数学についてのwebノート ~ 解析学のビブリオグラフィー

解析学教科書 ─ 理論的厳密性追求タイトル一覧

高木貞治    『解析概論』   岩波書店、  昭和13年~。

昭和13年、日本数学界のゴッドファーザーが世に送り出した解析学国産テキストの古典。

【著者について】
高木貞治先生略年譜」(日本数学会)および『高木貞治 近代日本数学の父』参照。

【メモ】

・高校レベルの予備知識で、極限定義等の基本から、微積分等の応用、測度論等のハイレベルな議論まで進む。

・納得するまで理解したい人向け。定理を暗記して問題を解けば良いというタイプの人々には不向き。

・古いせいか、整理が行き届いておらず、ビジュアル的にはイマイチ。

・『解析概論』:学部初年度向け解析学国産テキストの古典。初版昭和13年。

・ここで参照したのは著者逝去直後の1961年発行の改訂第三版

・現在、書店で現在流通しているのは、2010年発行の『定本 解析概論』。

・改訂第三版以降は改訂者の著作権残存のためネット無料公開はグレイゾーン。[→wikisourceでの議論]

・電子化高木貞治著作→wikisource /青空文庫



小平邦彦    『解析入門I』  『解析入門II』(軽装版)   岩波書店、  2003年。

日本人初のフィールズ賞受賞者が初心者に向けて丁寧に語る解析学。

【著者について】
小平邦彦」(東大理学部) 、『ボクは算数しか出来なかった』および動画参照。

【メモ】

・高校では納得のいかない状態のまま暗記させる定義・定理を、きちんと定式化しなおすところから初めて、解析学を構築していくスタイルに快感。

・納得するまで理解したい人向け。定理を暗記して問題を解けば良いというタイプの人々には不向き。

・現代的な感覚。ビジュアル面での充実。



杉浦光夫    『解析入門I』  『解析入門II』   東京大学出版会、  1980年。

厳密かつ包括的。解析学国産教科書の頂点に立つ一冊。ただし、高校数学の知識だけだと、はじめのほうから理解不能。

【著者について】
1928年生まれ、東大理学部数学科卒。東大・津田塾大教授をつとめた。2008年逝去。

【メモ】

・「解析入門」とはいうけれど、高校数学修了して、すぐこの教科書に入門できるかというと、なかなか難しそうだ。

・たとえば、本書において関数は、《数ベクトルに数ベクトルを対応付けるもの》として、当たり前の様に、いきなり登場する。これによって、 僅かな紙 幅で、広範な射程を厳密かつ包括的に解説することに成功しているものの、《関数とは、実数に実数を対応付けるもの》と思い込んでいる大多数の凡庸な高校数 学修了者は、ここで眩暈を感じ、心折れてしまう。大学に入学したての普通の学生は、他のテキストで、1変数実数値関数→2変数実数値関数→n変数実数値関 数→ベクトル値関数→写像一般へと思考を伸ばしておいてから、本書に取り組むのが、無難。

・他にも、論理・集合の記号表現・思考パターンへの慣れ位相の諸概念のイメージ把握などの「準備体操」をしっかりやっておけば、撃沈を避けられるかも。

・凡庸な高校数学修了者は、小平笠原松坂等で解析に「入門」してから、本書に取り組むべき?

関数の極限の定義が一般的なテキストと異なっている点に注意。この定義は、片側極限等まで包括的に理解する上で有利。他方、初学者にとっては混乱のもと。



笠原皓司    『微分積分学』   サイエンス社、  1974年。

京都大学発《微積》テキストの名著。くどくなく、さくさく読めて、わかりやすい。

【著者について】
1932年生まれ、京大理学部数学科卒。京大教養学部教授をつとめた。

【メモ】

・京大教養学部で著者自身がおこなった微積分講義をもとに執筆したテキスト。

・高木『解析概論』/杉浦『解析入門』に匹敵する範囲・厳密さを誇るが、これら東大発解析テキストと比べて、くどくなく、さくさく読めて、わかりやすい。

・このあたりが、京大式?



松坂和夫    『解析入門1』   岩波書店、  1997年。

予備知識なしから、理詰めで、高木『解析概論』/杉浦『解析入門』まで登れる全6巻。時間と予算があるなら最善の選択。

【著者について】
1927年生まれ。東大数学科で学び、一橋大学教授をつとめた。

【メモ】

松坂『解析入門』第一巻で扱われるのは、

・1章数:自然数・整数・順序体・実数体・複素数体の定義・性質について。

・2章数列と級数:数列・級数の収束について。

・3章関数の極限・連続性:1変数実数値関数に限定して、極限・連続の定義と性質。中間値定理。最大値最小値定理など。

・4章微分法:1変数実数値関数に限定して、微分可能性・微分係数、導関数の定義と性質、極大点・極小点、ロルの定理、平均値定理、極値問題、凸関数、高次導関数、テイラー定理、など

・5章各種の初等関数:対数関数、指数関数、累乗関数、三角関数、複素数の幾何学的表現



松坂和夫    『解析入門2』   岩波書店、  1997年。

予備知識なしから、理詰めで、高木『解析概論』/杉浦『解析入門』まで登れる全6巻。時間と予算があるなら最善の選択。

【著者について】
1927年生まれ。東大数学科で学び、一橋大学教授をつとめた。

【メモ】

松坂『解析入門』第2巻で登場するのは、

・6章関数の近似、テイラーの定理:1変数実数値関数に限定して、テイラー展開とロピタルの定理。

・7章積分法,8章積分の計算:1変数実数値関数に限定して、リーマン積分について。

・9章関数列と関数級数

・10章n次元空間:ここで計量ベクトル空間が登場。



松坂和夫    『解析入門3』   岩波書店、  1997年。

予備知識なしから、理詰めで、高木『解析概論』/杉浦『解析入門』まで登れる全6巻。時間と予算があるなら最善の選択。

【著者について】
1927年生まれ。東大数学科で学び、一橋大学教授をつとめた。

【メモ】

松坂『解析入門』第3巻で登場するのは、

・11章集合論初歩:論理と集合について、初心者向け解説。

・12章距離空間の位相:距離空間と、そこでの位相概念について、初心者向け解説。

・13章連続写像の空間

・14章多変数の関数:多変数関数の微分と応用について。



松坂和夫    『解析入門4』   岩波書店、  1998年。

予備知識なしから、理詰めで、高木『解析概論』/杉浦『解析入門』まで登れる全6巻。時間と予算があるなら最善の選択。

【著者について】
1927年生まれ。東大数学科で学び、一橋大学教授をつとめた。

【メモ】

松坂『解析入門』第4巻で登場するのは、線形写像、行列式、逆写像定理と陰関数定理、固有値と2次形式、フーリエ展開



松坂和夫    『解析入門6』   岩波書店、  1998年。

予備知識なしから、理詰めで、高木『解析概論』/杉浦『解析入門』まで登れる全6巻。時間と予算があるなら最善の選択。

【著者について】
1927年生まれ。東大数学科で学び、一橋大学教授をつとめた。


Walter Rudin,    Principles of Mathematical Analysis ,   Mcgraw-Hill,   1953-1976.

英語圏で解析教科書の名著と言えば、この本。

【著者について】
1921年生まれ。1959年から1991年までウィスコンシン大学教授をつとめた。2010年逝去。[→詳細/講義動画]

【メモ】

・数列・関数の極限,関数の連続性の定義の特徴:一般の距離空間の上で定義。

・積分定義の特徴:リーマン積分とスチルチェス積分が同時に登場、スチルチェス積分を正面に据え、その特殊例としてのリーマン積分に触れつつ、解説。

・このノートで参照しているのは、原著第三版と、原著第二版の和訳。



ウォ-ルタ-・ルディン    『現代解析学』   共立出版、  1971年。

上掲書第2版の和訳。長らく入手困難な状態にあったが、2010年12月ついに復刻版登場!

【著者について】
1921年生まれ。1959年から1991年までウィスコンシン大学教授をつとめた。2010年逝去。[→詳細/講義動画]


小林昭七    『微分積分読本:1変数』   裳華房、  2000年。

高校の数学教科書に、続きがあったら、こんな感じ?

【著者について】
1932年生。東大数学科卒。カリフォルニア大学バークレー校教授。[→詳細]


小林昭七    『続 微分積分読本―多変数 』   裳華房、  2001年。

高校の数学教科書に、続きがあったら、こんな感じ?

【著者について】
1932年生。東大数学科卒。カリフォルニア大学バークレー校教授。[→詳細]


吹田信之、  新保経彦    『理工系の微分積分学』   学術図書出版社、  1987年。

冗長なところをばっさり切り落とし、簡潔さを追求した学部初年度向け解析テキスト。

【著者について】
吹田信之は、東京工業大学教授、北海道教育大学教授をつとめた数学者。2002年逝去。


黒田成俊    『21世紀の数学1:微分積分学』   共立出版株式会社、  2002年。

欄外で、盲点を突いた指摘乱発。ふつうの教科書を読んでも解決しなかった疑問が解決すること多々アリ。

【著者について】
1932年生まれ、東大理学部物理学科卒。東京大学/学習院大学名誉教授。

【メモ】

・《まえがき》によると、学習院大学での講義をもとに執筆したとのこと。

・他の代表的な教科書が指摘そびれた《初学者の誤解と理解を分かつポイント》を随所で提示。

・メインの教科書を読み進める際の注釈本として有用。



加藤十吉    『微分積分学原論』   培風館、  2002年。

【著者について】
プリンストン高等研究所研究員、都立大助教授、東大助教授、ボン大学数学研究所客員教授、トロント大学客員教授を経て、九州大学教授。


青本和彦    『微分と積分1』  (岩波講座現代数学への入門)   岩波書店、  1995年。

【著者について】
1939年生まれ、東大理学部数学科卒。名古屋大学教授。

【メモ】

・1995年、『岩波講座 現代数学への入門』の一冊として出版。

・その後、2003年に、単行本のシリーズ『現代数学への入門』の一冊として、新装リリース。



高橋陽一郎    『微分と積分2』  (岩波講座現代数学への入門)   岩波書店、  1995年。

【著者について】
1946年生まれ、東大理学部数学科卒。東京大学教授、京都大学数理解析研究所所長を歴任。2019年逝去

【メモ】

・1995年、『岩波講座 現代数学への入門』の一冊として出版。

・その後、2003年に、単行本のシリーズ『現代数学への入門』の一冊として、新装リリース。



赤攝也    『実数論講義』   SEG出版、  1996年。

実数の連続性公理」の言い換えを軸に解析学を再整理した労作。

【著者について】
1926年生まれ、東大出身で、立教大、東京教育大、放送大学の教授を歴任。

【メモ】

・単なる解析教程ではない。

・解析学に登場する重要定理のうち、実は「実数の連続性公理」の言い換えに過ぎないものを、次々に指摘していくことを軸に解析学を再整理。

・現在入手困難。



瀬山士郎    『「無限と連続の数学」-微分積分学の基礎理論案内』   東京図書、  2005年。

実数の連続性公理」が、解析学の重要諸定理に変容していく様を追跡。読みやすい。

【著者について】
1946年生まれ.東京教育大学理学部数学科で学び、群馬大学教育学部自然情報系数学専攻教授をつとめた。

【メモ】

赤の著作同様、「実数の連続性公理」が、解析学の重要諸定理に変容していく様を追跡。

・説明の仕方に、ある種の斬新さ。読みやすい。数学教員育成に長年携わってきた経験の反映?



志賀浩二    『解析入門30講』   朝倉書店、  1988年。

ビギナーには意外と難しい『30講』シリーズだけども、この巻は平易。

【著者について】
1930年生まれ。東工大名誉教授。


スピヴァック    『多変数の解析学』   東京図書、  1972年。

Michael Spivak,Calculus on Manifolds:A ModernApproach to ClassicalTheorems of advancedCalculusを斎藤正彦が翻訳。

【著者について】
1940年ニューヨーク生まれ、プリンストン大学Ph.D。


ブルバキ    『数学原論:実1変数関数』   東京図書、  1968年。

1変数ベクトル値関数にフォーカスした解析教程。



住友洸(たけし)    『大学一年生の微積分』   現代数学社、  1987年。

かゆいところに手が届く1冊。意外と。



片山孝次    『微分積分学』  (現代数学レクチャーズB-8)   、培風館、  1980年。

1932年生まれ。東大理学部数学科卒。理学博士。津田塾大学教授をつとめた。



Serge Lang,    Undergraduate Analysis  (UndergraduateTextsInMathematics),   Springer,  1983.

=AnalysisI,Addison-Wesley,1968.
=山中健・伊志嶺雅子・森河冨美子訳『ラング現代微積分学』ダイヤモンド社、1974.

【著者について】
1927年パリ生まれ。1951年プリンストンで博士号取得。 イェール大学教授をつとめた。ロングセラーとなる大学生向け数学教科書を多数出版。2005年逝去。[→訃報記事]


Serge Lang,    Real and Functional Analysis  (Graduate Texts in Mathematics),   Springer,  1993.

【著者について】
1927年パリ生まれ。1951年プリンストンで博士号取得。 イェール大学教授をつとめた。 ロングセラーとなる大学生向け数学教科書を多数出版。2005年逝去。[→訃報記事]


Emanuel Fischer,    Intermediate Real Analysis  (Undergraduate Texts in Mathematics),   Springer,  1983.

現在入手困難。よく出来た本だと思う。

【著者について】
奥付、まえがき等の記述によると、出版当時の勤務校は Adelphi University の Department of Mathematics、前任校は York University


Gabriel Klambauer,    Aspects Of Calculus  (Undergraduate Texts in Mathematics),   Springer,  1986.



Kenneth A. Ross,    Elementary Analysis : The Theory of Calculus  (Undergraduate Texts in Mathematics),   Springer,  1980.

一変数函数に限定して、微分・積分を厳密かつ理論的に議論してゆくテキスト。

【著者について】
オレゴン大学名誉教授。1995-96に Mathematical Association of America 会長をつとめた。(→詳細)


解析学 ─ 副読解説本・読み物… 

和達三樹    『微分積分』  (理工系の数学入門コース1)   岩波書店、  1988年。

直感的なわかりやすさを重視。初学段階ではイメージが湧いて助かる。でも、読めば読むほど、曖昧さが…。

【著者について】
東大教授・東京理科大学教授をつとめた物理学者。2011年逝去(→最終講義)。


森毅    『現代の古典解析―微積分基礎課程』   ちくま学芸文庫、  2006年。

1928年生まれ。東大数学科で学び、京都大学教授をつとめ、テレビタレントとしても成功(→動画)。2010年逝去(→訃報)。



小形正男    『多変数の微分積分』  (理工系数学のキーポイント7)   岩波書店、  1996年。

多変数関数の微積分だけを狙い撃ち。証明など一切の面倒を省き、必要不可欠な諸概念の意味するところを鮮やかにイメージさせることに傾注。この点にかけては、非常によくできた副読本。

【著者について】
著者は東大の物理学者(→動画)。


小島寛之    『ゼロから学ぶ微分積分』   講談社、  2001年。

【著者について】
東大数学科/東大大学院経済学研究科で学んだ帝京大学経済学部教授。


加古孝    『自然科学の基礎としての微積分』  (森毅・斎藤正彦・野崎昭弘編『すうがくぶっくす』1)   朝倉書店、  1988年。

【著者について】
東大出身の電気通信大学教授。[→詳細]


吉永悦男    『初等解析学:実数+イプシロンデルタ+積分』   培風館、  1994年。

【著者について】
1946年生まれ。東京教育大学理学部数学科卒。理学博士(筑波大学)。横浜国立大学教授をつとめた。1995年逝去。[→記事(京大数理解析研究所)]


小林道正    『Mathematicaによる微積分』   朝倉書店、  1995年。



L.J.Goldstein, D.C.Lay,  and D.I. Schneider,    Calculus and Its Applications  (International 8th ed.),   Prentice Hall,  1999.

【著者について】
David C. Lay→1966年UCLAで博士号取得。メリーランド大学大学教授をつとめた。2018年逝去。(訃報)


Jerrold Marsden,  and Alan Weinstein,    Calculus II ,   Springer,  1985.

日本の高校数学のように非理論的で、とにかく使えればよいというアプローチ。定積分も、微分の逆算から定義しているあたり、日本の高校数学に妙に似ている。基本概念を鮮やかなイメージで理解させる、ビジュアル面での工夫は素晴らしい。

【著者について】
1942年カナダ生まれ。1968年プリンストン大学で博士号取得。UCバークレー教授、Caltech教授を歴任。2010年逝去。(訃報:UCB/Caltech


解析学 ─ ケーススタディ : 例題集・演習書…

永倉安次郎・  宮岡悦良    『解析演習ハンドブック  [1変数関数編]』   朝倉書店、  2004年。

あらゆる例題を網羅すべく編集された事典。もちろん、証明つき。

【著者について】
東京理科大学教授[詳細]


永倉安次郎・  宮岡悦良    『解析演習ハンドブック  [多変数関数編]』   朝倉書店、  2004年。

あらゆる例題を網羅すべく編集された事典。もちろん、証明つき。

【著者について】
東京理科大学教授[詳細]


杉浦光夫ほか    『解析演習』   東京大学出版会、  1989年。

定義・定理・公式の列挙→例題・練習問題という学参スタイル。



坂田定久・萬代武史・  山原英男    『基礎コース微分積分』   学術図書出版社、  2003年。



高木斉・  押切源一    『解析I・微分』   共立出版、  1995年。



鈴木義也ほか    『例解 微分積分学演習』   共立出版、  1992年。



水田義弘    『詳細演習:微分積分』   サイエンス社、  1998年。



特に経済数学 (凸解析、最適化、…)

岡田章    『経済学・経営学のための数学』   東洋経済新報社、  2001年。

1954年生まれ。東工大卒。理学博士。京大経済研究所教授を経て、一橋大学教授。ゲーム理論の専門家。



入谷純・  久我清    『数理経済学入門』   有斐閣、  1999年。

【著者について】
入谷純:神戸大学教授[→詳細]。久我清:大阪大学教授をつとめた[→詳細]。


高橋一    『経済学とファイナンスのための数学』   新世社、  1999年。

【著者について】
1947年生まれ。コロンビア大学Ph.D。一橋大学教授、公立鳥取環境大学学長を務めた[→詳細]


神谷和也・  浦井憲    『経済学のための数学入門』   東京大学出版会、  1996年。

1990年代を代表する経済学部生向け数学テキスト。

【著者について】
神谷和也:1957年生まれ。Yale大学Ph.D。東大経済学部教授をつとめた。浦井憲:大阪大学教授[→詳細]

【メモ】

・この本は、経済理論の学習上、最低限必要な数理上の技術的知識を供与するという目的で書かれていない。

・むしろ、そもそも数理とは何なのか?という問題意識にたって、20世紀の数学の全体を軽く俯瞰してみようという意図が強く感じられる。

・だから、ミクロ経済学の試験で効率よくスコアアップしたいだけのひとには、本書は不向き。

・論理・集合から解析・線形代数まで、20世紀の数学の全体像をつかむための「とっかかり」が欲しいひとにとっては、 経済の学生だろうがなかろうが、もっとも有益なテキストの一つ。



奥野正寛・  鈴村興太郎    『ミクロ経済学』   岩波書店、  1985年。

【著者について】
藤原(奥野)正寛:1947年生まれ。東大卒、スタンフォード大学Ph.D。東大経済学研究科教授をつとめた。


西村清彦    『経済学のための最適化理論入門』   東京大学出版会、  1990年。

【著者について】
東大経済学部卒、イェール大学Ph.D。東大経済学部教授を経て、日銀副総裁。


西村和雄    『経済数学早わかり』   日本評論社、  1982年。

1980年代を代表する経済学部生向け数学テキスト。

【著者について】
1946年生まれ。東大卒、ロチェスター大学Ph.D。京大経済研究所教授。

【メモ】

・軽薄なタイトルだけれども、実は本格的な数学教科書。

・軽薄なタイトルだけれども、実は本格的な数学教科書。

・これ以降の経済学専攻者向け数学テキストの執筆スタイルを規定。



二階堂副包(ふくかね)     『現代経済学の数学的方法―位相数学による分析入門』   岩波書店、  1960年。

経済学部生向け国産数学テキストの古典。



Alpha C.Chiang,     Fundamental Methods of Mathematical Economics  (3rd Edition),   McGraw Hill,  1984.

代表的な経済学部生向け数学テキスト。

【著者について】
1927年生まれ。1954年コロンビア大学で博士号取得。コネチカット大学大学教授をつとめた。


A.C.チャン    『現代経済学の数学基礎』   シーエーピー出版、  1995年。

上記和訳。



布川昊・谷野哲三・  中山弘隆    『線形代数と凸解析』   コロナ社、  1991年。

【著者について】
布川昊は京都大学工学部名誉教授。谷野哲三は京都大学数理工学で学んだ大阪大学工学部教授[詳細]。中山弘隆は、京都大学数理工学で学んだ甲南大学工学部教授[詳細]。


金谷健一    『これなら分かる最適化数学  ―基礎原理から計算手法まで―』   共立出版、  2005年。

【著者について】
東大卒の岡山大学教授


Joel N. Franklin,    Methods of Mathematical Economics: Linear and Nonlinear Programming, Fixed-Point Theorems  (Undergraduate Texts in Mathematics),   Springer,  1980.

【著者について】
1930年シカゴ生まれ。1953年スタンフォード大学で博士号取得。カリフォルニア工科大学(Caltech)教授をつとめた。2017年逝去。[訃報]


Angel de la Fuente,    Mathematical Methods and Models for Economists ,   Cambridge University Press,  2000.

【著者について】
スペインの経済学者。1991年ペンシルバニア大学で博士号取得。記事:IAE-CSIC / Barcelona GSE/fedea


Tyrrell Rockafellar,    Convex Analysis ,   Princeton University Press,  1970.

【著者について】
1935年生まれ。1963年Harvard大学で博士号取得。ワシントン大学教授をつとめた。[記事]


ε-δ論法による極限定義 の解説書

田島一郎    『イプシロン・デルタ』   共立出版、  1978年。

ε-δ論法解説本の古典。

【著者について】
1912年生まれ、東大数学科で学び、慶應義塾大学教授をつとめた。


細井勉    『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』   日本評論社、  2010年。

高校数学でなおざりにされてきた≪数学の論理≫を徹底的に説明することで、大学初年度レベルの学生に、ε-δ論法による「極限」「連続」定義を完全に理解させることを目指した労作。

【著者について】
1937年生まれ、東大数学科で学び、東京理科大学教授をつとめた。


原惟行・   松永秀章     『イプシロン・デルタ論法完全攻略』   共立出版、  2011年。

【著者について】
大阪府立大学教授。


中根美知代     『ε-δ論法とその形成』   共立出版、  2010年。

【著者について】
東京工業大学で博士号を取得した数学史の研究者。立教大学理学部特任準教授(詳細)。


位相

松坂和夫    『集合・位相入門』   岩波書店、  1968年。

新装版(2018年刊)が現在入手可能。

【著者について】
1927年生まれ、東大数学科で学び、一橋大学教授をつとめた。


松坂和夫    『集合・位相入門』  (数学入門シリーズ 1)   岩波書店、  2018年。

1968年刊ロングセラーの新装版。

【著者について】
1927年生まれ、東大数学科で学び、一橋大学教授をつとめた。


森毅    『位相のこころ』   ちくま学芸文庫、  2006年。

【著者について】
1928年生まれ。東大数学科で学び、京都大学教授をつとめ、テレビタレントとしても成功(→動画)。2010年逝去(→訃報)。


能代清    『極限論と集合論:改版』   岩波書店、  1970年。

【著者について】
1906年生まれ。東大理学部数学科で学び、名古屋大学教授をつとめた。[→ソース]


佐久間一浩    『集合・位相  ―基礎から応用まで―』   共立出版、  2004年。



一楽重雄    『集合と位相  ―そのまま使える答えの書き方』   講談社サイエンティフィク、  2001年。

【著者について】
東大数学科出身の横浜市立大学教授。


彌永昌吉    『集合と位相I・II』  岩波講座基礎数学   岩波書店、  1977年。

【著者について】
1906年東京生まれ。1929年東大数学科卒。東大・学習院大教授をつとめた。小平邦彦の先生で義理の兄にあたるらしい。2006年他界。


矢野公一    『距離空間と位相構造』   共立出版、  1997年。



斉藤正彦    『数学の基礎:集合・数・位相』   東大出版会、  2002年。

【著者について】
1931年生まれ、東大数学科卒の理学博士(パリ大学)。 東大教授、放送大学教授、湘南国際女子短大学長を歴任。


志賀浩二    『位相への30講』   朝倉書店、  1988年。

【著者について】
1930年生まれ。東工大名誉教授。


志賀浩二    『抽象へのあこがれ-位相空間:20世紀数学のパラダイム』  (大人のための数学 5巻)   紀伊國屋書店、  2008年。

【著者について】
1930年生まれ。東工大名誉教授。


大田春外    『はじめよう位相空間』   日本評論社、  2000年。

【著者について】
1950年生まれ。静岡大学教育学部教授。理学博士。


大田春外    『はじめての集合と位相』   日本評論社、  2012年。

【著者について】
1950年生まれ。静岡大学教育学部教授。理学博士。


ブルバキ    『数学原論:位相[要約]』   東京図書、  1969年。