有界数列 : トピック一覧・定義:上に有界な数列/上界 ・定義:下に有界な数列/下界 ・定義: 有界な数列 ・性質:有界な単調数列は収束する /数列の上限下限と上界下界 有界数列における上限下限の存在 有界数列だからと言って最大最小があるとは限らない 収束数列は有界だが、有界数列が収束するかどう かは分からない。 ※関連ページ: ・数列の定義、数列のタイプ、数列の極限 ・数列の性質:数列の上限sup下限infの性質/数列の極限の性質 ・数列の一般化:R2上 の点列/Rn上 の点列/点列一般/列sequence/族family ※総目次 |
→【はじめに読む定義】 →【厳密な定義−予備知識なしに】 →【厳密な定義−論理記号を用いて】 →【厳密な定義−「数列の項のつくる集合」を用いて】 【はじめに読む定義】・「上に有界でない数列」とは、 「この実数以下に、全項を押さえられる」 と言えない数列。 ・「上に有界な数列」とは、 「この実数以下に、全項を押さえられる」 と言える数列。 この実数を、その数列の上界と呼ぶ。 * 上界が存在する数列(上に有界な数列)もあれば、 上界が存在しない数列(上に有界でない数列)もある。 上界が存在する数列(上に有界な数列)に限ってみても、 その数列の上界は、 複数存在するかもしれないし、 無数に存在するかもしれない。 【例】 どこまでも、0が続く数列0,0,0,0,…は、 「100以下に、全項を押さえられる」 「 10以下に、全項を押さえられる」 「 5以下に、全項を押さえられる」 「 1以下に、全項を押さえられる」 「 0以下に、全項を押さえられる」 などと言えるので、 「上に有界な数列」。 上述の実数100, 10, 5, 1, 0は、どれも、 数列0,0,0,0,…の上界。 【例】 1ずつ増えて行く数列0,1,2,3,…には、 「この実数以下に、全項を押さえられる」 と言える実数がないので、 上界は存在しない「上に有界でない数列」。 ※数列x1, x2, x3,…が上に有界ならば、 数列x1, x2, x3,…に上限 sup xnは存在するが[→詳細]、 数列x1, x2, x3,…に最大値 max xnが存在するとは限らない。 [→詳細] |
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【厳密な定義−予備知識なし】・「数列x1, x2, x3,…が上に有界bounded to the aboveである」とは、 | この実数をMに代入すると、 | 「どの自然数を選んでnに代入しても、 xn≦M が成り立つ」 | が真になる と言える実数が、 数列x1, x2, x3,…に対して、最低一個は存在するということ。 (→論理記号を用いた表現) ・「実数Mが『数列x1, x2, x3,…の上界upper bound』である」とは、 実数Mが、 「どの自然数を選んでnに代入しても、 xn≦M が成り立つ」 を満たすことをいう。 (→論理記号を用いた表現) cf. 数列x1, x2, x3,…の上限 sup xn |
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【厳密な定義−論理記号を用いて】・「数列x1, x2, x3,…が上に有界bounded to the aboveである」 ⇔ ∃M∈R ∀n∈N ( xn≦M ) [杉浦『解析演習』1.4(p.2)] *bounded to the above :小平『解析入門I』§1.5-a(p.37) bounded above:『解析演習ハンドブック』3.1.2(p.90) |
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・「実数Mが『数列x1, x2, x3,…の上界upper bound』である」 ⇔ ∀n∈N ( xn≦M ) |
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・数列x1, x2, x3,…が上に有界ならば、 数列x1, x2, x3,…に上限 sup xnは存在するが[→詳細]、 数列x1, x2, x3,…に最大値 max xnが存在するとは限らない [→詳細]。 |
【数列のつくる集合の概念を用いた定義】・「数列x1, x2, x3,…が上に有界bounded to the aboveである」 とは、 「数列x1, x2, x3,…のつくる集合」 { xn | n∈N }が 上に有界である ということ。 ・「数列x1, x2, x3,…の上界upper bound」 とは、 「数列x1, x2, x3,…のつくる集合」 { xn | n∈N }の上界のこと。 cf. 数列x1, x2, x3,…の上限 sup xn ・数列x1, x2, x3,…が上に有界ならば、 数列x1, x2, x3,…に上限 sup xnは存在するが[→詳細]、 数列x1, x2, x3,…に最大値 max xnが存在するとは限らない [→詳細]。 *bounded to the above :小平『解析入門I』§1.5-a(p.37) bounded above:『解析演習ハンドブック』3.1.2(p.90) |
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→【はじめに読む定義】 →【厳密な定義−予備知識なしに】 →【厳密な定義−論理記号を用いて】 →【厳密な定義−「数列の項のつくる集合」を用いて】 【はじめに読む定義】・「下に有界でない数列」とは、 「この実数以上に、全項維持できる」 と言えない数列。 ・「下に有界な数列」とは、 「この実数以上に、全項維持できる」 と言える数列。 この実数を、その数列の下界と呼ぶ。 * 下界が存在する数列(下に有界な数列)もあれば、 下界が存在しない数列(下に有界でない数列)もある。 下界が存在する数列(下に有界な数列)に限ってみても、 その数列の下界は、 複数存在するかもしれないし、 無数に存在するかもしれない。 【例】 どこまでも、0が続く数列0,0,0,0,…は、 「−100以上に、全項維持できる」 「− 10以上に、全項維持できる」 「− 5以上に、全項維持できる」 「− 1以上に、全項維持できる」 「 0以上に、全項維持できる」 などと言えるので、 「下に有界な数列」。 上述の実数−100, −10, −5, −1, 0は、どれも、 数列0,0,0,0,…の下界。 【例】 1ずつ増えて行く数列0,1,2,3,…には、 「−100以上に、全項維持できる」 「− 10以上に、全項維持できる」 「− 5以上に、全項維持できる」 「− 1以上に、全項維持できる」 「 0以上に、全項維持できる」 などと言えるので、 「下に有界な数列」。 上述の実数−100, −10, −5, −1, 0は、どれも、 数列0,1,2,3,…の下界。 【例】 1ずつ減って行く数列0,−1,−2,−3,…には、 「この実数以上に、全項維持できる」 と言える実数がないので、 下界は存在しない「下に有界でない数列」。 ・数列x1, x2, x3,…が下に有界ならば、 数列x1, x2, x3,…には、下限が存在するが[→詳細]、 数列x1, x2, x3,…に最小値 min xnが存在するとは限らない。[→詳細] |
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【厳密な定義−予備知識なし】・「数列x1, x2, x3,…が下に有界bounded to the belowである」とは、 | この実数をmに代入すると、 | 「どの自然数を選んでnに代入しても、m≦ xn が成り立つ」 | が真になる と言える実数が、 数列x1, x2, x3,…に対して、最低一個は存在するということ。 (→論理記号を用いた表現) ・「実数mが『数列x1, x2, x3,…の下界lower bound』である」とは、 実数mが、 「どの自然数を選んでnに代入しても、m≦ xn が成り立つ」 を満たすことをいう。 (→論理記号を用いた表現) cf. 数列の下限 inf xn |
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【厳密な定義−論理記号を用いて】・「数列x1, x2, x3,…が下に有界bounded to the belowである」 ⇔ ∃m∈R ∀n∈N ( m≦ xn ) [杉浦『解析演習』1.4(p.2)] * bounded to the above :小平『解析入門I』§1.5-a(p.37) bounded above:『解析演習ハンドブック』3.1.2(p.90) |
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・「実数mが『数列x1, x2, x3,…の下界lower bound』である」 ⇔ ∀n∈N ( m≦ xn ) cf. 数列の下限 inf xn
・数列x1, x2, x3,…が下に有界ならば、 数列x1, x2, x3,…には、下限が存在するが[→詳細]、 数列x1, x2, x3,…に最小値 min xnが存在するとは限らない。[→詳細] |
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【数列のつくる集合の概念を用いた定義】・「数列x1, x2, x3,…が下に有界bounded to the belowである」 とは、 「数列x1, x2, x3,…のつくる集合」 { xn | n∈N }が下に有界である ということ。 ・「数列x1, x2, x3,…の下界lower bound」 とは、 「数列x1, x2, x3,…のつくる集合」 { xn | n∈N }の下界のこと。 cf. 数列x1, x2, x3,…の下限 inf xn * bounded to the above :小平『解析入門I』§1.5-a(p.37) bounded above :『解析演習ハンドブック』3.1.2(p.90) |
・数列x1, x2, x3,…が下に有界ならば、 数列x1, x2, x3,…には、下限が存在するが[→詳細]、 数列x1, x2, x3,…に最小値 min xnが存在するとは限らない。[→詳細]
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→【はじめに読む定義】 →【厳密な定義−「上に有界」「下に有界」を用いて】 →【厳密な定義−予備知識なしに】 →【厳密な定義−論理記号を用いて】 →【厳密な定義−「数列の項のつくる集合」を用いて】 【はじめに読む定義】・「有界でない数列」とは、 「この実数以上、あの実数以下に、全項おさまる」 と言えない数列。 ・「有界な数列」とは、 「この実数以上、あの実数以下に、全項おさまる」 と言える数列。 この実数を、その数列の下界と呼び、 あの実数を、その数列の上界と呼ぶ。 ※閉区間の概念を用いて言い直すと、 「有界な数列」とは、 「この閉区間に全項おさまる」と言える数列。 【例】 どこまでも、0が続く数列0,0,0,0,…は、 「−100以上、100以下に、全項おさまる」 「− 10以上、 10以下に、全項おさまる」 「− 5以上、 5以下に、全項おさまる」 「− 1以上、 1以下に、全項おさまる」 「 0以上、 0以下に、全項おさまる」 などと言えるので、 「有界な数列」。 上述の実数−100, −10, −5, −1, 0は、どれも、 数列0,0,0,0,…の下界。 上述の実数100, 10, 5, 1, 0は、どれも、 数列0,0,0,0,…の上界。 【例】 1ずつ増えて行く数列0,1,2,3,…は、 「−100以上に、全項維持できる」 「− 10以上に、全項維持できる」 「− 5以上に、全項維持できる」 「− 1以上に、全項維持できる」 「 0以上に、全項維持できる」 などと言えるので、 「下に有界な数列」。 けれども、 「あの実数以下に、全項おさまる」とは言えないので、 「この実数以上、あの実数以下に、全項おさまる」とも言えない。 だから、「有界でない数列」。 【例】 1ずつ減って行く数列0,−1,−2,−3,…には、 「100以下に、全項おさまる」 「10以下に、全項おさまる」 「 5以下に、全項おさまる」 「1以下に、全項おさまる」 「0以下に、全項おさまる」 などと言えるので、 「上に有界な数列」。 けれども、 「あの実数以上に、全項維持できる」とは言えないので、 「この実数以上、あの実数以下に、全項おさまる」とも言えない。 だから、「有界でない数列」。 |
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【厳密な定義−「上に有界」「下に有界」を用いて】・「数列x1, x2, x3,…が有界boundedである」とは、 数列x1, x2, x3,…が上に有界 かつ 数列x1, x2, x3,…が下に有界 ということ、 (→上に有界・下に有界の意味に遡った定義) |
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【厳密な定義−予備知識なし】・「数列x1, x2, x3,…が有界である」とは、 | この実数とあの実数を m,M に代入すると、 | 「どの自然数を選んでnに代入しても、 m≦ xn≦M が成り立つ」 | が真になる と言えるこの実数とあの実数が、 最低1ペアは存在するということ。 (→論理記号を用いた表現) [松坂『解析入門1』2.1-B(pp.60-61);黒田『微分積分学』定義2.7(p.46); 杉浦『解析演習』1.4(p.2)] ないし ・「数列x1, x2, x3,…が有界である」とは、 | この正の実数を M に代入すると、 | 「どの自然数を選んでnに代入しても、 |xn|≦M が成り立つ」 | が真になる と言える正の実数が、最低1個は存在するということ。 (→論理記号を用いた表現) [松坂『解析入門1』2.1-B(pp.60-61);『解析演習ハンドブック』3.1.2(p.90)]。 |
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【厳密な定義−論理記号を用いて】・「数列x1, x2, x3,…が有界boundedである」 ⇔ ∃m,M∈R ∀n∈N (m≦xn≦M) ないし |
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・「数列x1, x2, x3,…が有界bounded である」 ⇔ ∃M>0 ∀n∈N ( |xn|≦M ) ⇔ 「∃M∈(0,∞) ∀n∈N ( |xn|≦M )」 |
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【数列のつくる集合の概念を用いた定義】・「数列x1, x2, x3,…が有界である」とは、 「数列x1, x2, x3,…のつくる集合」 { xn | n∈N } が 有界である ということ。 |
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