ベクトル値連続関数と有界閉集合・連結トピック一覧  

 ・有界閉集合上の性質:連続関数による有界閉集合の像は有界閉集合/有界閉集合上連続な関数は有界/
            
関数f (x)を有界閉集合D上で連続とすると、fDにおいて一様連続 
 
・連結な集合上の性質:連続関数の連結不変性   

 ※ベクトル値関数の諸概念:ベクトル値関数の定義と諸属性/極限の性質/連続性の定義/ 
 ベクトル値関数の連続性の具体例:1変数関数の連続性/ 2変数関数の連続性/ n変数関数の連続性/ 
 ベクトル値関数の連続性の一般化:距離空間上の写像/位相空間上の写像 
 
参考文献/総目次

定理:ベクトル値連続関数による有界閉集合の像は、有界閉集合

要旨

Rn上の有界な閉集合D連続なベクトル値関数によるDの像は「Rm上の有界な閉集合」。

設定

この定理は、以下の手順で設定された舞台上でなされる。
Step1 n次元空間Rn m次元空間Rmを用意する。
   
* n次元空間Rnとは、
    
実数n個並べた組 (x1,x2,,xn ) をすべてあつめた集合。
    
n次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
   * m次元空間Rmとは、
    
実数m個並べた組 (y1,y2,,ym ) をすべてあつめた集合。
    
m次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
Step2-1 n次元空間Rnユークリッド距離dnを定めて、
          
ユークリッド空間(Rn,dn)を設定。
Step2-2 m次元空間Rmユークリッド距離dmを定めて、
          
ユークリッド空間(Rm,dn)を設定。
Step3 n次元空間Rn上の点集合のひとつを選んで集合Dと名づける。
    つまり、「
DRn
    
*Dは、「n次元数ベクトルの集合」でもある。
Step4 n次元空間Rn点集合D上の各Pにたいして
    
m次元空間Rm上のを対応づける
    
ベクトル値関数fを用意。
   つまり、
    
f : DRm DRn
   ないし
   
( f1 (x1,x2,,xn), f2 (x1,x2,,xn) ,, fm (x1,x2,,xn))= f (x1,x2,,xn)
   *f
   「
D属すn次元数ベクトルから
    
m次元数ベクトルへの対応付け」だとも言える。
Step5:「 n次元空間Rn点集合D」に属すを、
      
P= (x1,x2,,xn )と名づける。
      つまり、「
PDRn」  
    
*Pは、「D属すn次元数ベクトル」といってもよい。

[活用例]
・「
有界閉集合で連続なベクトル値関数は有界」の証明

[具体例]1変数関数のケース/2変数関数のケース/ n変数関数のケース
[一般化]距離空間のあいだの写像のケース

[文献]
斉藤『
数学の基礎:集合・数・位相3.4.19 (p.90)
杉浦『解析入門I』定理7.3(p.68):証明付;
ルディン『現代解析学4.14(p.87)距離空間一般上。

定理

命題P
 「ベクトル値関数fが、Rn上の点集合D連続である」
が成り立ち、
かつ
命題
Q
 「Rn上の点集合D有界な閉集合である」
が成り立つ
ならば
命題
R
 「ベクトル値関数f による点集合Dの像 f (D)
    
Rm上の点集合として有界な閉集合である」
が成り立つ。

[予備情報]
・命題
QRn上の点集合D有界な閉集合である」
 
命題Q'Rn上の点集合D点列コンパクト
   
(ハイネ・ボレル・ルベークの被覆定理) 
・命題
Rベクトル値関数f による点集合Dの像 f (D)
        
Rm上の点集合として有界な閉集合
 
命題R'ベクトル値関数fによる点集合Dの像 f (D)
              
Rm点列コンパクト
   
(ハイネ・ボレル・ルベークの被覆定理)  

     

[トピック一覧:連続関数の性質]
総目次

 

定理:有界閉集合で連続なベクトル値関数は有界

要旨

Rn上の有界な閉集合D連続なベクトル値関数Dで有界

設定

この定理は、以下の手順で設定された舞台上でなされる。
Step1 n次元空間Rn m次元空間Rmを用意する。
    
* n次元空間Rnとは、
      
実数n個並べた組 (x1,x2,,xn ) をすべてあつめた集合。
      
n次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
    * m次元空間Rmとは、
      
実数m個並べた組 (y1,y2,,ym ) をすべてあつめた集合。
      
m次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
Step2-1 n次元空間Rnユークリッド距離dnを定めて、
          
ユークリッド空間(Rn,dn)を設定。
Step2-2 m次元空間Rmユークリッド距離dmを定めて、
          
ユークリッド空間(Rm,dn)を設定。
Step3 n次元空間Rn上の点集合のひとつを選んで集合Dと名づける。
    つまり、「
DRn
    
*Dは、「n次元数ベクトルの集合」でもある。
Step4 n次元空間Rn点集合D上の各Pにたいして
    
m次元空間Rm上のを対応づける
    
ベクトル値関数fを用意。
   つまり、
    
f : DRm DRn
   ないし
   
( f1 (x1,x2,,xn), f2 (x1,x2,,xn) ,, fm (x1,x2,,xn))= f (x1,x2,,xn)
   *f
   「
D属すn次元数ベクトルから
    
m次元数ベクトルへの対応付け」だとも言える。
Step5:「 n次元空間Rn点集合D」に属すを、
      
P= (x1,x2,,xn )と名づける。
      つまり、「
PDRn」  
    
*Pは、「D属すn次元数ベクトル」といってもよい。



[具体例] 
 
1変数関数のケース/2変数関数のケース/ n変数関数のケース
[一般化]距離空間のあいだの写像のケース 


[文献]
木『
解析概論』定理13(p.26);
小平『解析入門U』定理6.3(p.263):証明付;
吹田・新保『理工系の微分積分学p. 160.
杉浦『解析入門I』定理7.3(p.68):証明付;
ルディン『現代解析学4.15(p.87)距離空間一般上。

定理

命題P
 「ベクトル値関数fが、Rn上の点集合D連続である」
が成り立ち、
かつ
命題
Q
 「Rn上の点集合D有界な閉集合である」
が成り立つ
ならば
命題
Rベクトル値関数fは、点集合Dで有界
が成り立つ。

[予備情報]
・命題
QRn上の点集合D有界な閉集合である」
 
命題Q'Rn上の点集合D点列コンパクト
   
(ハイネ・ボレル・ルベークの被覆定理) 
・命題
Rベクトル値関数fは、点集合Dで有界
 
命題R'「『ベクトル値関数f による点集合Dの像f (D)
      
が、Rm上の点集合として有界
      (∵
有界関数の定義) 

証明

定理より、命題Pかつ命題Qならば、「『f による点集合Dの像 f (D)は、Rm上の点集合として有界な閉集合」。
 つまり、命題
Pかつ命題Qならば、「『f による点集合Dの像f (D)は、Rm上の有界点集合」。
有界関数の定義より、
 「
ベクトル値関数fは、点集合Dで有界」とは、
 「『
f による点集合Dの像f (D)が、Rm上の有界点集合である」の意。
・以上
2点から、命題Pかつ命題Qならば、命題Rベクトル値関数fは、点集合Dで有界」が成り立つといえる。

     

[トピック一覧:連続関数の性質]
総目次

ハイネの定理:有界閉集合上連続な関数はそこで一様連続

設定

この定理は、以下の手順で設定された舞台上でなされる。
Step1 n次元空間Rn m次元空間Rmを用意する。
    
* n次元空間Rnとは、
      
実数n個並べた組 (x1,x2,,xn ) をすべてあつめた集合。
      
n次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
    * m次元空間Rmとは、
      
実数m個並べた組 (y1,y2,,ym ) をすべてあつめた集合。
      
m次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
Step2-1 n次元空間Rnユークリッド距離dnを定めて、
          
ユークリッド空間(Rn,dn)を設定。
Step2-2 m次元空間Rmユークリッド距離dmを定めて、
          
ユークリッド空間(Rm,dn)を設定。
Step3 n次元空間Rn上の点集合のひとつを選んで集合Dと名づける。
    つまり、「
DRn
    
*Dは、「n次元数ベクトルの集合」でもある。
Step4 n次元空間Rn点集合D上の各Pにたいして
    
m次元空間Rm上のを対応づける
    
ベクトル値関数fを用意。
   つまり、
    
f : DRm DRn
   ないし
   
( f1 (x1,x2,,xn), f2 (x1,x2,,xn) ,, fm (x1,x2,,xn))= f (x1,x2,,xn)
   *f
   「
D属すn次元数ベクトルから
    
m次元数ベクトルへの対応付け」だとも言える。
Step5:「 n次元空間Rn点集合D」に属すを、
      
P= (x1,x2,,xn )と名づける。
      つまり、「
PDRn」  
    
*Pは、「D属すn次元数ベクトル」といってもよい。


cf.D上で連続:δが各AD毎にちがっていてもよい。
[文献]
黒田『
微分積分学』定理8.6(p.279);
斉藤『数学の基礎:集合・数・位相3.4.18 (p.90)
杉浦『解析入門I』W章積分§4連続関数の可積分性-定理4.1(p. 226):ベクトル値関数一般・証明付;
ルディン『現代解析学4.19(p.88):距離空間一般上:証明付。
加古『
自然科学の基礎としての微積分』定理6.2(p.92);

定理

命題Pベクトル値関数fが、Rn上の点集合D連続
 が成り立ち、
かつ
命題
QRn上の点集合D有界な閉集合である」
 が成り立つ
ならば
命題
Rベクトル値関数fは、点集合Dで一様連続

[予備情報]
命題
QRn上の点集合D有界な閉集合である」
 
命題Q'Rn上の点集合D点列コンパクト
   
(ハイネ・ボレル・ルベークの被覆定理) 

証明

2変数関数に限定:小平『解析入門U』定理6.2(p.262)
n
変数関数一般:
ベクトル値関数一般:杉浦『
解析入門I』W章積分§4連続関数の可積分性-定理4.1(p. 226)
距離空間から距離空間への関数一般:ルディン『現代解析学4.19(p.88)

関連事項:点での連続性D上で連続 / 1変数関数の一様連続性 
CfD上で連続:δが各AD毎にちがっていてもよい。

     

定理:ベクトル値連続関数の連結不変性

要旨

連結な点集合連続ベクトル値関数で写した像連結

舞台設定

この定理は、以下の手順で設定された舞台上で成立する。 
Step1 n次元空間Rn m次元空間Rmを用意する。
    
* n次元空間Rnとは、
    
実数n個並べた組 (x1,x2,,xn ) をすべてあつめた集合。
      
n次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
    * m次元空間Rmとは、
      
実数m個並べた組 (y1,y2,,ym ) をすべてあつめた集合。
      
m次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
Step2 n次元空間Rnに距離dnを定めて、距離空間(Rn,dn)を設定。
    
*普通は、 n次元空間Rnユークリッド距離を与えた
                 
ユークリッド空間を考える。
   
m次元空間Rmに距離dmを定めて、距離空間(Rm,dm)を設定。
    
*普通は、 m次元空間Rmユークリッド距離を与えた
                 
ユークリッド空間を考える。  
Step3 n次元空間Rn上の点集合のひとつを選んで集合Dと名づける。
    つまり、「
DRn
    
*Dは、「n次元数ベクトルの集合」とも呼べる。
Step4 n次元空間Rn点集合D上の各Pにたいして
    
m次元空間Rm上のを対応づける
    
ベクトル値関数fを用意。
   つまり、
    
f : DRm DRn
   ないし
   
( f1 (x1,x2,,xn), f2 (x1,x2,,xn) ,, fm (x1,x2,,xn))= f (x1,x2,,xn)
   *f
   「
D属すn次元数ベクトルから
    
m次元数ベクトルへの対応付け」だとも言える。
Step5:「 n次元空間Rn点集合D」に属すを、
      
P= (x1,x2,,xn )と名づける。
      つまり、「
PDRn」  
    
*Pは、「D属すn次元数ベクトル」といってもよい。

[具体例]
1変数関数の中間値定理/2変数関数の中間値定理/ n変数関数の中間値定理 

[文献]
杉浦『
解析入門I』T章§8問題5(p.79):ベクトル値関数一般;
ルディン『現代解析学4.22(p.91):証明付。
矢野『
距離空間と位相構造』定理5.5(p.168):位相空間間の写像で。
松坂『
集合・位相入門5章§1定理1(p.196):位相空間間の写像で。
斉藤『
数学の基礎:集合・数・位相5.3.4 (p.161):位相空間間の写像で;

定理

命題Pベクトル値関数fが、Rn上の点集合D連続
かつ
命題
QRn上の点集合D連結
ならば
命題
R「『ベクトル値関数f による点集合Dの像 f (D)連結

     

 

reference

岩波数学辞典(第三版)』項目441連続関数 (pp.1329-1331).

神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.148-160.

高木貞治『解析概論 改訂第三版』岩波書店、1983年、pp. 26-8.

小平邦彦『解析入門II(軽装版)岩波書店、2003年、pp.260-264.

和達三樹『理工系の数学入門コース1・微分積分』岩波書店、1988年、pp.115-6.

吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年、pp.160-1

杉浦光夫『解析入門』岩波書店、1980年、pp.55-56;74-75. 極限の定義が特殊なので注意。

高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、pp.144-146.

ルディン『現代解析学』共立出版、1971年、4.5-4.24(pp.83-91)。一般の距離空間の上で論じている。

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