1変数連続関数 : トピック一覧 

【定義】

 ・一点における関数の連続性(数列の収束への言い換え)
 ・右連続(数列の収束への言い換え/単調減少列の収束への言い換え/
       単調減少関数の右連続性と数列の収束/単調増加関数の右連続性と数列の収束)
 ・左連続(数列の収束への言い換え/単調増大列の収束への言い換え/
       単調減少関数の左連続性と数列の収束/単調増加関数の左連続性と数列の収束 )
 ・区間連続 
 ・区分的に連続 piecewise continuous
 ・一様連続性

【性質】

 ・連続関数一般の性質:連続関数の和差積商/連続関数の合成関数
 ・閉区間上連続な関数の性質:中間値定理/最大値・最小値定理/一様連続性 
 ・単調関数と連続性:閉区間上の単調関数が閉区間上連続となる条件/連続な単調関数の逆関数 

1変数関数の諸概念:
  1変数関数とその属性 / 極限の定義 / 無限小解析 / 微分 / リーマン積分 
極限関連ページ:
 2変数関数の連続性 / n変数関数の連続性 / 実数値変数一般の連続性
 n変数ベクトル値関数の連続性 / 距離空間のあいだの写像の連続性 / 位相空間のあいだの写像の連続性
総目次

定義:関数 f は、点x0で連続 continuous at x0

・ビジュアル的には、「関数fx0で連続」 とは、
  関数fグラフx0で切れずに繋がっているということ。
   詳細→ビギナーのための連続定義

・基本的な理屈としては、
 「関数fx0で連続continuous」 とは、
  関数fx0で定義されていて、f (x0) が存在し、
    x
x0に近づくと、f (x)f (x0) に近づくということ。

   詳細→ビギナーのための連続定義

極限値を用いて操作化すると、
 
 「区間Iで定義されている関数f
   《区間I上の点》x0で連続continuous」 とは、

      f(x)  f (x0) (xx0)




[文献]
 ・和達『微分積分pp.34-35.
 ・小平『解析入門I』(p.80)
 ・杉浦『解析入門I』pp.55-56
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』23.
 ・黒田『微分積分』3.3.1節(p.100.)
 ●本橋『新しい論理序説』5.3例5(pp.93-97)
 ・Fischer, Intermediate Real Analysis, ChapterVI.1.Definition (p.240)
 ・笠原『微分積分学』1.5連続関数(p.29)


 ・高崎金久『数理論理学入門V.述語論理の意味論-1.4 量化子の使い方-最後の【例】
 

 が成り立つということ。
 
   詳細→極限値を用いた連続定義  

・厳密には、
 





【関連】


 ・1変数関数についての連続性の諸概念:右連続/左連続/区間での連続性/一様連続性 
 ・《点における連続性》概念の関数一般への拡張:
  →2変数関数の点連続/n変数関数の点連続/距離空間上の実数値関数の点連続/位相空間上の実数値関数の点連続 
  →ベクトル値関数の点連続/距離空間のあいだの写像の点での連続/位相空間のあいだの写像の点での連続  
【活用例】
 ・ 不定積分(積分関数)の微分   





 「区間Iで定義されている関数f が、《区間I上の点》x0で連続continuous」は、
  論理記号を用いて、
   ε>0  δ>0  xI  ( | xx0|<δ | f (x)f (x0)|<ε) 
   ε>0  δ>0  xI  ( x0−δ<xx0+δ f (x0)−ε< f (x)f (x0)+ε )  
   ε>0  δ>0  xI  ( x(x0−δ,x0) f (x)(f (x0)−ε, f (x0)+ε) ) 
 
 と定義される。

    どう読むの? → 論理記号読み下しサンプル 
    言葉で説明してよ! → 言葉で記述したε-δ法による連続定義 
    どういうこと? → ε-δ法による連続定義の考え方
    論理的に説明しなさいよ! → 論理の解説

 ないし

   ε>0  δ>0  ( f ( Uδ(x0) ) Uε( f(x0) ) )  
   ε>0  δ>0  ( xUδ(x0) f (x) Uε( f(x0) ) )  

    解説→ 近傍概念を用いた連続定義 

 ということ。



→[トピック一覧:1変数関数の連続性]
総目次 


定理:f(x)xx0で連続であることの、数列の収束への言い換え

                [吹田新保『理工系の微分積分学』23;]

次の命題P,Qは互いに言い換え可能(つまり、命題P命題Q)である。
命題P: f(x)xx0で連続 
命題Q: x0収束するどんな数列 { xn }={ x1 , x2, x3,…}(ただし、xnx0 )に対しても、
      数列 { f ( xn ) }={ f ( x1 ) , f ( x2 ), f ( x3 ),…}が f (x0)に収束する

    つまり、  { xn }  xnx0  (n∞)   f (xn) f (x0) (n∞)   

(証明)
  命題P: f(x)xx0連続
 命題P': (1) f(x0)が定義され、




(2) lim
f(x)  が存在し、 
xx0

       (3) f(x) f(x0) (xx0) 
         ∵連続の定義 

 命題Q    ∵関数の収束と数列の収束の関連性についての定理 
 


→[トピック一覧:1変数関数の連続性]
総目次 

定義:右連続 right continuous 

【はじめに読むべき定義】


 関数f(x)xx0右連続であるとは、

  x→x0+0のとき、f(x) f(x0)  





   すなわち、

lim
f(x)  =  f (x0)  
xx0+0

 となること。
 
  




[文献]
 ・小平『解析入門I』(p.81)
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』23.
 ・黒田『微分積分』3.3.1節(p.100.)




  

【ε−δ論法による厳密な定義】


関数f(x)xx0右連続であるとは、

任意の正数εに対して、ある正の実数δが(どこまでも小さなεを選んだとしても)存在して、
        「 0< xx0 <δならば| f(x)−f (x0) |<ε 
    すなわち「 x0xx0+δならば、 f (x0)−ε< f (x)<f (x0)+ε 」
    すなわち「 x ( x0 , x0)ならば、 f(x) ( f (x0)−ε, f (x0)+ε)  」
を成り立たせるということ。
すなわち  ε>0  δ>0   x  ( 0< x x0<δ | f (x)−f (x0)|<ε)
  (右連続の例)
  右連続 
           となっている。
           確かに、εをどこまで小さな数に変えていったとしても、
           f (x0)−ε< f(x)<f (x0)+ε ( x0xx0+δ )
           を成り立たせる、
           ある正の実数δが存在する。
           ( f(x)を、f(x0) から±εの範囲内に収めてしまうような、
             xの範囲がx0の右に存在する。           )
  (右連続でない例)
右連続でない   
           となっていない。
           ここでは、
           よりも小さなεをとるとすると、
           f (x0)−ε< f(x)<f (x0)+ε (  x0xx0+δ )
           を成り立たせる、
           実数δは存在しない。
           ( f(x)を、f (x0) から±εの範囲内に収めてしまうような
             x上の範囲が x0の右に存在しない。
             どんなδで、x上に( x0x0+δ)の範囲をとっても、
             それに対応するf(x)の値は( f (x0)−ε, f (x0)+ε)の範囲を
             飛び越えてしまう。            )
 


→[トピック一覧:1変数関数の連続性]
総目次 


定理:f(x)xx0で右連続であることの、数列の収束への言い換え

   ※点での普通の連続性の数列の収束への言い換え[吹田新保『理工系の微分積分学』23]を自力でカスタマイズしたものなので要確認。

次の命題P,Qは互いに言い換え可能(つまり、命題P命題Q)である。
命題P:  f(x)xx0右連続 
命題Q: ・xn x0  (n→∞)  (つまりx0収束する)
                ※ x0は後出の数列 { xn }の第0項という意味ではないので注意
     かつ
     ・任意のnN について x0xn 
    を満たす限りで任意の (どんな)数列{ xn }={ x1 , x2, x3,…}に対して(も)、
    f (xn) f ( x0 ) (n→∞)  (つまり数列 { f (xn) }={ f ( x1 ) , f ( x), f ( x3 ),…}が f ( x0 )収束する)
(証明)
  命題P: f(x)xx0右連続
 命題P': (1) f ( x0 )が定義され、

       (2) 

lim f(x)

 が存在し、 

xx0+0

       (3) xx0+0のとき、f(x) f(x0)
         ∵右連続の定義 
 命題Q  ∵関数の右極限の数列の収束への言い換え定理 

定理:f(x)xx0で右連続であることの、 単調減少列の収束への言い換え


  [加古『自然科学の基礎としての微積分』3.2節連続関数:定理3.1(注意)における示唆(p.31);
   伊藤『ルベーグ積分入門』定理4.2証明中の利用例.]

以下の命題Pと命題Qは互いに言い換え可能(つまり命題P命題Q)。
命題P: f (x)xx0右連続
命題Q: ・xn x0  (n→∞)  (つまりx0収束する)
                ※ x0は後出の数列 { xn }の第0項という意味ではないので注意
    かつ
    ・x0<…<xn<…<x3x2x1 (つまり、狭義単調減少列で、任意nN について xnx0
    を満たす限りで任意につくった(どんな)数列{ xn }={ x1 , x2, x3,…}に対して(も)、
    f (xn) f ( x0 ) (n→∞)  (つまり数列 { f (xn) }={ f ( x1 ) , f ( x), f ( x3 ),…}が f ( x0 )収束する)
【証明】
  命題P: f (x)xx0右連続  

 命題P': (1) f ( x0 )が定義され、

       (2) 

lim f(x)

 が存在し、 

xx0+0

       (3) xx0+0のとき、f(x) f(x0)
         ∵右連続の定義 

 命題Q  ∵関数の右極限を単調減少列の収束に言い換える定理 

定理:単調減少関数のf(x)x=x0で右連続であることの十分条件−数列の収束の観点から。


  [杉浦ほか『解析演習』第1章[例題]§2例題2.2(p.33).]

以下の命題Q1,Q2が成り立つならば、命題Pも成り立つ。
すなわち、命題Q1かつ命題Q2命題P  

命題Q1: f(x)は、少なくとも開区間( x0, a )狭義単調減少関数
命題Q2: 以下の3点をすべて満たす数列{ xn }={ x1 , x2, x3,…}が少なくとも一つ存在する
  Q2-1 任意のnN について x0xna  論理記号で表せば、すなわち、(nN) ( xn ( x0, a ) ) 
        つまり、すべての項は命題Q1が指定するf(x)狭義単調減少区間内にある、
  Q2-2 xnx0  (n→∞)  ※x0数列 { xn }の第0項という意味ではないので注意
        つまり、極限より大なる区間はf(x)の狭義単調減少区間(→命題Q1)内にあらねばならないが、
            極限とそれより小なる区間は、f(x)狭義単調減少区間内になくてもよい
  Q2-3 f ( xn ) f (x0) (n→∞)  
        つまり、数列 { f ( xn ) }={ f ( x1 ) , f ( x2 ), f ( x3 ),…}がf (x0)収束する  
命題P: f(x)xx0右連続 。

(証明)

  命題P: f(x)xx0右連続 。
 命題P': (1) f (x0)が定義され、

       (2) 

lim f(x)

 が存在し、 

xx0+0

       (3) f(x) f (x0) (xx0+0) 
         ∵右連続の定義 
 命題Q  ∵単調減少関数の右極限と数列の収束 

定理:単調増加関数f(x)x=x0で右連続であることの十分条件−数列の収束の観点から。


  [杉浦ほか『解析演習』第1章[例題]§2例題2.2(p.33).]

以下の命題Q1,Q2が成り立つならば、命題Pも成り立つ。
すなわち、命題Q1かつ命題Q2命題P  

命題Q1: f(x) は、少なくとも開区間( x0, a )狭義単調増加
命題Q2: 以下の3点をすべて満たす数列{ xn }={ x1 , x2, x3,…}が少なくとも一つ存在する。
  Q2-1 任意のnN についてx0xna  論理記号で表せば、すなわち、nN  xn( x0, a )  
        つまり、すべての項は命題Q1が指定するf(x)狭義単調増加区間内にある、
  Q2-2 xnx0  (n→∞)  ※x0数列 { xn }の第0項という意味ではないので注意
        つまり、極限より大なる区間はf(x)狭義単調増加(→命題Q1)内にあらねばならないが、
            極限とそれより小なる区間は、f(x)狭義単調増加区間内になくてもよい
  Q2-3 f ( xn ) f (x0) (n→∞)  
        つまり、数列 { f ( xn ) }={ f ( x1 ) , f ( x2 ), f ( x3 ),…}がf (x0)収束する  
命題P: f(x)xx0右連続 。

(証明)
  命題P: f(x)xx0右連続 。
 命題P': (1) f (x0)が定義され、

       (2) 

lim f(x)

 が存在し、 

xx0+0

       (3) f(x) f (x0) (xx0+0) 
         ∵右連続の定義 
 命題Q  ∵狭義単調増加関数の右極限と数列の収束 


→[トピック一覧:1変数関数の連続性]
総目次 

定義:左連続 left continuous


【はじめに読むべき定義】


 関数f(x)xx0左連続であるとは、

  x→x0−0のとき、f(x) f(x0)  





   すなわち、
lim
f(x)  =  f (x0)  
xx0−0

 となること。 




[文献]
 ・小平『解析入門I』(p.81)
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』23.
 ・黒田『微分積分』3.3.1節(p.100.)




  

【ε−δ論法による厳密な定義】


 関数f(x)xx0左連続であるとは、

  任意の正数εに対して、ある正の実数δが(どこまでも小さなεを選んだとしてもそれに応じて)存在して、
        「 −δ< xx0 <0 ならば| f(x) f (x0) |<ε 
    すなわち「 x0−δ< xx0 ならば、  f (x0)−ε< f (x) f (x0)+ε 」
    すなわち「 x ( x0−δ, x0 ) ならば、 f(x) (  f (x0)−ε,  f (x0)+ε)  」
  を成り立たせるということ。
  すなわち ε>0  δ>0  x ( −δ< xx0<0 | f (x) f (x0)|<ε )
 


→[トピック一覧:1変数関数の連続性]
総目次 


定理:f(x)xx0で左連続であることの、数列の収束への言い換え


 ※点での普通の連続性の数列の収束への言い換え[吹田新保『理工系の微分積分学』23]を自力でカスタマイズしたものなので要確認。

次の命題P,Qは互いに言い換え可能(つまり、命題P命題Q)である。
命題P: f(x)xx0左連続 
命題
Q: ・x nx0  (n→∞)  (つまりx0収束する)
                x0は後出の数列 { xn }の第0項という意味ではないので注意
     
かつ
     ・
任意のnN についてx nx0
    を満たす限りで
任意の (どんな)数列{ x n }={ x1 , x2, x3,…}に対して()
    
f (x n) f (x0) (n→∞)  (つまり数列 { f ( x n) }={ f ( x1 ) , f ( x2 ), f ( x3 ),…}がf(x0)収束する)
(証明)
  命題P: f(x)がxx0左連続
 命題P': (1) f(x0)が定義され、
       (2) が存在し、
       (3) x→x00のとき、f(x)f(x0)
         ∵左連続の定義 
 命題Q  ∵関数の左極限の数列の収束への言い換え定理 




→[トピック一覧:1変数関数の連続性]
総目次 


定理:f(x)xx0で左連続であることの、 単調増大列の収束への言い換え


  [加古『自然科学の基礎としての微積分』3.2節連続関数:定理3.1(注意)における示唆(p.31);
    伊藤『ルベーグ積分入門』定理4.2証明中の利用例.]


以下の命題Pと命題Qは互いに言い換え可能(つまりPQ)。
命題P f(x)xx0左連続
命題Qx nx0  (n→∞)  (つまりx0収束する)
                 x0は後出の数列 { xn }の第0項という意味ではないので注意
      
かつ
    ・
x1x2x3<…<xn<…<x0 (つまり、単調増加列で、任意のnN についてxnx0
    を満たす限りで
任意につくった(どんな)数列{ x n }={ x1 , x2, x3,…}に対しても、
    
f (x n)f(x0) (n→∞)  (つまり数列 { f ( x n ) }={ f ( x1 ) , f ( x2 ), f ( x3 ),…}がf(x0)収束する)
(証明)
  命題
P f(x)xx0左連続
 
命題P': (1) f(x0)が定義され、
       
(2) が存在し、
       
(3) xx00のとき、f(x)f(x0)
         ∵左連続の定義 
 命題Q  ∵関数の左極限の単調増大列の収束への言い換え定理 




→[トピック一覧:1変数関数の連続性]
総目次 


定理:単調増加関数f(x)xx0で左連続であることの十分条件−数列の収束の観点から。


  [杉浦ほか『解析演習』第1章[例題]§2例題2.2(p.33).]

以下の命題Q1,Q2が成り立つならば、命題Pも成り立つ。
すなわち、命題Q1かつ命題Q2命題P  
命題Q1 f(x)は、少なくとも開区間(a, x0)で狭義単調増加関数
命題Q2 以下の3点をすべて満たす数列{ xn }={ x1 , x2, x3,…}が少なくとも一つ存在する。
  
Q2-1 任意nN についてaxnx0  すなわち、(nN) ( xn(a, x0) ) 
      つまり、すべての項は命題
Q1が指定するf(x)狭義単調増加区間内にある、
  
Q2-2 xnx0  (n→∞)  x0数列 { xn }の第0項という意味ではないので注意
      つまり、
極限より小なる区間はf(x)狭義単調増加区間(→命題Q1)内にあらねばならないが、
            極限とそれより大なる区間は、
f(x)狭義単調増加区間内になくてもよい
  
Q2-3 f (xn)f (x0) (n→∞)  
        つまり、
数列 { f ( xn ) }={ f ( x1 ) , f ( x2 ), f ( x3 ),…}がf (x0)収束する  
命題P f(x)xx0左連続
(証明)
  命題
P f(x)xx0左連続
 
命題P': (1) f(x0)が定義され、
       
(2) が存在し、
       
(3) xx00のとき、f(x)f(x0)
         ∵左連続の定義 
 命題Q  ∵単調増加関数の左極限と数列の収束 



→[トピック一覧:1変数関数の連続性]
総目次 


定理:単調減少関数f(x)x=x0で左連続であることの十分条件−数列の収束の観点から。


  [杉浦ほか『解析演習』第1章[例題]§2例題2.2(.33).]

以下の命題Q1,Q2が成り立つならば、命題Pも成り立つ。
すなわち、命題Q1かつ命題Q2命題P  

命題Q1 f(x)は、少なくとも開区間(a, x0)狭義単調減少関数
命題Q2 以下の3点をすべて満たす数列{ xn }={ x1 , x2, x3,…}が少なくとも一つ存在する。
  
Q2-1 任意nN についてaxnx0  すなわち、(nN) ( xn(a, x0) ) 
        つまり、すべての項は命題
Q1が指定するf(x)狭義単調減少区間内にある、
  
Q2-2 xnx0  (n→∞)  x0数列 { xn }の第0項という意味ではないので注意
      つまり、
極限より小なる区間はf(x)狭義単調減少区間(→命題Q1)内にあらねばならないが、
            極限とそれより大なる区間は、
f(x)狭義単調減少区間内になくてもよい
  
Q2-3 f (xn)f (x0) (n→∞)  
        つまり、
数列 { f ( xn ) }={ f ( x1 ) , f ( x2 ), f ( x3 ),…}がf (x0)収束する  
命題P f(x)xx0左連続
(証明)
  命題
P f(x)xx0左連続
 
命題P': (1) f(x0)が定義され、
       
(2) が存在し、
       
(3) xx00のとき、f(x)f(x0)
         ∵左連続の定義 
 命題Q  ∵単調減少関数の左極限と数列の収束 




→[トピック一覧:1変数関数の連続性]
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定義:区間I上で連続


【はじめに読むべき定義】


 関数f(x)区間上で連続であるとは、
 関数f(x)区間Iの各点で連続であることを意味する。
 ただし、
 区間Iの端点がIに属しているとき、
 その端点では片側連続(左連続または右連続)でよい。

【ε−δ論法による厳密な定義】


 関数f(x)区間上で連続であるとは、
 まず、任意の点x0Iを選んで固定した上で、
 任意の正数εに対して、ある正数δをとると、
   | xx0| < δ ならば| f (x)−f (x0) |<ε  …(1)
 が成り立ち、
 これが、すべての点x0Iについてもいえるということ。




【文献】
 ・小平『解析入門I』(p.81)
 ・吹田新保『理工系の微分積分学p.23;25
 ・杉浦『解析入門I 』p.225
 ・黒田『微分積分』3.3.2節(p.101); 3.3.4節(p.108)







すなわち
 ( x0I ) ( ε>0 ) ( δ>0 ) ( xI ) ( | xx0|<δ | f (x)−f (x0) |<ε)
                           [杉浦『解析入門I』225]

 ここで、(1)を満たすδを全てのx0Iに対して共通に選ぶ必要はないことに注意。「f (x) が区間I上で連続」と言った場合、x0Iの選び方で(1)を満たすδが変わってもよい。
  これに対して、(1)を満たすδを全てのx0Iに対して共通に選べる、x0Iの選び方によらず、εだけに対応して (1)を満たすδを一様に選べることを意味する概念は、一様連続性
 
 






【1変数関数の具体例の連続性の検討】 
 ・y=x/y=x2/ y=x3 / y=1/x  → 自然数指数の冪関数/整数指数のべき関数/有理数指数のべき関数/実数指数のべき関数
 ・定数値関数/比例/一次関数/二次関数/三次関数多項式関数  
 ・指数関数/対数関数 
 ・絶対値関数/三角関数/ガンマ関数

【関連概念】 
 ・1変数関数についての連続性の諸概念:点での連続性/一様連続性 
 ・関数一般への拡張:2変数関数が領域上で連続/n変数関数が集合上で連続/ベクトル値関数が点集合上で連続/距離空間のあいだの写像が点集合上連続









→[トピック一覧:1変数関数の連続性]
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定義:区分的に連続 piecewise continuous


閉区間で区分的に連続 
 関数f(x)閉区間[a,b]で有限個の点c1 ,c2 ,…,ck ,…, cm (c1 <c2 <<ck <…<cm < b)を除いて連続で、
 各点ck において
 右極限
   
 と左極限
   
 が共に存在するとき、
 f(x)閉区間[a,b]区分的に連続piecewise continuousであるという。

無限区間で区分的に連続 
 a<tを満たすいかなる実数tにたいしても、f(x)閉区間[a, t]で区分的に連続であるとき、
 f(x)は無限区間[a,+∞)で区分的に連続piecewise continuousであるという。




【文献】
 ・小平『解析入門I』(p.183)
 ・Fischer.Intermediate Real Analysis.700
 ・Lang,Serge.Undergraduate Analysis,218-9




 


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定理:関数の和差積商の連続性 

 f(x), g(x)xx0連続であるとき、
 f(x)±g(x)kf(x) (kは定数)、
 f(x) g(x)g(x)f(x) (ただし、f (x0)≠0) も、
 xx0連続である。

※定数a及びxは、xの関数として、各点で連続。よって、定数axの和差積商とその繰り返しでつくったxの関数は、分母がゼロになる点を除く各点で連続であると、この定理から言える。[高木『解析概論』p.24]

(証明)
   関数の極限値どおしの演算についての定理より。
 

定理:合成関数compositionの連続性


 二つの連続関数の合成関数連続である。

 詳しく述べると、
 y= f(x)の値域が z=g(y)の定義域に含まれ、
 f(x)xx0連続で、g(y)がy0 = f (x0)で連続とすると、
 ( gf )( x )は xx0連続である。

(証明) 吹田・新保『理工系の微分積分学』p.24
   
xn x0 とすると、yn= f(xn)→y0= f(x0)
   したがって、
    
( gf )( xn )=g(yn)→g(y0) =( gf )( x0 )


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中間値定理 


 区間I=[a, b]で連続な関数f(x) は、f(a)f(b) ならば
 f(x)f(a)f(b)の間の任意実数cを値にとるf(x0)=cとなるx0I=[a,b]が存在する。

 つまり、

  (i) f(a)<f(b)の場合
      f(a)<cf(b)を満足する任意cに対して、
      f(x0)=cとなるx0が、開区間 (a, b)に、少なくとも一つ存在する。

  (ii) f(a)>f(b)の場合
      f(a)>cf(b)を満足する任意cに対して、
      f(x0)=cとなるx0が、開区間 (a, b) に、少なくとも一つ存在する。 

【証明】


 小平『解析入門Ip.83。吹田・新保『理工系の微分積分学p.24.を参照。 




[文献]
 ・小平『解析入門I』§2.2-b定理2.2(pp.82-3)
 ・高木『解析概論』1章11節定理12(p.26)
 ・吹田新保『理工系の微分積分学』24
 ・杉浦『解析入門I 』74
 ・笠原『微分積分学』1.5節定理1.35系1(p.32)
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』定理4.6.4(p.157)
 ・和達『微分積分』37.→証明略だが解釈と図解がよい
 ・赤『実数論講義』定理6.4.1(p.179):、実数の連続性公理の一表現として提示(p.185);
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』定理16.11(p.174)
 ・青本『微分と積分1』定理1.77(p.46) 




 

 





【関数一般への拡張】



 →2変数関数の中間値定理/n変数関数の中間値定理
 →ベクトル値連続関数の連結不変性 
 →距離空間のあいだの連続写像の連結不変性/位相空間のあいだの連続写像の連結不変性  








【解釈】

 ・xaからbまで連続的に動くとき、
  連続関数は、f(a)f(b)の間の値を少なくとも一度は通過する。
 ・閉区間[a,b]連続な関数f(x)は、
  開区間 (a, b)f(a)とf(b)の間の値をすべてとる。
     (i) f(a)<f(b)の場合
      中間値定理

        [a, b]で連続な関数f(x)は、
        f(a)f(b)の間の各値(cc’、、、)を、
        [a, b]で少なくとも一度は通る。

      (ii) f(a)>f(b)の場合
      中間値定理
        [a, b] で連続な関数f(x)は、
        f(a)f(b)の間の各値(c、c’、、、)を、
        [a, b]で少なくとも一度は通る。



テキスト間の差異→なぜ?
 ・小平『解析入門I』§2.2-b定理2.2(pp.82-3);高木『解析概論』1章11節定理12(p.26);吹田新保『理工系の微分積分学』24;
      f(x0)=cとなるx0(a, b)が存在する。
 ・杉浦『解析入門I 』74; 笠原『微分積分学』1.5節定理1.35系1(p.32); 神谷浦井『経済学のための数学入門』定理4.6.4(p.157);
      
f(x0)=cとなるx0[a,b]が存在する。
 
    
系:f(a)f(b)が異符号ならば、方程式f(x)=0は、(a, b)において少なくとも一つ解を持つ。


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最大値・最小値定理



 閉区間Iで連続な関数f(x)はそこで最大値最小値をとる。  




[文献]
 ・青本『微分と積分1』§1.4(j)定理1.91(p.52) 
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学p.25.
 ・神谷・浦井『経済学のための数学入門p.158 
 ・高木『解析概論p.27.
 ・小平『解析入門Ip85. ;
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』定理16.2(p.174) 


 ・赤『実数論講義』§9.3(p.264)は、実数の連続性公理の言い換えであると主張。
 

 【証明】


  証明:小平『解析入門I』p.85;吹田・新保『理工系の微分積分学』p.25.参照。



 系:閉区間で連続な関数はそこで有界である。
 系:閉区間で連続な関数の値域は閉区間である。


 






【関数一般への拡張】 
 →2変数関数の最大値最小値定理/n変数関数の最大値最小値定理/実数値関数一般の最大値最小値定理
 →ベクトル値連続関数のコンパクト不変性/距離空間のあいだの連続写像のコンパクト不変性/位相空間のあいだの連続写像のコンパクト不変性   

【活用例】 
 ・ロールの定理/積分の平均値定理  
 









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定義:一様連続性 uniformly continuous


 関数f(x)区間I上一様連続uniformly continuousである

 とは、

 任意の正数εに対して、ある正数δが存在して、

  
|xx0| < δ (x,x0I ならば| f(x)−f(x0) |<ε

 を成り立たせる

 すなわち
  
ε>0 δ>0 x0I xI  ( |xx0|<δ | f(x)−f(x0)|<ε)
                      [杉浦『解析入門I』225]

 ということ。




【文献】
 ・小平『解析入門I』(p.83)
 ・吹田新保『理工系の微分積分学pp.25-26
 ・杉浦『解析入門I 』p.225
 ・黒田『微分積分』3.3.4節(p.108)
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門p.159




 

       δが、各x0Iに対して一様にとれることを意味している点が、重要。
         Cf: 区間I上で連続:δが各x0I毎にちがっていてもよい。

 






【関連】 
 ・1変数関数の連続性の諸概念:点での連続性/区間I上で連続 
 ・関数一般への拡張:2変数関数の一様連続性/n変数関数の一様連続性/実数値関数一般の一様連続性
          ベクトル値関数の一様連続性/距離空間のあいだの写像の一様連続性   










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定理:閉区間上の連続関数は、そこで一様連続。





【文献】
 ・小平『解析入門I』(p.84)
 ・高木『解析概論』27;
 ・吹田新保『理工系の微分積分学』26
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』159 
 ・『岩波数学辞典(第三版)』項目441連続関数(pp.1329-1331)




 関数f(x)閉区間I上で連続とすると、fIにおいて一様連続
 ポイントは、「閉区間」。

 応用例:閉区間上の連続関数は可積 

 証明には、
 被覆コンパクト、ハイネ・ボレルの被覆定理など、
 距離空間・位相の知識
 を要す。  

 証明1:背理法によるもの
  →吹田新保『理工系の微分積分学』26;
  →神谷浦井『経済学のための数学入門』159 
  
 証明2:正面から。
  →小平『解析入門I』84.
    

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単調関数の連続性


 閉区間I=[a,b]における単調関数f(x)が、
 f(a)f(b)の間にある値をすべてとれば、
 閉区間Iで連続である。

  (証明) 吹田・新保『理工系の微分積分学p.27.


逆関数の連続性 

 ・閉区間Iにおける狭義単調関数f連続ならば、逆関数f −1連続である。(吹田・新保p.27)
 ・閉区間で、関数f(x)連続狭義単調増加狭義単調減少)であれば、
   逆関数 f −11価連続狭義単調増加狭義単調減少)である。      (和達『微分積分』p.37. )
 ・開区間 (a,b)における(a=−∞またはb=∞でもよい) 連続狭義単調増加 f逆関数 f−1連続となる。(吹田・新保『理工系の微分積分学』p.27問34)



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reference

日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』項目441連続関数 (pp.1329-1331).
吉田耕作・栗田稔・戸田宏『平成元年3/31文部省検定済高等学校数学科用 高等学校 微分・積分 新訂版』啓林館、pp.40-43.
高木貞治『解析概論改訂第3版』岩波書店、1983年、p. 23-29.
小平邦彦『解析入門I』 (軽装版)岩波書店、2003年 pp.80-87;183。
吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年。pp.23-27.
杉浦光夫『解析入門I』岩波書店、1980年、pp.55-56;74-75;225. 極限の定義が特殊なので注意。
和達三樹『理工系の数学入門コース1:微分積分』岩波書店、1988年、pp.34-39.
黒田成俊『21世紀の数学1:微分積分』共立出版、2002年、第3章3節(pp.100-112.)。
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp. 95-98.、pp.148-160.
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、pp.36-37;42-46.
本橋信義『新しい論理序説』(森毅・斎藤正彦・野崎昭弘編集『すうがくぶっくす』16巻) 朝倉書店、1997年。学部初年レベルの数学教科書を理解するために最低限必要な論理をわかりやすく教えるテキスト。
Fischer,Emanuel.Intermediate Real Analysis(Undergraduate Texts in Mathematics),Springer-Verlag New York Heidelberg Berlin,1983.
Lang,Serge.Undergraduate Analysis(Undergraduate Texts in Mathematics),Springer-Verlag New York Berlin Heidelberg Tokyo,1983.=AnalysisI,Addison-Wesley,1968.