定義:「数列が収束する」「数列が収束列」「数列の極限が存在する」「数列は極限値をもつ」       



はじめに読むべき定義 
厳密な定義の考え方 
厳密な定義の正確な表現  
論理にこだわって 

cf
 収束先の極限値を明示する下記表現
 →「 数列がαに収束する 」「 数列の極限値はα
 →「 an→α (n→∞) 」「 lim an→α 」 

【関連事項】  

 ・収束の反意語:発散(∞に発散/−∞に発散)




[文献−解析]
 ・黒田『微分積分学』(p.43)
 ・Lang, Undergraduate Analysis,Chapter2§1(p.33)
[文献−論理]
 ・齋藤正彦『日本語から記号論理へ』3章§6(pp.159-160)
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』6章(p.59)


 ・新井紀子『数学は言葉』例題4.4.4(p.147)


 ・数列の収束条件:有界単調数列の収束定理 / ボルツァノ・ワイエルストラスの定理 / コーシーの判定法
 ・収束数列の性質

はじめに読むべき定義

・「 数列 { an } 収束するconverge
 「 数列 { an } 収束列converge sequenceである」
 「数列 { an } 極限値limitをもつ」
 「数列 { an } 極限limitが存在する」

 とは、

 「an→α (n→∞)」を満たす実数αが存在すること

    αR an→α (n→∞)  

 をいう。

  ※「an→α (n→∞) を満たす実数α」が存在するならば、
  「an→α (n→∞) を満たす実数α」は、一つだけ。
  その、たった一つの「an→α (n→∞) を満たす実数α」を、
  極限値limitと呼ぶ。

  標語的に言うと、「収束列極限値は一つだけ」→定理
 




[文献−解析]
 ・黒田『微分積分学』(p.43)

[文献−論理]
 ・齋藤正彦『日本語から記号論理へ』3章§6(pp.159-160)
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』6章(p.59)。


 ・新井紀子『数学は言葉』例題4.4.4(p.147)




数列の収束・極限値 
トピック一覧:数列とその類型・属性の定義 



厳密な定義の考え方


・「 数列 { an } 収束するconverge
 「 数列 { an } 収束列converge sequenceである」
 「数列 { an } 極限値limitをもつ」
 「数列 { an } 極限limitが存在する」
 とは、

 数列 { an } にたいして、ある実数αが存在し、

  「『数列{an}の各』と『実数α』との目標誤差」εをどのような『正の実数値』に指定しようとも、

  その目標誤差εに応じて、数列{an}はじめの有限N個のを選んで、これを無視することにすれば、
  「『(N+1)番目のに後続する無限個の』と『実数α』との実際の誤差」を、
  目標誤差ε以内に収めることができる

 ということ
 をいう。
   [→黒田『微分積分学』(p.43);細井『イプシロン・デルタ』6章(p.59)]

数列 { an } にたいして、上記の実数αが存在するならば、
  そのような実数αは、一つだけ。
  数列 { an } にたいして、たった一つだけ存在する上記の実数αを、
  極限値limitと呼ぶ。

  標語的に言うと、「収束列極限値は一つだけ」→定理
 
「数列の収束・極限値」先頭 




[文献−解析]
 ・黒田『微分積分学』(p.43)
 ・Lang, Undergraduate Analysis,Chapter2§1(p.33)
[文献−論理]
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』6章(p.59)。


 ・新井紀子『数学は言葉』例題4.4.4(p.147)






数列の収束・極限値 
トピック一覧:数列とその類型・属性の定義 



厳密な定義の正確な表現

[ε-N論法による定義]


・「 数列 { an } 収束するconverge
 「 数列 { an } 収束列converge sequenceである」
 「数列 { an } 極限値limitをもつ」
 「数列 { an } 極限limitが存在する」
 とは、
 数列 { an } にたいして、ある実数αが存在し、
    任意の正の実数εに対して、ある(十分大きな)自然数Nが存在して、
           「 nNならば、 | an −α|<ε 」
      すなわち、「 nNならば、  d(an)<ε 」
      すなわち、「 nNならば、 α−ε< an<α+ε 」
      すなわち、「 nNならば、  an (α−ε, α+ε) 」
      すなわち、「 nNならば、  anUε(α)  」
     が成り立つ、
 ということ。


 論理記号で表すと、
  αR ε>0 NN nN ( nN|an−α|<ε)
  ないし、
  αR ε>0 NN nN ( nN d(an)<ε ) 
  ないし、
  αR ε>0 NN nN ( nN an (α−ε, α+ε) ) 
  ないし、
  αR ε>0 NN nN ( nN an Uε(α) ) 






[文献−解析]
 ・黒田『微分積分学』(p.43)
 ・Lang, Undergraduate Analysis,Chapter2§1(p.33)
[文献−論理]
 ・齋藤正彦『日本語から記号論理へ』3章§6(pp.159-160)
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』6章(p.59)。


 ・新井紀子『数学は言葉』例題4.4.4(p.147)


 





R2上の点列の収束/Rn上の点列の収束/点列の収束一般   


1変数関数の極限/2変数関数の極限/多変数関数の極限/距離空間上で定義された実数値関数の極限 
 1変数ベクトル値関数の極限/n変数ベクトル値関数の極限/距離空間のあいだの写像の極限








[近傍概念を前面に押し出した定義]

近傍概念を全面に押し出すと、
上記の定義を、次のように大胆にまとめることができる。

・「 数列 { an } 収束するconverge
 「 数列 { an } 収束列converge sequenceである」
 「数列 { an } 極限値limitをもつ」
 「数列 { an } 極限limitが存在する」
 とは、
 数列 { an } にたいして、ある実数αが存在し、
  実数αのどんなε近傍 Uε(α) を選んでも、
   選んだUε(α)に応じて、有限個の番号nを除くと、
     残ったすべてのanが、anUε(α) を満たす
 ということ。
   [→黒田『微分積分学』(p.43);細井『イプシロン・デルタ』6章(p.59)]




数列の収束・極限値 
トピック一覧:数列とその類型・属性の定義 



論理にこだわって


変項《数列》を組み込んだ1項述語・1変項命題関数 

 「 《数列》は収束する」 ないし 「『《数列》に極限値が存在する』

    * 変項《数列》の議論領域 : あらゆる実数列をあつめた集合

 とは、

 変項 《数列》,α,ε, N ,n を組み込んだ5項述語・5変項命題関数
  「nN|《数列》の第n −α |<ε
  すなわち
  「nN 《数列》の第n (α−ε, α+ε)

     * 変項《数列》の議論領域 : あらゆる実数列にわたる範囲
     * 変項αの議論領域 : あらゆる実数をあつめた集合 R 
     * 変項εの議論領域 : あらゆる実数をあつめた集合 R  
     * 変項N議論領域 : あらゆる自然数をあつめた集合 N   
     * 変項n議論領域 : あらゆる自然数をあつめた集合 N   

 について、





[文献−論理]
 ・齋藤正彦『日本語から記号論理へ』3章§6(pp.159-160)
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』2章「極限値条件1」(p.13;15)
 ・中内『ろんりの練習帳』2.8(1)例2.8.1(p.112);論理記号化(p.116)
 ・新井紀子『数学は言葉』例題4.3.1.1(pp.136-137);例題4.4.4(p.147)






    
 


 その4変項ε, N ,n,α を、  ∃α∈R ∀ε>0 NN nN で束縛し、
 《数列》のみを変項として残した1項述語・1変項命題関数  

  「 ∃α∈R ∀ε>0 NN nNnN|  《数列》の第n −α |<ε)  」
  すなわち
  「  ∃α∈R ∀ε>0 NN nNnN 《数列》の第n (α−ε, α+ε)  ) 」

 のこと。



数列の収束・極限値 
トピック一覧:数列とその類型・属性の定義