n変数m値ベクトル値関数とその属性:トピック一覧 |
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・定義:n変数m値ベクトル値関数 ・定義:ベクトル値関数の定義域/像・値/値域/逆像・原像/有界なベクトル値関数 |
※関数定義関連ページ:2変数関数/n変数関数/実数値関数一般/写像一般 ※ベクトル値関数に関する諸概念の定義:極限/極限の性質/連続性/偏微分/方向微分/微分 ※ベクトル値関数の具体例:1変数m値ベクトル値関数/2変数2値ベクトル値関数/一次写像『f :Rn⊃D→Rm』 →総目次 |
定義:n変数m値ベクトル値関数 | ||
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定義 |
ベクトル値関数ないし多価関数[→『経済数学早分かり』(p.105)] ないしn変数m値多変数関数とは、 「n個の実数の組(x1,x2,…,xn)に対して、 m個の実数の組(y1,y2,…,ym)を対応づける規則」 「n次元空間Rnの点集合D(定義域)に属す各点にたいして、 m次元空間Rmに属す点を対応づける規則」 「n次元空間Rnの部分集合Dから、m次元空間Rmへの、写像」 のこと。 (y1,y2,…,ym)=f (x1,x2,…,xn) 、f : D→Rm 、f :Rn⊃D→Rm などと表す。 |
[文献] ・西村『経済数学早分かり』3章§1.1関数とは(p.105); ・笠原『微分積分学』1.4(pp.22-3)。 ・杉浦『解析入門I』I§6(p.50); ・黒田『微分積分学』8.2.1(p.276); ・木『解析概論』84写像(p.302); ・加古『自然科学の基礎としての微積分6.1(p.88); [具体例] ・1変数m値ベクトル値関数 ・2変数2値ベクトル値関数 [下位類型] ・一次写像『f :Rn⊃D→Rm』 |
ベクトル 表現 |
n個の実数の組(x1,x2,…,xn)とは、実n次元数ベクトルのこと、 m個の実数の組(y1,y2,…,ym)とは、実m次元数ベクトルのこと、 にほかならないから、 ベクトル値関数・多価関数とは、 「実n次元数ベクトルx=(x1,x2,…,xn)にたいして、実m次元数ベクトルy=(y1,y2,…,ym)を対応づける規則」 「実n次元数ベクトル空間Rnの部分集合D(「定義域」)の各元に対して、実m次元数ベクトル空間Rmの元を対応づける規則」 「実n次元数ベクトル空間Rnの部分集合Dから、実m次元数ベクトル空間Rmへの、写像」 などといっても同じ。 y=f(x) 、f : D→Rm 、f :Rn⊃D→Rm などと表す。 |
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多変数 1価関数 への 還元 |
ベクトル値関数・多価関数 (y1,y2,…,ym)= f (x1,x2,…,xn) は、 m個のn変数1価関数に還元できる。 つまり、 (y1,y2,…,ym)= f (x1,x2,…,xn) とは、 y1=f1(x1,x2,…,xn) y2=f2(x1,x2,…,xn) : : ym=fm(x1,x2,…,xn) というn変数1価関数f1,f2 ,…,fmの組に他ならない。 ここから、ベクトル値関数・多価関数 (y1,y2,…,ym)= f (x1,x2,…,xn)、y=f(x) を、 ( f1(x1,x2,…,xn), f2(x1,x2,…,xn),…, fm(x1,x2,…,xn) )= f (x1,x2,…,xn) ( f1(x), f2(x),…, fm(x))= f(x) などと表すこともある。 |
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類概念 | 1変数関数/2変数関数/n変数関数/実数値関数一般/写像一般 |
定義:n変数m値ベクトル値関数の定義域domain | ||
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ベクトル値関数「f :Rn⊃D→Rm」の定義域とは、 点集合Dのこと。 |
[文献] ・黒田『微分積分学』3.1.1(p.84);3.1.2(p.86);8.2.1(p.276); ・笠原『微分積分学』1.4(p.22) |
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[具体例] | 1変数m値ベクトル値関数の定義域/2変数2値ベクトル値関数の定義域/ | |
[類概念] | 1変数関数の定義域/ 2変数関数の定義域/n変数関数の定義域/実数関数一般の定義域 |
定義:n変数m値ベクトル値関数の像・値 | ||
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点 の 像 |
「ベクトル値関数f による点P=(x1,x2,…,xn)∈Rnの像」 「点P=(x1,x2,…,xn)におけるf の値」 f (x1,x2,…,xn)、f (P) とは、 ベクトル値関数f によって 点P=(x1,x2,…,xn)∈Rnに対応付けられた 点P'=(y1,y2,…,ym)∈Rm のこと。 |
[具体例] ・1変数m値ベクトル値関数の像 ・2変数2値ベクトル値関数の像 [下位類型] ・一次写像『f :Rn⊃D→Rm』の像(Image) [類概念] ・1変数関数の像・値/2変数関数の像・値/n変数関数の像・値/実数値関数一般の像・値/写像の「像」 [文献] ・黒田『微分積分学』3.1.2(p.86;87);8.2.1(p.276); |
集合 の像 |
「ベクトル値関数fによる『定義域の部分集合A』の像」f (A)とは、 『定義域の部分集合A』に属す点のfによる像を、全部集めて出来る集合のこと。 つまり、f :Rn⊃D→Rm 、A⊂D⊂Rnにたいして、 f (A)={ f (a)∈Rm | a∈A } と定義される。 |
定義:n変数m値ベクトル値関数の値域range | ||
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ベクトル値関数「f :Rn⊃D→Rm」の値域とは、 f による定義域の像 f (D)={ f (a)∈Rm | a∈D⊂Rn } のこと。 |
[文献] ・黒田『微分積分学』3.1.1(p.84);3.1.2(p.86);8.2.1(p.276); ・笠原『微分積分学』1.4(p.22); |
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具体例 | 1変数m値ベクトル値関数の値域/2変数2値ベクトル値関数の値域/ | |
類概念 | 1変数関数の値域/2変数関数の値域/n変数関数の値域/実数値関数一般の値域 |
定義:n変数m値ベクトル値関数の逆像・原像inverse image | ||
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点の 逆像 |
「点P=(x1,x2,…,xn)∈Rnが、 ベクトル値関数「f :Rn⊃D→Rm」による 点P'=(y1,y2,…,ym)∈Rmの逆像である」 P=f −1(P') とは、 点P=(x1,x2,…,xn)のf による像が点P'=(y1,y2,…,ym)∈Rmであるということ f (P)=P' をいう。 ※点P'=(y1,y2,…,ym)∈Rmのf による逆像は、Rn上に複数存在しうる。 |
[具体例] ・一次写像『f :Rn⊃D→Rm』の核(Kernel) ・1変数m値ベクトル値関数の逆像 ・2変数2値ベクトル値関数の逆像 [類概念] ・1変数関数の逆像 ・2変数関数の逆像 ・n変数関数の逆像 ・実数値関数一般の逆像 ・写像の「逆像」 [文献] ・黒田『微分積分学』3.1.2(p.86;87) |
集合 の 逆像 |
「ベクトル値関数『f :Rn⊃D→Rm』による『Rm上の点集合B』の逆像」 f −1 (B) とは、 定義域Dに属す点のうち、その像が『Rm上の点集合B』に属すもの全体の集合のこと。 つまり、f :Rn⊃D→Rm、B⊂Rmにたいして、 f −1 (B)={ a∈D⊂Rn | f (a)∈B⊂Rm} と定義される。 |
定義:n変数m値ベクトル値関数が有界 | ||
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有界 |
「ベクトル値関数『f :Rn⊃D→Rm』が有界である」とは、 f の値域がRm上の点集合として有界であるということ、 |
[文献] ・Rudin『現代解析学』4.13(p.87)距離空間一般上。 ・杉浦『解析入門I』I§6定義4(p.55); [具体例] ・1変数m値ベクトル値関数の有界 ・2変数2値ベクトル値関数の有界 |
点集合 で 有界 |
「ベクトル値関数『f :Rn⊃D→Rm』が点集合Aで有界である」とは、 「f による『定義域Dの部分集合A』の像」f (A)がRm上の点集合として有界であるということ。 |