平面R2における点列とその収束・極限 ― 定義 

 ・定義:点列/部分列/点列の収束・極限点/ユークリッド平面上の点列の収束・極限/有界な点列
 ・定理:点列の収束と座標ごとの収束の関係

 → R2における点列の関連ページ:収束点列の極限とベクトル演算/コーシー列と収束 
 → 列の収束・極限の定義の関連ページ:R上の数列/Rn上の点列/点列一般 

 → 2変数関数の極限定義 
 → 総目次 

定義 : 平面 R2上の点列

【はじめに読むべき定義】

 ・すべての自然数1,2,3,…の各々に対して、平面R2上の P1 , P2 , P3 ,… を定めたものを、
  平面R2上の点列と呼ぶ。

【厳密な定義】

 ・各項が平面R2上のである
  つまり、「XR2とした、写像 ( 関数 )φ:NX 」を点列と呼ぶ。

【記法】

     
 {Pi } iN   { P1 , P2 , P3 , … }   { Pi } i=1,2,3, 
 かなり略して、{ Pi }

【意図】

  数列を2次元へ拡張したものと理解すればよい。 

【ベクトルとの関連】

  「平面R2上の」とは、「実数を2個並べた組(x,y)」のこと。
  したがって、「平面R2上の P1 , P2 , P3 , … 」とは、実際のところ、「実数を2個並べた組(x1, y1), (x2, y2), (x3, y3),…」であり、
  これは、「実2次元数ベクトル(x1, y1), (x2, y2), (x3, y3),…」といっても同じ。
  だから、「平面R2上の点列」は、「実2次元数ベクトル」に他ならない。

【他の点列】

   R上の数列Rn上の点列点列一般

【文献】

 ・『岩波数学辞典』項目58D族列(p.158);
 ・ 神谷浦井『経済学のための数学入門』定義4.3.1(p.136);
 ・小平『解析入門Ip.60;
 ・杉浦『解析入門I』I§4(p.38)


→[トピック一覧:R2における点列]
総目次

定義:R2上の点列の部分列 sub-sequence

【はじめに読むべき定義】

 ・平面R2上の点列 { P1 , P2 , P3 , …} が与えられているとする。   
  この点列の項 P1 , P2 , P3 , P4 , P5 ,…(可算無限個)から、
  その一部の項(可算無限個)を抜き出し、順序を保ったまま並べた点列
 
   たとえば、
      P1, P3, P5, P7,… 
      P10, P11, P12, P13, P14, P15,…  
      P0, P10, P18, P20, P45, P100,…  
    など 
  を、点列{P1,P2,P3,…}の部分列と呼ぶ。

【少しかたい定義】

 ・点列{Pi}iN部分列とは、INにたいする {Pi}nI のこと。

【記法】

 ・点列{Pi}iNの部分列は、
    {Pi (k) } 
    {Pik } 
  などと表す。
  kは、部分列のなかで何番目の項にあたるかを、
  i (k) は、もとの点列で何番目の項だったのかを表している。

  例えば、

もとの点列:  P0
 P1
 P2
 P3
 P4
 P5
 … 
部分列:  P1 ,
 P3 ,
 P5 ,
 P7 ,
 P9 ,






 Pi(1)  Pi(2)
 Pi(3)
 Pi(4)
 Pi(5),



  つまり、点列{Pi}iNの部分列{Pi(k) }の添数i(k)は、数列{ ik } kN となっており、
  この数列{ i k } kNは、狭義単調増加i1 i 2 i 3 <…である。

【他の点列の部分列】

  ・数列の部分列/Rn上の点列の部分列/一般の集合上の点列の部分列



→[トピック一覧:R2における点列]
総目次




定義:距離空間 ( R2,d ) 上の点列の収束と極限点

    ※「距離空間(R2,d)上の」の意味がわからない場合→ユークリッド平面上の点列の収束・極限を参照。
      なにもことわらずに、「R2上の点列」といえば、それは「ユークリッド平面上の点列」のこと。
      なお、距離空間(R2,d)は、ユークリッド平面の一般化。→距離空間のイントロダクション  
直感的な説明


点列{Pi}が、点Pに収束する」とは、iが大きくなるにつれて、点列をなす各点Piが点Pに「近づく」こと。

だけど、この「近づく」とは、どういうことなのか
     … よく考えてみると、はっきりしない。

この点を明確化するために、点列の収束は、次のように、少々面倒くさいかたちで定義されることになる。

はじめによむべき定義


【文献】
 ・『岩波数学辞典』項目92D(pp.254-255); 項目166E(pp436)
 ・矢野『距離空間と位相構造』1.1.2(p.10);
 ・松坂『集合・位相入門』6章§1-C(pp.238-9) ;
 ・小平『解析入門I』§1.6(p.60);
 ・吹田新保『理工系の微分積分学』p.155

設定

(R2,d) :平面R2に距離dを与えてつくった距離空間 
P :    R2上の 
{ Pi }={P1 , P2 , P3 , …} : R2上の点列  

定義

距離空間 (R2, d ) 上の点列{Pi}が、PR2に収束する」 とは、
     
  数列{ d ( P1 , P ) , d ( P2 , P ) , d ( P3 , P ) ,… }が0に収束すること、 
  すなわち、d ( Pi , P ) 0 ( i→∞ ) 
        
  が成り立つこと
を言う。
また、点列{ Pi }が点Pに収束するとき、P極限limit極限点などと呼ぶ。

※距離=ユークリッド距離,距離空間=ユークリッド平面上としたときの具体例
  →ユークリッド平面上の点列の収束・極限
厳密な定義


 【文献】

  ・松坂『集合・位相入門』6章§1-C(pp.238-9) ;
  ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』4.5.11(p.131);
  ・神谷浦井『経済学のための数学入門』定義4.3.2(p.137) ;
  ・杉浦『解析入門I』1章§4(pp.38-40)

設定

(R2,d) :平面R2に距離dを与えてつくった距離空間 
P :    R2上の 
{ Pi }={P1 , P2 , P3 , …} : R2上の点列  

定義

距離空間 (R2, d ) 上の点列{Pi}が、PR2に収束する」 とは、

  ・ε1> 0に対して、
     「N1以上のすべての番号iについて、d ( Pi , P ) <ε1
   を成立させる番号N1が存在する 
  ・ε2> 0に対して、
     「N2以上のすべての番号iについて、d ( Pi , P ) <ε2
   を成立させる番号N2が存在する 
  ・ε3> 0に対して、
     「N3以上のすべての番号iについて、d ( Pi , P ) <ε3
   を成立させる番号N3が存在する 
  :
  :
 といった具合に、
任意のε> 0に対して、ある番号Nが存在して、
 「N以上のあらゆる番号iに対して、d ( Pi , P ) <ε」
 ないし「N以上のあらゆる番号iに対して、Pi点Pのε近傍属す
を成立させる 
ということ。
点列{ Pi }が点Pに収束するとき、P極限limit極限点などと呼ぶ。

※距離=ユークリッド距離,距離空間=ユークリッド平面上としたときの具体例
  →ユークリッド平面上の点列の収束・極限
論理記号による表現


・「距離空間 (R2, d ) 上の点列{Pi}が、PR2に収束する」 とは、

   ε>0 NN iN ( iN d ( Pi , P ) <ε) 
   ε>0 NN iN ( iN Pi Uε(P) ) 
   Uε(P) NN iN ( iN Pi Uε(P) ) 

点列{ Pi }が点Pに収束するとき、P極限limit極限点などと呼ぶ。
 【文献】

  ・杉浦『解析入門I』1章§4(pp.38-40)
記法


  PiP (i→∞) 
   
 と記す。 

※(はじめに読むべき定義)と(厳密な定義)は同じもの



【はじめに読むべき定義】「d ( Pi , P ) 0 ( i→∞ )」は、数列の収束の厳密な定義より、次のように言い換えても同じこと。
        ε> 0 NN iN ( iN | d ( Pi , P )−0 |< ε)  …(1) 
距離dの定義より、 d ( Pi , P ) ≧0だから、| d ( Pi , P )−0 |< ε d ( Pi , P )< ε 
したがって、(1)は、【厳密な定義】「ε>0 NN iN ( iN d ( Pi , P ) <ε)」 に言い換えても同じこと。
点列の収束の必要十分条件



数列との関連コーシー列との関連 

他の収束・極限概念



数列の収束と極限値Rn上の点列の収束・極限一般の距離空間上の点列の収束・極限

2変数関数の極限定義



→[トピック一覧:R2における点列]
総目次


定義:ユークリッド平面R2上の点列の収束と極限点

 ※ここでは、特に、距離ユークリッド距離で定義されたユークリッド平面の上で、点列の収束について考える。

はじめに読むべき定義

【設定】

 (R2,d):平面R2ユークリッド距離を与えてつくったユークリッド平面 
 Pユークリッド平面 (R2,d)上の(x,y) 
 { Pi } iNユークリッド平面 (R2,d)上の点列
 { P1 , P2 , P3 , … }={ (x1,y1), (x2,y2), (x3,y3) ,… }

【定義】



【文献】

 ・『岩波数学辞典』項目92D(pp.254-255); 項目166E(pp436)
 ・矢野『距離空間と位相構造』1.1.2(p.10);
 ・松坂『集合・位相入門』6章§1-C(pp.238-9) ;
 ・小平『解析入門I』§1.6(p.60);
 ・吹田新保『理工系の微分積分学』p.155

 ユークリッド平面(R2, d )上の点列 { Pi } iN ={ (x1,y1), (x2,y2), (x3,y3) ,… }が、点P (x,y)に収束するとは、
 数列{ d ( P1 , P ) , d ( P2 , P ) , d ( P3 , P ) ,… }が0に収束すること、 
    すなわち、     

 が成り立つことをいい、

 これを、

 または、PiP (i→∞)

 で表す。

 また、点列{ Pi }が点Pに収束するとき、P極限limit極限点などと呼ぶ。


厳密な定義:ε-N論法

【設定】

 (R2,d):平面R2ユークリッド距離を与えてつくったユークリッド平面 
 Pユークリッド平面 (R2,d)上の(x,y) 
 { Pi } iNユークリッド平面 (R2,d)上の点列
 { P1 , P2 , P3 , … }={ (x1,y1), (x2,y2), (x3,y3) ,… }

【定義】



【文献】

 ・高木『解析概論』p.14.;
 ・志賀『位相への30講』第2講(pp.10-15);
 ・松坂『集合・位相入門』6章§1-C(pp.238-9) ;
 ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』4.5.11(p.131);
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』定義4.3.2(p.137) ;
 ・杉浦『解析入門I』1章§4(pp.38-40)

 ユークリッド平面(R2,d)上の点列 { Pi } iN ={ (x1,y1), (x2,y2), (x3,y3) ,… }が、点P (x,y)に収束する  
   PiP (i→∞)
   
 とは、
  ・ε1 > 0に対して、
    命題「N1以上のすべての番号iについて、
   を成立させる番号N1が存在する 
  ・ε2 > 0に対して、
    命題「N2以上のすべての番号iについて、
   を成立させる番号N2が存在する 
  ・ε3 > 0に対して、
    命題「N3以上のすべての番号iについて、
   を成立させる番号N3が存在する 
  : 
  : 
 といった具合に、
 どんなε> 0に対してでも、ある番号Nが存在して、
 命題「N以上のあらゆる番号iについて、 」
 を成立させる 
 ということ。

※以上を、論理記号で表すと、

   PiP (i→∞) ないし         ε>0 NN iN  
 となる。


厳密な定義:ε近傍をもちいて

【設定】

 (R2,d):平面R2ユークリッド距離を与えてつくったユークリッド平面 
 Pユークリッド平面 (R2,d)上の(x,y) 
 { Pi } iNユークリッド平面 (R2,d)上の点列
 { P1 , P2 , P3 , … }={ (x1,y1), (x2,y2), (x3,y3) ,… }

【定義】


 ユークリッド平面(R2,d)上の点列 { Pi } iN ={ (x1,y1), (x2,y2), (x3,y3) ,… }が、点P(x,y)に収束する 
   PiP (i→∞)
   
 とは、
   ・ε1 > 0に対して、
     「N1以上のすべての番号iについて、
         
    を成立させる番号N1が存在する 

   ・ε2 > 0に対して、
    「N2以上のすべての自然数iについて、
         
   を成立させる番号N2が存在する 

  ・ε3 > 0に対して、
    「N3以上のすべての番号iについて、
         
   を成立させる番号N3が存在する 
  : 
  : 
 といった具合に、

  どんなε> 0に対してでも、ある番号Nが存在して、
      命題「N以上のあらゆる番号iについて、
   を成立させるということ。

※以上を、論理記号で表すと、
  「 PiP (i→∞) 」  ないし 「  」  ε>0 NN iN 
 となる。


論理記号による表現

「 PiP (i→∞) 」  ないし 「  」

   ε>0 NN  iN    
        ないし、 ε>0 NN  iN  


ベクトル表現


【文献】

 杉浦『解析入門I』1章§4(pp.38-40)

【設定】

R2 :

実数を2個並べた組 (x,y) をすべてあつめた集合。すなわち、「実数全体の集合R」と「実数全体の集合R」の直積  R×R={ (x,y) | xR かつ yR }

実2次元数ベクトル空間R2 :  

R2にたいして、通例のベクトルの加法スカラー乗法を定義したもの。

ノルム空間R2, ‖‖ ) :

実2次元数ベクトル空間R2にたいして、「自然な内積(標準内積)・」「ユークリッドノルム‖‖」を定義したもの。

ユークリッド空間(R2,d) :

ノルム空間( R2, ‖‖ )にたいして、ユークリッドノルムから定めた距離d(x, y)=xyを定義したもの。  

P

ユークリッド平面 (R2,d)上の(x,y)。「平面R2上の(x,y)」は、実2次元数ベクトルであるから、この実2次元数ベクトル(x,y)Pで表すことにする。

{ Pi } iN   : ユークリッド平面 (R2,d)上の点列。すなわち実2次元数ベクトル
{ P1 , P2 , P3 , … }  : { (x1,y1), (x2,y2), (x3,y3) ,… }

【定義】

ユークリッド空間(R2,d)上の点列 { Pi } iN  ={ (x1,y1), (x2,y2), (x3,y3) ,… }が、点P (x,y)に収束するとは、
 数列{ d ( P1 , P ) =P1 P, d ( P2 , P )=P2 P , d ( P3 , P )=P3 P ,… }が0に収束すること、 

  すなわち、     が成り立つこと、をいう。
数列収束の定義にまで遡ると、
 ユークリッド空間(R2,d)上の点列 { Pi } iN  ={ (x1,y1), (x2,y2), (x3,y3) ,… }が、点P (x,y)に収束するとは、
  ε>0  NN iN ( iN d ( Pi , P )= Pi P<ε)  
   

(図解1)



     
   ε=ε1をとった場合、P1からP4までは、Pのε1近傍に入らないが、
     
P5以降のすべての点は、Pのε1近傍のなかにおさまる。
     つまり、ε
1にたいして、(iN) ( iN PiUε(P) ) を満たすN=5が存在する。
   ε
=ε2をとった場合でも、P1からP6までは、Pのε2近傍に入らないが、
     
P7以降のすべての点は、Pのε2近傍のなかにおさまる。
     つまり、ε
2にたいして、(iN) ( iN PiUε(P) ) を満たすN=7が存在する。
   ε
=ε3をとった場合でも、P1からP8までは、Pのε3近傍に入らないが、
     
P9以降のすべての点は、Pのε3近傍のなかにおさまる。
     つまり、ε
3にたいして、(iN) ( iN PiUε(P) ) を満たすN=9が存在する。
   :
   :
  この例では、
  このように、どこまでεを小さくとっていっても、
     そのεにたいして、
(iN) ( iN PiUε(P) ) を満たすNが存在するから、 
  
点列{Pi}iN={ (x1,y1), (x2,y2), (x3,y3) , }は点P (x , y )に収束するといえる。

(図解2)


 
   
   ε=ε1をとった場合、P1からP2までは、Pのε1近傍に入らないが、
     
P3以降のすべての点は、Pのε1近傍のなかにおさまる。
     つまり、ε
1にたいして、(iN) ( iN PiUε(P) ) を満たすN=3が存在する。
   ε
=ε2をとった場合でも、P1からP5までは、Pのε2近傍に入らないが、
     
P6以降のすべての点は、Pのε2近傍のなかにおさまる。
     つまり、ε
2にたいして、(iN) ( iN PiUε(P) ) を満たすN=6が存在する。
   ε
=ε3をとった場合でも、P1からP8までは、Pのε3近傍に入らないが、
     
P9以降のすべての点は、Pのε3近傍のなかにおさまる。
     つまり、ε
3にたいして、(iN) ( iN PiUε(P) ) を満たすN=9が存在する。
   :
   :
  この例では、
  このように、どこまでεを小さくとっていっても、
     そのεにたいして、
(iN) ( iN PiUε(P) ) を満たすNが存在するから、 
  
点列{Pi}iN={ (x1,y1), (x2,y2), (x3,y3) , }は点P (x , y )に収束するといえる。
以上は、距離空間(R2,d)一般の点列の収束・極限の定義における距離dに、ユークリッド距離を与えるだけで得られる。

ユークリッド距離と位相的に同値である距離をR2に与えてつくった距離空間でどうなるか
  →志賀『位相への30講』第11講(pp.81-2)

(点列の収束の必要十分条件)


数列との関連コーシー列との関連 



→[トピック一覧:R2における点列]
総目次


定理:ユークリッド平面R2上の点列の収束と座標ごとの収束の関係

設定

(R2,d) : R2ユークリッド距離を与えてつくったユークリッド平面 
P  : ユークリッド平面 (R2,d)上の ( x ,y )を表すとする。
{
Pi}iN : ユークリッド平面 (R2,d)上の点列{ P1 , P2 , P3 , …}で、 
       各
Piはふたつの実数順序対[つまり座標]( xi , yi )を表すとする。
       つまり、
点列{ P1 , P2 , P3 , …}は、     
       {
(x1 , y1) , (x2 , y2) , (x3 , y3) , }とも書ける。
{
xi}iN : 点列{Pi}iNの各Pi( xi , yi )xiだけを取り出して並べた数列{ x1 , x2, x3, }  
{
yi}iN : 点列{Pi}iNの各Pi( xi , yi )yiだけを取り出して並べた数列{ y1 , y2, y3, }   

定理 以下の二つの命題は同値である。
命題
1: 点列{Pi}iN={ (x1 , y1), (x2 , y2) , (x3 , y3) , }が、P=(x,y)収束する。
     つまり、 
      
   

命題2: 数列{xi}iNx収束し、かつ数列{yi}iNy収束する。
       
※なぜ?→証明 
  
   
 

[文献]
高木『解析概論』p.14:R2上のユークリッド空間;
小平『解析入門I』§1.6-d(p.60) :R2上のユークリッド空間;
矢野『距離空間と位相構造』例1.9(p.12) :Rnにおいて;
志賀『位相への30講』第13講(pp.91-2):Rnにおいて;
神谷浦井『経済学のための数学入門』定理4.3.1(p.138) :n次元ユークリッド空間において;
杉浦『解析入門I』1章§4定理4.5-1(p.38):n次元ユークリッド空間において;
吹田新保『理工系の微分積分学』p.155-6 
活用例:点列のベクトル和の極限点列と数列のスカラー積の極限
ユークリッド距離と位相的に同値である距離をR2に与えてつくった距離空間でどうなるか
  →矢野『距離空間と位相構造』例1.9(p.12) 



→[トピック一覧:R2における点列]
総目次



定義:「有界」な点列

 ・点列{Pn}の各点と原点O(0,0)との距離が、nによらない一定の実数を超えないとき、   
  点列{Pn}は「有界」であるという。[ 小平邦彦『解析入門I』 p. 65。 ]
 ・点列{Pn}の各点の各座標が有界なるとき、点列が有界であるという。
       [杉浦『解析入門I』p.38;高木貞二『解析概論』p.14.] 
有界, 平面R2における「有界」な点集合



→[トピック一覧:R2における点列]
総目次

定理:収束点列どおしのベクトル和・スカラー積の極限

定理
(1)

ユークリッド空間(R2,d)において、
点列{ P1 , P2 , P3 , }={ (xP1,yP1), (xP2,yP2 ) , (xP3,yP3 ) ,…}がP=(xP,yP)に収束し
かつ
点列{ Q1 , Q2 , Q3 ,…}={ (xQ1,yQ1), (xQ2,yQ2 ) , (xQ3,yQ3 ) ,…}がQ=(xQ,yQ)に収束する
ならば
点列{ P1Q1 , P2Q2 , P3Q3 , }
   ={ (xP1,yP1)(xQ1,yQ1), (xP2,yP2 )(xQ2,yQ2 ), (xP3,yP3 )(xQ3,yQ3 ) , }
   ={ (xP1+xQ1 , yP1+yQ1 ), (xP2+xQ2 , yP2+yQ2 ), (xP3+xQ3 , yP3+yQ3 ), }
は、PQ (xP,yP)(xQ,yQ)(xP+xQ , yP+yQ )に収束する。 
つまり、

 

詳細 

定理
(2)

ユークリッド空間(R2,d)において、
点列{ P1 , P2 , P3 , }={ (xP1,yP1), (xP2,yP2 ) , (xP3,yP3 ) ,…}がP=(xP , yP)に収束し
かつ
数列{ a1 , a2 , a3 , }aに収束する 
ならば
 
P1スカラーa1P2スカラーa2P3スカラーa3、…
と並べた
点列 
  {
a1P1 , a2P2 , a3P3 , }
     ={ a1(xP1,yP1), a2(xP2,yP2 ), a3(xP3,yP3 ) ,…} 
     ={
(a1xP1,a1yP1), (a2xP2,a2yP2), (a3xP3,a3yP3) ,…}  
は、
Pスカラーaとして表される 
      
aPa(xP,yP)(axP , ayP )
に収束する。 
つまり、
 

 

詳細



→[トピック一覧:R2における点列]
総目次


reference

日本数学会編集『岩波数学辞典(第3版)』項目58関数D族・列(p.158);項目92距離空間(pp.253-256);項目166収束(pp436);項目409ユークリッド幾何学(pp.1225-1229)、項目410ユークリッド空間 (pp.1229-1230).
(解析学についての教科書)
高木貞二『解析概論改訂第三版』岩波書店、1983年、p.14.
小平邦彦『解析入門I』 (軽装版)岩波書店、2003年、§1.6平面上の点集合-d.点列の極限(pp.60-61)。
杉浦光夫『解析入門I』岩波書店、1980年、1章§4(pp.38-40):Rn上の点列について。収束定義の論理記号での表現がある。.
吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年。6章§1(pp.155-157):平面上。
(数理経済学についての教科書)
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.67-68;120-123;4.3Rnにおける点列の収束(pp.135-141).
奥野正寛、鈴村興太郎『ミクロ経済学I』岩波書店、1985年、pp.261-265.
(位相についての教科書)
志賀浩二『位相への30講』朝倉書店、1988年、第2講平面上の座標・点列の収束(pp.10-15)。
矢野公一『距離空間と位相構造』共立出版、1997年。 1章距離空間1.1.2点列の収束(pp.10-11);2章位相空間2.1位相構造(p.65)
斉藤正彦『数学の基礎:集合・数・位相』東大出版会、2002年。1章§2定義1.2.11:点列;定義1.2.12部分列(pp.13-4); 3章§4定義3.4.4Rn点列収束(pp.86-87);第4章位相空間(その1)§4点列の収束 (p.122-3)
松坂和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968年。第6章§1-C点列の収束(pp.238-9)。
彌永昌吉・彌永健一『岩波講座基礎数学: 集合と位相II』 岩波書店、1977年, §1.7距離空間のCauchy列,完備距離空間(pp.154-8);§2.5有向点列の収束(p.198)。

→[トピック一覧:R2における点列]
総目次