。
    この形に表す行為を、
      「区間Iにおいてx=aを中心とするテイラー級数に展開する」
      "to expand a function y=f(x) around x=a " 
    などという。
 

    区間Iにおいてx=aを中心とするテイラー級数に展開できるf(x)は「x=a解析的である」と言われる。
    特に、
     f(x)x=0を中心とする(x=0における)テイラー展開・テイラー級数を、
    「f(x)のマクローリン展開・マクローリン級数」と呼ぶ。

【テイラー展開の例】  
    [小平p.137]

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主な関数のマクローリン展開とその証明   


1. ex =1+ xx2/2! +…+ xn/n! +… ( | x | <∞)
  ※なぜ?→証明 

2. log ( 1+ x )= xx2/2 + x3/3 −…+ (−1)n−1 xn/n+… ( | x | <1 )
  ※なぜ?→証明 

3.  ( 1+ x )a =1+ax+a(a-1)x2/2!+…+ a(a-1)…(a-n+1)xn/n!+… ( | x | <1、aR) [吹田新保『理工系の微分積分学』p.48] 
      a>0のときが二項定理

4. 1/(1− x ) = 1+ x + x2  +…+ xn +…   [吹田新保『理工系の微分積分学p.50] 

5. 1/(1− x )2 = 1 + 2 x +3 x2 +…+( n+1 ) xn+…   [吹田新保『理工系の微分積分学p.50]
 
 

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reference

岩波数学辞典(第三版)』. 項目333 微分法[pp.983-986]
吉田耕作・栗田稔・戸田宏『平成元年3/31文部省検定済高等学校数学科用 高等学校 微分・積分 新訂版』啓林館、pp.70-75;90-91;101-102.平均値定理を用いた二次の近似式まで。
矢野健太郎・田代嘉宏『社会科学者のための基礎数学 改訂版』裳華房、pp.76-77.平均値定理まで。
神谷和也・浦井憲一『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.214-223(6.2.4節―6.2.6節).
高木貞治『解析概論 改訂第三版』岩波書店、1983年、pp. 47-49;61-67.
和達三樹『理工系の数学入門コース1・微分積分』岩波書店、1988年、pp.54-55.pp.58-69.
吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年。pp.43-50.
杉浦光夫『解析入門』岩波書店、1980年、pp. 91-107.  
小平邦彦『解析入門I』 (軽装版)岩波書店、2003年,pp.119-126;132-138。
青本和彦『岩波講座現代数学への入門:微分と積分1』 岩波書店、1995年、pp.146-149;171-175。
高木斉・押切源一『解析I・微分』共立出版株式会社、1995年、pp.13-19。
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、pp.55-56;61-64.
Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics: Third Edition, McGraw Hill,1984,pp.254-267.
Goldstein,Lay,Schneider, Calculus and Its Applications (International Editions): Eight Edition, Prentice Hall, 1999,pp.535-543;570-577. 
    

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