1変数関数の極限の定義 : トピック一覧

 ・x→x0  : 普通の極限(数列との関連)  / 左極限(数列との関連)  / 右極限(数列との関連)
         片側極限 /  包括的な 極限(数列 との関連)
         発散
 ・x→+/−∞: 極 限/発散 

 ※1変数関数の諸概念: 1変数関数とその属性 / 極限の性質 / 無限小解析 / 連 続性 / 微 分 / リー マン積分 
 ※極限関連ページ:
   数列の極限の定義/2 変数関数の極限/n変 数関数の極限/実数値関数一般の極限/n変数ベクトル値関数の極限/写像の極限  
 ※総目次

定義:関数の収束convergence・極限値limit 





【ビギナー向け定義】


・f(x)→α (x→x0 )、

lim

 f(x)=α とは、

x→x0

  変数xが、x0 以外の値をとりながら、x0 に限りなく近づくとき、f (x) も 実数αに限りなく近づくということ。

・「xがx0に近づくとき、f(x)が 収束する」 、「 

lim

 f(x)  が存在する 」 とは、 

x→x0

    f(x)→α (x→x0 )、

lim

 f(x)=α を満たす実数αが存在すると いうこと。

x→x0

* もっと詳しく → ビギナー向け定義   




 上記【ビギナー向け定義】は、あいまいすぎて証明等に耐えられない。→【日常言語による定義の限界】
 そこで、下記定義の登場となる。 
 






【厳密な定義:近傍 概念を用いない表現】


f(x)→α (x→x0 )、

lim

 f(x)=α とは、

x→x0

 論理記号で
 ∀ε>0 ∃δ>0 ∀x∈《 fの定義域》 ( 0<|x−x0|<δ ⇒ | f (x)−α|<ε)
 ということ。










* 言葉で説明すると? → ε-δ 法による厳密な表現 
* どう読むの?    → 論理記号読下しサンプル 
* どういうこと?   → 考え方
* どういう f と x0に対して定義できるの? → 極 限値を定義可能な範囲 
* もっと論理的に!  → 論理にこだわって










【厳密な定義:近傍 概念を用いた表現】


f(x)→α (x→x0 )、

lim

 f(x)=α とは、

x→x0

 論理記号で
  ∀ε>0 ∃δ>0 ( f ( U*δ(x0) ∩《 fの定義域》 ) ⊂ Uε(α)  )
 ということ。










* 言葉で説明すると? →  近傍 概念を用いた表現 
* どういうこと?   → 考え方
* どういう f と x0に対して定義できるの? → 極 限値を定義可能な範囲 










【関連】

・1変数関数の極限概念:右極限/左極限/片側極限/包括的な極限/x→+/−∞での極限/発散

・関数一般に拡張された極限概念:

 →2変数関数の極限/n変数関数の極限/実数値関数一般の極限/n変数ベクトル値関数の極限/写像の極限   

 →数列の極限       

【活用例】

 無限小/連続性の定義/微分可能性・微分係数の定義  








 


定理:《関数の極限》と《数列の極限》の関係





下記命題P,Qは互いに言い換え可能。
【命題P 】  f (x)→A (x→x0)
【命題Q 】
 「xn →x0 (n→∞)」 を満たすすべての数列{ xn }(ただし、xn ≠ x0 )に対して、
  数列 { f (xn) }が「f (xn) →A (n→∞)」 を満たす。










* どういうこと? → 詳細/証明










下記命題P,Qは互いに言い換え可能。
【命題P 】  f (x)→A (xがx0に近づくとき、f (x)は収束する。 
【命題Q 】
 「xn →x0 (n→∞)」 を満たすすべての数列{ xn }(ただし、xn ≠ x0 )に対して、
  数列 { f (xn) }が収 束する。










* どういうこと? → 詳 細/証 明








→[トピック一覧:1変数関数の収束・極限値]  
→総目次 


定義:右極限

 





→はじめに読むべき定義
→ε-δ法による厳密な定義 
→近傍概念を用いた定義

【関連概念】

 極限/左極限/片側極限/これらを包括した極限定義

【活用例】

 右連続の定義/右微分可能・右微分係数の定義   






【はじめに読むべき定義】


 x>x0のもとでxをx0 に近づけるとき、これを x → x0+0と表し、
 このときの関数f(x)の極限を

 

 lim f(x) あるいは

 f (x0+0)

x→x0+0


 とかき、右極限・右側極限と呼ぶ。

 ※ x→0+0は、x→+0  と略記される。




[文献]

 ・松坂『解析入門1』3.1-F(p.102):別の記号.limの下に「x>x0,x→x0」
 ・笠原『微分積分学』1.4[1](p.26)
 ・小平『解析入門I』p.79;
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』4章(p.31)
 ・青本『微分と積分1』§1.4(c)(pp.35-36):別の記号↓とか使う。
 ・吹田新保『理工系の微分積分学』21;
 ・住友『大学一年生の微積分学』25
 ・Fischer, Intermediate Real Analysis, pp.224








【ε-δ法による厳密な定義】


 A≠±∞のとき、




  lim
f(x)  = A 
x→x0+0

 とは、

   任意の正数εに対して、ある正の実数δが存在して、
       「 0< x−x0 <δならば、| f(x)−A|<ε 」
   すなわち「 x0<x<x0+δならば、A−ε<f(x)<A+ε 」
   すなわち「 x∈ ( x0 , x0+δ)ならば、 f(x) ∈ ( A−ε, A+ε) 」
   を成り立たせる、

 ということである。

 論理記号で表せば、すなわち ∀ε>0   ∃δ>0  ( ∀x ) ( 0< x−x0<δ⇒| f (x) − A |<ε) 



【近傍概念を用いた定義】 

 A≠±∞のとき、




  lim
f(x)  = A 
x→x0+0
 
 とは、

 任意の(どんな)点Aのε近傍Uε(A)に対して(でも)、
        「 f ( U*+δ(x0) ) ⊂ Uε(A) 」
 を満たす点x0の右からの除外δ近傍U*+δ(x0)が存在する、
         論理記号で表せば、( ∀ Uε(A) ) (∃U*+δ(x0) ) ( f ( U*+δ(x0)) ⊂ Uε(A) ) 
 ということ。

 すなわち、
  任意の(どんな)正の実数εに対して(でも)、ある正の実数δが存在して
         「 f ( U*+δ(x0)) ⊂ Uε(A) 」
     すなわち「 x∈U*+δ(x0) ならば、 f (x) ∈ Uε(A)  」
  を成り立たせる、
       論理記号で表せば、 ∀ε>0   ∃δ>0  ( f ( U*+δ(x0)) ⊂ Uε(A) )  
                ( ∀ε>0 ) ( ∃δ>0 ) ( x∈U*+δ(x0) ⇒ f (x) ∈ Uε(A)  ) 
 ということ。   




[文献]
 ・笠原『微分積分学』1.4[1](p.26)
 ・Fischer, Intermediate Real Analysis, ChapterV.5.OnesidedLimits(p.224).




 

定理:《関数の右極限》と《数列の極限》の関係







下記命題P,Qは互いに言い換え可能。
【命題P 】  f(x) →A (x→a+0)
【命題Q 】
   条件1:xn →a (n→∞)
   条件2:a<《{xn}の全項》
 を満たすすべての数列{ xn }は、
   f (xn) →A (n→∞) 
 を満たす。













* どういうこと? → 詳細/証明











下記命題P,Qは互いに言い換え可能。
【命題P 】 f(x) →A (x→a+0)
【命題Q 】
  条件1:xn →a (n→∞)
  条件2:a<…<xn<…<x3<x2<x1
 を満たすすべての数列{ xn }は、
   f (xn) →A (n→∞) 
 を満たす。










* どういうこと? → 詳細/証明










【命題Q1】 f(x)は( x0, a )で狭 義単調減少 
【命題Q2】 以下を満たす数列{ xn }が最低一つは存在する
      1. {xn}の全項が(x0,a)の範囲に収まる。
      2. xn→x0  (n→∞)    
      3. f ( xn )→A (n→∞)
 ならば、 
【命題P 】 f(x) →A (x→x0+0)
 は成り立つ。










* どういうこと? → 詳細/証明










【命題Q1】 f(x)は( x0, a )で狭 義単調増加
【命題Q2】
 以下を満たす数列{ xn }が最低一つは存在する
      1. {xn}の全項が(x0,a)の範囲に収まる。
      2. xn→x0  (n→∞)    
      3. f ( xn )→A (n→∞)
 ならば、 
【命題P 】 f(x) →A (x→x0+0)
 は成り立つ。










* どういうこと? → 詳細/証明







 




→[トピック一覧:1変数関数の収束・極限値]  
→総目次 
 

定義:左極限

 





→はじめに読むべき定義
→ε-δ法による厳密な定義 
→近傍概念を用いた定義  

【関連概念】

 極限/右極限/片側極限/これらを包括した極限定義

【活用例】

 左連続の定義/左微分可能・左微分係数の定義   








【はじめに読むべき定義】


 x<x0のもとでxをx0に近づけるとき、これをx→x0−0と表し、
 このときの関数f(x)の極限を

 

 lim f(x) あるいは

 f (x0−0)

x→x0−0


 とかき、左極限と呼ぶ。

 ※ x→0−0は、x→−0  と略記される。




[文献]
 ・小平『解析入門I』p.79.
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』4章(p.32)
 ・青本『微分と積分1』§1.4(c)(pp.35-36)
 ・吹田新保『理工系の微分積分学』p.21.
 ・Fischer, Intermediate Real Analysis, p.224.






【ε-δ法による厳密な定義】


A≠±∞のとき、

 

 lim f(x) = A

x→x0−0

とは、
   任意の正数εに対して、ある正の実数δが存在して、
       「−δ< x−x0 <0 ならば、| f(x)−A|<ε   」
   すなわち「 x0−δ< x <x0 ならば、A−ε< f(x)<A+ε 」
   すなわち「 x∈ ( x0−δ, x0)ならば、 f(x) ∈ ( A−ε, A+ε) 」
   を成り立たせる、
ということである。
 論理記号で表せば、すなわち
   ( ∀ε>0 ) ( ∃δ>0 ) ( ∀x ) (−δ< x−x0<0 ⇒| f (x)−A |<ε) 
   ないし、 ( ∀ε>0 ) ( ∃δ>0 ) ( ∀x ) ( x∈ ( x0 −δ, x0) ⇒ f(x) ∈ ( A−ε,A+ε) ) 
       と書いても同じ。



【近傍概念を用いた定義】 


  A≠±∞のとき、
 





lim
f(x)  = A  
x→x0−0
 とは、

 任意の(どんな)点Aのε近傍Uε(A)に対して(でも)、
        「 f ( U*−δ(x0) ) ⊂ Uε(A) 」
 を満たす点x0の左からの除外δ近傍U*−δ(x0)が存在する
 ということ。

 論理記号で表すと、
      ( ∀ Uε(A) ) ( ∃U*−δ(x0) ) ( f ( U*−δ(x0) ) ⊂ Uε(A) ) 




[文献]
 ・Fischer, Intermediate Real Analysis, ChapterV.5.OnesidedLimits(p.224).





 すなわち、

 任意の(どんな)正の実数εに対して(でも)、ある正の実数δが存在して、
                    「 f ( U*−δ(x0) ) ⊂ Uε(A) 」
                すなわち 「 x∈U*−δ(x0) ならば、 f (x) ∈ Uε(A)  」
 を成り立たせる、
       論理記号で表すと、  
         ( ∀ε>0 ) ( ∃δ>0 ) ( f ( U*−δ(x0) ) ⊂ Uε(A) )
         ( ∀ε>0 ) ( ∃δ>0 ) ( x∈U*−δ(x0) ⇒ f (x) ∈ Uε(A) ) 
 ということ。

定理:《関数の左極限》と《数列の極限》の関係







下記命題P,Qは互いに言い換え可能。
【命題P 】  f(x) →A (x→x0-0)
【命題Q 】
   条件1: xn →x0 (n→∞)
   条件2: 《{xn}の全項》<x0
   を満たすすべての数列{ xn }は、
   f (xn) →A (n→∞) 
 を満たす。













* どういうこと? → 詳細/証明











下記命題P,Qは互いに言い換え可能。
【命題P 】 f(x) →A (x→x0-0)
【命題Q 】
  条件1:xn →x0 (n→∞)
  条件2:x1<x2<x3<…<xn<…<x0  
 を満たすすべての数列{ xn }は、
   f (xn) →A (n→∞) 
 を満たす。










* どういうこと? → 詳細/証明










【命題Q1】 f(x)は( a, x0 )で狭 義単調減少 
【命題Q2】 以下を満たす数列{ xn }が最低一つは存在する
      1. {xn}の全項が(a, x0)の範囲に収まる。
      2. xn→x0  (n→∞)    
      3. f ( xn )→A (n→∞)
 ならば、 
【命題P 】 f(x) →A (x→x0-0)
 は成り立つ。










* どういうこと? → 詳細/証明










【命題Q1】 f(x)は( a, x0 )で狭 義単調増加
【命題Q2】
 以下を満たす数列{ xn }が最低一つは存在する
      1. {xn}の全項が(a, x0)の範囲に収まる。
      2. xn→x0  (n→∞)    
      3. f ( xn )→A (n→∞)
 ならば、 
【命題P 】 f(x) →A (x→x0-0)
 は成り立つ。










* どういうこと? → 詳細/証明







 



定義:片側極限

[吹田・新保『理工系の微分積分学』p. 21.] 
  右極限と左極限を総称して、片側極限という。


→[トピック一覧:1変数関数の収束・極限値]  
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定義:xがB内でx0 に近づくときのf(x)の極限

 xがB内でx0に近づくときの f(x) の極限 「 

lim

 f (x) = A 」  「 f (x) → A (x→x0 , x∈B) 」 とは、 

x→x0
x∈B


  ∀ε>0  ∃δ>0  ∀x∈B  ( | x−x0|<δ ⇒ |  f (x) −A |<ε)  

 ということ。

 ※どういうこと?→詳細 


定理:関数の収束の、数列の収束への言い換え(普通の極限・片側極限を包括して)

[杉浦『解析入門I 』p.53] 

※以下の議論は、

 B= (f(x)の定義域)∩{ x |x≠x0}とすると、普通の極限と数列の収束の関係についての議論になり、
   ∵
B= { x |x≠ x0}なら「x∈Bかつ | x−x0 |<δならば」を「0<| x−x0 |<δならば」と言い換えても同じ。
 
B= (f(x)の定義域)∩{ x |x>x0}とすると、右極限、と数列の収束の関係についての議論になり、
   ∵
B= { x |x>x0}なら「x∈Bかつ | x−x0 |<δならば」を「0<x−x0<δならば」と言い換えても同じ。
 
B= (f(x)の定義域)∩{ x |x<x0}とすると、左極限と数列の収束の関係についての議論になる。
   ∵
B= { x |x<x0}なら「x∈Bかつ | x−x0 |<δならば」を「−δ<x−x0<0ならば」と言い換えても同じ。

【設定】


以下で登場するB, x0については、
 B:関数f(x)の定義域の部分集合    (つまり、集合Bは定義域に含まれる何らかの区間及びその合併)
 x0:x0∈「Bの閉包 (B∪「Bの境界」) 」 (つまり、x0はBで表される区間の内部か境界にある)
   ※
x0は後出の数列 { xn }の第0項という意味ではないので、混乱なきよう。
としておく。

【本題】 


以下の命題Pと命題Qは互いに言い換え可能(つまりP⇔Q)。

命題P: xがB内でx0に近づくとき、f(x)がAに収束する
   すなわち、f(x)→A (x→x0 , x∈B)
   あるいは、
        
命題Q: ・xn →x0  (n→∞)  (つまりx0に収束する) ※x0は後出の数列 { xn }の第0項という意味ではないので注意
     
かつ、
    ・
任意のn∈N についてxn∈B 、(つまり全項がBに属する)
   を満たす限りで
任意につくった(どんな)数列{ xn }={ x1 , x2, x3,…}に対しても、
    f(xn) →A (n→∞)   (つまり数列 { f (xn) }={ f ( x1 ) , f ( x2 ), f ( x3 ),…}がAに収束する)
※なぜ?→証明  
cf.普通の極限/右極限/左極限の場合
※利用例:コーシーの判定条件(十分性の証明)、


 

→[トピック一覧:1変数関数の収束・極限値]  
→総目次 


定義:発散 divergence 

  収束しないときは、発散であるdivergentまたは発散するdivergeという。

定義:∞に発散する 


 [吹田新保『理工系の微分積分学』pp. 18-19.;松坂『解析入門1』3.1-E(p.101)]

 【情緒的な定義】

   x→x0 のとき、f(x)の値が限りなく大きくなる場合、
   f(x)は、x→x0 のとき∞に発散するといい、
        f(x)→∞ (x→x0) または ,
   とかく。

 【厳密な定義】


   任意の数Kに対して、ある正数δをとると、  
       f(x)>K  ( 0<| x−x0 |<δ )   
   が成りたつ。

  (例) y=1/x 
 

定義:−∞に発散する


 [吹田・新保『理工系の微分積分学』pp.18-19.;松坂『解析入門1』3.1-E(p.101)]
  x → x0 のとき、f(x)の値が限りなく小さくなる場合、
 f(x)は、x→x0 のとき−∞に発散するといい、
 f(x)→−∞ (x→x0) または ,
とかく。


定義:上極限・下極限

    [高木『解析概論:改訂第3版』p. 23.]
 →数列の上極限・下極限
 →利用例:特異点・不連続点、
 

→[トピック一覧:1変数関数の収束・極限値]  
→総目次 

定義:x→+/−∞のときの収束・極限値


[ルディン『現代解析学』4.32-33(p.98);細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』4章(pp.32-33);松坂『解析入門1』3.1-G(p.103)]


【情緒的な定義】


 f(x)が無限区間(a,∞)で定義されているとする。
 xの値を限りなく大きくしていくと、f(x)の値が限りなく一定の値Aに近づくならば、
 f(x)はx→∞のとき収束して極限値Aを持つという。

【厳密な定義】


 
とは、
任意の正数εに対して、ある数Kをとると、
 | f(x)−A|<ε ( x>K ) 
が成り立つことである。
(例) y=1/x 

【関連】

 数列の極限の定義の拡張。
 


→[トピック一覧:1変数関数の収束・極限値]  
→総目次 



定義:x→+/−∞のときの発散

[吹田・新保『理工系の微分積分学』p. 22.;ルディン『現代解析学』4.32-33(p.98);黒田『微分積分』問題3.2.6 (p.100;p.414);]

【情緒的な定義】


 f(x)が無限区間(a,∞)で定義されているとする。
 xの値を限りなく大きくしていくと、f(x)の値が限りなく大きくなる場合、
 f(x)は∞に発散するという。

【厳密な定義】



とは、
任意の数Lに対して、ある数Kをとると、
 f(x)>L ( x>K ) 
が成り立つことである。

【関連】

 数列の発散の定義の拡張。

 ↓文献が見つからないので、コレは自分で考えてみただけ。これで本当にいいかどうかは、わからない。 
問題:
  x →∞のとき、f(x)がAに収束するための必要十分条件は
  ∞に発散するどんな数列 { xn }に対しても、
  数列 { f ( xn ) }がAに収束することである、
  といえるのだろうか?
  (ボクの考察)
  必要性:f(x)が収束する→{ f ( xn ) }が収束する   
    仮定: f(x)→A( x→∞ )       …�@
        xn→∞( n→∞ )       …�A
    結論: f(xn)→A( n→∞ )    
    証明:       
       関数の収束の定義に従うと、�@はすなわち、
       任意の正数εに対して、ある数Kをとると、
         | f(x)−A|<ε ( x>K ) 
       が成り立つ…�C
       ということ。
       数列の発散の定義に従うと、�Aはすなわち、
          任意のK’に対して(でも)、
           xn>K’ (n≧ N)
          を成り立たたせるある(十分大きな)自然数Nが存在する  …�D
       ということ。 
       K’はどんな実数でもいいというので、
       K’として�Cで定まるKをとっても、�Dはそのまま成り立つ。
       すなわち、
         �Cで定まったどんなKに対して(でも)、
           xn>K (n≧ N)
          を成り立たたせるある(十分大きな)自然数Nが存在する  …�E
       ということ。 
       
       �Eで定まった自然数N以上の項についてみると、   
           xn>K  
       が成り立つ。
       ならば、�Cより、�Eで定まった自然数N以上の項については、
          はじめに決めた任意の正数εに対して  
          | f(xn)−A|<ε  ( n≧N )   
       が成り立つといえる。
       数列の収束の定義から、これを以下の様に表現してよい。
           f(xn)→A  ( n→∞ )      
  十分性:∞に発散するどんな数列 { xn }に対しても{ f ( xn ) }が収束する→f(x)が収束する   
    仮定: f(xn)→A( n→∞ )       …�@
        数列 { xn }は、
          xn→∞( n→∞ )       …�A
        を満たすあらゆる数列。
    結論: f(x)→A( x→∞ )         …�C
    証明:対偶を示す。つまり、
        結論:�Cf(x)→A( x→∞ )が成り立たないなら、
        仮定:�@f(xn)→A( n→∞ )({ xn }は、�Aを満たすあらゆる数列)  
        も成り立たない  
       ことを示す。
     [�C:f(x)→A( x→∞ )が成り立たないという仮定をきちんというと、]
       �C:f(x)→A( x→∞ )が成り立たないと仮定する。
       この仮定は、関数の収束の定義より、
           任意の正の実数ε0に対して、
           | f(x)−A|<ε0 ( x>K)
           を成り立たせる、ある数Kが存在する
       ことを否定していることになる。
       つまり、
            ある正の実数ε0が存在して、どんな(大きな)Kを取ろうとも、
                x>K かつ | f(x)−A|≧ε0  
            を満たすxが存在する …�D  
      (あるε0に対してKを調整してx>Kの範囲をどうとっても、
         A−ε0<f(x)<A+ε0の範囲からf(x)の値を飛び出させてしまうようなxが存在する) 
       ことを、この仮定は意味していることになる。
          ※きっちり�Cの命題の否定を作れるようになるには論理式の勉強が必要。
     [�C:f(x)→A( x→∞ )が成り立たないという仮定のもとでは…]  
      すると、∞に発散する数列として、
        各自然数n≧1に対して、
         xn>n を満たし、…�E
        かつ
         | f(xn)−A|≧ε0 を満たす  …�F
            (∵K=nとすると�Dの仮定からこのようなxnが存在することになる) 
      ようなxn が存在する。
      これらのx1, x2,…xn,…を並べた数列 { xn }は、�Eより�Aを満たすが、
      そのfによる像を並べた数列{ f(xn) }は�Fより�@を満たさない。
      �@は、�Aを満たす全ての数列について成立することを主張する命題であるから、
      このような反例が一つでもあれば、否定される。
      
      以上から、対偶、すなわち
        結論:�Cf(x)→A( x→∞ )が成り立たないなら、
        仮定:�@f(xn)→A( n→∞ )({ xn }は、�Aを満たすあらゆる数列)  
        も成り立たない  
      ことが示された。
      ゆえに、
       仮定:�@f(xn)→A( n→∞ )({ xn }は、�Aを満たすあらゆる数列)が成り立てば、
       結論:�Cf(x)→A( x→∞ )も成り立つ。
  (以上の考察のベースとしたもの)  
  定理「x → x0 のとき、f(x)がAに収束するための必要十分条件は
     x0 に収束するどんな数列 { xn }に対しても、数列 { f ( xn ) }がAに収束することである。」
  へ吹田・新保が『理工系の微分積分学』p. 19で与えた証明。
 

 

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(reference)

日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』項目58関数D族・列(p.158)、項目166収束(pp436).
吉田耕作・栗田稔・戸田宏『平成元年3/31文部省検定済高等学校数学科用 高等学校 微分・積分 新訂版』啓林館、pp.28-33.
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.93-95.
高木貞二『解析概論改訂第3版』岩波書店、1983年、p. 20;22-3.
小平邦彦『解析入門I』 (軽装版)岩波書店、2003年 p. 76-79.。
笠原皓司『微分積分学』サイエンス社、1974年、pp.24-5。
和達三樹『理工系の数学入門コース1:微分積分』岩波書店、1988年、pp.26-34.
吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年。pp.18-19.22-23.
住友洸(たけし)『大学一年生の微積分学』現代数学社、1987年。pp. 24-26.
杉浦光夫『解析入門I』東京大学出版会、1980年、pp.50-54, p.60.  極限の定義が特殊なので注意。
杉浦光夫ほか『解析演習』東京大学出版会、1989年、第1章[例題]§2例題2.1-2.2.
加古孝『自然科学の基礎としての微積分』(森 毅・斎藤正彦・野崎昭弘編『すうがくぶっくす』1)朝倉書店、1988年。3.2節連続関数(pp.31-34)。普通のテキストは極限の説明をやって、 次に連続を定義するが、加古は、いきなり、不連続・連続をε−δ論法で定義し、そのあとで、極限を軽く説明しており、ユニーク。
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、pp.32-36;42-44..
ルディン『現代解析学』共立出版、1971年、4.1-4.4(pp.81-3)。一般の距離空間の上で論じている。
Fischer,Emanuel.Intermediate Real Analysis(Undergraduate Texts in Mathematics),Springer-Verlag New York Heidelberg Berlin,1983, pp. 228-231; 238-239.
Lang,Serge.Undergraduate Analysis(Undergraduate Texts in Mathematics),Springer-Verlag New York Berlin Heidelberg Tokyo,1983, pp.135-143.