2変数関数の連続性トピック一覧  

 ・連続性の定義点での連続性/右連続/左連続/点集合上連続/連続関数/一様連続性 
 
2変数についての連続性の性質各変数についての連続性との関係/点列の収束との関係 
 
連続関数一般の性質関数の和差積商の連続性/合成関数の連続性 
 
有界閉集合上の性質連続関数による有界閉集合の像は有界閉集合/有界閉集合上連続な関数は有界/最大値最小値定理/
            関数f (x)を有界閉集合D上で連続とすると、fDにおいて一様連続
 
連結な集合上の性質中間値定理/連続関数による領域の像は区間/連続関数による閉領域の像は閉区間  

2変数関数以外の関数の連続性:1変数関数の連続性/ n変数関数の連続性/ベクトル値関数の連続性
2変数関数の連続性の一般化:実数値関数の連続性/距離空間のあいだの連続写像/位相空間のあいだの連続写像 
2変数関数に関する他の概念:2変数関数の諸属性/極限/極限の性質/偏微分/全微分/矩形上の積分/点集合上の積分

参考文献/総目次

定義:2変数関数が点Aで連続

はじめに
読むべき
定義

f (P)すなわちf (x,y)は、A(a,b)連続であるcontinuous
とは、
次の
3条件がすべて満たされることを言う。
(1)  f (A)、すなわち、f (a,b) が定義されていること
(2)
   
   が存在すること。 
   つまり、
PAで、f (P)収束すること。   
(3)
   
   が成立すること。
   つまり、
f (P)f (A)PA)   
上記条件の一つでも満たされていないとき、
 
f (P)A不連続であるdiscontinuous
 ないしは、
f (x,y)(a,b)不連続であるという。


cf
.点集合上連続/一様連続性

類概念:1変数関数の連続性

連続性の一般化: n変数関数/実数値関数/ベクトル値関数の連続性/距離空間上の写像/位相空間上の写像

[文献]
和達『
微分積分pp.115-6;
吹田新保『理工系の微分積分学p.160
杉浦『解析入門I』定義5(p.55-56);
木『解析概論10連続函数(p.26)

舞台設定

厳密には、「2変数関数が点Aで連続」の定義は、以下の手順で設定された舞台上でなされる。 
Step1平面R2を用意する。
    
*R2とは、実数2個並べた組 (x,y ) をすべてあつめた集合。
     
2次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
Step2
平面R2に距離dを定めて、距離空間(R2,d)を設定。
    
*普通は、平面R2ユークリッド距離を与えて、ユークリッド平面を考える。 
Step3平面R2上の点集合のひとつを選んで、集合Dと名づける。つまり、「DR2」 
    
*Dは、「2次元数ベクトルの集合」とも呼べる。 
Step4平面R2上の点集合Dで定義された2変数関数 f を用意。
    つまり、
f : DR DR2 ) , z=f(P) ( zR, PDR2 )  , z=f(x,y) ( zR, (x, y)DR2 ) 
    
*fは「D属す2次元数ベクトルから実数への対応付け」だとも言える。
Step5:「平面R2上の点集合D」に属すを、P=(x, y)と名づける。 
   「
平面R2上の点集合D」に属すを、A = (a,b)と名づける。 
        つまり、「
P, ADR2」  
    
*P, Aは、「D属す2次元数ベクトル」といってもよい。

厳密な
定義
ε
-δ論法

f (P)=f (x,y)は、A(a,b)連続であるcontinuous」とは、
 
任意の正数εに対して、ある実数δが存在して、
  「
d ( P, A )<δ ならばd ( f (P), f (A) )<ε 」 
 を成り立たせる、ということ。
この定義を、
論理記号で表せば、
ε>)(δ>)(PR2 )( d( P, A )<δ d ( f (P), f (A) )<ε
  
* d ( P, A )は、2次元平面R2上でのPAとの距離を、
   
d ( f (P), f (A) )は、R上のf (P)f (A)との距離| f (P)f (A)|を表す。

* PAのときf(P)が収束する」の定義では、 0<d( P, A )<δ であった。
  つまり、
関数の「極限」では、PAを除外して考えたが、
     「連続」では
PAを除外しないことになる。

[文献]
小平『
解析入門U』定義6.2

(p.260);
吹田新保
理工系の微分積分学p.160;
杉浦『解析入門I』命題6.5-b(p.55-56);
ルディン『現代解析学4.5(p.83):一般の距離空間上で。

※ユークリッド距離が定められたユークリッド空間R2における連続概念 
 
2変数関数f (P)=f (x,y)、すなわち「『2次元平面R2部分集合』から『実数体R』への写像」を扱う際には、
 特別な目的がない限り、
 
2次元平面R2上の距離ユークリッド距離で定めて、2次元平面R2ユークリッド平面R2とし、 
 
実数体R距離ユークリッド距離で定めて、R1次元ユークリッド空間Rとする設定のもとで
 考えるのが普通。 
 この設定下では、
    
 
    
d ( f (P), f (A) )=| f (P)f (A)|=| f (x,y)f (a,b)|  
 だから、
 「
f (P)=f (x,y)は、A(a,b)連続である」の定義は、具体的には
  ┌
任意の(どんな)実数εに対して(でも)、ある実数δが存在して、
  |  「 

  |        
ならば  | f (x,y)f (a,b)|<ε」 
  └を成り立たせる
  
ε>)(δ>)(x,yR )(| f (x,y)f (a,b)|<ε 
 となる。

* 小平『解析入門II』定義6.2(p.260)は、
 「
f (P)=f (x,y)は、A(a,b)連続である」の定義を、さらに簡略化して、
 
任意の(どんな)実数εに対して(でも)、ある実数δが存在して、
    『
| xa|<δ かつ | yb|<δ ならば| f(x,y)f(a,b) |<ε』
  を成り立たせる
  
ε>)(δ>)(x,yR )(| xa|<δ かつ | yb|<δ)| f (x,y)f (a,b)|<ε
としている。

2次元数ベクトル空間の上に定義されたユークリッド空間R2における連続概念 
 
R2ベクトルの加法スカラー乗法自然な内積(標準内積)ユークリッドノルム‖‖が定義されており、
 
R22次元数ベクトル空間計量実ベクトル空間ノルム空間として扱える場合、
 
任意の2次元数ベクトルx, yR2のユークリッド距離はxy と表せる。
 このユークリッド距離を定義したユークリッド平面
R2のもとでは、 
 
d( P, A )PA 
 だから、
 
f (P)=f (x,y)は、A(a,b)連続であるの定義は、
  
任意の(どんな)実数εに対して(でも)、ある実数δが存在して、
     『 
PA<δ ならば  | f (P)f (A)|<ε』  
   を成り立たせる
 
  
ε>)(δ>)(PR2 )(PA<δ| f (P)f (A)|<ε  
 と表せる。   
 ただし、上記の
Pは、「P(x,y)」を表す2次元数ベクトル(x,y)
     上記のAは、「A(a,b)」を表す2次元数ベクトル(a,b)
 である。    

厳密な
定義
近傍

f (P)A連続であるcontinuous」「f (x,y)(a,b)連続である」とは、
 
実数f (A)任意の(どんな)「R上のε近傍 Uε( f (A) )」に対して(でも)、
 ある「
R2上の点Aのδ近傍Uδ(A)」が存在して、
     
f ( Uδ(A) ) Uε( f (A) ) 
 を満たす
ということ。
この定義を別の表現でいうと、
 
任意の(どんな)実数εに対して(でも)、ある実数δが存在して、
        「 
f ( Uδ(A) ) Uε( f (A) )  」
    すなわち「 
(x,y)Uδ(A) ならばf (x,y) Uε( f (A) )
 を成り立たせる、
ということ。
この定義を、
論理記号で表せば、
Uε( f (A) ))(Uδ(A))( f ( Uδ(A) ) Uε( f (A)) ) 
ε>0)(δ>0)( f ( Uδ(A) ) Uε( f (A) ) ) 
ε>0)(δ>0)(PR2 )( PUδ(A) f (P) Uε( f (A) )) 
となる。

[文献]
杉浦『解析入門I』命題6.5-c(p.55-56);

活用例

定義:右連続・左連続

 

不明 
cf.1変数関数についての「右連続」1変数関数についての「左連続」 

.

     

[トピック一覧:2変数関数の連続性]
総目次

定義:2変数関数が点集合D上で連続

はじめに
読むべき
定義

f (P)=f (x,y)は、
  
点集合D上で(二つの変数x,yについて)連続continuous
 とは、
 
f (P)=f (x,y)点集合D属す連続であることをいう。  

cf.点での連続性/一様連続性

類概念:1変数関数の区間連続性/ 

一般化: n変数関数/実数値関数/ベクトル値関数/距離空間上の写像/位相空間上の写像

[文献]
小平『
解析入門Up.260;
吹田・新保『理工系の微分積分学p.160;
杉浦『解析入門I225.

舞台設定

厳密には、
2変数関数が点Aで連続」の定義は、以下の手順で設定された舞台上でなされる。
Step1平面R2を用意する。
    
*R2とは、実数2個並べた組 (x,y ) をすべてあつめた集合。
     
2次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
Step2
平面R2に距離dを定めて、距離空間(R2,d)を設定。
    
*普通は、平面R2ユークリッド距離を与えて、ユークリッド平面を考える。
Step3平面R2上の点集合のひとつを選んで、集合Dと名づける。つまり、「DR2
    
*Dは、「2次元数ベクトルの集合」とも呼べる。
Step4平面R2上の点集合Dで定義された2変数関数 f を用意。
    つまり、
f : DR DR2 , z=f(P) ( zR, PDR2 ) , 
        
z=f(x,y) ( zR, (x, y)DR2 ) 
    
*fは「D属す2次元数ベクトルから実数への対応付け」だとも言える。
Step5:「平面R2上の点集合D」に属すを、P=(x, y)と名づける。
   「
平面R2上の点集合D」に属すを、A = (a,b)と名づける。
        つまり、「
P, ADR2」 
    
*P, Aは、「D属す2次元数ベクトル」といってもよい。

厳密な
定義
ε
-δ論法

f (P)=f (x,y)点集合D上で(二つの変数x,yについて)連続continuous」とは、
 
点集合D属すAをひとつ選んで固定した上で、
 
任意の正数εに対して、ある正数δをとると、
   「
d ( P, A )<δ ならば| f (P)f (A) |<ε」   …(1)
 が成り立ち、
 これが、すべての点
ADについてもいえるということ。
論理記号で表せば、すなわち
 
( AD ) ( ε>0 ) ( δ>0 ) ( PD ) ( d ( P, A )<δ | f (P)f (A) |<ε)
                             
[杉浦『解析入門I225]
ここで、(1)を満たすδを全てのADに対して共通に選ぶ必要はないことに注意。
 「
f(P)D上で連続」と言った場合、ADの選び方で(1)を満たすδが変わってもよい。
 これに対して、
 
(1)を満たすδを全てのADに対して共通に選べる、
 ADの選び方によらず、εだけに対応して (1)を満たすδを一様に選べることを意味する概念は、
 
一様連続性

     

定義:2変数連続関数

 

 関数f(x,y) が定義域Dに属する全ての連続であるとき、
 
関数f(x,y) を(2変数x,yの)連続関数と呼ぶ。

[文献]
小平『
解析入門Up.260

     

定理:「2変数についての連続性」と「各変数についての連続性」との関係

 

f (x,y)D上で二つの変数x,yについて連続   
f ( x, y ) D上でyを固定したときxについて連続
      
D上でxを固定したときyについて連続  
※逆は必ずしも成り立たない。たとえば、以下の関数の
(0,0)での連続性。 
          

[文献]
小平『
解析入門Up.260
和達『微分積分pp.115-6;

     

[トピック一覧:2変数関数の連続性]
総目次

[space1:adwords]

定理:2変数関数の点における連続性の、点列・数列の収束への言い換え 

 

1変数関数の連続の、数列の収束への言い換え
n変数関数の連続の、点列・数列の収束への言い換え
距離空間のあいだの写像の連続性の、点列の収束への言い換え

要旨

2変数関数f 連続性は、収束点列数列収束に、言いかえられる。 

定理

次の命題P,Q,Rは互いに言い換え可能である。
つまり、命題
P命題Q命題R

命題P
 
f (P)f (x,y)は、A(a,b)連続 

[文献]
吹田・新保『理工系の微分積分学p. 160.

 

命題Q
 
どんなR2上の点列{ Pn }={ P1 , P2 , P3,}={ (x1 ,y1 ) , (x2 ,y2 ), (x3 ,y3 ),}についてであれ、 
  その
点列{ Pn }={ P1 , P2 , P3,}={ (x1 ,y1 ) , (x2 ,y2 ), (x3 ,y3 ),}A(a,b)収束する限り、 
 その
点列の各項 P1 , P2 , P3,…を2変数関数f によりR上に写した像の数列 
    {
f ( Pn ) }={ f ( P1 ), f ( P2 ) , f ( P3 ) , }={ f ( x1 ,y1 ) , f (x2 ,y2 ), f (x3 ,y3 ), }
 は実数f (A)f (a,b)収束する
 つまり、
  
任意のR2上の点列{ Pn }={ P1 , P2 , P3,}={ (x1 ,y1 ) , (x2 ,y2 ), (x3 ,y3 ),}について、
                 
PnA (n) ならばf (Pn)f (A) (n→∞)  
 
論理記号で表すと、
   
{ Pn })( PnA (n) f (Pn)f (A) (n→∞)

命題Rいかなる「実数a収束する数列{ x1 , x2 , x3 ,…}」と
        「実数
b収束する数列{ y1 , y2 , y3 ,…}」に対しても、
    数列
      { f ( Pn ) }={ f ( P1 ) , f ( P2 ), f ( P3 ),…}={ f ( x1 ,y1 ) , f (x2 ,y2 ), f (x3 ,y3 ),…}
    が
実数f (A)f (a,b)収束する
    つまり、
   
{ xn } { yn } )(xna (n→∞) かつ ynb (n→∞)f (xn ,yn)f (A) (n→∞)
なぜ?
  
関数の収束の定義と、関数の連続性の定義を見比べたうえで、
  
関数の収束と点列の収束の関連性についての定理を、関数の連続性向けに修正。 

活用例

   

[トピック一覧:2変数関数の連続性]
総目次

定理:2変数関数の和差積商の連続性

設定

この定理は、以下の手順で設定された舞台上で成立する。 
Step1平面R2を用意する。
    
*R2とは、実数2個並べた組 (x,y ) をすべてあつめた集合。
     
2次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
Step2
平面R2に距離dを定めて、距離空間(R2,d)を設定。
    
*普通は、平面R2ユークリッド距離を与えて
              
ユークリッド平面を考える。 
Step3平面R2上の点集合のひとつを選んで、集合Dと名づける。
    つまり、「
DR2」 
    
*Dは、「2次元数ベクトルの集合」とも呼べる。 
Step4平面R2上の点集合Dで定義された2変数関数 f を用意。
    つまり、
f : DR DR2 ) 
        
z=f(P) ( zR, PDR2 ) , 
        
z=f(x,y) ( zR, (x, y)DR2 ) 
    
*fは「D属す2次元数ベクトルから実数への対応付け」
     だとも言える。
Step5:「平面R2上の点集合D」に属すを、P=(x, y)と名づける。 
   「
平面R2上の点集合D」に属すを、A = (a,b)と名づける。 
    つまり、「
P, ADR2」  
    
*P, Aは、「D属す2次元数ベクトル」といってもよい。


[具体例] 1変数関数の和差積商の連続性
[一般化] n変数関数の和差積商の連続性/実数値関数一般の和差積商の連続性 

[文献]
小平『
解析入門Up.261
吹田・新保『理工系の微分積分学p. 160.

定理1

2変数関数f (P)f (x,y)が、A(a,b)において連続であり、
かつ
2変数関数g (P)g (x,y)が、A(a,b)において連続である
ならば
2変数関数f ( P )±g ( P )f (x,y)±g (x,y)もまた、A(a,b)において連続となる

定理2

2変数関数f (P)f (x,y)が、A(a,b)において連続であるならば
任意の定数kRにたいして、 kf ( P )kf (x,y)もまた、A(a,b)において連続となる。

定理3

2変数関数f (P)f (x,y)が、A(a,b)において連続であり、
かつ
2変数関数g (P)g (x,y)が、A(a,b)において連続である
ならば
2変数関数f ( P ) g ( P )f (x,y) g (x,y)もまた、A(a,b)において連続となる。

定理4

f (P)f (x,y)が、A(a,b)において連続であり、
かつ
g (P)g (x,y)が、A(a,b)において連続であり、
かつ
f(A)f(a,b)≠0
ならば
2変数関数g( P )f( P )g(x,y)f(x,y)もまた、A(a,b)において連続となる.

証明

関数の極限値どおしの演算についての定理より。

 
     

[トピック一覧:2変数関数の連続性]
総目次

[space2:7&y]

定理:合成関数composition連続

要旨

二つの連続関数合成関数連続

 

設定

この定理は、以下のように設定された舞台上で成立する。 
平面R2実数2個並べた組 (x,y ) をすべてあつめた集合。
    
これは2次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある
(R2,d) :平面R2に距離dを与えてつくった距離空間。 
     普通は、
     
平面R2ユークリッド距離を与えたユークリッド平面 
     を考える。 
D 平面R2上の点集合。つまり、DR2
E 平面R2上の点集合。つまり、ER2
   
D,Eは、「2次元数ベクトルの集合」とも呼べる。 
A=(a,b)平面R2上の点集合D属す。つまり、A=(a,b)DR2
   ある特定の「D属す2次元数ベクトル」といってもよい。
P=(x, y)平面R2上の点集合D属す。つまり、P=(x, y)DR2 


一般化:
距離空間のあいだの合成写像の連続性 

[文献]
小平『
解析入門Up.261
吹田・新保『理工系の微分積分学p. 160.
高橋『経済学とファイナンスのための数学p.146:ベクトル値関数のケース;

 

f平面R2上の点集合Dで定義された2変数関数。 
   つまり、
f : DR DR2 ) 
       
z=f(P) ( zR, PDR2 ) , z=f(x,y) ( zR, (x, y)DR2 ) 
g平面R2上の点集合Dで定義された2変数関数。 
   つまり、
g : DR DR2 ) 
       
z=g(P) ( zR, PDR2 ) , z=g(x,y) ( zR, (x, y)DR2 ) 
   
f,gは「D属す2次元数ベクトルから実数への対応付け」だとも言える。
φ平面R2上の点集合Eで定義された2変数関数。 
   つまり、
φ : ER ER2 ) 
       
z=φ(Q) ( zR, QER2 ) , z=φ(x,y) ( zR, (x, y)ER2 ) 
   
φは「E属す2次元数ベクトルから実数への対応付け」だとも言える。

定理

2変数関数f (P)f (x,y)が、R2上の点集合Dで連続であり、
かつ
2変数関数g (P)g (x,y)が、R2上の点集合Dで連続であり、
かつ
点集合D属す任意のP=(x, y)にたいして、
    
( f (P), g (P) )=( f (x,y), g(x,y) )R2上の点集合Eに属す
ならば
合成関数φ(f (P), g(P))=φ( f (x,y), g(x,y) )は、Dで連続

証明

小平『解析入門IIp.261をみよ。

 

関連事項:1変数関数の合成関数の連続性二つの1変数関数と一つの2変数関数から出来た合成関数の連続性

     

[トピック一覧:2変数関数の連続性]
総目次

[space3:vc]

2変数関数の中間値定理 intermediate value theorem

要旨

弧状連結な点集合Dで連続2変数関数fは、f (P)f (Q)とすると、D上でf (P)f (Q)の間の全ての値をとる。
詳細

類例:1変数関数についての中間値定理

2変数関数の最大値・最小値定理

要旨

有界な閉集合Dで定義された2変数連続関数はそこで最大値最小値をとる。
詳細

類例:1変数関数の最大値最小値定理

     

[トピック一覧:2変数関数の連続性]
総目次

 

定義:2変数関数の一様連続性 uniformly continuous

設定

2変数関数の一様連続性」の定義は、
 以下の手順で設定された舞台上でなされる。 
Step1平面R2を用意する。
    
*R2とは、実数2個並べた組 (x,y ) をすべてあつめた集合。
     
2次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
Step2
平面R2に距離dを定めて、距離空間(R2,d)を設定。
    
*普通は、平面R2ユークリッド距離を与えて
              
ユークリッド平面を考える。 
Step3平面R2上の点集合のひとつを選んで、集合Dと名づける。
    つまり、「
DR2」 
    
*Dは、「2次元数ベクトルの集合」とも呼べる。 
Step4平面R2上の点集合Dで定義された2変数関数 f を用意。
    つまり、
f : DR DR2 ) 
        
z=f(P) ( zR, PDR2 ) , 
        
z=f(x,y) ( zR, (x, y)DR2 ) 
    
*fは「D属す2次元数ベクトルから実数への対応付け」
     だとも言える。
Step5:「平面R2上の点集合D」に属す2点を、 
    
P = (x, y) , A = (a,b) と名づける。
        つまり、「
P, ADR2」  
    
*P, Aは、「D属す2次元数ベクトル」といってもよい。

Cf.D上で連続:δが各AD毎にちがっていてもよい。

[文献]
小平『
解析入門U』定義6.3(p.262)
吹田・新保『理工系の微分積分学p. 160.
杉浦『解析入門I』W§4定義1(p. 225).;
木『解析概論10連続函数(p.28)
ルディン『現代解析学
   
4.18(p.88):距離空間一般上。

定義

2変数関数f (P)f (x,y)が、点集合D上で一様連続uniformly continuousである」とは、
 
任意の正数εに対して、ある正数δが存在して
  「
d (P, A)<δを満たす限りで任意の『D』」P,Aについて、
     
| f (P)f (A) |<ε
  を成り立たせる
ということ。
論理記号で表せば、すなわち、
( ε>0 ) ( δ>0 ) ( AD ) ( P D ) ( d (P, A)<δ| f (P)f (A) |<ε)
δが、各ADに対して一様にとれることを意味している点が、重要。

性質

2変数関数f 点集合D上で一様連続ならばf 点集合D上で連続。  
・一般には、
2変数関数f 点集合D上で連続だからといって、点集合D上で一様連続だとは限らない。
点集合D有界な閉集合ならば2変数関数f 点集合D一様連続であることと連続であることは同値
 →
詳細 

否定命題

2変数関数f (P)f (x,y)が、点集合D上で一様連続ない」とは、
 
( ε>0 ) ( δ>0 ) ( AD ) ( P D ) ( d (P, A)<δかつ| f (P)f (A) |≧ε)
          [杉浦『解析入門I』W章積分§4連続関数の可積分性-定理4.1証明(4.4)(p. 226)]

関連事項:点での連続性D上で連続 / 1変数関数の一様連続性 
CfD上で連続:δが各AD毎にちがっていてもよい。

     

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reference

岩波数学辞典(第三版)』項目441連続関数 (pp.1329-1331).

神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.148-160.

高木貞治『解析概論 改訂第三版』岩波書店、1983年、pp. 26-8.

小平邦彦『解析入門II(軽装版)岩波書店、2003年、pp.260-264.

和達三樹『理工系の数学入門コース1・微分積分』岩波書店、1988年、pp.115-6.

吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年、pp.160-1

杉浦光夫『解析入門』岩波書店、1980年、pp.55-56;74-75. 極限の定義が特殊なので注意。

高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、pp.144-146.

ルディン『現代解析学』共立出版、1971年、4.5-4.24(pp.83-91)。一般の距離空間の上で論じている。

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