集合の基本概念−定義と記号 : トピック一覧  

 1.集合の記述方法:外延的記法/内包的記法
 2.基本的な記号 :属す∈/の元ではない/空集合φ/普遍集合Ω,U,X
 3.元の個数   :1元集合(シングルトン)/有限集合/無限集合(可算/非可算)
 4.集合演算   : / / / / / C  
 5.集合間関係  : / /真部分集合/交わる・互いに素ではない / 交わらない・互いに素
 6.直積     :( , ) [順序対]/(,,…, )[n-tuple]/{ , } [非順序対]/ × /射影/××…×[n個の直積]





【関連ページ】・集合の演算則/集合系(族)・ベキ集合/対応/写像/特性関数・定義関数/集合族と集合列/被覆/極限集合/集合関数・点関数 

集 合論目次/総目次 / →





1.集合の記述方法


集合の表し方として、下記2通りの記法が用意されている。

{a, b, c,…}

外延的記法

 ・集合Aに属す元を すべて書き下す方法。
 ・A={ a, b, c, … }で「集合Aは元a,b,c,…からなる」の意。
 ・たとえば、Perfume = { 大本 , 西脇 , 樫 野 }









【名称のゆれ】 ・外 延的extensive記法/表示/表現[野矢『論理学p.128]/定義 [中谷『論理p.99]



         ・enumeration           









{x| P (x) }

内包的記法

 ・集合Aが持つ性質・条件を記述する方法。
 ・A={ xΩ | P (x) } 略して、  A={ x | P (x) } で、
    「集合Aは、《性質・条件Pを満たす対象》を範囲Ωから全部あつ め た集合」の意。
 ・Ωは、性質・条件P議論領域ないし普遍集合。しばしば省略される。
 * 詳細→述語・命題関数の真理集合参照。



   





【名称のゆれ】 ・集合の内包的intensive記法 /表示/表現[野矢『論理学p.128]



        ・description       










【文献】 ・中内『ろ んりの練 習帳p.133、
     ・松 坂『集合・位相入門』3-5
     ・黒崎『集合論演習』1章III(p.11)、
     ・久 米『数理統計学p.1、 高橋一『経済学とファイナンス のための数学』1-2



     ・Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics,p.11、Endertonp.2、 http://en.wikipedia.org/wiki/Naive_set_theory#Specifying_sets


2.基本的な記号 : ∈、∉、∅、Ω 








・「aA」で

 「aが集合Aに属す
    a belongs to A
 「aが集合Aに含まれる」 
    A contains a
 「aは集合A元・要素である」
    a is an element of set A

 を表す。

・たとえば、
  大 本Perfume 
  樫野Perfume
  西脇Perfume

* 「aA」を
  論理の言葉で言い直すと…
  → ∈を表す述語・命題関数










・「 aA 」で、     
   「aは集合Aに属さないaは集合Aに 含まれない
   「aは集合A元(要素)でない a is NOT an element of set A
 を表す。

・つまり、
 「 aA 」は、「aAでない、と定義される。
        論理記号で表すと、aA  ¬(aA) 

* 「aA」を論理の言葉で 言い直すと…
   → ∈の否定を表す述語・命題関数 / 命題関数 ¬P(x)の 集合表現









* element訳語の揺れ
 ・「元」 :『岩波数学辞典』『社会科学者のための基礎数学


 ・「要素」:『経済学と ファイナンスのための数学』『昭和63年度用 高等学校数学I』啓林館

【文献】

 ・中内『ろんりの練習帳pp.129-131;
 ・松坂『集合・位相入門p.2;
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数 学』1;
 ・Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics,p.12;
 ・『岩波数学辞典(第三版)』 項目162A(pp.428-429);
 ・久米『数理統計学p.1;  
 ・中谷『論理』 5章命題関数と集合-5.1真理集合(p.101)
 ・竹内『集合とはな にか―はじめて学ぶ人のために』1章立場の変換-翻訳語としての集合(p.22)











【同値表現】 

全体集合Ωのなかで 考えているとき、「集合Aに属さない」と「《集合Aの(Ωにおける)補集合に属す」は、互いに言い換えてよい。 
論理記号で表すと、「aの元ではないA」   「aAc ΩA 」、「aの元ではないAc」  「aA」   [竹内『集合とはなにかp.37]






 







 
空集合
null set

empty set

を 一つも含まない集合を表す。

外延的記法で 表すと、 φ={  }

内包的記法で表すと、 φ { x | xx } [竹内p.52]

* 「φ」 を論理の言葉で言い直すと…
      → 空集合との一致を表す命題



* 「空集合の記号」のデザインが使いづらいので、このノートではφ を使いたい。






【性質】 



・いかなるaに対しても、aの元ではないφ
  論理記号で表すと、「a aの元ではないφ」  「a  ¬ (aφ)」   「¬(∃a aφ)」
・いかなる集合Aに対しても、φ A   [松坂pp.10-11]
*なぜ?  φ Aと いえるわけは、任意のxに対して、xφ xA が成り立つ(*)から。
     さらに、(*)が成り立つわけは、任意のxに 対して、xφ が成り立たない(**)から。
     (**)が(*)の理由になるのが奇妙に思われるひとは、
     真理値表を用いた「ならば)」の定義を確認せよ。→その他の性質 









【文献】
 ・竹内『集合とはなにか―はじめて学ぶ人のために』1章-「空集合」(pp.52-53)
 ・中内『ろんりの練習帳pp.129-131;
 ・松坂『集合・位相入門p.6;
 ・DeLaFuente,Mathematical Methods and Models for Economists,I-1-1(p.3)"The symbol ∅ denotes the empty set, a set with no elements. "
 ・Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics,p.13;
 ・『岩波数学辞典(第三版)』項目162A(pp.428-429); 


 ・久米『数理統計学p.1
 ・クラメール『統計学の数学的方法』1.2(p.4)








【 同値条件:=φ  /  ≠φ 】 





・「集合A空集 合である」は、 
   「何も、集合Aに元として属さない
   「集合Aが一つもない」 [竹内p.53]
  と、互いに言い換えてよい。

論理記号で表すと、全体集合Ωのなかで考えているとき、
 「 A φaΩaの元ではないA) 」[竹内p.53]
         「  aΩ ¬aA) 」  
         「 ¬aΩ aA ) 」
              ∵ 全否定 ¬∃⇔∀¬
* 述語論理に還元
  →空集合と の一致を表す命題 
  →全否定「∀x∈Ω ¬P(x)」 「¬(∃x∈Ω P(x) )」の集合表現








・「集合A空集 合でない」は、全体集合Ωのなかで考えているとき、
   「集合Aが、一個以上、実在する」    
   「Ωのすべてのが、Aに属してないってことはない
  と、互いに言い換えてよい。

論理記号で表すと、全体集合Ωのなかで考えているとき、
 「 A φ 「 aΩ aA  」(一個以上の《Ω》が、A属す
          「 aΩ ¬aの元ではないA )」(一個以上の《Ω》が、Aに属してなくない
             ∵二重否定 
         ¬aΩ aの元ではないA) 」(「すべての《Ω》がAに属してないってことはない
              ∵ 部分否定 ¬∀⇔∃¬     
          ¬aΩ ¬aA) 」  ∵ の元ではないの 定義 
















Ω,U,X

全体集合
普遍集合
対象とするもの全体を表す。

* 「Ω」 を論理の言葉で言い直すと…
   
   → 普遍集合への一致の述語への言い換え



 universal set 
空間 space





・数学の議論で集合を取り扱う場合、余程特別なときを除いて、その議論のなかで考え る全体の集合が予め決まっており(たとえば、実数全体の集合R)、

  その議論に出てくる集合はすべて、その全体の集合の部分集合と なっている。
 この予め決まっている全体の集合を、「普遍集合」「全体集合」、幾何学的に表現して「空間」等と呼ぶ。
・「普遍集合」「全体集合」「空間」とされる具体的対象は、各議論ごとに変わってくるので、
 いま取り組んでいる数学の議論では、何が「普遍集合」「全体集合」「空間」の具体的対象であるのか、
 あるいは、いま取り組んでいる数学の議論は、「普遍集合」「全体集合」「空間」の具体的対象が何であるかにかかわりなく成立する抽象的な集合論であるの か、いちいち確認しておくこと。






 








【文献】 

 松坂『集合・位相入門p.16、高橋『経済学とファイナンスのための数学』1、『岩波数学辞典(第三版)』項目162B(pp.428-429)、クラメール『統計学の数学的方法』1.2(p.4)







[トピック一覧:集合の基本概念−定義と記号]
集合論目次総目次

3.元の個数による集合の分類





一元集合
シングルトン
  singleton

1元集合
 ないし
 シングルトンsingletonとは、
 一個のだけが属す集合のこと。
・たとえば、
 { x }Cornelius{ 小山田圭吾 }










【文献】
 ・斉藤『集合・数・位相』1.1.11 定義(p.1)


 ・DeLaFuente,Mathematical Methods and Models for Economists,I-1-4-Correspondence(p.23)
 ・彌永『集合と位相』§1.3(p.18): 非順序対{x,x};
【活用例】一意対応/写像/1変数関数の全単射  




 





有限集合
  finite set


・有限個の元からなる集合

・たとえば、
  {表,裏} ,
  { 大本 , 樫野 , 西脇 },
  {2,3,4} 









無限集合
 infinite set

・無限個の元からなる集合
・二つのタイプがある。
  ・離散型discrete集合ないし可算countable集合
     例:N={自然数の全体}={1,2,3,…},I={ x | x a positive integer }
  ・連続型continuous集合ないし非可算uncountable集合
     例:R1={実数の全体}={ x| -∞<x<∞ },J={ x | 2<x<5 }











【文献】
 ・『岩波数学辞典(第三版)』 項目162A(pp.428-429)


 ・中内『ろんりの練習帳p.138;
 ・松坂『集合・位相入門p.2;  
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数 学p.2;
 ・クラメール『統計学の数学的方法』1.2




 

4.集合演算  〜 集合から集合を表現する記号








合併集合union
和集合sum
結びjoin[中谷107]

・「AB」("A union B""A cup B")で、
 「集合Aか集合Bに属する元 をすべてあつめた集合」
 を表す。

・つまり、



            AB { xΩ | xA または xB }     
                 [→ABの 内包をなす述 語・命題関数]





【《∈∪》の同値条件】



 ・「ABに属 す」と「 Aに属す または Bに属す」は、
   互いに言い換えてよい。

 ・論理記号で表すと、
    「 aABaA または aB
         [竹内『集合とはなにかp. 27]」
    * 述語論理に還元→命題関数P(x)Q(x)の集合表現  









【性質】    AB= A+(BAc) [伊藤『ルベーグ積分入門』II§4有限加法的測 度(p.16)]
【関連事項】  A∪Bの内包をなす述語・命題関数/性質/部分集合との絡みでの性質
【文献】
 ・『岩波数学辞典(第三版)』 項目162B(pp.428-429);
 ・竹内『集合とはなにかp. 27
 ・中内『ろんりの練習帳p.139;
 ・松坂『集合・位相入門p.12;  
 ・中谷『論理』 5章命題関数と集合-5.2集合演算-B.結び(p.107) 
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数 学p.3;
 ・Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics,p.14; 
 ・DeLaFuente,Mathematical Methods and Models for Economists,I-1-1(p.4)


 ・久米『数理統計学p.1;
 ・クラメール『統計学の数学的方法』1.3(p.4)

    * 複数の集合のunionを、下記のように略記することがある。

A1A2A3∪…∪An

n

i=1

Ai

 [→詳細/性質] 


A1A2A3∪… =


i=1

Ai

 [→詳細/性質] 



λΛ

Ai

 [→詳細/性質] 










直和
disjoint union

・集合Aと集合B互いに素であるとき、
 AB は、集合Aと集合Bの「直和」であるといい、
 特に「 AB 」で表す。

・集合Cが、「互いに素」な集合A,Bの和「ABに等しいとき、



        「集合Cは、集合Aと集合B直和分割される」といい、  
        「 C AB 」で表す。 





【関連事項】 直和分割/ 複数の集合の直和の記法



【文献】

  ・『岩波数学辞典(第三版)』 項目162B(p.429);
  ・松坂『集合・位相入門p.16;
  ・西田『線形代数学』付録A.1類別・類(p.200)
  ・DeLaFuente,Mathematical Methods and Models for Economists,"partition" 











共通部分
交わり
intersection
積集合product
meet[中谷107]

・「AB」(A intersection B""A cap B")で、
  「集合A,B両方に属す元をすべてあつめた集合」
 を表す。

・つまり、
   AB { xΩ | xAかつxB }  
     [→ABの内包をなす述語・命題関数]



* 名称「積集合」は、直積A×Bのことを指すこともあるので要注意。
    [斎藤『数学の基礎:集合・数・位相』1.1.15(p.3);1.1.11(p.6)]





【《∈∩》の同値条件】




 ・「ABに属す」と「 Aに属す かつ Bに属す」は
   互いに言い換えてよい。

 ・論理記号で表すと、
    「  aAB 「  aA かつ aB 」 
         [竹内『集合とはなにかp.26]
   * 述語論理に還元→命題関数P(x)Q(x)の集合表現   









【性質】  ・AB A(AB) [高木『解析概論』第9章Lebesgue積分105節集合算(p.397)]
      ・普遍集合Ω部分集合A,Bを、どのようにつくったときでも、
       普遍集合Ωは、互いに素な4集合「AB」「ABc」「AcB」「AcBcに直和分割される。[中谷『論理p.114]
       Ω    (AB) (ABc) (AcB) (AcBc)  
       * 「ABに属す元の有無を基準とした、集合A,Bの関係の二分法が、《交わる/交わらない》《互いに素でない/互いに素》。

【関連事項】A∩Bの内包をなす述語・命題関数/性質/部分集合との絡みでの性質 

【文献】
 ・『岩波数学辞典(第三版)』項目162B(pp.428-429);
 ・斎藤『数学の基礎:集合・数・位相』1.1.15(p.3);1.1.11(p.6)
 ・中内『ろんりの練習帳p.139;
 ・松坂『集合・位相入門p.14; 
 ・竹内『集合とはなにかp.26
 ・中谷『論理』 5章命題関数と集合-5.2集合演算-C.交わり(pp.111-5) 
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学p.3;
 ・DeLaFuente,Mathematical Methods and Models for Economists,I-1-1(p.4)
 ・Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics,p.14; 


 ・久米『数理統計学p.1;
 ・クラメール『統計学の数学的方法』1.3(p.5)

    * 例
      ・style counciljam  { Paul Weller }
      ・YMOはっぴいえんど {  細野晴臣 }  
      ・YMOサディスティック・ミカバンド { 高橋幸宏 }  
    * 複数の集合の intersection を、下記のように略記することがある。

A1A2A3∩…∩An

n

i=1

Ai

 [→詳細/性質] 


A1A2A3∩… =


i=1

Ai

 [→詳細/性質]  



λΛ

Ai

 [→詳細/性質] 








Bc,B

B


集合B
(普遍集合Ωに対する) 
補集合complement

・集合Bの(普遍集合Ωに対する)補集合「Bc」で、 
 
  普遍集合Ωから「集合B」を除いた残り
       B c ΩB

 を表す。


・つまり、
 「Bc」 とは、 

  集合Bには属さない普遍集合Ωの」 
     B c { xΩ | xB  } 
 のこと。



             [→補集合の内包をなす述語・命題関数]




【《∈補集合》の同値条件】



・「Bに属す」と「《Bの補集合に属さない」は、互いに言い換えてよい。 
・「《Bの補集合に属す」と「Bに属さない」は、互いに言い換えてよい。 
論理記号で表すと、
 「bB」  「bの元ではないBc」 [竹内『集合とはなにかp.37]
 「bBc」  「bの元ではないB」 
  * なぜ?
  ・「bBcb{ xΩ | x属さないB }」∵定義:B c { xΩ | x属さないB } 
  ・「b{ xΩ | x属さないB  }bの元ではないB」 ()   
   [→述語論理に還元] 
【例】
 「小出裕章原子力村c」  「小出裕章の元ではない原子力村」 
  * なぜ?
  ・「小出裕章原子力村c「小出裕章{ xΩ | x属さない原子力村  }
        ∵定義:原子力村 c { xΩ | x属さない原子力村  } 
  ・「小出裕章{ xΩ | x属さない原子力村 }「小出裕章の元ではない原子力村」() 









【関連事項】補集合の性質

【文献】
 ・『岩波数学辞典(第三版)』項目162B(p429);
 ・Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics, p.15;
 ・松坂『集合・位相入門p.16;
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学』3. 
 ・久米『数理統計学p.1;
 ・クラメール『統計学の数学的方法』1.3(p.6)
 ・竹内『集合とはな にか―はじめて学ぶ人のために』1章立場の変換-翻訳語としての集合(pp.36-7)
 ・中谷『論理』 5.2-A(pp.105-6)









AB
AB


集合Aと集合Bの差
    difference
集合Aと集合Bの差集合
  difference set 
  subtraction
  [入谷久我p.16]


・「AB」で、  
  集合Aに属すが、
  集合Bには属さない要素の集まり
 を表す。

・つまり、
  AB   { xΩ | xA かつ xB }
    [→A−Bの内包をなす述語・命題関数]

* BAのときの、ABを、
  集合Aに対する集合Bの補集合・差集合
  と定義するテキストもある。



集合Aに関する集合Bの補集合
  complementary set,complement





【《∈差集合》の同値条件】



・「ABに属す」と「Aに属しかつ、Bに属さない」は、
  互いに言い換えてよい。
論理記号で表すと、
  「aAB」  「aA かつ a属さないB  」 [竹内『集合とはなにかp.41]
   [→述語論理に還元]

【性質】

 ・AB  ABc (これを定義とするテキストもある)
 →他の性質









【関連事項】補集合の性質

【文献】
 ・竹内『集合とはな にか―はじめて学ぶ人のために』1章立場の変換-共通部分と和集合(pp.39-41)
 ・中谷『論理』 5.2-A(p.107)
 ・前原『記号論理入門』 第1章§6-6(p.15)
 ・『岩波数学辞典(第三版)』項目162B(p.429);
 ・中内『ろんりの練習帳p.144;
 ・松坂『集合・位相入門p.15; 
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学p.3;
 ・クラメール『統計学の数学的方法』1.3(p.5)
 ・入谷久我『数理経済学入門』1.2.2(p.16)










対称差
symmetric difference


AB 」で、
  (AB)(BA)
 を表す。









【文献】 ・中内『ろんりの練習帳p.146;


     ・松坂『集合・位相入門p.21; 
     ・高橋『経済学とファイナンスのための数学』3.







[トピック一覧:集合の基本概念−定義と記号]
集合論目次総目次


5.集合間の関係を表現する記号

 【概観】集合間の包含関係を分類すると…      [中谷『論理』 5.3-A(p.119)]




(iv) 「AB」でないと同時に「AB」 でもないケース。 
    このとき、A,B交わるケース
         「A⊃B」でないと同時に「A⊂B」でもないケース - A,Bが交わる場合
         交わらない・互いに素となるケース
         「A⊃B」でないと同時に「A⊂B」でもないケース - A,Bが交わらない場合 
    がある。





 





(i)「AB」 であるが、
  「AB」ではないケース。

    「A⊃B」であるが、 「A⊂B」ではないケース
  このとき、
  A,Bはいつも交わって
  交わりB








(ii) 「AB」 でないが、
   「AB」ではあるケース。

    「A⊃B」でないが、 「A⊂B」ではあるケース
   このとき、
   A,Bはいつも交わって
   交わりA








(iii) 「AB」 であると同時に「AB」でもある
   つまり、 AB となるケース。
   A=B となるケース 
   このとき、
   A,Bはいつも交わって交わりAB





 【記号と概念の定義】








包含関係
部分集合
 subset


・「AB
   (ABを含む
    A contains B [永倉・宮岡p.1],
    A includes B
 「BA
   (B A に含まれる
    B is contained in A
    [中谷p.119;永倉・宮岡p.1])
  で、

  「集合Belementが全て集合Aに属す
  ということ

    つまり、
    全体集合Ωのすべての
     「ωBならばωA」を満たす
    ということ

  を表す。

論理記号で表すと、
 「AB」「BA」 
      「ωΩ(ωBωA)」
      ないし   「ωB (ωA) 」
 

・「AB」「BA」が成り立つとき、
   B を、「 A 部分集合subset」 と呼ぶ。
  T is a subset of S if and only if "xT" implies "xS." 


【例】「Perfumeは広島県 民の部分集合」
   「Perfumeは広島県民に含まれる」
   「広島県民はPerfumeを含む」

 Perfumeのメンバーの三人は、 三人揃って広島県民
 つまり、
  Perfume { 大本, 西脇, 樫野 } であっ て、
   大本 Perfume かつ 大本 広島県民   
   樫野 Perfume かつ 樫野 広島県民 
   西脇 Perfume かつ 西脇 広島県民 
  が、事実として与えられている。
  だから、
   「ω日本国民(ωPerfume ω広島県民)」
      ないし「ωPerfume (ω広島県民) 」



  は成り立っている。
  したがって、「 Perfume広島県民 」 と言ってよい。





【否定形】



・「A 含まれない B」「B 含まれない A」で、「AB」 「BA」の否定を表 す。 
  すなわち、 
   
A 含まれない B」「B 含まれない A」   ¬ (AB)      ¬(BA)
                ¬ ωB (ωA ¬ ωB(ωA
                 ωB (ωの元ではないA)     ωB (ωの元ではないA








【最大/最小の部分集合】



 ・Ωの最大の部分集合は、Ω。
 ・Ωの最小の部分集合は、φ。
  "the set S itself fulfills the difinition of a subset….
   … We the "largest" possible subset of S,namely,S itself.
   … At the other extreme,
     the "smallest" possible subset of Sis a set that contains no element at all.
   Such a set is called the nullset, or empty set,denoted by the symbol φ or { }".
    (Chiang 1984, p.13)

【部分集合の個数 〜 つくれる部分集合は幾つ? 】

・集合Aが「n個のから なる有限集合ならば集合Aの部分集合は、全部で、2n個つくれる。
・すべての「集合Aの部分集合」をとしてあつめた集合を、集合Aのベキ集合という。
・すべてでなくてもよいから、「集合Aの部分集合」をと してあつめた集合を、
      集合Aの部分集合系 (部分集合族)という。 

  (例) Perfumeの部分集合の個数
  ・Perfume { 大本, 西脇, 樫野 }  で、
   Perfumeは 「3個のからなる有限集合」。()
   ・ゆえに、Perfumeの部分集合は、全部で、23=8個つくれる。
  ・以下は、実際に、Perfumeの部分集合を、全部書き出したもの。
   ・Perfumeとしての活 動そのもの: { 大本, 西脇, 樫野 }   
   ・Perfumeの メンバーを組み合わせたサブユニットとして考えられるすべての活動:
    { 大本, 西脇 }, { 大本, 樫野 }, { 西脇, 樫野 } 
   ・Perfumeのメ ンバーのソロ活動として考えられるすべて:
    { 大本 }, { 西脇 },  { 樫野 }   
   ・無 人テクノポップユニットφ 
   確かに、Perfume の部分集合は、23=8個あることがわかる。










[関連事項]
 ※BA」の述語論理による表現    
 ※部分集合を一つ選ぶことは、特性関数・定義関数を使った数式で表現可能。
 ※性質:1/2 

[文献]
 ・竹内『集合とはなにか―はじめて学ぶ人のために』1章-「部分集合」(pp.49-51)
 ・松坂『集合・位相入門』1章§1-D(pp.6-11);
 ・『岩波数学辞典(第三版)』項目162A(pp428-429)
 ・中内『ろんりの練習帳p.134;
 ・中谷『論理』 5.3-A(p.119)
 ・彌永昌吉・彌永健一『集合と位相I』 問題1.9(pp.22-23)

 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブック[1変数関数編]』1.1.1(p.1)
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学』2;
 ・Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics,p.12; 
 ・DeLaFuente,Mathematical Methods and Models for Economists,I-1-1(p.3)
 ・久米『数理統計学p.1;
 ・クラメール『統計学の数学的方法』1.1(p.3)











 【包含関係の同値条件】


  ・ AB」「BA」は、「AcBc」「ABc= Ω」「AcB = φ」「BA =  φ」と互いに言い換え可。  [→詳細]
  ・ A含まれないB」「B含まれないA」は、「Ac含まれないBc」「ABc≠Ω」「AcB ≠ φ」「BA φ」と互いに言い換え可。  [→詳細]
  ・ A含まれないB」「B含まれないA」は、「Ac含まれないBc」「AcB≠Ω」「ABc ≠ φ」「AB φ」と互いに言い換え可。  [→詳細]

  ・ AB  BA   ABA  ABB      

          [AB  ABA : 中谷『論理』 5.3-B-(5.2.30)(p.123):証明付(p.124);中内『ろんりの練習帳』例3.1.20(p.141)証明付;]
          [AB  ABB : 中谷『論理』 5.3-B-(5.2.32)(p.124):証明略。練習問題4-1(2)(p.125):証明略;中内『ろんりの練習帳』例3.1.20(p.141)証明付  ]  













等しい
equal


・「A=B」(集合Aと集合Bとは等しい)で、
  集合Aに属す元elementはすべて集合Bに属し
  集合Bに属す元 elementはすべて集合Aに属す
  ということ
   xΩ xA xB
 を表す。

・つまり、
  「A=B」(集合Aと集合Bとは等しい)とは、
  BAかつBAであるということ。
  We have BA and BA if and only if A=B. 



       *  A=Bの一階述語論理による表現 







AB は、
  「A=B」の否定 
 を表す。









【文献】



 ・竹内『集合とはな にか―はじめて学ぶ人のために』1章立場の変換(p.30)
 ・中谷『論理』 5章命題関数と集合-5.1真理集合-一意性の公理(外延性の公理)(p.103)
 ・『岩波数学辞典(第三版)』項目162A(pp428-429);
 ・前原『記号論理入門』 第1章;§6(p.11
 ・中内『ろんりの練習帳p.134;
 ・松坂『集合・位相入門pp.6-11; 
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学』2;
 ・DeLaFuente,Mathematical Methods and Models for Economists,I-1-1(p.3)
 ・Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics,p.12; 
 ・クラメール『統計学の数学的方法』1.1(p.3)












真部分集合

proper subset


AB」「B A
  (集合Aは集合Bの真部分集合proper subset
  で、

  集合A,Bにおいて、
   集合Aに属す元elementはすべて集合Bに属すが、
   集合Bに属す元elementのすべてが集合Aに属すわけではない
  ということを表す。



          ・つまり、
            「AB」「 B A 」とは、ABAB ということ。





【記法の揺れ】



 複数のテキストを比較すると、
 「部分集合」「真部分集合」を表す記法について、
 若干の揺れが認められる。
   ・『昭和63年度用 高等学校数学I』啓林館: 部分集合 "⊇" ,"⊆" ⇔真部分集合 "⊂", "⊃"
   ・Chiang1984 部分集合 "⊂", "⊃" (S部分集合S自身も含むと明記)⇔真部分集合については記述なし。










交わる
intersect


・「集合A,B交わる
 「集合A,B互いに素でない」とは、

   《集合A,B共通部分》が空集合でない
    ABφ 

  ということ。[松坂『集合・位相入門p.14]

* どういうこと?
  → ビギナー向け「交わる」定義 [図解つき] 
* どういうタイプがあるの?
  → 「集合A,Bが交わる」の諸類型 
* (1)と互いに言い換え可能な表現は多数ある。


         → 「交わる」の同値条件一覧  





互いに素
disjoint


「集合A,B互いに素
「集合A,B交わらない」とは、
   《集合A,B共通部分》が空集合
      AB φ  
 ということ。[松坂『集合・位相入門p.14]

* どういうこと?
 → ビギナー向け「互いに素」定義 [図例つき]
* 英語表記は?
 → 「互いに素」定義 [英語表記つき]  
* (1)と互いに言い換え可能な表現は、
  「 ABc 」「 Ac B」など、多数ある。
    [活用例:外点定義の諸表現/境界点定義の諸表現]


          → 「互いに素」の同値条件一覧 
          → 「互いに素」の述語論理への還元 





【文献】



 ・『岩波数学辞典(第三版)』項目162B(p.429);
 ・竹内『集合とはなにか―はじめて学ぶ人のために』1章-「空集合」(pp.53-54):「互いに疎」
 ・中内『ろんりの練習帳』定義3.1.25(p.144)
 ・松坂『集合・位相入門』1章§2-B(p.14);1章§2問題2(p.21):解答なし
 ・松坂『解析入門3』12.1-c(p.7)
 ・黒崎達『集合論演習』1章W補充雑題(2) (p.26)
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブック[1変数関数編]』1.1.2(p.1)
 ・DeLaFuente,Mathematical Methods and Models for Economists,I-1-1(p.5)
         "Two sets A and B are disjoint if they have no elements in common."





[トピック一覧:集合の基本概念−定義と記号]
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5.直積






(a,b)
順序対
ordered pair

・集合Aからa, 集合Bからbを とって、
 順序をつけたとしたもの。

* 順序で区別するので、



          ab ならば、(a,b)と(b,a)は別物。
           (a,b)=(c,d) ac かつ bd 






(a1,a2,,an)

nペア、nn-tuple
 ・集合A1か らa1, 集合A2からa2,…,集合Anか らanを とって、
   順序をつけた組としたもの。


             ・順序対( , )を用いると、( (( (a1,a2),a3),…),an) で定義される。





* (a1,a2,…,an) =(a'1,a'2,…,a'n)   a1a'1かつa2a'2かつかつana'n 

* 活用例:n次元数ベクトル

【文献】

  『岩波数学辞典(第三版)』 項目162(p.429);松坂『集合・位相入門』1章§5D(p.46);斉藤『集合・数・位相』1.1.11 定義(p.6)。




 








【文献】 

 『岩波数学辞典(第三版)』項目162(p.429);松坂『集合・位相入門』1章§3A(p.22);高橋『経済学とファイナンスのための数学』3.彌永『集合と位相I』§2.2順序対、直積、対応、写像(pp.31-2);薩摩『確率・統計p.6











{a,b}
  集合Aからa, 集合Bからbをとって、順序をつけないとしたもの。


 非順序対         * ab でも、{a,b}と{b,a}は同一扱い。
 unordered pair    





【文献】
  『岩波数学辞典(第三版)』項目162(p.429)









A×B
 直積
 direct product
 Cartesian product
・《集合Aa と《集合Bのb順序対を全部あつめた集合
   { (a,b) | aA かつ bB }   
  のこと。
         * どういうこと?→詳細 


 ("A cross B"と読む)  * A×A は、A2 と略記される。[→略記法] 




* どの本に載ってるの?→【文献】

* 性質は?→直積の元の個数/直積と空集合/直積の包含関係/直積と∪/直積と∩ 
* 何に使うの?→二項述語の議論領域/二項述語の真理集合/R2




   




(標準的)
 射影
   projection

(標準的)射影projectionとは、
   「(A×B)の」から「A」へ対応させる写像
  ないし、
   「(A×B)の」から「B」へ対応させる写像
   のこと。










【文献】
 ・『岩波数学辞典(第三版)』項目162E(p.431);


 ・松坂『集合・位相入門』1章§5D(p.48);
 ・彌永『集合と位相I』§2.2順序対、直積、対応、写像(pp.33-4);




 



A1×A2××An 

[文献]

 ・『岩波数学辞典(第三版)』項目162(p.429);
 ・松坂『集合・位相入門』1章§5D(p.46);
 ・斉藤『集合・数・位相』1.1.11定義(p.6)。

名称

 A1,A2,…,Anの「直積」「積空間」「直積集合

意味

・「集合Aと集合B直積」とは、
  以下の手順でつくった集合のことをいう。
   [step1] 集合A1からa1,集合A2からa2,…,集合Anからanをとって、
       この順番で並べたnをつくる。
       このn(a1,a2,…,an) で表す。 
   [step2] 集合A1からどのをとるのか、
       集合A2からどのをとるのか、
       :
       集合Anからどのをとるのかによって、
       (a1,a2,…,an)は様々。 
       この様々な(a1,a2,…,an)を全て集めて集合をつくる。  
   [step3]  この様々な(a1,a2,…,an)を全て集めた集合が、
        A1,A2,…,Anの「直積」 
          。
・すなわち、
  A1×A2××An
    
{ (a1,a2,…,an) | a1A1 かつ a2A2 かつかつ anAn }

活用例

 距離空間の台としての実数体のn個の直積RnK上のn次元数ベクトル空間の台としての体Kのn個の直積Kn  



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6.その他 関連用語。

・集合系・集合族 (family of sets) :すべてのが集合である集合。集合の集合。→詳細
・ベキ集合 (Power set, Potenzmenge):集合Xの部分集合の全体からなる集合。→詳細
・集合関数(set function)、実数値集合(real valued set)関数、集合値関数 →詳細


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reference

日本数学会編集『岩波数学事典(第三版)』 岩波書店、1985年。項目162A(pp428-429), 163 (p.432)
中内伸光『数学の基礎体力をつけるためのろんりの練習帳』共立出版株式会社、2002年、第3章集合と写像、3.1集合。
松坂和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968年、pp.1-11。
黒崎達(いたる)『集合論演習』槙書店、1975年1章。
彌永昌吉・彌永健一『岩波講座基礎数学:集合と位相I・II』 岩波書店、1977年。
斉藤正彦『数学の基礎:集合・数・位相』東大出版会、2002年、第1章§1集合。     
Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics:Third Edition, McGraw Hill,1984. pp. 11-15,18-20,757.
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年。 pp.1-4.
矢野・田代『社会科学者のための基礎数学:改訂版』裳華房、1993年.一四〇頁。(直積について)
吉田・栗田・戸田『昭和63年度用 高等学校数学I』啓林館、1987年、pp.44-49, 62, 。
薩摩順吉『理工系の数学入門コース7 確率・統計』岩波書店、1989年、p.6。
吉田耕作・栗田稔・戸田宏『平成元年3/31文部省検定済高等学校数学科用 高等学校 確率・統計 新訂版』啓林館.p.10
佐藤坦『はじめての確率論 測度から確率へ』共立出版、1994。


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