1変数一次関数y=ax+bの諸属性 :トピック一覧   
グラフ/増減/値域/単射/全射/全単射/逆関数/極限/連続/ 凹凸

1変数関数の具体例:y=x / y=x2/ y=x3 / y=1/x  → 自然数指数の冪関数/整数指数のべき関数/有理数指数のべき関数/実数指数のべき関数
           定数値関数/比例/二次関数/三次関数多項式関数  
           指数関数/対数関数 
           絶対値関数/三角関数 /ガンマ関数
1変数関数に関する諸概念の定義:1変数関数一般の定義/極限/連続性/微分/定積分/広義積分/スチルチェス積分
関数定義関連ページ:2変数関数/n変数関数/実数値関数一般/ベクトル値関数/写像一般
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1変数一次関数 linear function y=f(x)= ax+b 

定義

・「1変数関数y=f (x)1次関数である」とは、
 定数a,bを用いて、y=f (x)を、
   y=f (x)= ax+b
 と表せることをいう。 

[文献]

 中学校で習う。
 あえて、文献をあげると、
 ・『解析演習ハンドブック1変数関数編』1.1.13(p.4)
 ・小島寛之『ゼロから学ぶ微分積分』1.1(pp.2-6)
 ・竹之内『経済・経営系数学概説』1.1(pp.14-9)
 ・小林昭七『微分積分読本:1変数』3章1(p.100)
 ・松坂『解析入門1』3.1-C(p.99)

グラフ

y=ax+bグラフは、「R2上の直線」であって、
 ・(0,b)で、y軸と交差し、
 ・「xの増分1に対して、yの増分a」という一定不変の「傾き」をもつ。 


(例)
 y= x+ のグラフは、下図の通り。

一次関数のグラフ



・図の通り、
 1変数一次関数y=f (x)= ax+bグラフは、
  (0,b)を通り、「xの増分1に対して、yの増分a」という一定の傾きをもつ
 「R2上の直線」となる。

・しかし、だからといって、
 逆に、すべての直線を、1次関数y=f (x)= ax+b のグラフとして、表せるわけではない。
 y軸に平行な直線は、1次関数y=f (x)= ax+b のグラフとして、表せない。
 ∵すべての直線は、
    定数s, tに対して、sx+ty+u=0を満たす(x, y) 
       { (x,y) | sx+ty+u=0} 
    として表せる。
  t≠0の時は、
   sx+ty+u=0を満たす(x,y)とは、y=-(s/t) x- u/tを満たす(x,y)であるから、
   { (x,y) | sx+ty+u=0}として表せる直線は、{ (x,y) | y=-(s/t) x- u/t }として表せる直線であり、
   したがって、一次関数y=f(x)=-(s/t) x- u/tのグラフとして表せる。
  ところが、
  t=0の時は、sx+ty+u=0は、sx+u=0となって、これを、x =- u/sと表現できても、y=ax+bの形に表すことはできない。
  したがって、
  { (x, y) | sx+ty+u=0}で表される直線について、t=0である場合、
  すなわち、{ (x,y) | x=- u/s }で表されるy軸に平行な直線は、 
  1次関数y=ax+b のグラフとして、表せない。[杉浦『解析入門』U§1例12(p.86)参照]

・だから、関数y=g(x)の接線のすべてを、
 1次関数y=f(x)=ax+b として表せるわけではなく、
 したがって、関数y=g(x)に接線をただひとつ引けても、
 その接線が、1次関数y=f(x)=ax+b として表せない接線である場合、
 微分可能の定義を満たさない、といったことが生じてくる。
  [微分係数・導関数]
微分係数は、どこでも、a。したがって、導関数f'(x)=a .
 
  積分  



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一次関数y= f(x)=ax+b の増減
  1変数一次関数y=f (x)= ax+bは、(−∞,+∞)広義単調関数
 ・a>0ならば(−∞,+∞)狭義単調増加関数    
 ・a<0ならば(−∞,+∞)狭義単調減少関数  
 (以上二点をまとめると、a≠0ならば(−∞,+∞)狭義単調関数) 
 
a=0ならば(−∞,+∞)y=f (x)は、bのまま一定不変である(→定数値関数
   (だから、狭義単調関数ではないが、広義単調とはいえる。)。
・下図をいじって、確かめることができる。 

 [文献]

 ・松坂『解析入門1』3.1-D(p.99)

(図) y= x+ のグラフ

一次関数のグラフ



 


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  1変数一次関数の値域
  R(−∞,∞で定義された1変数一次関数y=f (x)= ax+b値域は、
   a≠0ならば R(−∞,∞ 
   a=0ならば {b}  

[文献]


値域の定義

1変数一次関数は、非有界
  R(−∞,∞で定義された1変数一次関数y=f (x)= ax+ba≠0)は、
          a≠0ならば上にも下にも有界でない
          a=0ならば 有界

[文献]


有界の定義



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 y=f(x)= ax+b と全単射
  R(−∞,∞で定義された1変数一次関数y=f (x)= ax+bは、
   a≠0ならば 単射((−∞,+∞)狭義単調だから)。
   a=0ならば 単射にならない(f (x)=bを満たすxが複数個あるから)。 
R(−∞,∞で定義された1変数一次関数y=f (x)= ax+bは、
   a≠0ならば Rの上への全射値域R(−∞,∞だから)。
   a=0ならば Rの上への全射ではない値域{b}だから)。
R(−∞,∞で定義された1変数一次関数y=f (x)= ax+bは、
   a≠0ならば Rの上への全単射となる。

[文献]

 ・笠原皓司『微分積分学』1.4例1(p.23)
 ・『解析演習ハンドブック1変数関数編ex1.1.12-(i)(p.11)




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一次関数 y=f(x)=ax+b の極限
  R(−∞,∞で定義された1変数関数y=f (x)= ax+ba≠0)は、
    どんな実数x0に対しても、 f(x)ax0+b (xx0) 
なぜ?
   ・比例関係を表す関数y=g(x)=axの極限の性質より、
          y=g(x)= axは、
     どんな実数x0に対しても、 g(x)ax0 (xx0)。
   ・定数関数y=h(x)=bの極限の性質より、
          定数値関数y=h(x)= bは、
     どんな実数x0に対しても、 h(x)b (xx0)。
   ・「関数和」の極限は、「関数の極限」の和となるという定理と、
    上記で得られた「g(x)の極限値」「h(x)の極限値」より、
           {g(x)h(x)} ax0b (xx0)
   ・したがって、f (x)= ax0b=g(x)h(x)は、
    どんな実数x0に対しても、 f(x)ax0b (xx0) 。

[文献]

 ・吉田栗田戸田『平成元年3/31文部省検定済 高等学校微分・積分』2章-1(p.29):
     証明なしに、
      「整式、分数式、無理式で表される関数や、
       sinx,cosx,tanx,2x,log2xなどの関数では、
       その定義域の任意の値aに対して、f(x)f(a) (xx0)」
 ・吉永『初等解析学:実数+イプシロンデルタ+積分』例3.1.5(p.109):
     ・多項式関数一般に関して。
     ・定数関数の極限f(x)=xの極限と、関数の極限の和積による証明つき。


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一次関数y= f(x)=ax+b の連続性
  R(−∞,∞で定義された1変数一次関数y=f (x)= ax+bは、
     R(−∞,∞上の連続関数
※なぜ?
  以下、三点から。
   ・比例関数の連続性より、y=g(x)= axは、R(−∞,∞上の連続関数
   ・定数値関数の連続性より、y=h(x)= bは、R(−∞,∞上の連続関数
   ・連続関数の和も連続関数となるから、
    上記二点より、g (x)+h(x)=f (x)= ax+bも、R(−∞,∞上の連続関数

 

[文献]

 ・和達『微分積分』p.37:多項式関数の連続性の一環として。
 ・吉永『初等解析学:実数+イプシロンデルタ+積分』例3.2.7(p.115):多項式一般に。
        ・証明:多項式関数の極限の性質より。

1変数連続関数の定義
※1変数関数の具体例の連続性:
   定数値関数/y=x/比例/一次関数/反比例/二次関数/べき関数
   指数関数/対数関数/絶対値関数/三角関数/ガンマ関数


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 y=f(x)= ax+b の逆関数
  R(−∞,∞で定義された一次関数y=f (x)= ax+b逆関数は、a≠0ならば存在する。
  ※なぜ?a≠0ならばy=f (x)= ax+bは、R(−∞,∞狭義単調関数であるから()、
               「
f :RR」は全単射となって、 
               逆関数の存在が保証される
a≠0のとき、R(−∞,∞で定義された一次関数y=f (x)= ax+b逆関数は、
    y=g(x)= x/a−b/a 
  ※なぜ?
   step1: y= ax+bを逆に解いて、x= y/ab/a
      (詳しく言うと、両辺からbを引いて、両辺をaで割って、左辺右辺入替る)  
      ここで、関係としてみると、x=f-1(y)=y/ab/a となっている
   step2:慣例にしたがって、「x=y/ab/a 」のxyを入れ替えると、
         y= x/a−b/a
      これを、y=f (x)= ax+b逆関数 y=g(x)として、提示すればよい。
a=0のとき、R(−∞,∞で定義された一次関数y=f (x)= ax+b逆関数は存在しない。
         →定数値関数の逆関数  

[文献:一次関数一般に関して]


 ・和達『微分積分』2-1例題2.1(p.18)
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学』2.1-X(p37)

[文献:一次関数の具体例に関して]

 ・『解析演習ハンドブック1変数関数編ex1.1.12-(i)(p.11):f(x)=5x-2
 ・小林昭七『微分積分読本:1変数』2章3.(pp.54-55;pp.56-8):f(x)=2x-1
 ・啓林館『昭和62年3/31検定済 高等学校 数学I 新訂版』5章6(pp.142-3):f(x)=-2x+30,f(x)=-3x+12,
 ・笠原皓司『微分積分学』1.4例1例7(p.24):f(x)=2x-3
1変数関数の「逆関数(の存在)」定義
※1変数関数の具体例の「逆関数(の存在)」について:
   定数値関数/y=x/比例/一次関数/反比例/二次関数/べき関数
   指数関数/対数関数/絶対値関数/三角関数/ガンマ関数
グラフ


[逆関数のグラフ!→松坂―記号入替なし。記号入替―数学T]



 疑問:(でも、これは、逆関数をとった結果というよりは、
       記号x,yを入れ替えた結果にすぎないのではないの?)



 


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 y= ax+b の導関数



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