ベクトル値関数の連続性トピック一覧  

 ・連続性の定義点での連続性/点集合上連続/連続関数/一様連続性 
 
連続関数の性質多変数関数の連続性への言い換え/開集合の逆像への言い換え/点列の収束への言い換え 
 
連続関数一般の性質ベクトル値関数のベクトル和の連続性/スカラー倍の連続性/合成関数の連続性 
 
有界閉集合上の性質連続関数による有界閉集合の像は有界閉集合/有界閉集合上連続な関数は有界/
            関数f (x)を有界閉集合D上で連続とすると、fDにおいて一様連続
 
連結な集合上の性質連続関数の連結不変性  

 ※ベクトル値関数の諸概念:ベクトル値関数の定義と諸属性/極限/極限の性質/連続性/ 
 ベクトル値関数の連続性の具体例:1変数関数の連続性/ 2変数関数の連続性/ n変数関数の連続性/ 
 ベクトル値関数の連続性の一般化:距離空間上の写像/位相空間上の写像 
 
総目次

定義:ベクトル値関数が点Aで連続

はじめに
読むべき
定義

ベクトル値関数  ( y1 ,y2 , , ym )=f ( x1 , x2 , , xn )は、
  
( a1 , a2 , , an )連続continuousである」
 とは、
 次の
3条件がすべて満たされることを言う。
 
(1) f (a1,a2,,an) が定義されていること
 
(2) ( x1 , x2 , , xn ) ( a1 , a2 , , an )で、
        
f (x1 , x2 , , xn)収束すること。
   つまり、   
     

   が存在すること。 
 
(3) ( x1 , x2 , , xn ) ( a1 , a2 , , an )で、
    
f (x1 , x2 , , xn) f (a1 , a2 , , an) 
   となること。
     

     が成立すること。
上記条件の一つでも満たされていないとき、
 
f A不連続であるdiscontinuous
 ないしは、
f A(a1,a2,,an)不連続であるという。


cf
.点集合上連続/一様連続性

[具体例]1変数関数の連続性/2変数関数の連続性/多変数関数の連続性 

[一般化]距離空間上の写像/位相空間上の写像

[文献]
杉浦『
解析入門I』定義5(p.55-56);
斉藤『数学の基礎:集合・数・位相3.4.16 (p.90);
木『解析概論10連続函数(p.26)

設定

厳密には、「ベクトル値関数 f A連続」の定義は、
以下の手順で設定された舞台上でなされる。
Step1 n次元空間Rn m次元空間Rmを用意する。
    
* n次元空間Rnとは、
      
実数n個並べた組 (x1,x2,,xn ) をすべてあつめた集合。
      
n次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
    * m次元空間Rmとは、
      
実数m個並べた組 (y1,y2,,ym ) をすべてあつめた集合。
      
m次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。

Step2 n次元空間Rnに距離dnを定めて、距離空間(Rn,dn)を設定。
       
*普通は、 n次元空間Rnユークリッド距離を与えたユークリッド空間を考える。
    
m次元空間Rmに距離dmを定めて、距離空間(Rm,dm)を設定。
       
*普通は、 m次元空間Rmユークリッド距離を与えたユークリッド空間を考える。
Step3 n次元空間Rn上の点集合のひとつを選んで集合Dと名づける。
    つまり、「
DRn
    
*Dは、「n次元数ベクトルの集合」でもある。
Step4 n次元空間Rn点集合D上の各Pにたいして m次元空間Rm上のを対応づけるベクトル値関数f
   を用意。
   つまり、
    
f : DRm DRn ) ないし ( f1 (x1,x2,,xn), f2 (x1,x2,,xn) ,, fm (x1,x2,,xn))= f (x1,x2,,xn)  
   
*fはそれぞれ「D属すn次元数ベクトルからm次元数ベクトルへの対応付け」だとも言える。

Step5:「 n次元空間Rn点集合D」に属すを、P= (x1,x2,,xn )と名づける。
     つまり、「
PDRn」  
     
*Pは、「D属すn次元数ベクトル」でもある。

Step6:「 n次元空間Rn点集合D」に属すある定を、A=(a1,a2,,an)で表す。
     つまり、
A=(a1,a2,,an)DRn
     
*Aは、「D属すn次元数ベクトル」でもある。

[文献]
杉浦『
解析入門I』命題6.5-b(p.55-56);
黒田『微分積分学8.2.3(p.278);
松坂『集合・位相入門』4章§1-G(p.149);
斉藤『数学の基礎:集合・数・位相3.4.16 (p.90);
入谷久我『数理経済学入門』補助定理5.5(p.122);
ルディン『現代解析学4.5(p.83):一般の距離空間上で。
布川谷野中山『
線形代数と凸解析』定義6.8(p.123):ノルムを使って。

厳密な
定義
ε
-δ論法

ベクトル値関数 f は、A連続であるcontinuous」とは、
 
任意の正数εに対して、ある実数δが存在して、
  
任意Pに対し「 dn( P, A )<δ ならば dm( f (P), f (A) )<ε 」 
 を成り立たせる、ということ。
この定義を、
論理記号で表せば、
ε>)(δ>)(PRn)( dn( P, A )<δ dm ( f (P), f (A) )<ε
  
* dn( P, A )は、 n次元空間Rn上でのPAとの距離を、
   
dm ( f (P), f (A) )は、 m次元空間Rm上のf (P) f (A) との距離を表す。

* PAのときf(P)が収束する」の定義では、 0<dn( P, A )<δ であった。
  つまり、
関数の「極限」では、PAを除外して考えたが、
     「連続」では
PAを除外しないことになる。

※ユークリッド距離が定められたユークリッド空間Rn,Rmにおける連続概念 
 
ベクトル値関数(f1 (x1,x2,,xn),f2 (x1,x2,,xn),,fm (x1,x2,,xn)) = f (x1,x2,,xn)について、
  すなわち「『
n次元空間Rn部分集合』から『 m次元空間Rm』への写像」を扱う際には、
 特別な目的がない限り、
 
n次元空間Rn上の距離n次元ユークリッド距離で定めて、 n次元空間Rnユークリッド空間Rnとし、 
 
m次元空間Rm上の距離m次元ユークリッド距離で定めて、 m次元空間Rmユークリッド空間Rmとする
 設定のもとで
 考えるのが普通。
 この設定下では、
 
Rn上のP= (x1,x2,,xn )と、A=(a1,a2,,an)に対して、 
       

 
Rm上の f (P)=f (x1,x2,,xn )=(f1 (x1,x2,,xn),f2 (x1,x2,,xn),,fm (x1,x2,,xn ) ) と、
     
f (A)=f (a1,a2,,an )=(f1 (a1,a2,,an),f2 (a1,a2,,an ),,fm (a1,a2,,an ))
  に対して、 
  
dm ( f (P), f (A) ) 
  

 だから、
 「
ベクトル値関数(f1 (x1,x2,,xn),f2 (x1,x2,,xn),,fm (x1,x2,,xn)) = f (x1,x2,,xn)は、
   
A=(a1,a2,,an)連続である」の定義は、
  具体的には
  ┌
任意の(どんな)実数εに対して(でも)、ある実数δが存在して、
  | 「 

  |   
ならば
  |    」
  └を成り立たせる
  
ε>)(δ>)(x1,x2,,xn R
    (

      
 となる。

n次元数ベクトル空間,m次元数ベクトル空間の上に定義されたユークリッド空間Rn,Rmにおける連続概念 
n次元空間Rn
 
ベクトルの加法スカラー乗法自然な内積(標準内積)ユークリッドノルム‖‖nが定義されており、
 
n次元空間Rnn次元数ベクトル空間計量実ベクトル空間ノルム空間として扱える場合、
 
任意のn次元数ベクトルx, yRnのユークリッド距離はxyn と表せる。
 このユークリッド距離を定義した
ユークリッド空間Rnのもとでは、 
 
dn( P, A )PAn   
m次元空間Rm
 
ベクトルの加法スカラー乗法自然な内積(標準内積)ユークリッドノルム‖‖mが定義されており、
 
m次元空間Rmn次元数ベクトル空間計量実ベクトル空間ノルム空間として扱える場合、
 
任意のm次元数ベクトルx', y'Rmのユークリッド距離はxym と表せる。
 このユークリッド距離を定義した
ユークリッド空間Rmのもとでは、 
 
dm( f (P), f (A) )f (P)f (A)m   
・したがって、
 
ベクトル値関数 f (P) は、A連続であるの定義は、
  
任意の(どんな)実数εに対して(でも)、ある実数δが存在して、
     『 
PAn<δ ならば  f (P)f (A)m <ε』  
   を成り立たせる
 
  
ε>)(δ>)(PRn)(PAn<δf (P)f (A)m<ε  
 と表せる。   
 ただし、上記の
Pは、「P(x1,x2,,xn )」を表すn次元数ベクトル (x1,x2,,xn )
     上記のAは、「A(a1,a2,,an)」を表すn次元数ベクトル (a1,a2,,an)
 である。    

厳密な
定義
近傍

ベクトル値関数 f A連続であるcontinuous」とは、
 
f (A)任意のRm上のε近傍 Uε(f (A))」に対して(でも)、
 ある「
Rn上の点Aのδ近傍Uδ(A)」が存在して、
     
f ( Uδ(A) ) Uε(f (A))  
 を満たす
ということ。
この定義を別の表現でいうと、
 
任意の(どんな)実数εに対して(でも)、ある実数δが存在して、
        「 
f ( Uδ(A) ) Uε(f (A))  」
    すなわち「 
PUδ(A) ならばf (P) Uε(f (A))
 を成り立たせる、
ということ。
この定義を、
論理記号で表せば、
ε>0)(δ>0)( f ( Uδ(A) ) Uε(f (A)) ) 
ε>0)(δ>0)(PRn)( PUδ(A) f (P) Uε(f (A))) 
となる。

[文献]
杉浦『解析入門I』命題6.5-c(p.55-56);
松坂『集合・位相入門』4章§1-G(p.149);
斉藤『数学の基礎:集合・数・位相3.4.16 (p.90)

活用例

[トピック一覧:ベクトル値関数の連続性]
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定義:ベクトル値関数が点集合D上で連続

はじめに
読むべき
定義

ベクトル値関数  ( y1 ,y2 , , ym )=f ( x1 , x2 , , xn )
  
点集合D上で連続continuousである」
 とは、
 
ベクトル値関数( y1 ,y2 , , ym )=f ( x1 , x2 , , xn )
 
点集合D属す連続であること
 をいう。  


Cf.点での連続性/一様連続性
[具体例]1変数関数の区間連続性/2変数関数が集合上連続/ n変数関数が集合上連続 

[一般化]実数値関数/距離空間上の写像/位相空間上の写像

[文献]
杉浦『
解析入門II章§6定義5(p.55);W章§4定義1(4.2):一様連続との比較。
黒田『
微分積分学8.2.3(p.278);
斉藤『数学の基礎:集合・数・位相3.4.16 (p.90);

設定

厳密には、「ベクトル値関数 f A連続」の定義は、
以下の手順で設定された舞台上でなされる。
Step1 n次元空間Rn m次元空間Rmを用意する。
    
* n次元空間Rnとは、
      
実数n個並べた組 (x1,x2,,xn ) をすべてあつめた集合。
      
n次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
    * m次元空間Rmとは、
      
実数m個並べた組 (y1,y2,,ym ) をすべてあつめた集合。
      
m次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。

 

Step2 n次元空間Rnに距離dnを定めて、距離空間(Rn,dn)を設定。
       
*普通は、 n次元空間Rnユークリッド距離を与えたユークリッド空間を考える。
    
m次元空間Rmに距離dmを定めて、距離空間(Rm,dm)を設定。
       
*普通は、 m次元空間Rmユークリッド距離を与えたユークリッド空間を考える。
Step3 n次元空間Rn上の点集合のひとつを選んで集合Dと名づける。
    つまり、「
DRn
    
*Dは、「n次元数ベクトルの集合」でもある。
Step4 n次元空間Rn点集合D上の各Pにたいして m次元空間Rm上のを対応づけるベクトル値関数f
   を用意。
   つまり、
    
f : DRm DRn ) ないし ( f1 (x1,x2,,xn), f2 (x1,x2,,xn) ,, fm (x1,x2,,xn))= f (x1,x2,,xn)  
   
*fはそれぞれ「D属すn次元数ベクトルからm次元数ベクトルへの対応付け」だとも言える。

厳密な
定義
ε
-δ論法

ベクトル値関数 f は、点集合D上で連続であるcontinuous」とは、
 
点集合D属すAをひとつ選んで固定した上で、
 
任意の正数εに対して、ある正数δをとると、
  
任意Pに対し「 dn( P, A )<δ ならば dm( f (P), f (A) )<ε 」   …(1)
 が成り立ち、
 これが、すべての
ADについてもいえるということ。
この定義を、
論理記号で表せば、
  
( AD )ε>)(δ>)(PD)( dn( P, A )<δ dm ( f (P), f (A) )<ε
    
* dn( P, A )は、 n次元空間Rn上でのPAとの距離を、
     
dm ( f (P), f (A) )は、 m次元空間Rm上のf (P) f (A) との距離を表す。
ここで、(1)を満たすδを全てのADに対して共通に選ぶ必要はないことに注意。
 「
f(P)D上で連続」と言った場合、ADの選び方で(1)を満たすδが変わってもよい。
 これに対して、
 
(1)を満たすδを全てのADに対して共通に選べる、
 ADの選び方によらず、εだけに対応して (1)を満たすδを一様に選べることを意味する概念は、
 
一様連続性

   

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定義:連続関数

 

ベクトル値関数 ( y1 ,y2 , , ym )=f ( x1 , x2 , , xn )
 
定義域Dに属する全ての連続であるとき、
ベクトル値関数 ( y1 ,y2 , , ym )=f ( x1 , x2 , , xn ) 連続関数と呼ぶ。

 
     

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定理:「ベクトル値連続関数」の「開集合の逆像」を用いた表現 

定理

次の命題P,命題Qは互いに言い換え可能である。
つまり、命題
P命題Q

命題P
 
距離空間(Rn,dn)上の点集合D開集合であり、
 
かつ
 ベクトル値関数 f DRm は、点集合D上で連続。 

命題Q
 
距離空間(Rm,dm)上の任意の開集合Omに対して、
  
Om fによる逆像 f-1( Om )は、距離空間(Rn,dn)上の開集合となる。

なぜ?→証明:松坂『集合・位相入門』4章§1-G-定理5(p.150).


Cf
.
位相空間における連続写像定義
距離空間のあいだの連続写像と開集合の逆像 

[文献]
松坂『
集合・位相入門』4章§1-G-定理5(p.150):証明付;

舞台設定

この定理は、以下の手順で設定された舞台上でなりたっている。
Step1 n次元空間Rn m次元空間Rmを用意する。
    
* n次元空間Rnとは、
      
実数n個並べた組 (x1,x2,,xn ) をすべてあつめた集合。
      
n次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
    * m次元空間Rmとは、
      
実数m個並べた組 (y1,y2,,ym ) をすべてあつめた集合。
      
m次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。

 

Step2 n次元空間Rnに距離dnを定めて、距離空間(Rn,dn)を設定。
       
*普通は、 n次元空間Rnユークリッド距離を与えたユークリッド空間を考える。
    
m次元空間Rmに距離dmを定めて、距離空間(Rm,dm)を設定。
       
*普通は、 m次元空間Rmユークリッド距離を与えたユークリッド空間を考える。
Step3 n次元空間Rn上の点集合のひとつを選んで集合Dと名づける。
    つまり、「
DRn
    
*Dは、「n次元数ベクトルの集合」でもある。
Step4 n次元空間Rn点集合D上の各Pにたいして m次元空間Rm上のを対応づけるベクトル値関数f
   を用意。
   つまり、
    
f : DRm DRn ) ないし ( f1 (x1,x2,,xn), f2 (x1,x2,,xn) ,, fm (x1,x2,,xn))= f (x1,x2,,xn)  
   
*fはそれぞれ「D属すn次元数ベクトルからm次元数ベクトルへの対応付け」だとも言える。

     

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定理:「ベクトル値関数についての連続性」の「n変数関数の連続性」への言い換え

 

次の命題Pと命題Qは互いに言い換え可能である。
つまり、命題
P命題Q

命題Pベクトル値関数  ( y1 ,y2 , , ym )=f ( x1 , x2 , , xn )は、
     
( a1 , a2 , , an )連続

命題Qベクトル値関数  ( y1 ,y2 , , ym )=f ( x1 , x2 , , xn )を、
    
m個の n変数関数の組
      
y1 = f1 ( x1 , x2 , , xn )
       y2 = f2 ( x1 , x2 , , xn )
       : 
      
ym =fm ( x1 , x2 , , xn ) 
    として表したときに、  
     
f1 , f2 , , fm は、どれも( a1 , a2 , , an )連続
    すなわち、
     
y1 = f1 ( x1 , x2 , , xn ) は、( a1 , a2 , , an )連続。 
     
かつ
     
y2 = f2 ( x1 , x2 , , xn ) は、( a1 , a2 , , an )連続。 
     
かつ
      : 
     
かつ
     
ym =fm ( x1 , x2 , , xn ) は、( a1 , a2 , , an )連続

なぜ? 
 
「ベクトル値関数の極限」の「n変数関数の極限」への言い換えによる。
 


[文献]
杉浦『
解析入門II章§6定理6.8-2(p.60);
ルディン『現代解析学4.5(p.83):距離空間上で定義されたベクトル値関数について。
黒田『
微分積分学8.2.3(p.278);
入谷久我『数理経済学入門』定義5.7(p.122);
西村『経済数学早分かり3章§1.2連続関数(p.107);

     

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定理:ベクトル値関数の点における連続性の、点列の収束への言い換え 

 

具体例: 1変数関数の連続の、数列の収束への言い換え / 2変数関数の連続の、点列・数列の収束への言い換え
    
n変数関数の連続の、点列・数列の収束への言い換え
一般化:
距離空間の間の写像の連続の、点列の収束への言い換え

定理1

次の命題P,命題Qは互いに言い換え可能である。
つまり、命題
P命題Q

命題P
 
ベクトル値関数
  ( y1 ,y2 , , ym )=f ( x1 , x2 , , xn )
 は、
 
A( a1 , a2 , , an )連続

[文献]
入谷久我『数理経済学入門』補助定理5.4(p.122);
加古『自然科学の基礎としての微積分』定義6.1(p.91);
西村『経済数学早分かり3章§1.2連続関数(p.107);

命題Q
 
どんなRn上の点列{ Pn }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n), (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}についてであれ、
  その
点列{ Pn }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n), (x21,x22,,x2n) , (x31,x32,,x3n) ,}
    
A( a1 , a2 , , an )収束する限り、 
 その
点列の各項 P1 , P2 , P3,…をベクトル値関数f によりRm上に写した像点列 
  
{ f ( Pn ) }={ f ( P1 ) , f ( P2 ) , f ( P3 ) , }={ f ( x11,x12,,x1n ) , f ( x21,x22,,x2n ), f ( x31,x32,,x3n ), }
 は、
  
A( a1 , a2 , , an )ベクトル値関数f によりRm上に写した像
    
f ( A )f ( a1 , a2 , , an ) 
  に
収束する
 つまり、
  
任意のRn上の点列{ Pn }={ P1 , P2 , P3,}について、
      
PnA (n) ならばf (Pn) f ( A ) (n)  
 
論理記号で表すと、
   
{ Pn })( PnA (n) f (Pn) f ( A ) (n)
なぜ?
  
関数の収束の定義と、関数の連続性の定義を見比べたうえで、
  
関数の収束と点列の収束の関連性についての定理を、関数の連続性向けに修正。 

活用例

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定義:ベクトル値関数の一様連続性 uniformly continuous

設定

ベクトル値関数の一様連続性」の定義は、
 以下の手順で設定された舞台上でなされる。 
Step1 n次元空間Rn m次元空間Rmを用意する。
    
* n次元空間Rnとは、
      
実数n個並べた組 (x1,x2,,xn ) をすべてあつめた集合。
      
n次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
    * m次元空間Rmとは、
      
実数m個並べた組 (y1,y2,,ym ) をすべてあつめた集合。
      
m次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
Step2-1 n次元空間Rnに距離dnを定めて、距離空間(Rn,dn)を設定。
    
*普通は、 n次元空間Rnユークリッド距離を与えた
            
ユークリッド空間を考える。
Step2-2 m次元空間Rmに距離dmを定めて、距離空間(Rm,dm)を設定。
    
*普通は、 m次元空間Rmユークリッド距離を与えた
            
ユークリッド空間を考える。
Step3 n次元空間Rn上の点集合のひとつを選んで集合Dと名づける。
    つまり、「
DRn
    
*Dは、「n次元数ベクトルの集合」でもある。
Step4 n次元空間Rn点集合D上の各Pにたいして
    
m次元空間Rm上のを対応づける
    
ベクトル値関数fを用意。
   つまり、
    
f : DRm DRn
   ないし
   
( f1 (x1,x2,,xn), f2 (x1,x2,,xn) ,, fm (x1,x2,,xn))= f (x1,x2,,xn)
   *f
   「
D属すn次元数ベクトルから
    
m次元数ベクトルへの対応付け」だとも言える。
Step5:「 n次元空間Rn点集合D」に属す2を、
      
P= (x1,x2,,xn )A = (a1,a2,,an )と名づける。
      つまり、「
P, ADRn」  
    
*P, Aは、「D属すn次元数ベクトル」といってもよい。 


cf.D上で連続:δが各AD毎にちがっていてもよい。

cf.点での連続性
[具体例]1変数関数の一様連続性/2変数関数の一様連続性/ n変数関数の一様連続性  
[一般化]実数値関数の一様連続性/距離空間のあいだの写像の一様連続性

[文献]
斉藤『
数学の基礎:集合・数・位相3.4.17 (p.90)
杉浦『解析入門I』W章積分§4連続関数の可積分性-定義1(p. 225).;
ルディン『現代解析学4.18(p.88):距離空間一般上。

定義

ベクトル値関数f (P)=f (x1,x2,,xn)が、点集合D上で一様連続uniformly continuousであるとは、
 
任意の正数εに対して、ある正数δが存在して
  「
dn (P, A)<δを満たす限りで任意の『D』」P,Aについて、dm ( f (P) , f (A) )<εが成り立つ
ということ。
論理記号で表せば、すなわち、
( ε>0 ) ( δ>0 ) ( AD ) ( P D ) ( dn ( P, A )<δ dm ( f (P) , f (A) )<ε)
δが、各ADに対して一様にとれることを意味している点が、重要。

性質

ベクトル値関数f 点集合D上で一様連続ならばf 点集合D上で連続。  
・一般には、
ベクトル値関数f 点集合D上で連続だからといって、点集合D上で一様連続だとは限らない。
点集合D有界な閉集合ならばベクトル値関数f 点集合D一様連続であることと連続であることは同値
 →
詳細 

否定命題

ベクトル値関数f (P)=f (x1,x2,,xn)が、点集合D上で一様連続ない」とは、
 
( ε>0 ) ( δ>0 ) ( AD ) ( P D ) ( dn (P, A)<δかつ dm ( f (P) , f (A) )≧ε)
          [杉浦『解析入門I』W章積分§4連続関数の可積分性-定理4.1証明(4.4)(p. 226)]

   
     

[トピック一覧:ベクトル値関数の連続性]
総目次

reference

岩波数学辞典(第三版)』項目441連続関数 (pp.1329-1331).

神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.148-160.

高木貞治『解析概論 改訂第三版』岩波書店、1983年、pp. 26-8.

小平邦彦『解析入門II(軽装版)岩波書店、2003年、pp.260-264.

和達三樹『理工系の数学入門コース1・微分積分』岩波書店、1988年、pp.115-6.

吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年、pp.160-1

杉浦光夫『解析入門』岩波書店、1980年、pp.55-56;74-75. 極限の定義が特殊なので注意。

高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、pp.144-146.

ルディン『現代解析学』共立出版、1971年、4.5-4.24(pp.83-91)。一般の距離空間の上で論じている。

斉藤正彦『数学の基礎:集合・数・位相』東大出版会、2002年。第3章§4数空間Rn-連続写像3.4.16-19 (p.90-92)
松坂和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968年、第4章位相空間§1Rnの距離と位相-G連続関数(pp.148-150).

[トピック一覧:ベクトル値関数の連続性]
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