べき関数(累乗関数)の性質〜指数を自然数に限定して :トピック一覧  

べき関数のグラフ/べき関数の増減/べき関数の値域/有界性/最大最小/
べき関数の逆像/累乗根(べき根)の定義/「自然数の逆数」を指数とする累乗の定義/累乗根(べき根)の性質 
分数を指数とする累乗の定義/m乗のn乗根の意味/「分数を指数とする累乗」「m乗のn乗根」の性質  
べき関数の単射/全射/全単射の判定 / べき関数の逆関数 /  
べき関数の極限/連続/極大極小  

1変数関数の具体例:y=x / y=x2/ y=x3 / y=1/x  →整数指数のべき関数/有理数指数のべき関数/実数指数のべき関数
           定数値関数/比例/一次関数/二次関数/三次関数多項式関数  
           指数関数/対数関数 
           絶対値関数/三角関数 /ガンマ関数
1変数関数に関する諸概念の定義:1変数関数一般の定義/極限/連続性/微分/定積分/広義積分/スチルチェス積分
関数定義関連ページ:2変数関数/n変数関数/実数値関数一般/ベクトル値関数/写像一般
総目次


定義:べき関数(累乗関数) 〜指数を自然数に限定して

定義

指数を自然数とする「冪(べき)関数」「累乗関数」とは、
  自然数の定数nに対して、
   R(−∞,∞)もしくは「R部分集合で定義された1変数関数
     y=f (x)=xn 
  のことをいう。  
指数が自然数ではない「べき関数」「累乗関数」もつくれるが、
 定義域はR(−∞,∞に設定できなくなる。性質もことなる。
   →指数が正負の整数となる「べき関数」「累乗関数」
   →指数が有理数となる「べき関数」「累乗関数」
   →指数が実数となる「べき関数」「累乗関数」

[関連事項]

 自然数指数の指数法則 






[文献−解析]
 ・小平『解析入門I』§2.3-a) (p.89);「巾関数」。定義域は(0,∞)
 ・ 松坂『解析入門1』3.2E-例(p.113):n乗根関数(n乗根の定義)も。「累乗関数」。定義域は[0,∞)





グラフ

R(−∞,∞で定義された、自然数を指数とする「べき関数」(累乗関数)
y=x

のグラフは、下図の通り。

べき関数のグラフ(指数を自然数に限定)


[y=xn(aは自然数)のグラフの形状]

 nがいかなる自然数であったとしても、y=xn(nは自然数)のグラフは、(1,1)を通る。
 しかし、これ以外の特徴は、nが偶数であるか、奇数であるかによって、変わってくる。
nが偶数であるとき、y=xn(nは自然数)のグラフの形状は、
   ・原点(0,0)でx軸に接する
  ・下に凸な 
  ・R2上の放物線
  であって、
  (1,1),(0,0),(-1,+1)が、共通した通過点である。
nが3以上の奇数であるとき、y=xn(nは自然数)のグラフは、
  「原点(0,0)でx軸に接する下に凸なR2上の放物線の右半分」
  と
  「原点(0,0)でx軸に接する上に凸なR2上の放物線の左半分」
 とを、張り合わせた形状。
  (1,1),(0,0),(-1,-1)が、共通した通過点となる。

 [0,∞)で定義された、自然数を指数とする「べき関数」 (累乗関数)
y=x

 のグラフは、下図の通り。

[0,∞)で定義されたべき関数のグラフ(指数を自然数に限定)








→[トピック一覧:べき関数]
総目次

自然数指数の冪関数(累乗関数)の増減

(-∞,∞)で定義された冪関数の増減 
[0,∞)で定義された冪関数の増減 




【文献-自然数を指数とするべき関数】
 ・赤攝也『実数論講義』§6.5例4(p.188):。
 ・小平『解析入門I』§2.3-a) (p.89);「巾関数」

【関連事項】
 ・自然数指数の「べき関数」「累乗関数」の増減の一般化:
  →指数を正負の整数に拡張した「べき関数」「累乗関数」の増減
  →指数を有理数に拡張した「べき関数」「累乗関数」の増減
  →指数を実数に拡張した「べき関数」「累乗関数」の増減 










 性質

R(−∞,∞で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」
     y=f (x)=xn 
 は、
 nが奇数ならば(−∞,+∞)狭義単調増加関数    
 ・nが偶数ならば(−∞,+∞)単調関数にならないが、
           (−∞,0]狭義単調減少関数
           [0,+∞)狭義単調増加関数となる。

図解




y=x のグラフ

R(−∞,∞で定義された自然数指数の「べき関数」

べき関数のグラフ(指数を自然数に限定)



 性質

[0,∞)で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」
     y=f (x)=xn 
 は、[0,+∞)狭義単調増加関数

図解

 [0,∞)で定義された、自然数を指数とする「べき関数」 (累乗関数)
y=x

 のグラフは、下図の通り。

[0,∞)で定義されたべき関数のグラフ(指数を自然数に限定)





→[トピック一覧:べき関数]
総目次


自然数指数の冪関数(累乗関数)による値・像image 
  ・  


※定義の確認→1変数関数による値・像の定義 



→[トピック一覧:べき関数]
総目次

冪関数(累乗関数)の値域
  R(−∞,∞で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」 
   y=f (x)=xn 
 の値域は、
 nが奇数ならばR(−∞,∞    
 nが偶数ならば[0,∞)
[0,∞)で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」 
     y=f (x)=xn 
 の値域は、nが奇数であろうが偶数であろうが、 [0,∞)
 

[図解]



y=x のグラフ

R(−∞,∞で定義された自然数指数の「べき関数」

べき関数のグラフ(指数を自然数に限定)







[文献-自然数を指数とするべき関数]
 ・赤攝也『実数論講義』§6.5定理6.5.5(p.193):。
 ・小平『解析入門I』§2.3-a) (p.89);「巾関数」








→[トピック一覧:べき関数]
総目次

自然数指数の冪関数(累乗関数)の最大値・最小値
  R(−∞,∞で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」 
     y=f (x)=xn 
 は、
   nが奇数ならば 最大値最小値ともにもたない。 
   nが偶数ならば 最大値をもたないが、最小値は有していて、f(0)=0が最小値。  


自然数指数の冪関数(累乗関数)は非有界
  R(−∞,∞で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」 
     y=f (x)=xn 
 は、有界でない
・細かく見ると、
 ・nが奇数ならば下に有界でなく、上にも有界でない。    
 ・nが偶数ならば下に有界だが、上に有界ではないので、有界でない


[図解]




y=x のグラフ

R(−∞,∞で定義された自然数指数の「べき関数」


べき関数のグラフ(指数を自然数に限定)



→[トピック一覧:べき関数]
総目次


自然数指数の冪関数(累乗関数)による逆像

(-∞,∞)で定義された冪関数による逆像  限定した具体例→(-∞,∞)で定義されたy=x2による逆像/(-∞,∞)で定義されたy=x3による逆像    
[0,∞)で定義された冪関数による逆像→「累乗根」の定義,「1/自然数を指数とする累乗」の定義  限定した具体例→ / 3  
[図解:(-∞,∞)で定義された自然数指数の冪関数による逆像]

・「R(−∞,∞で定義された累乗関数y=f (x)=xn による実数y逆像
    f −1 (y)
 とは、
 「『fの値(像)xn』 が実数yとなる実数x」をすべてあつめた 集合のこと。
・つまり、 f −1 (y)={xR|yxn}

R(−∞,∞で定義された自然数指数の累乗関数


y=f(x)=x



  による y= 逆像 f-1(  )  を図示すると…
   べき関数による逆像

[文献]

 ・『岩波数学入門辞典』べき根(p.546)
 ・吉田栗田戸田『昭和63年3/31文部省検定済 高等学校基礎解析』2章1.指数の拡張-[累乗根](p.41)。
 ・KIT数学ナビゲーション 
    上記2文献では、「(−∞,∞で定義された累乗関数y=f (x)=xn (nは自然数)による実数y逆像n乗根と呼び、
   nが奇数のとき、一つしかない「実数yn乗根」とを√yで表し、
   nが偶数のとき、二つある「実数yn乗根」の正の方を√yで表す、としている。
   
 ・小平『解析入門I』§2.3-a) (p.89):n乗根一般。
  ・ 松坂『解析入門1』3.2E-例(p.113):n乗根一般。
 赤攝也『実数論講義』§6.5定義6.5.3(p.197):。
   上記文献では、
   「[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn (nは自然数)による実数y逆像属す元を『正の実数』をn乗根と呼び、
    √yで表す、としている。

 ・斉藤正彦『数学の基礎:集合・数・位相』3章§1問題2(p.73)




[解説:逆像〜単射〜逆関数]

・左図からわかるように、
 「R(−∞,∞で定義された累乗関数y=f (x)=xn (nは自然数) は、
    nが奇数ならば Rの上への全単射となって、逆関数を有すが、
    nが偶数ならば単射にならないので逆関数を有しない





[図解:[0,∞)で定義された自然数指数の冪関数による逆像]

・「[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn (nは自然数)による実数y逆像f 1 (y)
 とは、
  「『fの値(像)xn実数yとなる『定義域[0,∞)に属す実数x」を
  すべてあつめた集合のこと。
・つまり、f −1 (y)={x[0,∞)|yxn}




y=f(x)=x による
[図]
[0,∞)で定義された自然数指数の累乗関数

      y= 逆像  f-1(  )  を図示すると…
   べき関数による逆像


[累乗根の定義、1/自然数を指数とする累乗の定義]

[解説:逆像〜単射〜逆関数]

・「[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn (nは自然数)」に関して、
 以下が成り立つ。
   (i)任意の非負の実数yに対して、
     yfによる逆像 f−1(y)は、「1個の『非負の実数』のみが属す一元集合」となる。
   (ii)任意の負の実数yに対して、
     yfによる逆像 f−1(y)は、空集合

 つまり、「[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn (nは自然数)」は、
      つねに、単射
 したがって、「[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn (nは自然数)」には、
      つねに、逆関数が存在する

[累乗根の定義]

・「[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn(nは自然数)」は単射だから、
  任意の正の実数yにたいして、
   「正の実数yの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn(nは自然数)』による逆像f−1(y)は、
     「1個の『正の実数』のみが属す一元集合」となるが、
  この一元集合f−1(y) に唯一つ属す『正の実数』を、 
    記号   n
y 
 または、 y1/n     
  で表す。
  活用例:有理数指数の冪と指数法則/有理数指数の冪関数 

・「[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn(nは自然数)」の逆関数[0,∞)で定義された1変数関数x=f-1(y)」を、
    x=f-1(y)  n y 
 または、 x=f-1(y)y1/n  
  で表す。

累乗根を限定した具体例→ / 3 / n 

・「正の実数yの『[0,∞)で定義された累乗関数 y=f (x)=xn(nは自然数)』による逆像f−1(y) には、

  1個の『正の実数』のみが属すが、
 この 「 f -1(y)に唯一つ属す『正の実数』」を、
 「実数yn乗根」と呼び、
       記号   n
y 
 または、 y1/n     
 で表す。

・つまり、
  任意の正の実数y,任意の自然数n [0,∞)で定義されたy=f (x)=xn に対して、
       f−1(y)     {
n
y 
 }       

・要するに、 
  自然数n、正の実数yに対して、  n
y 
y1/n とは、  
      条件「y=xn かつ x≧0」を満たすxのこと。
 

活用例:分数を指数とする累乗の定義/有理数指数の冪と指数法則/有理数指数の冪関数 
[2乗根の略記法]

 正の実数yに対して、 2 y
は、

y 
と略記されるのが普通。

[1乗根の性質]

 正の実数yに対して、 1 y
y となる。

 なぜ? 
   左辺は「正の実数yの 『[0,∞)で定義された累乗関数 y=f (x)=x』 による逆像」f−1(y) だが、
   グラフを見ると、「正の実数yの『[0,∞)で定義された累乗関数 y=f (x)=x』 による逆像」f−1(y) y だとわかる。

   1 y
を、y1/1 と書くと、1/1=1 だから、y1/1y1y となって、 
     この記法も、上記の原意に立ち返った説明と整合的になる。

[1の累乗根の性質]
 
  任意の自然数nに対して、  n

 = 1   

 なぜ? 
   任意の自然数nに対して、[0,∞)で定義されたy=f (x)=xnは、1=f(1)=1n=1 を満たすから、
   任意の自然数nに対して、「1の 『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn による逆像f−1(1)=1。
 


→[トピック一覧:べき関数]
総目次

累乗根(べき根)の性質

要約

[性質0-1]

任意の正の実数a,自然数n に対して、a (
a )
n
分数を指数とする累乗を用いて言い直すと、
      任意の正の実数a,自然数n に対して、a=(a1/n)n  
なぜ?→説明
     
[性質0-2]          

任意の正の実数a,自然数n に対して、a an
分数を指数とする累乗を用いて言い直すと、
      任意の正の実数a,自然数n に対して、a=(an)1/n 
なぜ?→説明
      
[性質1]   

任意の正の実数a,b,自然数n に対して、 ab
 = 

分数を指数とする累乗を用いて言い直すと、
     正の実数a,b,自然数n に対して、
            (ab)1/na1/n b1/n   
・つまり、「積の累乗根」と「累乗根の積」が一致するという意味で、
     積と累乗根の順序は入れ替え可能。
なぜ?→説明

[性質2]

・正の実数a,b,自然数n に対して、 a/b
 = 
a /
b
分数を指数とする累乗を用いて言い直すと、
     (a/b)1/n = (a1/n)/(b1/n) 

[性質3]

・正の実数a,自然数n,m に対して、

m

 = 


     a
mn
a
分数を指数とする累乗を用いて言い直すと、
      (a1/n1/m  = a1/mn  
なぜ?→説明






[文献−解析]
 ・赤攝也『実数論講義』§6.5定義6.5.3(pp.198);§7.1定理7.1.1-2;補題(pp.204-5):証明つき。
 吉田栗田戸田『昭和63年3/31文部省検定済 高等学校基礎解析』啓林館、2章1指数の拡張(p.42);.
 ・小平『解析入門I』§2.3-a) (p.89):有理数指数での表現。

【関連事項】
1変数連続関数の定義
※1変数関数の具体例の連続性:
   定数値関数/y=x/比例/一次関数/反比例/二次関数/べき関数
   指数関数/対数関数/絶対値関数/三角関数/ガンマ




性質0-1


任意の正の実数a,自然数n に対して、a (
a )
n


[文献]

 ・吉田栗田戸田『数学I』p.53:平方根のケースで。

なぜ?
累乗根の定義より、
 任意の正の実数a,自然数n に対して、 a  とは、
  「正の実数aの『[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn 』による逆像f-1(a)に唯一属す「正の実数

        平たく言うと、「a=xn かつ x≧0」を満たす唯一の実数xのこと
  を、そもそも表していた。
  だから、この記号の意味に立ち返ると、
    a (
a )
n
  は、自明だとわかる。

 ※ここでやっている操作は、
    「正の実数aの『[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn 』による逆像
       の『[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn 』による     
          f ( f-1(a)) 
   をとることに他ならない。[→逆像の像] 
  [→赤攝也『実数論講義』§6.5定義6.5.3(pp.198)で指摘]


aのn乗根
         


→[累乗根の性質に戻る]


性質0-2


任意の正の実数a,任意の自然数n に対して、a an




なぜ?

[step0:累乗関数と累乗根の性質の確認]

任意の自然数n に対して、
  『[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn 』は、
       単射であって、[0,∞)値域とする。…(0-1)
任意の正の実数y,任意の自然数n に対して、
 yは「『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn』の値域[0,∞)に属しているから
 (0-1)より、
 yの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn』による逆像 f-1(y){x[0,∞)|yf (x)}は、
    [0,∞)上に存在する1個の実数 
y
だけからなる。

  つまり、
  任意の正の実数y,任意の自然数n に対して、
           y    [0,∞)であって、

           f−1(y)     {
y   }  …(0-2)  

 ・このことは、
   [0,∞)上に存在する1個の実数 
y
のほかに、
             f−1(y) に属す実数が、存在しない
   ことを意味している。              …(0-3) 



[左記step0の図解]
 


[step1:累乗関数と累乗根の性質からanの累乗根について言えること]

任意の正の実数a,任意の自然数n に対して、anaaa>0 …(1-1)
      ∵ a>0であって、anaaaだから、実数 の積の正負の性質より。
・(0-2)と、(1-1)より、
 任意の正の実数a任意の自然数nに対して、
 anの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn』による逆像f-1(an){x[0,∞)|an=f (x)}
 は、[0,∞)上に存在する1個の実数 
an
だけからなる。

     つまり、  an    [0,∞) であって、

           f−1(an)     {
an   }   …(1-2)  

 ・このことは、
   [0,∞)上に存在する1個の実数 
an
のほかに、
             f−1(an)  に属す実数が、存在しない
   ことを意味している。              …(1-3) 





[step2]


任意の正の実数a,任意の自然数n に対して、
     anは「正の実数aの『[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn 』による
  である。
  つまり、anf ( a) …(2-1)

・(2-1)と、
 「anの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn 』による逆像」の定義
    f−1(an){x[0,∞)|anf ( x)}   
 から、
 任意の正の実数a,任意の自然数n に対して、
    aは「anの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn 』による逆像f−1(an) に属す
    a f−1(an)
 と言える。 …(2-2)   



[step3:結論]

任意の正の実数a自然数n に対して、
  aは、[0,∞)上に存在して、[∵aは正の実数としたのだから]
    「anの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn 』による逆像f−1(an) に属す
               [∵(2-2)]
・つまり、
  任意の正の実数a自然数n に対して、
       a  [0,∞) であって、 a f−1(an)  …(3)

・ところが、(1-2)(1-3)で明らかにされたように、  
    任意の正の実数a任意の自然数nに対して、f−1(an)  { an  }

 つまり、任意の正の実数a任意の自然数nに対して、
 「anの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn』による逆像f−1(an) に属すのは、
   [0,∞)上に存在する1個の実数 
an
だけであって、

   [0,∞)上に存在する1個の実数 
an
のほかには、
   「anの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn』による逆像f-1(an)に属す実数
 は存在しない。

・したがって、 (1-2)(1-3)で明らかになったこの事実と、(3)から、
   任意の正の実数a,任意の自然数n に対して、a an
 となることがわかる。

[補足]

任意の正の実数a,任意の自然数n に対して、
     anは「正の実数aの『[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn 』による
  である。
  つまり、anf ( a)

累乗根の定義より、
  任意の正の実数a,自然数n に対して、 {
an }
 は、
  「正の実数anの『[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn 』による逆像f-1(an)

・つまり、ここでやっている操作は、
    「正の実数aの『[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn 』による
          の『[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn 』による逆像 
         f-1( f ( a) )
   をとることに他ならない。[→像の逆像] 
  [→赤攝也『実数論講義』§6.5定義6.5.3(pp.198)で指摘]

・一般には、「{a} f-1( f ( a) )」とはならないが、 
 『[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn 』は、[0,∞)の上への全単射なので、
      {a}  f-1( f (a) )
 となる[→像の逆像の性質]。

※「{a} f-1( f ( a) )」とはならない場合を確認したいならば、
  [0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn (nは自然数)の代わりに、
  「Rで定義された累乗関数y=f (x)=xn(nは偶数)を使えばよい。
  任意の正の実数a,任意の偶数n に対して、
    {a, -a} f-1( f ( a) )
  となることがわかるだろう。
  

→[累乗根の性質に戻る]





性質1

任意の正の実数a,b,自然数n に対して、
     ab
 = 

分数を指数とする累乗を用いて言い直すと、
 正の実数a,b,自然数n に対して、
      (ab)1/na1/n b1/n  
・つまり、「積の累乗根」と「累乗根の積」が一致するという意味で、
     積と累乗根の順序は入れ替え可能。
      





[文献−解析]
 ・赤攝也『実数論講義』§7.1補題(i)(p.205):証明つき。
 吉田栗田戸田『昭和63年3/31文部省検定済 高等学校基礎解析』啓林館、2章1指数の拡張(p.41):証明なし。いきなり「累乗根について次のことが成り立つ」.

 吉田栗田戸田『高等学校 数学I』2章2実数(p.53):平方根について。証明つき.




 

なぜ?

[step0:累乗関数と累乗根の性質の確認]


 ・任意の自然数n に対して、
  『[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn 』は、
       単射であって、[0,∞)値域とする。…(0-1)
 ・任意の正の実数y,任意の自然数n に対して、
  yは「『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn』の値域[0,∞)に属しているから
  (0-1)より、
  yの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn』による逆像 f-1(y)は、
    [0,∞)上に存在する1個の実数 
y
だけからなる。
        
     つまり、  y     [0,∞) であって、

           f−1(y)     {
y   }  …(0-2)  

  ・このことは、
   [0,∞)上に存在する1個の実数 
y
のほかに、
             f−1(y) に属す実数が、存在しない
   ことを意味している。              …(0-3) 


[左記step0の図解]
 

[step1:累乗関数と累乗根の性質からabの累乗根について言えること]


  ・実数 の積の正負の性質より、
      任意の正の実数a,bに対して、 ab>0    …(1-1) 

  ・(0-2)と、(1-1)より、
   任意の正の実数a,b任意の自然数nに対して、
     abの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn』による逆像 f-1(ab)は、
    [0,∞)上に存在する1個の実数 
ab
だけからなる。

     つまり、  ab     [0,∞) であって、

           f−1(ab)     {
ab   }   …(1-2)  

  ・このことは、
   [0,∞)上に存在する1個の実数 
ab
のほかに、
             f−1(ab) に属す実数が、存在しない
   ことを意味している。              …(1-3) 

[左記step1の図解]


[step2:指数法則から言えること]

 ・任意の正の実数a,b,自然数n に対して、
    (

)
n
(
 ) n
( b
) n   ∵指数法則3 
            =ab    ∵累乗根の性質0-1

 ・要するに、
   任意の正の実数a,b自然数n に対して (

)
n
ab …(2-1)

 ・このことは、
    任意の正の実数a,b自然数n に対して、
  
      a  
b  
の『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn』によるabであること

           f (

)
ab …(2-2)
  を意味する。

 [step3]

 ・任意の正の実数a,b自然数n に対して、
       (0-2)より、   ≧0、
 ≧0   …(3-1) 

 ・任意の正の実数a,b自然数n に対して、
     (3-1)と実数の積の正負の性質より、 
 ≧0   …(3-2) 

 ・このことは、
     
 が、[0,∞)上に存在するということ …(3-3) 
  を意味する。  


[左記step2〜step3の図解]





[step4:結論]

任意の正の実数a,b自然数n に対して、
   a  
b  
は、[0,∞)上に存在して、[∵(3-2)および(3-3)]
         「abの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn 』による逆像f−1(ab)に属す。[∵(2-2)]
・つまり、任意の正の実数a,b自然数n に対して、
        a  
b  
  [0,∞) 

        a  
b  
  f−1(ab) …(4) 

・ところが、(1-2)(1-3)で明らかにされたように、
    任意の正の実数a,b任意の自然数nに対して、 f−1(ab)     {
ab   }  。  
 つまり、任意の正の実数a,b任意の自然数nに対して、
       「abの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn 』による逆像f−1(ab)に属すのは、
                  [0,∞)上に存在する1個の実数 
ab
だけであって、 

       [0,∞)上に存在する1個の実数 
ab
のほかには、 
       「abの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn 』による逆像f−1(ab)に属す実数は存在しない。

・したがって、 (1-2)(1-3)で明らかになったこの事実と、(4)から、
     任意の正の実数a,b,自然数n に対して、  ab
 = 

 となることがわかる。


→[累乗根の性質に戻る]


性質2

正の実数a,b,自然数n に対して、
     n
a/b
 = 
n
a /
n b
     (a/b)1/n = (a1/n)/(b1/n)    
  

[文献]

 ・赤攝也『実数論講義』§7.1補題(ii)(p.205):証明なし。
 吉田栗田戸田『昭和63年3/31文部省検定済 高等学校基礎解析』啓林館、2章1指数の拡張(p.41):証明なし。いきなり「累乗根について次のことが成り立つ」.

性質3

・正の実数a,自然数n,m に対して、

m

 = 


     n
a
mn
a
分数を指数とする累乗を用いて言い直すと、
    (a1/n1/m  = a1/mn  

[文献]

 ・赤攝也『実数論講義』§7.1補題(iii)(p.205):証明つき。
 吉田栗田戸田『昭和63年3/31文部省検定済 高等学校基礎解析』啓林館、2章1指数の拡張(p.41):証明なし。いきなり「累乗根について次のことが成り立つ」.

なぜ?

[step0:累乗関数と累乗根の性質の確認]

 ・任意の自然数n に対して、
  『[0,∞)で定義された累乗関数y=f (x)=xn 』は、
       単射であって、[0,∞)値域とする。…(0-1)
 ・任意の正の実数y,任意の自然数n に対して、
  yは「『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn』の値域[0,∞)に属しているから
 (0-1)より、
 「yの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn』による逆像  
    f-1(y){x[0,∞)|yf (x)}
  は、
  [0,∞)上に存在する1個の実数 
y
だけからなる。

  つまり、
  任意の正の実数y,任意の自然数n に対して、
           y    [0,∞)であって、

           f−1(y)     {
y   }  …(0-2)  

 ・このことは、
   [0,∞)上に存在する1個の実数 
y
のほかに、
             f−1(y) に属す実数が、存在しない
   ことを意味している。              …(0-3) 








[step1:累乗関数と累乗根の性質からaの累乗根について言えること]

 ・任意の正の実数a任意の自然数m,nに対して、
          mn自然数になるから、(0-2)より、
  aの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xmn』による逆像
     f−1(a){x[0,∞)|a=f (x)}
  は、
  [0,∞)上に存在する1個の実数  mn
 だけからなる。

     つまり、  mn
  [0,∞) であって、

           f−1(a)     {
mn

a   }   …(1-2)  

 ・このことは、
   [0,∞)上に存在する1個の実数  mn
a
のほかに、
             f−1(a)  に属す実数が、存在しない
   ことを意味している。              …(1-3) 








[step2:指数法則から言えること]

 ・任意の正の実数a,自然数m,n に対して、

( m

) mn
 
     n
a



= (( m

) m
) n
 ∵指数法則2 
     n
a



     = (
n
a
)
n  ∵累乗根の性質0-1  
    =a   ∵累乗根の性質0-1  
 ・要するに、
   任意の正の実数a,自然数m,n に対して、 ( m

) mn
 = a …(2-1)
n
a

 ・このことは、
  任意の正の実数a任意の自然数m,n に対して  
    m

 の『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xmn』によるaであること
n
a

               f ( m

)  =a …(2-2)
n
a
 を意味する。







[step3]

 ・任意の正の実数a任意の自然数n に対して 
       (0-2)より、   ≧0
  …(3-1) 
 
 ・任意の正の実数a自然数m,n に対して、
  (0-2),(3-1)より、
       m

 ≧0       …(3-2) 
a

 ・このことは、
    ( m

) [0,∞)に存在するということ …(3-3)
n
a
  を意味する。

[step4:結論]


任意の正の実数a自然数m,n に対して、
   ( m

) は、[0,∞)に存在して、[∵(3-2)および(3-3)] 
n
a
 「aの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xmn 』による逆像f−1(a)に属す。[∵(2-2)]

・つまり、任意の正の実数a自然数m,n に対して、
     ( m

)  [0,∞)  
n
a
 
     ( m

)  f−1(a) …(4)
n
a


・ところが、(1-2)(1-3)で明らかにされたように、
  任意の正の実数a任意の自然数m,nに対して、f−1(a)   {
mn

a   }
 つまり、
  任意の正の実数a自然数m,n に対して、
   「aの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xmn 』による逆像f−1(a)に属すのは、
                    [0,∞)に存在する一個の実数  mn

a  だけであって、
   
    [0,∞)に存在する一個の実数  mn

a  のほかには、
          「aの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xmn 』による逆像f−1(a)に属す実数は存在しない。

・したがって、 (1-2)(1-3)で明らかになったこの事実と、(4)から、
  任意の正の実数a自然数m,n に対して、
        
m

 = 


     n
a
mn
a
  となることがわかる。



→[累乗根の性質に戻る]


→[トピック一覧:べき関数]
総目次


正の分数を指数とする累乗の定義、「『冪関数による像』の冪関数による逆像」としての「n乗のm乗根」

定義

・正の実数a,自然数m,自然数nに対して、
  「aの(m/n)乗am/n とは、「『amn乗根」のことを指す。
・すなわち、
    am/n=  am
 = (am)1/n 


am/nの性質:約分に対して不変 /am/n=(am)1/n=(a1/n)m  
 




[文献−解析]

 ・赤攝也『実数論講義』§7.1定理7.1.1-2;補題(pp.204-5):証明つき。
 吉田栗田戸田『昭和63年3/31文部省検定済 高等学校基礎解析』啓林館、2章1指数の拡張(p.42);.
 ・小平『解析入門I』§2.3-a) (p.89):有理数指数での表現。

【関連事項】

 ・拡張:正負の分数を指数とする累乗の定義/ 





解説

・そもそも、「am/n」が表す
     「『amn乗根 am 
 とは、どういった事態を指しているのだろうか?
 n乗根の定義まで遡って、捉えかえしてみると・・・

[step0:設定]

「『amn乗根 am 
 は、   
 二つの1変数関数
   ・[0,∞)で定義された冪関数y=f(x)=xm (mは自然数)のグラフ
   ・[0,∞)で定義された冪関数y=g(x)=xn (nは自然数)のグラフ 
 を設置した下記平面のなかで、考えることができる。

    n乗のm乗根の意味step0

[step1:設定]
   
「『amn乗根 am 
 における「正の実数a」とは、   
 この平面上、下記の「x軸上の点」で表される実数としよう。 


n乗のm乗根の意味step1 

[step2: amが指すこと]

 すると「『amn乗根 am 
 における  am は、   
  冪関数f によるaの像 f(a)であるから、
 下図のように、y軸上にプロットできる。


m乗のn乗根の意味step2

[step3: amn乗根が指すこと]



・「実数yn乗根 y 
 (nは自然数) とは、   
     正の実数yの『[0,∞)で定義された累乗関数y=g (x)=xn 』による逆像に唯一つ属す『正の実数
 を指す記号だった。

・すると「『amn乗根 am 
 (n,mは自然数) とは、   
     正の実数amの『[0,∞)で定義された累乗関数y=g (x)=xn 』による逆像に唯一つ属す『正の実数
 を指す記号だ、ということになる。

・ところが、step2で見たように、
  amは、冪関数f によるaの像 f(a)として、平面上にその位置を与えられたのだった。

・このことも加味すると、
 「『amn乗根 am 
 (n,mは自然数) とは、   
   『[0,∞)で定義された冪関数y=f(x)=xm によるaの像』の『[0,∞)で定義された冪関数y=g (x)=xn 』による逆像
      g-1( f(a) ) 
    に唯一属す『正の実数』に他ならない。

・したがって、
 「『amn乗根 am 
 (n,mは自然数) は、   
 下図のように、 g-1( f(a) ) に唯一属す『正の実数』として、x軸上にプロットできる。

・これが、「am/n」が表す「『amn乗根 am 
 の正確な事態である。 
 

m乗のn乗根の意味step3


→[トピック一覧:べき関数]
総目次

n乗のm乗根」「正の分数を指数とする累乗」の性質
  累乗根の以下の性質は、有理数指数の累乗、有理数指数の指数法則を基礎付ける。

1.

任意の正の実数a,任意の自然数m,n,tに対して、
      am
 = 
nt  amt

分数を指数とする累乗を用いて言い直すと、
  任意の正の実数a,任意の自然数m,n,tに対して、am/n = a (mt)/(nt)  
・つまり、
  正の分数を指数とする累乗は、
  指数として使われている分数の約分に関して不変。

なぜ?→証明 

[文献]

 ・赤攝也『実数論講義』§7.1定理7.1.1:証明つき。

2.

・正の実数a,自然数m,n,r,s に 対して、
   m/nr/s ならば、  am
 = 
s ar
分数を指数とする累乗を用いて言い直すと、
  任意の正の実数a,任意の自然数m,n,r,s に対して、
    m/nr/s ならば、  am/n = ar/s  
・つまり、
  正の有理数指数の累乗は、
  有理数の分数としての表し方によらず、一意。
なぜ? 
 ・1.より、任意の正の実数a,任意の自然数m,n,r,s に 対して、
        n
am
 = 
ns ams

        s
ar
 = 
sn arn
 ・任意の自然数m,n,r,s に 対して、m/nr/s ならば、ms=rn. 
 ・上記2点より、
  任意の正の実数a,任意の自然数m,n,r,s に 対して、   
   m/nr/s ならば、  n
am
 =
ns ams
 =
sn
arn  =
s ar


[n乗のm乗根の性質冒頭へ戻る] 





[文献−解析]

 ・赤攝也『実数論講義』§7.1定理7.1.2:1より証明。
 吉田栗田戸田『昭和63年3/31文部省検定済 高等学校基礎解析』啓林館、2章1指数の拡張(p.42):一例で説明。6.を使う
 ・小平『解析入門I』§2.3-a) (p.89):有理数指数での表現。指数法則を利用






3.

任意の正の実数a,任意の自然数m,nに対して、
      n
am
(
n a )
m
分数を指数とする累乗を用いて言い直すと、
 任意の正の実数a,任意の自然数m,nに対して、
   am/n = (am)1/n = (a1/n)m
・つまり、
 任意の正の実数a,任意の自然数m,nに対して、
   分数を指数とする累乗am/n は、  n
am
のみならず (
n a )
m
も表している。


[n乗のm乗根の性質冒頭へ戻る] 






[文献−解析]

 ・赤攝也『実数論講義』§7.1補題(iv)(p.205):証明つき。
 吉田栗田戸田『昭和63年3/31文部省検定済 高等学校基礎解析』啓林館、2章1指数の拡張(p.41):証明なし。いきなり「累乗根について次のことが成り立つ」





なぜ?

[step0:累乗関数と累乗根の性質の確認]

 ・任意の自然数n に対して、
  『[0,∞)で定義された累乗関数y=f(x)=xn 』は、
       単射であって、[0,∞)値域とする。…(0-1)
 ・任意の正の実数y,任意の自然数n に対して、
  yは「『[0,∞)で定義されたy=f(x)=xn』の値域[0,∞)に属しているから
  (0-1)より、
  yの『[0,∞)で定義されたy=f(x)=xn』による逆像 f-1(y){x[0,∞)|yf (x)}は、
    [0,∞)上に存在する1個の実数 
y
だけからなる。

  つまり、
  任意の正の実数y,任意の自然数n に対して、
           y    [0,∞)であって、

           f−1(y)     {
y   }  …(0-2) 

 ・このことは、
   [0,∞)上に存在する1個の実数 
y
のほかに、
             f−1(y) に属す実数が、存在しない
   ことを意味している。              …(0-3) 











[step1:累乗関数と累乗根の性質からamの累乗根について言えること]


 ・任意の正の実数a,任意の自然数mに対して、amaaa>0 …(1-1)
      ∵ a>0であって、amaaaだから、実数 の積の正負の性質より。

 ・(0-2)と(1-1)より、
   任意の正の実数a任意の自然数nに対して、
     「amの『[0,∞)で定義されたy=f(x)=xn』による逆像
      f−1(am){x[0,∞)|am=f(x)}
    は、
    [0,∞)上に存在する1個の実数 
am
だけからなる。

     つまり、  am    [0,∞) であって、

           f−1(am)     {
am   }   …(1-2)  

 ・このことは、
   [0,∞)上に存在する1個の実数 
am
のほかに、
             f−1(am)  に属す実数が、存在しない
   ことを意味している。              …(1-3) 
                

[step2:指数法則から言えること]

 ・任意の正の実数a,任意の自然数m,nに対して、
       ((
)
m
) n
  

      = (
n a )
mn
 
指数法則2

      = ((
n a )
n ) m  指数法則2  
       =am        ∵累乗根の性質0
 ・要するに、  ((
)
m
) n
 =am …(2-1)

 ・このことは、
  任意の正の実数a,任意の自然数m,nに対して、
    (
)
m
 の『[0,∞)で定義されたy=f(x)=xn』によるamであること 

                 f(
(
)
m
)  =am     …(2-2) 
  を意味する。

[step3]

 ・任意の正の実数a任意の自然数n に対して 
       (0-2)より、   ≧0
  …(3-1) 

 ・(3-1)と実数 の積の正負の性質より、
  任意の正の実数a,任意の自然数m,nに対して、  (
)
m
 ≧0 …(3-2)

 ・このことは、
  任意の正の実数a,任意の自然数m,nに対して、  (
)
m
 が[0,∞)に存在する…(3-3)
  ということを意味する。






[step4:結論]

 ・任意の正の実数a任意の自然数m,nに対して、 (
)
m
 は、[0,∞)に存在して、[∵(3-2),(3-3)]
                                「amの『[0,∞)で定義されたy=f(x)=xn』による逆像f−1(am) に属す[∵(2-2)]

 ・つまり、任意の正の実数a任意の自然数m,nに対して、
            (
)
m
   [0,∞)であって、

            (
)
m
   f−1(am)      …(3)
 
 ・ところが、(1-2)(1-3)で明らかにされたように、 
    任意の正の実数a任意の自然数m,nに対して、f−1(am)   {
am   }

  つまり、任意の正の実数a任意の自然数m,nに対して、
  「amの『[0,∞)で定義されたy=f(x)=xn』による逆像f−1(am)に属すのは、
   [0,∞)上に存在する1個の実数 
am
だけであって、

   [0,∞)上に存在する1個の実数 
am
のほかには、
   「amの『[0,∞)で定義されたy=f (x)=xn』による逆像f-1(an)に属す実数
 は存在しない。

・したがって、 (1-2)(1-3)で明らかになったこの事実と、(3)から、
   任意の正の実数a任意の自然数m,n に対して、  am (
a )
m
 となることがわかる。


[n乗のm乗根の性質冒頭] 



[以下は、初期の草稿]
なぜ?
 [step0:設定の把握]
  左辺  n
am
 (a:正の実数,m,n:自然数) は、 
   a, am に対して、
  下図のように、関係づけられた(→「『am乗』のn乗根」の説明)。

 [step1]
   累乗根の性質0より、
   任意の正の実数a,任意の自然数nに対して、a (
n a )
n


 [step2]
  任意の正の実数a,任意の自然数m,nに対して、
  am ((
n a )
n
) m
step1

    = (
n a )
mn
 
指数法則2

    = ((
n a )
m
) n
指数法則2

 [step3]
  任意の正の実数a,任意の自然数m,nに対して、
  n

      n
am
((
n a )
m
)
n      ∵step2

         (
n a )
m
 ∵累乗根の性質0




→[n乗のm乗根」「分数を指数とする累乗」の性質へ戻る]






1の証明


証明したい命題の確認
 ・正の実数a,自然数m,n,tに対して、
      am
 = 
nt  amt
 ・つまり、正の実数a,自然数m,n,tに対して、am/n = a (mt)/(nt)   
  
step0 : 設定の把握

 左辺  am
 (a:正の実数,m,n:自然数) は、 
 a, am に対して、
 下図のように、関係づけられた(→「『am乗』のn乗根」の説明)。

[文献]

 ・赤攝也『実数論講義』§7.1定理7.1.1:証明つき(p.204)。


※拡張:mが負の整数であるケース 





step1:

 ここで、  am
 (a:正の実数,m,n:自然数) を、bで表すことにする。 

 つまり、b =   am
 (a:正の実数,m,n:自然数)…(1)



m乗のn乗根の公式1



step2:
 すると、n乗根の定義より、
 (1)のもとで、am=bn (a:正の実数,m,n:自然数) が成立する…(2)


「m乗のn乗根」公式1



step3:
 ・am=bn ならば任意の自然数tに対して、 amt=bnt 。(∵指数法則2'
 ・したがって、step2より、
  (1)のもとで、amt=bnt (a:正の実数,m,n,t:自然数) が成立することになる。…(3)






step4:
 ・累乗根の定義により、
    amt=bnt ならば   b = 
nt  amt

 ・したがって、step3より、
     (1)のもとで、   b = 
nt  amt   が成立することになる。…(4)







step5:
 
 (4)より、b =   am
のもとで、bnt 
amt が成立するというのだから、
 
 b =   am
 のもとで、
 
    b =   am
= nt 
amt

 である。
 つまり、正の実数a,自然数m,n,tに対して、
      am
 = 
nt  amt





→[n乗のm乗根」「分数を指数とする累乗」の性質へ戻る]




→[トピック一覧:べき関数]
総目次

自然数指数の冪関数(累乗関数)と全単射
(-∞,∞)で定義された冪関数について、単射/全射/全単射を検討 
[  0,∞)で定義された冪関数について、単射/全射/全単射を検討 
(-∞, 0)で定義された冪関数について、単射/全射/全単射を検討 
※定義の確認→自然数指数の冪関数//1変数関数が単射/全射/全単射 
※具体例→y=xについて/y=x2について/y=x3について
※一般化→有理数指数の冪関数について/実数指数の冪関数について

(-∞,∞)で定義された自然数指数の冪関数について、単射/全射/全単射を検討

 → 単射の検討 〜 (-∞,∞)で定義された自然数指数の冪関数について。
 → 全射の検討 〜 (-∞,∞)で定義された自然数指数の冪関数について。
 →全単射の検討 〜 (-∞,∞)で定義された自然数指数の冪関数について。
 →自然数指数の冪関数全般の単射/全射/全単射の検討に戻る


(−∞,∞で定義された自然数指数の「べき関数」とは?



y=x  
         


べき関数のグラフ(指数を自然数に限定)


[単射の検討〜(-∞,∞)で定義された自然数指数の冪関数について]
R(−∞,∞で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」 
     y=f (x)=xa  (aは自然数)
 は、
   aが奇数ならば 単射
   aが偶数ならば 単射にならない。 


な ぜ?
 ・aが奇数ならば
    
y=f (x)=xa(−∞,+∞)で狭 義単調となって、
    下図をいじるとわかるように、
    ど のように、実数yを 選んでも、実数yfによる逆像 f−1(y)は 「1個の実数」
    となるから、単射[→狭義単調ならば単射]。   


y=f(x)=x による y= 逆像 f-1(  )

[図]
   べき関数による逆像


  ・「y=f (x)=xa」 のaが偶数な らば
   下図をいじるとわかるように、
   
任意の正の実数yに対して、実数yfによる逆像 f−1(y)は 「2個の実数」からなるので、
   y=f (x)=xa は、単射の 定義を満たさない。
  


y=f(x)=x による y= 逆像 f-1(  )

[図]
   べき関数による逆像

 
[全射の検討〜(-∞,∞)で定義された自然数指数の冪関数について]
R(−∞,∞で定義された「べき関数」「累乗関数」 
     y=f (x)=xa  (aは自然数)
 は、
   aが奇数ならばRの上への全射値域R(−∞,∞だから)。
   aが偶数ならばRの上への全射ではないが、
          
[0,∞)の上への全射ではある。 






[全単射の検討〜(-∞,∞)で定義された自然数指数の冪関数について]
R(−∞,∞で定義された「べき関数」「累乗関数」 
     y=f (x)=xa  (aは自然数)
 は、
   aが奇数ならば Rの上への全単射
            (
(−∞,+∞)狭義単調値域R(−∞,∞だから)。
   aが偶数ならば全単射でない(単射にならない)。



[0,∞)で定義された自然数指数の冪関数について、単射/全射/全単射を検討

 → 単射の検討 〜 [0,∞)で定義された自然数指数の冪関数について。
 → 全射の検討 〜 [0,∞)で定義された自然数指数の冪関数について。
 →全単射の検討 〜 [0,∞)で定義された自然数指数の冪関数について。
 →自然数指数の冪関数全般の単射/全射/全単射の検討に戻る

[単射の検討〜[0,∞)で定義された自然数指数の冪関数について]

[0,∞)で定義された「べき関数」「累乗関数」 
     y=f (x)=xa  (aは自然数)
 は、aが奇数でも偶数でも、 単射になる





【文献】

 ・上野健爾『岩波講座現代数学への入門7-8:代数入門1』定理2.35(pp.67-68)。
 ・加藤十吉『微分積分学原論』命題3.5(p.28)









な ぜ?→  [0,∞)で定義された「y=f (x)=xa (aは 自然数)」[0,∞)狭 義単調だから、
      下図をいじるとわかるように、
      ど のように、実数yを 選んでも、
         ・実数yfによる逆像 f−1(y)が 「1個の実数」からなる
         または
         ・実数yfによる逆像 f−1(y)空集合 
      よって、
[0,∞)で定義された「y=f (x)=xa (aは自然数)」単射[→証明「狭義単調ならば単 射」]。
  


y=f(x)=x によるy= 逆像 f-1(  )
[図]


    
   べき関数による逆像
[全射の検討〜[0,∞)で定義された自然数指数の冪関数と]

[0,∞)で定義された「べき関数」「累乗関数」 
     y=f (x)=xa  (aは自然数)
 は、aが奇数でも偶数でも、Rの上への全射ではないが、
          [0,∞)の上への全射ではある。

[全単射の検討〜[0,∞)で定義された自然数指数の冪関数と]

[0,∞)で定義された「べき関数」「累乗関数」 
     y=f (x)=xa  (aは自然数)
 は、aが奇数でも偶数でも、[0,∞)の上への全単射Rの上への全単射ではない)




(−∞,0]で定義された自然数指数の冪関数について、単射/全射/全単射を検討

 
[単射の検討]

(−∞,0]で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」 
     y=f (x)=xa 
 は、aが奇数でも偶数でも、 単射になる((−∞,0]狭義単調だから[→証明])。

[全射の検討]

(−∞,0]で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」 
     y=f (x)=xa 
 は、
   aが奇数ならばRの上への全射ではないが、(−∞,0]の上への全射  
   aが偶数ならばRの上への全射ではないが、[0,∞)の上への全射

[全単射の検討]

(−∞,0]で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」 
     y=f (x)=xa 
 は、
   aが奇数ならば(−∞,0]の上への全単射Rの上への全単射ではない
   aが偶数ならば[0,∞)の上への全単射Rの上への全単射ではない



→[トピック一覧:べき関数]
総目次


自然数指数の冪関数(累乗関数)の逆関数
べき根radical root(累乗根)の定義


 →(−∞,∞)で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」について
 →[0,∞)で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」について


[1]

(−∞,∞)で定義された自然数指数の「べき関数」の逆関数について。

[ベキ関数の逆関数の存在]

R(−∞,∞で定義された自然数指数の「べき関数」 
     f (x)=xn  (nは自然数)
 の逆関数は、
  ・nが奇数ならば存在する。
  ・
nが偶数ならば存在しない。

なぜ?
 
nが奇数ならば
    f (x)=xnは、R(−∞,∞狭義単調関数であるから()、
    
単射となって、(
    逆関数の存在が保証される
  実際、

[文献-タイプA:[0,∞)で定義されたべき関数による逆像が累乗根]

 ・小平『解析入門I』§2.3-a) (p.89);「巾関数」
 ・ 松坂『解析入門1』3.2E-例(p.113):n乗根関数(n乗根の定義)も。
 ・赤攝也『実数論講義』§6.5定義6.5.3(p.197):。
 ・黒田『微分積分学』3.3.4-例3.18(p.107);

[文献-タイプB:Rで定義されたべき関数による逆像が累乗根]

 ・『基礎解析』p.40.
 ・『岩波数学入門辞典』平方根(p.543)べき根(p.546)
1変数関数の「逆関数(の存在)」定義
※自然数指数の冪関数の逆関数の具体例:y=x3/y=x2/y=x/定数値関数 
※一般化された冪関数の逆関数:   

y=x

  のグラフは、下図のようになる。
   べき関数のグラフ(指数を自然数に限定)
 nが偶数な らば
   f (x)=xn単射にならないから、逆関数は存在しない
   実際、
y=x

   のグラフは、下図のようになる。
   べき関数のグラフ(指数を自然数に限定)


[ベキ関数の逆関数の定義域]

 ・R(−∞,∞で定義された自然数指数の「べき関数」f (x)=xn  のnが奇数であるとき(つまり、f逆関数が存在するとき)、
 「f (x)=xn」の値域は、R(−∞,∞だから、
 「f (x)=xnnは奇数)」の逆関数 x=f-1(y)は、R(−∞,∞で定義される。

[ベキ関数の逆関数の表記]

 ・R(−∞,∞で定義された自然数指数の「べき関数」 f (x)=xnnが奇数であるとき(つまり、f逆関数が存在するとき)、
 「実数yの『f (x)=xn 逆関数』による」すなわち、「実数yの『f (x)=xnによる逆像」 f-1(y) は、
  記号   y 
 または、 y1/n     
  で表される。
 ・したがって、 R(−∞,∞で定義されたf (x)=xnnは奇数)」の逆関数 x=f-1(y) は、 
    x=f-1(y)  y   または、x=f-1(y)y1/n  
  と、表されることになる。

[逆関数のグラフ]

・ 「Dで定義された1変数関数y=f(x)の逆関数」xf -1 (y)=『yの式』
  について、x,yを入れ替えて
     y =『xの式』
  という形にするのが慣例。
  この慣例にしたがうと、
  
R(−∞,∞で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」 「f (x)=xnnは奇数)」の逆関数 は、
  y=  x 
  となる。
R(−∞,∞で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」 「f (x)=xnnは奇数)」の逆関数 のグラフは、
 x,yを入れ替えず、
     x=  y 
 と表した場合、「f (x)=xnnは奇数)のグラフ」と同一(見方を逆にするだけ)、
 x,yを入れ替えて、
     y=  x 
 と表した場合、直線y=xについて、「f (x)=xnnは奇数)のグラフ」と線対称になる。

 [図]
 

[2]

[0,∞)で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」について。

[逆関数の存在]

[0,∞)で定義された自然数指数の「べき関数」f (x)=xn  (nは自然数)」の逆関数は、
  nが奇数でも偶数でも、存在する。
なぜ?
  [0,∞)狭義単調だから、単射になって逆関数の存在が保証される


  実際、[0,∞)で定義された自然数指数の「べき関数」
y=x

  のグラフは、下図のようになる。

[0,∞)で定義されたべき関数のグラフ(指数を自然数に限定)

[逆関数の定義域]

[0,∞)で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」f (x)=xn  (nは自然数)」の値域は、[0,∞)だから、
 「f (x)=xn(nは自然数)」の逆関数 x=f-1(y)は、[0,∞)で定義される。

[逆関数の表記]

 ・「正の実数yの『[0,∞)で定義されたf (x)=xn 逆関数』による
      すなわち、「正の実数yの『[0,∞)で定義されたf (x)=xnによる逆像」 f-1(y) 
    
  は、記号   y 
 または、 y1/n   で表される。  
 ・したがって、
  [0,∞)で定義されたf (x)=xn逆関数 x=f-1(y) は、 
    x=f-1(y)  y 
 または、x=f-1(y)y1/n  
  で表される。

[逆関数のグラフ]

[0,∞)で定義された自然数指数の「べき関数」「累乗関数」f (x)=xn(nは自然数)」の逆関数 のグラフは、
 
 x,yを入れ替えず、
     x=  y 
  と表した場合、「y=f (x)=xn (nは自然数)のグラフと同一(見方を逆にするだけ)、
  x,yを入れ替えて、
     y=  x 
  と表した場合、直線y=xについて、「y=f (x)=xn (nは自然数)のグラフ」と線対称になる。

 [図]



→[トピック一覧:べき関数]
総目次

自然数指数の冪関数(累乗関数)の極限
   ・R(−∞,∞で定義された「べき関数」 f (x)=xa (aは自然数) は、
    どんな実数x0に対しても、 f(x) x0a (xx0)


なぜ?
 [step1]
 ・y=f1(x)=xの極限の性質より、
  y=f1(x)= xは、
  どんな実数x0に対しても、 f1(x)x0 (xx0)。
 [step2]
 ・「関数どおしの積」の極限は、「関数の極限」どおしの積となるという定理と、
  step1で得られた「f1(x)の極限値」より、
    f1(x)2x02 (xx0)
 ・したがって、f 2(x)=f1(x)2= x2は、
    どんな実数x0に対しても、 f2(x)x02(xx0) 。
 [step3]
  ・「関数どおしの積」の極限は、「関数の極限」どおしの積となるという定理と、
    step1で得られた「f1(x)= xの極限値」,
    step2で得られた「f2(x)= x2の極限値」より、
   f 3(x)=f1(x)f2(x)= x3は、
    どんな実数x0に対しても、 f3(x)x03(xx0) 。
 [step4]
  ・「関数どおしの積」の極限は、「関数の極限」どおしの積となるという定理と、
    step1で得られた「f1(x)= xの極限値」,
    step3で得られた「f3(x)= x3の極限値」より、
   f 4(x)=f1(x)f3(x)= x4は、
    どんな実数x0に対しても、 f4(x)x04(xx0) 。
  :
 [step a]
  ・「関数どおしの積」の極限は、「関数の極限」どおしの積となるという定理と、
    step1で得られた「f1(x)= xの極限値」,
    step(a-1)で得られた「fa-1(x)= xa-1の極限値」より、
   f a(x)=f1(x)fa-1(x)= xaは、
    どんな実数x0に対しても、 fa(x)x0a(xx0) 。
 





【文献−解析】

 ・赤攝也『実数論講義』§6.3例4(p.176):
      連続性を、直接「ε-δ論法」から証明したもののなかで。
 ・吉永『初等解析学:実数+イプシロンデルタ+積分』例3.1.5(p.109):
     ・多項式関数一般に関して。
     ・定数関数の極限f(x)=xの極限と、関数の極限の和積による証明つき。
 ・黒田『微分積分学』3.3.2-例3.16(p.102):「任意の多項式はRで連続」。
  ・証明として、
   定数関数とf(x)=xがRで連続だから、連続関数の和差積・定数倍も連続関数より。

【関連事項】


 ・1変数関数の極限定義
 ・1変数関数の具体例の極限:
   定数値関数/y=x/比例/一次関数/反比例/二次関数/べき関数
   指数関数/対数関数/絶対値関数/三角関数/ガンマ関数






→[トピック一覧:べき関数]
総目次


自然数指数の冪関数(累乗関数)の連続性
  R(−∞,∞で定義された「べき関数」 f (x)=xa (aは自然数) は、
     R(−∞,∞上の連続関数

なぜ?
 ・f (x)=xaという定義より、どんな実数x0に対しても、f(x0)=x0a
 ・f (x)=xaの極限の性質より、どんな実数x0に対しても、f(x) x0a (xx0)
 ・以上二点より、どんな実数x0に対しても、 f(x)f(x0) (xx0) 
  つまり、R(−∞,∞で定義された「べき関数」 f (x)=xa (aは自然数) は、
         どんな実数x0においても、連続性の定義を満たす。
  したがって、
   R(−∞,∞で定義された「べき関数」 f (x)=xa (aは自然数) は、
     R(−∞,∞上の連続関数。   
 

[文献-自然数を指数とするべき関数]

 ・赤攝也『実数論講義』§6.5定理6.5.1(p.187):。

[以下未確認]
 ・黒田『微分積分学』3.3.2-例3.16(p.102):「任意の多項式はRで連続」。
   →証明:定数値関数の連続性y=f(x)=xの連続性連続関数の和積定数倍も連続
 ・吉永『初等解析学:実数+イプシロンデルタ+積分』例3.2.7(p.115):多項式一般。
        ・証明:多項式関数の極限の性質より。
 ・小林昭七『微分積分読本:1変数』第2章-1(p.38):多項式一般。証明:
   →証明:定数値関数の連続性y=f(x)=xの連続性連続関数の和積も連続
 
1変数連続関数の定義
※1変数関数の具体例の連続性:
   定数値関数/y=x/比例/一次関数/反比例/二次関数/べき関数
   指数関数/対数関数/絶対値関数/三角関数/ガンマ関数


→[トピック一覧:べき関数]
総目次


reference

高木貞治『解析概論改訂第3版』岩波書店、1983年、pp.105-108;
和達三樹『理工系の数学入門コース1・微分積分』岩波書店、1988年、pp.20-21。
青本和彦『岩波講座現代数学への入門:微分と積分1』岩波書店、1995年、p.84:高階導関数、p.93:凸性、p.110:原始関数。
黒田成俊『21世紀の数学1:微分積分学』共立出版株式会社、2002年、pp.171-173。
住友洸『大学一年生の微積分学』現代数学社、1987年、p.122.
吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年。pp.115-6.