実数値関数とその属性・類型:トピック一覧  

 定義:実数値関数
 ・
定義:実数値関数の定義域/像・値/値域/逆像・原像/実数値関数の最大値・最大点・最小値・最小点 
 ・
定義:有界な実数値関数/単関数 

 

 ※関数定義関連ページ:1変数関数/2変数関数/ n変数関数/ベクトル値関数/写像一般 
 ※実数値関数に関する諸概念の定義:実数値関数の極限/連続性/可測関数  
 
総目次

定義:実数値関数 

定義

実数値関数とは、
「集合
X(集合ならなんでもよい)のに対して、実数を対応づける規則」
「集合
X部分集合D(定義域)に属すにたいして、実数を対応づける規則」
「集合
X部分集合D(定義域)から、実数体Rへの、写像
のこと。
  
f : DR 、f :XDR  
などと表す。  

[文献]
松坂『集合・位相入門』4章§4-B(pp.178-182);

定義

測度論などでは、
「集合
X(集合ならなんでもよい)のに対して、
            
広義の実数を対応づける規則」
「集合
X部分集合D(定義域)に属すにたいして、
               
広義の実数を対応づける規則」
「集合
X部分集合D(定義域)から、広義の実数の集合R*への、写像
  
f : DR* 、f :XDR*  
という、「
広義の実数値関数」とでもいえるものを定義して用いる。

[文献]
志賀『ルベーグ積分3017(p.127)18(p.134):図解つき;
伊藤『ルベーグ積分入門』§10(p.60);

下位
概念

・集合X実数体Rを指定したケース:単なる一変数関数「f :RDR」 
・集合
XR2を指定したケース:単なる2変数関数f :R2DR」 
・集合
XRnを指定したケース:単なる n変数関数f :RnDR」 

 

一般化

ベクトル値関数/写像一般 

 

定義:実数値関数の定義域domain 

 

実数値関数f :XDR」の定義域とは、
X部分集合Dのこと。


[具体例]1変数関数の定義域/ 2変数関数の定義域/ n変数関数の定義域
[一般化]ベクトル値関数の定義域

[トピック一覧:実数値関数とその属性]
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定義:実数値関数の像・値 

点の像

実数値関数f によるPX
PXにおけるf
  
f (P)
とは、
f によってPXに対応付けられた実数のこと。


[具体例]1変数関数の像・値/ 2変数関数の像・値/ n変数関数の像・値
[一般化]ベクトル値関数の像・値/写像の「像」

集合の像

実数値関数f による『定義域部分集合A』のf (A)とは、
定義域部分集合Aに属すfによる像を、全部集めて出来る集合のこと。
 つまり、
f :XDR 、ADXにたいして、f (A)={ f (a)R | aADX } と定義される。

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定義:実数値関数の値域range 

 

実数値関数f :XDR」のの値域とは、
f による定義域
  
f (D)={ f (a)R | aDX }
のこと。

[具体例]1変数関数の値域/ 2変数関数の値域/ n変数関数の値域
[一般化]ベクトル値関数の値域 

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定義:実数値関数の逆像・原像inverse image 

点の逆像

PDX実数値関数f :XDR』による実数b逆像である」
  
P=f 1 (b)
とは、
PDXf による像実数bであるということ
    
f (P)=b
をいう。
実数bf による逆像は、複数存在しうる。

[具体例]
 1変数関数の逆像
 
2変数関数の逆像
 
n変数関数の逆像・原像
[一般化]
 ベクトル値関数の逆像 
 写像の「逆像」

[文献]黒田『微分積分学3.1.2(p.8687)

集合の
逆像

実数値関数f :XDR』による『R上の点集合B』の逆像
  
f 1 (B) 
とは、
定義域Dに属すのうち、そのBに入るもの全体の集合のこと。
つまり、
f :XDR 、BRにたいして、  
      
f -1 (B){ aDX | f (a)BR} 
と定義される。

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定義:実数値関数の最大値・最大点・最小値・最小点 

最大値

実数値関数f の集合Aにおける最大値」とは、
  「
f による定義域部分集合Aの像」の(実数の集合としての)最大元のこと。
つまり、   
f :XDR 、ADXという設定のもとで、「実数値関数f の集合Aにおける最大値」といえば、max f (A)を指す。
実数値関数f の集合Aにおける最大値」は存在する場合もあれば、存在しない場合もある。
  →
最大値・最小値定理  

[文献]

最大点

PDXが、実数値関数f の集合Aにおける最大点である」とは、
Pf によるf (P)が「f の集合Aにおける最大値である」ということ。
つまり、
f :XDR , PADXとの設定下で「P実数値関数f の集合Aにおける最大点である」といえば、
     
f (P)=max f (A) となることを指す。 

最小値

実数値関数f の集合Aにおける最小値」とは、
  「
f による定義域部分集合Aの像」の(実数の集合としての)最小元のこと。
つまり、
f :XDR 、ADXという設定のもとで、「実数値関数f の集合Aにおける最小値」といえば、
     
min f (A)を指す。
実数値関数f の集合Aにおける最小値」は存在する場合もあれば、存在しない場合もある。
  →
最大値・最小値定理  

最小点

PDXが、実数値関数f の集合Aにおける最小点である」とは、
Pf によるf (P)が、「f の集合Aにおける最小値である」ということ。
つまり、
f :XDR, PADXとの設定下で「P 実数値関数fの集合Aにおける最小点である」といえば
     
f (P)=min f (A)となることを指す。 

   
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定義:実数値関数が有界 

有界

実数値関数f :XDR』が有界である」とは、
 
f の値域R上の点集合として有界であるということ、
 つまり、
 「
定義域Dに属すあらゆるPに対して、| f (P)|M」を満たす実数M>0が存在する
     
論理記号では、(M>0)(PDX)(| f (P) |M) ということ
をいう。


[文献]
Rudin
現代解析学4.13(p.87)距離空間一般上。
杉浦『
解析入門II§6定義4(p.55);

点集合

有界

実数値関数f :XDR』が集合Aで有界である」とは、
 「
f による定義域部分集合Aの像f (A)R上の点集合として有界であるということ。
 つまり、
f :XDR 、ADXという設定のもと、
 「集合
Aに属すあらゆるPに対して、| f (P)|M」を満たす実数M>0が存在するということ
   
論理記号では、(M>0)(PADX)(| f (P) |M)  

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定義:単関数 simple function   

設定

単関数は次のように設定された舞台上で定義される。
Step1集合X (集合ならなんでもよい)を用意する。
Step2:集合X部分集合をとり、Eと名づける。つまり、EX 
Step3実数を全てあつめた集合(実数体)R
         ないしは、
広義の実数を全てあつめた集合R*
    を用意する  
Step4:集合Eから実数体Rへの実数値関数 fER
    ないし、
    集合
Eから「広義の実数の集合R*」への関数fER*
    を用意。
    つまり、
     
fとは、X部分集合の各ごとに、
      それに対応する
実数ないし広義の実数を一つずつ定めた写像点関数)。
        

[文献]
伊藤『ルベーグ積分入門』§10(p.60);
志賀『ルベーグ積分3016(p.122);18(p.135); 
盛田『
実解析と測度論の基礎』定義2.9(p.61);
志賀徳造『ルベーグ積分から確率論p.34;
高橋『微分と積分2』§1.1定義1.1(p.2):R上の単関数
小谷『
測度と積分』§2.2(p.24)

はじめに読むべき定義

実数値関数 fER ないし 広義の実数値関数fER* 単関数である」とは、
 
f のとる値が、有限nとおりの実数1 ,α2 ,α3 ,,αn }に限られていて、
   α
1 fによる逆像 f−1( α1 )={ xE| f(x)=α1 }  
   α
2 fによる逆像 f−1( α2 )={ xE| f(x)=α2 }  
   α
3 fによる逆像 f−1( α3 )={ xE| f(x)=α3 }  
      :               
   α
n fによる逆像 f−1( αn )={ xE| f(x)=αn }  
 が
互いに素であって、
 
f 定義域Eが、これらの直和 f−1(α1 )f−1(α2 )f−1(α3 )f−1(αn ) となることをいう。 

きちんとした定義

実数値関数 fER ないし 広義の実数値関数fER* 単関数である」とは、
 
定義域E直和分割{E1,E2,E3,,En}
   (つまり、 
EE1+E2+E3++Enを満たす有限n個のの互いに素な集合E1,E2,E3,,En
  と、 
  
n個の相異なる実数α1 , α2 , α3 , , αn とがあって、
  集合
Ei定義関数 χEi ( )を用いて、
  
実数値関数 fER ないし 広義の実数値関数fER* が  
     
f (x)=α1χE1(x)+α2χE2(x)+α3χE3(x)+…+αnχEn(x)  
  と表されること。
したがって、
  
xE1ならば、 f(x)=α1 、
  
xE2ならば、f(x)=α2 、
  
xE3ならば、f(x)=α3 、
  : 
  
xEnならば、f(x)=αn 、
 となって、
 単関数
f (x)は、有限nとおりの値しかとらない。

性質

単関数が可測関数となるための必要十分条件 

 

下位
概念

集合Xに実数体Rの部分集合を指定したケース 

 
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reference

松坂和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968年。第4章§4連続写像A連続写像(位相空間から位相空間への連続写像)(pp.175-8);第4章§4連続写像B実連続関数(位相空間から実数体への連続写像)(pp.178-182);6章§1距離空間とその位相-D距離空間の間の連続写像(pp.240-2)