距離空間 (Rn, d): トピック一覧  

 A. Rn/空間//距離・距離空間(Rn,d)/n次元ユーク リッド距離/n次元ユークリッド空間 
 B. Rnにおけるε近傍/除外ε近傍
 C. 点集合/内点/外点/境界点/内部・開核/外部/境界/閉包/集積点/孤立点/開集合/閉集合
   区間/開区間/閉区間・閉矩形/直径/有界な集合連結/弧状連 結/連結・弧状連結・折線の関係/凸集合/領域/閉領域
 ※関連ページ:距離空間(Rn,d) 上の開集合の性質距離空間(Rn,d) と位相空間 
 ※関連ページ:距離空間のイントロダクション距離空間(R1,d)、距離空 間(R2,d)、距離 空間一般位相空間 
 ※参考文献総目次 

定義:Rn, n次元空間, 点 

Rn

実数n個並べた組 (x1,x2,…,xn) を全部あつめた集合、すなわち、「実数全体の集合R」 のそれ自身へのn回の直積
   R×R××R={ (x1,x2,…,xn) | x1R かつ x2Rかつかつ xnR }
のことを、Rnで表す。
 Rnは、n次元数ベクトルをすべて集めた集合でもあ る。
  したがって、Rnベクトルの加法スカラー乗法を定義して、n次元数ベクトル空間と できる。

[文献]

 ・小平『解析入門I』§1.6-g(p.72);
 ・杉浦『解析入門I』p.33;
 ・松坂『集合・位相入門』4章§ 1A(pp.137-8);
 ・笠原『微分積分学』1.3(p.16)。

n次元

空間

集合Rnのことを、n次元空間と 呼ぶ。   Cf. 平面R2 
 n次元空間Rnベクトルの加法スカラー乗法を定義したものが、n次元数ベクトル空間
 Rnベクトルの加法スカラー乗法を定義せず、Rnn次元数ベクトル空間と して扱っていないときでも、
  Rnn次元「空間」と呼ぶことがある。

[文献]

 ・小平『解析入門I』§1.6-g(p.72);
 ・杉浦『解析入門I』p.33.

n次元空間Rn要素、すなわち、(x1,x2,…,xn)Rnの ことを、n次元空間Rnと 呼ぶ。
 n次元空間Rnの 点は、n次元数ベクトルでもあ る。

[文献]

 ・小平『解析入門I』p.72;
 ・杉浦『解析入門I』p.33.


→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
総目次
 

 定義:Rnにおける距離・距離空間

定義

P,Q,R Rnとして、
 以下の4要件を満たす(ならば、どんな)非負実数値関数d: Rn×RnR+(で あれ、それ)を、 


 Rn上 の距離関数metric,distanced(P,Q)を点P,Q間の距離と 呼ぶ。 
 (i) 正値性: 任意のP,QRnに対して、d(P,Q)≧0
 (ii)    任意のP,QRnに対して、d(P,Q)= 0P=Q  
        つまり、P=Qのときd(P,Q)=0、
         また、d(P,Q)=0になるのは、P=Qのときだけ。
 (iii) 対称性: 任意のP,QRnに対して、d(P,Q)=d(Q,P)       
 (iv) 三角不等式 triangle inequality:
       任意のP,Q,RRnに対して、d(P,R)d(P,Q)d(Q,R)
       つまり、
       Q経由でPからRまで測った値は直接PRを測った値以上。
 距離dが定義された集合Rnを「距離空間」 とよび、
       距離空間(Rn,d)
 と書く。  
 このことを、
 「Rn距 離distanceまたは計量metricがあたえられた」という。

[文献]

 ・小平『解析入門I』§1.6-g(p.72);
 ・ 矢野『距離空間と位相構造』1.1.1例 1.3 (pp.3-5);
 ・志賀『位相への30講』第11講 (pp.78-80;82);
 ・松坂『集合・位相入門』4章§ 1A(p.138);6章§1A例1;
 ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』 第3章§4数空間Rn(pp.84-93);4.5.6(p.127);
 ・西村『経済数学早わかり』1.4 距離空間(p. 280);
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』pp.120-1;135;
 ・佐久間『集合・位相』3.3距離 空間と完備性(pp.56-8)
 ・彌永『集合と位相』pp.135-6;141;

ベクトル
表現

Rnを、ベクトルの加法スカラー乗法が定義された実n次元数ベクトル空間として扱っている 場合は、 
 次の手順で、Rn距 離dを定義して、距離空間(Rn,d)を 構成するのが普通。
 手順1:n次元数ベクトル 空間Rn内積〈 , 〉を定義して、計 量実ベクトル空間とする。 
 手順2:計 量実ベクトル空間Rn内積により定まるノルム‖‖ を定義したノルム空間Rn, ‖‖ )を構成。
 手順3:任意のn次元数ベクトルx,yに 対し、
      xと「y逆ベクトル」の内積により定まるノルム d(x,y)=xy
     は、Rnにおけるx,y間 の距離の定義を満たす。
     そこで、このノ ルムから定めた距離dRnに定義して、距 離空間(Rn,d)を構成する

活用例

ε近傍の定義/有 界な集合/直径/点 列の極限の定義/関 数の極限の定義/関 数の連続性の定義  

Cf.

距離空間のイントロダクション/距離空間一般/距離空間(R,d)/距離空間(R2,d)/位相空間


→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
総目次
 

Rnにおける距離の例 

 n次元空間RnP(p1,p2,…,pn), Q(q1,q2,…,qn)にたいして、以下の距離 d(P,Q)の諸タイプをとると、
 d距離の公準を満たし、(Rn,d)は距離空間となる。

(type1)


n次元 ユークリッド距離: d(P, Q) =

(p1q1)2 +(p2q2)2 +…+(pnqn)2    
距離dを、n次元ユークリッド距離とした距離空間 (Rn,d)をn次元ユークリッド空間という。
n次元ユークリッド空間が距離の公準を満たすことの証明→志賀『位相への30講』第11講(pp.79-80); 斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』3.4.2 (pp.85-6);

 

Rnベクトルの加法スカラー乗法自然な内積(標準内積)ユークリッドノルム‖‖が定義されており、
 Rnn次元数ベクトル空間計量実ベクトル空間ノルム空間として扱える場合、
 任意の実n次元数ベクトルx,yRnのユークリッド距離d(x,y)は、
   xと「y逆ベクトル」のユークリッドノルム xy 
 と簡潔に表せる。     [→笠原『微分積分学』1.3(p.16)。]

(type2)

 「マンハッタン距離」「変分ノルムから導かれる距離」
    d1(P,Q)=|p1q1|+|p2q2|+…+|pnqn| 
 

(type3)

 d(P,Q)=sup{|p1q1|,|p2q2|,…,|pnqn|}      [→矢野『距離空間と位相構造』]  

(type4)

 d(P,Q)=max{|p1q1|,|p2q2|,…,|pnqn|}   [→松坂『集合・位相入門』;志賀『位相への30講』]

(type5)


dr(P, Q)= 
r
(p1q1)r +(p2q2)r+…+(pnqn)r   [→志賀『位相への30講p.81]
  
 cf. R2における距離の例/


→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
総目次
 

 定義:n次元ユークリッド空間 n-dimensional Euclidean Space 

定義

n次元ユークリッド空間とは、
 距 離ユークリッド距 離で定義した距離空間 (Rn,d)のこと。

 

[文献]

 ・志賀『位相への30講』第11講(p.79);

[関連項目]
 ・具体化:2次元ユークリッド空間 

ベクトル

表現

Rnベクトルの加法スカラー乗法が定義されたn次元数ベクトル空間として扱っている場合、 
  n次元ユークリッド空間は、
  n次元数ベクトル空間Rnに、
  次のように、内積ノルム距離を定めた距離空間 (Rn,d)として
  定義される。
 手順1:n次元数ベクトル空間Rn自然な内積(標準内積)を定義して、計量実ベクトル空間とする。 
 手順2:計量実ベクトル空間Rnに、ユークリッドノルム‖‖を定義したノルム空間Rn, ‖‖ ) を設定。
 手順3:任意の実n次元数ベクトルx,yに対し、
     xと「y逆ベクトル」のユークリッドノルム
       d(x,y)=xy  
     は、Rnにおけるx,y間の距離の定義を満たす。
     そこで、このユークリッドノルムから定めた距離dRnに定義して、
     距離空間 (Rn,d)を設定する。
     このユークリッドノルムから定めた距離dユー クリッド距離と呼び、
     この距離空間 (Rn,d)をn次元ユークリッド空間と呼ぶ。
→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
総目次
 

定義:Rnにおける点Pのε近傍ε-neighborhood・開球 Uε(P) 

定義

RnにおけるPのε近傍とは、
 Pか らの距離がε以下となる「Rn上の点」をす べてあつめた集合。
 すなわち、Uε(P)={ QRn | d(P,Q)<ε } 
        ※半径εは正ならばどんなに小さくてもよい。

[文献]

小平『解析入門I』§1.6-g(p.72);
笠原『微分積分学』1.3(p.17).
杉浦『解析入門I』p.50.
黒田『微分積分学』8.1.4(p.271);
矢野『距離空間と位相構造』1.3.1(pp.37-9;40);
志賀『位相への30講』第11講(pp.80-81);
松坂『集合・位相入門』4章§1B(p.140);6章§1B(p.237);
斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』3.4.3 (p.86);4.5.2(p.125) ;
佐久間『集合・位相』3.4開集合と閉集合(p.61);
西村『経済数学早わかり』2.2 (p.281);
神谷浦井『経済学のための数学入門』p. 136;143;

 

・ε近傍は、距離をどう定義するかによって、かたちが変容する。
[彌永『集合と位相p.141; 志賀『位相への30講p.15;矢野『距離空間と位相構造』例1.34(pp.38-9)]

類型1

ユークリッド距離距離とした場合(つ まりユークリッド空間において)、
P=(p1,p2,…,pn)のε近傍Uε(P)は、
P中 心、半径正数εの球体の内部の全体からなる集合となる。
 つまり、P=(p1,p2,…,pn)とすると、 

Uε(P) ={ (q1,q2,…,qn) |
(q1p1)2 +(q2p2)2 +…+(qnpn)2    <ε }

Rnに、ベクトルの加法スカラー乗法自然な内積(標準内積)ユークリッドノルム‖‖が定義されており、
 Rnを、n次元数ベクトル空間計量実ベクトル空間ノルム空間として、扱える場合、
 ユークリッド空間におけるPのε近傍は、
 ユークリッドノルム‖‖を用いて、    
       Uε(P)={ QRn | QP<ε }
 とも表せる。
 ただし、P,Qは、Rn上の―すなわちn次元数ベクトル―を表すとする。

類型2

P(p1,p2,…,pn), Q(q1,q2,…,qn)にたいして、
  d1(P,Q)=|p1q1|+|p2q2|+…+|pnqn| 
距離と 定義した場合、
P(p1,p2,…,pn)のε近傍Uε(P)は
  Uε(P)={ (q1,q2,…,qn) | |q1p1|+|q2p2|+…+|qnpn|} 

類型3

P(p1,p2,…,pn), Q(q1,q2,…,qn)にたいして、
  d(P,Q)=max{|p1q1|,|p2q2|,…,|pnqn|}
距離と定義した場合、
P(p1,p2,…,pn)のε近傍Uε(P)は、
  Uε(P)={ (q1,q2,…,qn) | max{|p1q1|,|p2q2|,…,|pnqn|} <ε } 

活用例

内点境界点開集合の定義。集積点の定義。
点列の極限の定義関数の極限の定義関数の連続性の定義

cf.

距離空間一般におけるε近傍定義Rにおけるε近傍R2における ε近傍 

→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
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定義:Rnにおける点Pの除外ε近傍 a deleted ε-neighborhood of P    U*ε(P) 

定義

 点Pε近傍から、点Pを除外したもの。
   U*ε(P)={ QRn |0<d(P,Q)<ε }   
      ※半径εは正ならばどんなに小さくてもよい。 

[文献]

・杉浦『解析入門I』§4(p.113);

活用例

関数の極限の定義 

cf.

距離空間一般における除外ε近傍定義/Rにおける除外ε近傍/R2における除外ε近傍

→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
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定義:Rnにおける点集合

定義

Rnにおける点集合」とは、Rn上のの集合のこと。
つまり、「Rnにおける点集合」は、Rn部分集合である。(点集合SRn

関連

数直線Rにおける点集合についての諸概念平面R2における点集合についての諸概念
   距離空間一般における点集合についての諸概念
→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
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定義:Rnにおける点集合の内点inner point

定義

・εの値を加減して、 様々な大きさの「Pのε近傍Uε(P)」をつくる。
 そのなかに、
 点集合Eにすっぽり含まれるよ うなUε(P)が、「ひとつでも」つくれれば、
 Pは点集合Eの内点であるという。 
 すなわち、
 Pが点集合Eの 内点「あ る」Uε(P)に対して、Uε(P)E 
          「ある」ε>0に対して、Uε(P)E  
 

[文献]

 ・小平『解析入門I』§1.6-g(p.72);
 ・松坂『集合・位相入門』4章§1B(p.141);
 ・杉浦『解析入門I』p.66;
 ・黒田『微分積分学』8.1.4(p.271);

関連

Rに おける内点/R2における内点/距離空間一般における内点 

活用例

内部の 定義/開集合の定義

→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
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定義:Rnにおける点集合の外点exterior point 


定義

εの値を加減して、様々な大きさのPのε近傍Uε(P)をつくる。
そのなかに、点集合Eと共有点を持たないUε(P)が「ひとつでも」つくれれば、
Pは点集合Eの外点であるという。
すなわち、
Pが点集合Eの外点「ある」Uε(P)に対して、Uε(P)E=φ
          「ある」ε>0に対して、Uε(P)E=φ  

 

[文献]
松坂『
集合・位相入門4章§1B(p.141);
黒田『微分積分学8.1.4(p.271);

関連

Rにおける外点R2における外点距離空間一般における外点

活用例

外部の定義

→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
総目次

定義:Rnにおける点集合の境界点boundary point  

定義

点集合E内点でも外点でもないを「点集合E境界点」という。
Pが「点集合E境界点」であるための必要十分条件は、
どんな風にεをとっても、Pの「すべての」ε近傍Uε(P)が、
E属す点もE属さない含むこと。   
すなわち、
P点集合E境界点
  Pの「任意」のUε(P)に対して、  
         Uε(P)右の部分集合ではないE,Uε(P)E≠φ 
  Pの「任意」のUε(P)に対して、 
     Uε(P)EφかつUε(P)Ecφ  
 

[文献]

小平『解析入門I』§1.6-g(p.72);
松坂『集合・位相入門』4章§1B(p.141);
黒田『微分積分学』8.1.4(p.271);

関連

Rにおける境界点R2における境界点距離空間一般における境界点

活用例

境界の定義閉包の定義閉集合の定義開集合の定義。

→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
総目次

定義:Rnにおける点集合の内部interior開核open kernel

定義

点集合E内点全体からなる集合をE内部と呼ぶ。
 記号:Int EEintE 
[文献]
松坂『集合・位相入門』4章§1B(p.141); ;杉浦『解析入門I』p.66;
黒田『微分積分学』8.1.4(p.272);

関連

Rに おける内部R2における内部距離空間一般における内部
位相空間一般における開核
→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
総目次

定 義:Rnにおける点集合の外部exterior 

定義

点集合E外点全体からなる集合をE外部と呼ぶ。
 記号:
Ext EEext 

[文献]
松坂『
集合・位相入門4章§1B(p.141);
黒田『微分積分学8.1.4(p.272);

関連

Rに おける外部距離空間一般における外部

→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
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定 義:Rnにおける点集合の境界boundary

定義

点集合E境界点全体からなる集合E境界と呼ぶ。
 記号:
Bd E       

[文献]
松坂『
集合・位相入門4章§1B(p.141);
黒田『微分積分学8.1.4(p.272);

関連

Rに おける境界R2における境界距離空間一般における境界 

→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
総目次

定 義:Rnにおける点集合の閉包closure

定義

点集合Eと、点集合E境界合併集合

[文献]
小平『
解析入門I』§1.6-g(p.72);
松坂『集合・位相入門4章§1B(p.143);

関連

R/R2/距離空間一般/位相空間一般における閉包

→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
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定義:集積点 accumulating point

定義

どんな風にεをとっ ても、Pの 「すべての」ε近傍Uε(P)が、
点集合Eの点を無限個含むとき、
すなわち、
Uε(P)E無限集合と なるとき、
Pを 「点集合E集積点」という。 

[文献]
能代『
極限論と集合論72集積点(p.128):Rn上。
高橋『
経済学とファイナンスのための数学5.1(p.143)
布川谷野中山『
線形代数と凸解析』定義6.6(p.121)

関連

 

活用例

 

→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
総目次

定義:孤立点isolated point

定義

点集合E属すP点集合E集積点でないとき、
Pを 「点集合Eの 孤立点」という。

 

[文献]
能代『
極限論と集合論72集積点(p.128):Rn上。

関連

 

活用例

 

→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
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定 義:開集合open set 

はじめに

読むべき定義

点集合E境界点はどれも点集合E属さず、
点集合Eに属す点 が全て点 集合E内点で あるとき、 
点集合E開集合であるという。

 


[文献]
松坂『集合・位相入門』4章§1D(p.144);第6章B(p.237) ;
黒田『微分積分学』定義8.3(p.272);
矢野『距離空間と位相構造』1.3.2(p.40);
志賀『位相への30講』第13講(pp.95-6);
斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』3.4.8(p.87);4.5.3(p.126) ;
西村『経済数学早わかり』2.2 (p.281)
佐久間『集合・位相』3.4開集合と閉集合(p.61);
神谷浦井『経済学のための数学入門』142-4;
杉浦『解析入門I』p.66;
能代『極限論と集合論』7章3開集合と閉集合(pp.130-139):Rn上。非常に詳しい。;
加古『自然科学の基礎としての微積分』6.1a(p.90);

厳密な

定義

(Rn,d)距離空間E Rn部分集合と する。    
E距離空間(Rn,d)開集合 
   
PEに対してPE内点 
   
(PE) (Uε(P) ) ( Uε(P)E )  (内点の定義) 

開集合の例:
 ・
Rn上の開区間  
 ・
空集合φ なぜ?→理由
 ・
Rn全体  なぜ?→理由  
  ※
空集合φ、Rn全体は、開集合閉集合の両方に該当。
開集合ではない例:
 ・
Rn上の閉区間 

関連

Rに おける開集合R2における開集合距離空間一般における開集合

性質

距離空間(Rn,d)上 の開集合の性質距 離空間(Rn,d)上の開集合と位相

 

   
→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
総目次

定 義:閉集合closed set 

はじめに
読むべき定義

点集合E境界点はすべてE属すと き、
点集合E閉集合であるという。

[文献]
志賀『位相への30講』第13講(pp.95-6);
松坂『集合・位相入門』4章§1D(p.144);
杉浦『解析入門I』p.66;
黒田『微分積分学』定義8.4(p.273);
斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』3.4.11(p.88);
佐久間『集合・位相』3.4開集合と閉集合(p.62) 
西村『経済数学早わかり』2.3(p.286);
神谷浦井『経済学のための数学入門』145;
能代『極限論と集合論』7章3開集合と閉集合(pp.130-139):Rn上。非常に詳しい。

厳密な
定義

任意の開集合補集合を 閉集合という。

閉集合の例: 
Rn上の閉区間 
空集合φ[小平『解析入門Ip.59;松坂『集合・位相入門p.146
Rn全体 [小 平『解析入門Ip.59;松坂『集合・位相入門p.146]   
  ※
空集合φ、Rn全体は、開集合閉集合の両方に該当。   
閉集合ではない例:
Rn上の開区間   

関連

Rに おける閉集合R2における閉集合距離空間一般における閉集合位相空間における閉集合

性質

   
→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
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定義:Rn上の区間

定義

R上 の区間 I1 , I2 ,, In直積 I1×I2××In ={ ( x1,x2,,xn ) | x1I1か つx2I2か つか つxn In }を、
Rn上の区 間という。


関連

R上 の区間R2における区間

下位概念

開区間閉区間

→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
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定義:Rn上の開区間 

定義

I1 , I2 ,, InR上 の開区間(a1,b1), (a2,b2),, (an,bn)とする。
I1 , I2 ,, In直積
 
I1×I2××In={ ( x1,x2,,xn ) | x1I1か つx2I2か つか つxnIn }
       
={ ( x1,x2,,xn ) | a1< x1<b1か つ a2< x2< b2 か つか つ an<xn<bn }
を、
Rn上の開 区間という。 

 


[文献]
松坂『集合・位相入門』第4章§1D(p.144)
黒田『微分積分学』例8.4(p.274);

関連

R上 の開区間R2における 開区間 

性質

Rn上の開区間は、開集合である。 

上位概念

Rn上の区間 

 
→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
総目次

定義:Rn上の閉区間 

定義

I1 , I2 ,, InR上 の閉区間 [a1,b1], [a2,b2],, [an,bn]とする。
I1 , I2 ,, In直積 
 
I1×I2××In={ ( x1,x2,,xn ) | x1I1か つx2I2か つか つxnIn }
     
={ ( x1,x2,,xn ) | a1x1b1か つ a2x2b2 か つか つ anxnbn }
を、
Rn上の閉 区間という。

 


[文献]
松坂『集合・位相入門』第4章§1D(p.144);
黒田『微分積分学』例8.4(p.274);
LangUndergraduate Analysis468

関連

R上 の閉区間R2上の閉区 間 

性質

Rn上の閉区間は、閉集合で ある。 

上位概念

Rn上の区間   
→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
総目次

定 義:直径diameter 

定義

距離空間(Rn,d)部分集合Eに対して、sup{d(P,Q)|P,QE}E直径という。

[文献]
岩波数学辞典(第三版)』項目92距離空間B(p.254)

関連

Rに おける区間の長さR2における直径距離空間一般における直径

→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
総目次

定義:「有界bounded」な集合

定義

距離空間(Rn,d)部分集合E直径上に有界であるとき、
 
部分集合E有界boundedであるという。
あるいは、     
・〈
点集 合E属す任意のP〉 と〈原点O〉との距離d(P,O)上に有界であるとき、
 
点集合E有界boundedであるという。     
 
点集合Eが 有界  PS に対して、d (P,O)上に有界 ,   
            
[小平『解析入門Ip.61.] 
ところが、実のところは、 
Rmの部分集合Bは、
 ある点
bを中心とする十分大きなM>0を半径とする開球U(b,M)
 含まれるとき有界であるという。
 ここで
bを特定の点たとえば原点Oとしてもよい。[杉 浦『解析入門Ip.55]」 
ということで、上のどちらでもよい。 

[文献]
斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』3.4.8(p.87);
西村『経済数学早わかり』3.3 (p.301);
岩波数学辞典(第三版)』92距離空間(pp.253-256)
加古『自然科学の基礎としての微積分』6.1a(p.90);

関連

Rに おける有界な集合R2における 有界な集合距離空間一般における有界な集合

活用例

有界なベクトル値関数の定義

→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
総目次

 Rnにおける連結connected 


定義

・「Rnにおける開集合U連結connectedである」とは、
  
Rnにおける開集合U
  2つの「
でない開集合」 の直和として表せないことをいう。 
 つまり、
 「
Rnにおける開集合U連結connectedである」とは、
  
Rnにおける開集合U
  「共通点をもたない二つの
でな い開集合合併集合
  と
ならないこと、
  すなわち、
U=VWVW=φ (V,Wでな い開集合)  とならないこと、
 をいう。
・「
Rnにおける閉集合U連結connectedである」とは、
  
Rnにおける閉集合U
  2つの「
でない閉集合」 の直和として表せないことをいう。 
 つまり、
 「
Rnにおける閉集合U連結connectedである」とは、
  
Rnにおける閉集合U
  「共通点をもたない二つの
でな い閉集合合併集合
  と
ならないこと、
  すなわち、
U=VWVW=φ (V,Wでな い閉集合)  とならないこと、
 をいう。
[文献]
小平『解析入門I』§6.1(pp.255-6);
杉浦『解析入門I』定義2(pp..75-76);
吹田・新保『理工系の微分積分学』p.161.

性質

開集合についてならば、弧状連結と同 値

活用

領域の定義 

下位

類型

凸集合  

関連

R2における連結  
→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
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Rnにおける弧状連結arcwise connected

はじめに

読むべき

定義

点集合S弧状連結である」とは、
点集合S属す任意の2P,Qに 対し、
  
PQを結ぶ様々な曲線の引き方のなかで、
  曲線がまるごと
点集合S含まれる引 き方が
  少なくとも一通りは存在することをいう。

[文献]
杉浦『解析入門I』定義2(p.76);
吹田・新保『理工系の微分積分学』p.161.
黒田『微分積分学』定義8.4(p.272)
笠原『微分積分学』5.1(p.153);

厳密な

定義

杉浦『解析入門I』定義2(p.76)を参照。

性質

開集合についてならば連結と同値

活用

領域の定義 

下位類型

凸集合

 

関連

R2における 弧状連結

 

 

   
→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
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定理:連結、弧状連結、折線 

 

次の三つの命題は同値
命題
1:開集合S連結である」
命題
2:開集合S弧状連 結である」
命題
3:開集合S属す任意の2P,Qを、S内 にある折線で結ぶことが出来る」
Sが 開集合でない場合、
 命題
2命題1は 成り立つが、命題1命題2は 成り立たない。
     
[斉藤『数学の基礎:集合・数・位相5.3.19-20(pp.165-6)] 

[文献]
杉浦
解析入門I』定理8.2(p.77);
小平『解析入門II』§6.1(pp.256-7)
斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』5.3.17-21(pp.165-6)

証明

・  杉浦『解析入門I』定理8.2(p.77)参照。
・「命題
1命題3」 の証明:
       小平『
解析入門II』§6.1(p.257);杉浦『解析入門I』定理8.2(p.77)
・「命題2命題1」の証明:杉浦『解析入門I』定理8.2(p.77)  
・「命題
3命題2」 の証明:杉浦『解析入門I』定理8.2(p.77)  
・「命題
3命題1」 の証明:小平『解析入門II』§6.1(p.256)
  

関連

R2におけるケース

 
→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
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Rnにおける凸集合convex set 


定義

点集合S凸集合である」とは、
点集合S属す任意の2P,Qに 対し,
線分
PQ点集合S含むこ とをいう。

[文献]
布川谷野中山『線形代数と凸解析』定義6.9(p.125)
杉浦『解析入門I』pp..75-76;
高橋『経済学とファイナンスのための数学』p.67;
奥野鈴村『ミクロ経済学』pp.265-266.

性質

凸集合は、弧状連 結な集合の一例。
したがって(
)、
凸集合は、
開集合ならば、連結な集合の一例。

関連

R2における凸集合

 

   
→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
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 Rnにおける領域domain,region

定義

領域とは、連結な開集合のこと。

[文献]
小平『解析入門II』pp.257;
杉浦『解析入門I』I§8定義1(p.76);
黒田『微分積分学』定義8.4(p.273)
吹田・新保『理工系の微分積分学』p.161.
笠原『微分積分学』5.1(p.153);

「内部の点だけを含 む領域を開領域という」
としている本
(和達『微分積分p. 113)もある。

関連

Rにおける領域

→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
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Rnにおける閉領域

定義

閉領域とは、領域閉包のこと。
つまり「
境界を全て入れた領域(和 達『微分積分p. 113)」のこと。 

 
記号: 
D


[文献]
小平『解析入門II』p.257;
吹田・新保『理工系の微分積分学』p.161.
和達『微分積分』p. 113

性質

閉領域は閉集合

関連

R2における閉領域

→[トピック一覧: 距離空間(Rn,d)]
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reference
[解析学の文献]
高木貞二『解析概論改訂第三版』岩波書店、1983年、p.14-17.
小平邦彦『解析入門I』 (軽装版)岩波書店、2003年、pp. 13; 21;36; 46;53-65; 73.
杉浦光夫『解析入門I』岩波書店、1980年、pp.33-48;55;66-7;70;.75-79;
笠原皓司『微分積分学』サイエンス社、1974年、1.3(pp.16-22)。
黒田『微分積分学』8.1n次元ユークリッド空間(pp.265-276)


[位相の文献]
彌永昌吉・彌永健一『岩波講座基礎数学: 集合と位相 I・II』 岩波書店、1977年, pp.135-171。
矢野公一『距離空間と位相構造』共立出版、1997年、第1章距離空間1.1節距離(pp.2-25)、1.3節位相(pp.37-52)。
松坂和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968年、第6章距離空間§1距離空間とその位相.A距離関数と距離空間(pp.234-6);B距離空間における位相の導入(pp.236-8);F部分距離空間と直積距離空間(pp.243-4)。
斉藤正彦『数学の基礎:集合・数・位相』東大出版会、2002年、第3章§4数空間Rn(pp.84-93);第四章§5距離空間(その1)4.5.1-4.5.10(pp.125-130)。
志賀浩二『位相への30講』朝倉書店、1988年、第11講:ε近傍と距離空間の例(pp.77-84); 第13講:開集合閉集合、第14講近傍閉包、
佐久間一浩『集合・位相―基礎から応用まで―』共立出版、2004年、第3章集合から位相空間へ3.3距離空間と完備性(pp.56-61)、3.4開集合と閉集合(pp.61-66) 。

[数理経済学の文献]
二階堂副包(ふくかね) 『現代経済学の数学的方法―位相数学による分析入門』岩波書店、1960年、§11Rnにおける収束(p.79)、§12二三の位相的概念(pp.79-89)。
西村和雄『経済数学早わかり』日本評論社、1982年、第6章位相数学§1位相空間とは1.4距離空間例1.5;例1.6ユークリッド空間(p. 280)。§2ユークリッド空間(pp.281-95)
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp. 120-123; 131-148.
奥野正寛、鈴村興太郎『ミクロ経済学I』岩波書店、1985年、pp.261-265.
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、p.5。

[そのほかの文献]
日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』項目92距離空間(pp.253-256)、項目409ユークリッド幾何学(pp.1225-1229)、項目410ユークリッド空間 (pp.1229-1230).
佐藤坦『はじめての確率論 測度から確率へ』共立出版、1994、pp172-186.

→[トピック一覧:距離空間(Rn,d)]
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